結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年02月22日(日曜日)

ミラノコルティナ冬季五輪の終幕と「オリンピズム」の哲学

三連休の真ん中の日曜日。

お陰様でめまいは治った。
完治したわけではないだろうが。

私の右眼は緑内障、白内障、
そして網膜剥離にかかった。
それで四度も手術した。

これも完治はしない。
ずっと付き合っていく。

耳と眼は悪い。
そのかわりに、
首から下は大きな病に侵されていない。

有難いことだと思う。

さて、
ミラノコルティナ冬季五輪。

もう終わってしまう。

スポーツの世界、アートの世界に、
どうも人類の才能が集まっていくようだ。

ここには差別はない。
偏見もないし、
権力や武力はない。
カバン・カンバン・ジバンもない。

ただひたすら自分の能力を高めようという、
意志があるだけだ。

それが磨かれ、磨かれ、
磨かれ、磨かれ、磨かれて、
自分らしい成果をあげる。

その成果物を私たちは、
共有することができる。
そして成果物は歴史に残る。

過去・現在・未来がつながっていく。

オリンピックは、
より高く、より早く、より強く。

人間の精神と肉体によって、
それを追い求める。

アスリートたちは国や地域に属している。
しかしあくまでも、
一番大切なのは個人やチームだ。

国威発揚の側面がないとは言えない。
しかしもっとも大切なのは、
人間の尊厳である。

だから世界中の優秀な若者たちが、
ここを目指して集ってくるのだと思う。

政治の世界よりも、
オリンピックにこそ、
優秀な人間が結集される。

それがギリシャの時代に始まった、
オリンピックの現在である。

古代オリンピックは、
古代ギリシアのエーリス地方「オリンピア」で、
4年に一度行われた競技会であり、祭典である。

紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて開催された。

最盛期にはギリシア世界全域から、
アスリートが参加した。

ギリシア人たちは、
この大きな祭りを格別に神聖視した。

だから大会の期間と、
それに先立つ移動の期間、
合わせると3カ月は戦争をしていても、
休戦となった。

その古代オリンピックの起源には、
いろいろな説があるが、
そのひとつが伝染病蔓延説である。

パンデミックに苦しんだ、
エーリス王のイーピトスが、
アポローン神殿で伺いを立てた。

神は啓示を下した。
争いをやめ、競技会を復活せよ。

イーピトス王はまず、
スパルタのリュクールゴスと協定を結んだ。

イーピトスとリュクールゴスは、
仲が悪かった。

その両者が和解して、
ギリシャ全域のオリンピックが行われた。

「オリンピアの地に武力をもって入る者は、
神にそむくことになる」
これがテーゼだった。

この起源に私が惹かれるのは、
武力の否定が前提となっているからだ。

近代オリンピックは、
1896年のアテネから始まった。

ピエール・ド・クーベルタンの尽力があった。
クーベルタンはフランスの教育学者だ。
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その趣旨は、
「スポーツによって青少年教育を振興させ、
世界平和実現のために
古代オリンピックを復興しよう」

クーベルタンは「オリンピズム」を提唱した。
オリンピック哲学である。

それは世界を発展させ、国際理解を深め、
平和によって共存することである。
同時に社会や倫理教育の場で、
スポーツの役割を強調するものである。

オリンピックはオリンピズムを、
世界中の人々に広めるための祭典である。

オリンピズムの目的の大きな柱として、
「人間の尊厳」がある。

これが何よりも大切なことだ。

クーベルタンは、
「美にして善なること」を重んじた。

身体的な美しさがあるだけでなく、
心も道徳的であること。

クーベルタンは古代ギリシアの人々のように、
スポーツの力を活用することに着想を得た。

現在の「日本列島を強く豊かに」なるスローガンは、
言い換えれば明治時代の「富国強兵」である。

オリンピズムの哲学は、
19世紀末の「富国強兵」の思想に対して、
静かに対峙している。

昨日のこのブログで書いた、
糸井重里の「飛び石の善意」こそ、
このオリンピズムの哲学である。

善意に基づくオリンピックは、
飛び石のごとく4年に一度しかやってこない。

そのミラノコルティナ五輪が終わる。

飛び石の善意を日々のものとする努力を、
私たちは惜しんではならないと思う。

私はそれが商売と仕事を通じて、
成し遂げられるものだと固く信じている。

〈結城義晴〉


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