結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年12月31日(水曜日)

[毎日更新宣言]の終了宣言と2025年商人舎4つの「大賞発表」

2025年大晦日。
このブログを始めてから、
19回目の大晦日。

結城義晴のblog[毎日更新宣言]。
終了を宣言します。
ありがとうございました。

今日は外出せず、
最後の身の回りの整理。

自室は書斎にしているが、
ずいぶん散らかっている。

片づけをしていると、
つい、本などをめくってしまう。

司馬遼太郎『世に棲む日日』
幕末の吉田松陰と高杉晋作の物語。

その206頁と207頁のところに、
昔の名刺が挟まっていた。
栞代わりに使っていたらしい。
IMG_9511 (002)

商業界創立50周年のマークが入っていて、
「取締役編集担当」とある。
販売革新編集長を兼務していた。

1998年のことだ。

50周年記念事業として、
前年8月から当年3月まで連続的に、
5冊の単行本を発刊した。
『渥美俊一選集(壱・弐・参・四・五)』
51SOTwe2sWL
すべての原稿を私自身が選んだ。

つまり渥美俊一の処女作から、
最新作までを集めて、読み通して、
そこから貴重な原稿を選択した。

初期のもの、中盤のものが、
とても良かった。

とくに「壱・繫盛への道」の原稿は、
読みながら涙が出た。

装丁は大森一郎さんにお願いした。
私のお気に入りのデザイナー。

50周年の年の販売革新巻頭言は、
「本当の正義」を書いた。

「本当の正義」

正しきによりて滅ぶる店あらば
滅びてもよし。
断じて滅びず。

21世紀という時代、
この言葉は、ますます重みを増し、
輝いてくるに違いない。

なぜならば、
滅び行く者たちが次々、
明らかになってくるからだ。

滅亡する機能、
役に立たなくなる仕事が、
露になってくるからだ。

正義は、
時代によって、
反転のごとき様相を呈する。

古い正義を振りかざす者たちは、
新保民八の言葉を声高に叫びつつ、
滅びてゆく。

新しい正義は、
古い正義と闘争を繰り広げつつ、
同じように新保民八の言葉を叫ぶに違いない。

正しきによりて滅ぶる店あらば
滅びてもよし。
断じて滅びず。

この言葉を信じる者も、
この言葉をまやかしに使う者も、
この言葉によって裁かれる。

滅びるか、滅びないか。その事実によって。
21世紀という時の流れが、
本当の正義を証明してくれる。
< 商業界創立50周年を迎える年の初めに>

それからもう28年が経過しようとしている。

多くの企業が滅びた。
ダイエーも西友もマイカルもユニーも。
イトーヨーカ堂も自主独立ではなくなった。

ニッショーストアも関西スーパーも。

株式会社商業界そのものも、
滅びてしまった。

商業界に関しては、
私たち商人舎がそれを引き継ぐ決意だ。

その月刊商人舎を2025年も12冊発刊した。
去年もそう思ったが、
今年はその去年よりも、
いい雑誌ができたと思う。

そのなかから、
「自分で選ぶ4つの「月刊商人舎大賞」

まず第1は[表紙大賞]

商人舎専属デザイナーの七海真理さん。
アメリカでデザインを学んで、
鋭い感覚をもつ。

デザインに使うイラストや写真は、
特集テーマに沿って編集部が全員で選ぶ。

その表紙大賞は、
月刊商人舎2025年6月号。
202506_coverpage
特集は、
’25ニッポン小売業番付
日本小売業ランキング107社と目標主義経営

横組みの雑誌の表紙を、
大胆にも縦組みにした。

金太郎が巨大な鯛と相撲を取っている。
いいなあ。

第2は[Message大賞]

ほぼ毎号、メッセージを書く。

食品商業編集長になったときからはじめて、
販売革新編集長のときにも続けた。

商業界の取締役になってからも、
専務や社長のときにも、書いていた。

商人舎でももちろん。
その今年のメッセージ大賞は、
[Message of October]IMG_7671 (002)
卵が先でしょ。

卵が先か、鶏が先か。
互いに循環する原因と結果。
その端緒を同定することの無益さ。
文字通りの解答は意味不明である。

XがY無しに生じ得ず、
YがX無しに生じ得ない場合、
最初に生じたのはどちらか。
形而上学的ジレンマ。

遺伝学のブルックフィールド教授。
鶏ゲノムを持つ最初の鶏は、
最初の鶏の卵から発生した。
だから卵が先だと考えた。

ダーウィンの進化論。
互いに異なる種の遺伝子の交配によって、
新種の遺伝子が生じるのだから、
極めて明快に卵が鶏より先にあった。

統計学は鶏の飼育数と卵の数とが、
予測可能かを調査した。
卵の情報からは鶏の数が予測できたが、
その反対はなかったから卵が先だと結論づけた。

イギリスの科学者チーム。
OC-17というたんぱく質を解析した。
成熟した鶏の雌が卵の殻をつくる。
だから母鶏がいてこそ卵ができる。

ユダヤ教とキリスト教。
創世記の神は鳥を創造し、
それらに産み殖やすよう命じた。
だから鶏が卵より先だ。

ニーチェは読み解いた。
何者も「最初」たりえない。
循環する時間において、
「最初」は存在しない。

DXの内製化もイノベーションも、
小さく始めて大きく育てる。
人の育成こそ最も重要な課題である。
ならば、卵が先でしょ。〈結城義晴〉
2025-10Message

自分でも大いに気に入っている。

第3が[原稿大賞]

これはいつも悩む。
選ぶのが難しい。

けれどこれはインパクトが強かった。
2本の原稿をセットで原稿大賞とする。

商人舎8月号特集。
In-Store MD(Merchandising)へようこそ!
店内技術体系を論理的に革新せよ。

その[結城義晴+島田陽介]の原稿。
チェーンストア3.0の「店内MD技術」革新
〈結城義晴〉
202508_yuuki-maegaki
ドコに、ナゼ、何を「置く」かの「13セオリー」
〈島田陽介〉
202508_shimada (1)

この2本の原稿はぜひ、是非、読み返してほしい。

そして最後に[特集大賞]

とくによかったと思う特集も多い。

商人舎3月特集「あうん」の営業企画202503_coverpage

5月号現場生産性
[アウトプット÷インプット]最適化の手段

202505_coverpage

9月号特集
’25アメリカの歩き方
US-Retail[必携]視察ガイドブック商人舎2025年9月号

それから10月号。
自前のRetail-DX
両輪の「技術と人」をインソーシングする道筋202510_coverpage

そして12月号特集。
リージョナルチェーンの盲点
「商圏」と「商勢圏」を混同するな!!202512_coverpage
どれもほかのメディアには絶対にない、
専門性と提案性のある特集でした。

けれど、やっぱり特集大賞は、
「In-Store MD」へようこそ!
店内技術体系を論理的に革新せよ。
IMG_4808 (002).jpgtaisyo

チェーンストア3.0の時代に、
現場問題を解決するカギを握っている。

商人舎は技術特集を得意としている。

1年間の編集へのご協力とご愛読、
心から感謝します。

最後に再び、
[毎日更新宣言]の終了を宣言します。

〈結城義晴〉


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