結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年02月28日(土曜日)

「商売のニヒリズム」と「鷲の勇気・蛇の知恵」

2月最後の日。

昼ごろ横浜商人舎オフィスに出て、
原稿執筆に必要な資料を整える。

そしてパソコンに向かう。

月刊商人舎3月号の編集は、
会社を留守にしている間に、
最終段階を迎えている。

仕事に勤しむ。

現在の嫌なことや未来への不安を、
忘れることができる。

ドナルド・トランプと、
ベンジャミン・ネタニヤフ。

イランを空爆した。

これは戦争だ。

第三次世界大戦に至らないことを、
心から祈りたい。

アルベルト・アインシュタイン。
「道徳性だけが人生に、
美と品位をもたらしてくれる」

美と品位を無視する行為が、
あまりにも多すぎる。

アインシュタイン。
「無限なものは二つあります。
宇宙と人間の愚かさです。
宇宙については、断言できませんが」
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人間の愚かさと無責任さ。
時代錯誤。

アメリカとイスラエルが、
世界の中で孤立していく。

今週の講義の中で、
倉本長治の言葉を紹介した。

「損得より先に善悪を考えよう」

権力を握ると、
最も大切なことを忘れてしまう。

いや、もっとも大切なことを無視する者が、
権力を握ってしまうのか。

少なくとも会社という組織では、
それがあってはならない。

朝日新聞「折々のことば」
第3585回。

鷲田清一さんがほぼ毎日、
モノを考えるきっかけを与えてくれる。

2月26日の「ことば」
離脱の精神を含まぬ
単純な「参加」主義は、
「翼賛」という名に代表される
左右大小さまざまの
追随主義を産む。
〈藤田省三〉

「『文民』であることを義務と考える公務員の精神は、
ときに国家権力による軍事行動の命令と衝突する」

アメリカにもイスラエルにも、
そんな公務員がいるに違いない。

もちろん日本にも。

「ここで『官』ではなく、
『員』の精神を支えるのは、
団体権力の圧迫と衆を恃(たの)んだ便乗的批難に、
(あらが)う『勇気』だ」

官僚ではなく、公務員、すなわち公僕。
勇気をもった公僕が存在する。

「成員の脱出の可能性を考慮に入れずに
組織団体が健康であることはない」

藤田省三は1927年に生まれ、
2003年に亡くなった。
丸山眞男の愛弟子の政治思想史家。
法政大学名誉教授。

『精神史的考察』から。
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何かを獲ることは別の何かを失うこと。
「費用の法則」という。

「新重商主義」の荒稼ぎが払うべき犠牲は、
かなり大きいものになるのが当然だ。

「新重商主義」とは、
第二次大戦後の先進諸国が、
貿易黒字を重視したこと。

今、トランプが衆愚の米国民に弁解していることが、
新重商主義だ。

しかし藤田は見抜く。
「成長経済によって喪われたものは、
広く社会の各分野にわたって、
相当に深刻なものがあるはずだ」

入って来た金の額の増減にだけ気を取られず、
失ったものについての自覚をしっかりともつこと。

金儲けだけは必要以上にしたけれども、
その代わりに生き方についての価値や規準は、
なくなってしまう。

その結果、何のための経済活動なのか、
その訳がわからなくなりかねない。

これが「新重商主義のニヒリズム」である。

「ニヒリズム(Nihilism)」は、
「虚無主義」のこと。

今、生きている世界、
特に過去および現在における人間の存在には
意義、目的、理解できるような真理、
そして本質的な価値などがない。

こう主張する、哲学的な立場のこと。

フリードリヒ・ニーチェは、
今まで人々が最高の価値と見なし、
人間の目的としていたものが、
無価値となる事態のことを言った。

トランプにはニヒリズムは、
まったく理解できないだろう。
トランプにはもともと哲学は皆無だ。

ニーチェはニヒリズムの態度を三つに分けた。
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⑴何も信じられない事態に絶望して、
その時々の状況に身を任せ、
流れるように生きるという態度。

「弱さのニヒリズム」
「消極的・受動的ニヒリズム」

⑵精神力が高揚し、
従来の価値を乗り越えていこうとするために、
従来の価値が無意味に感じられる態度。
すべては無価値であり、偽りだと考えるが、
それを前向きにとらえようとする生き方。

そのために自ら積極的に「仮象(かしょう)」を生み出し、
新しい価値を能動的に創造していこうとする。

「仮象」は難しい概念だ。
感覚には実際に存在するように現れながらも、
それ自身は客観的な実在性をもたないもの。

「強さのニヒリズム」
「積極的・能動的ニヒリズム」

⑶絶望することにも、
能動的になることにも、
価値はないと考え、
弱さのニヒリズム・強さのニヒリズムを否定する。

自分では何も考えずに、
しかし他者からの干渉も価値がないものだと、
無視して生きる。

一種の『悟り』のような態度。
「中心・無関心的ニヒリズム」。

ニーチェは第二の積極的ニヒリズムを肯定し、
自らを創造的に展開していくことを主張した。

「鷲(わし)の勇気と蛇の知恵を備えた、
『超人』として道を切り拓くこと」
ニーチェはそれを提唱した。

戦後の日本人は大抵がニヒリストとなった。
商売をする人としては、
大髙善雄と西端幸雄が、
知性派のニヒリストだった。

ヨークベニマルの大髙、
ニチイの西端。

ダイエーの中内功も、
ニヒリストだった。

商売はある意味で、
ニヒリズムの仕事なのだ。

この混迷の世界のなかで私たちは、
鷲の勇気と蛇の知恵をもたねばならない。

考えて、考えて、考え抜こう。

〈結城義晴〉


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