結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年09月24日(木曜日)

小型スーパーマーケットを考察する【後編】マーケットサイドの巻

小型店は、ひどく難しい。
いや、「小型化」こそが難しい。 

だから、特別の事情がない限り、
挑戦しない方がよろしい。

昭和51年(1977年)、イトーヨーカ堂が、
千葉県勝田台で、食品スーパーマーケットに挑戦した。

1500坪以上の総合スーパーを展開していた同社が、
450坪の「ヨークマート」をオープンさせた。

イトーヨーカ堂の食品と雑貨の品ぞろえを、
綺麗に1フェースずつ積み上げた店で、
英知の結晶のような新フォーマットだった。

しかし、ここには品揃えの豊富さはあっても、
商品回転の概念が欠落していた。
残念ながら、スタートダッシュは、
かなわなかった。

しかしイトーヨーカ堂グループ。
しつこくしつこく改善・改良を重ねて、
今日のヨークマートを築き上げた。

しかしそれとても、売場面積450坪。

いま、テスコが米国で始めたフォーマットは、
1万平方フィート、280坪。

ウォルマートが実験するフォーマットは、
1万5000平方フィート、420坪。
3
ウォルマートは、現在、
7000坪のスーパーセンターを中核としている。

1998年に実験を始めたネイバーフッドマーケットは、
10年以上になるにもかかわらず150店と、鳴かず飛ばず。
これはフード&ドラッグのスーパーマーケット。

「小型店は難しい」を、
ウォルマート自身が証明してしまった。 

しかしスーパーセンターは、2612店で、
全米飽和が近い。

ウォルマートの歴史は、
1945年のベンフランクリンのフランチャイズチェーン時代から、
拡大化の一途だった。
最初の店は460㎡、140坪のバラエティストア。 
「ウォルトンズ・ファイブ&ダイム・ストア」といった。

第二のフォーマットは、1962年。
1480㎡、450坪のディスカウントストア。 

ここまでウォルマートは非食品の小売業だった。

第三は、1983年のメンバーシップ・ホールセールクラブ。 
「サムズ・クラブ」といった。
面積は、1万㎡、3000坪に近かったと思う。
ここから食品に挑戦、
マクレガーという食品卸売り業を買収した。

そして、第四は、1987年、
2万㎡、6000坪のハイパーマートUSA。  

フランスのカルフールをコピーしたハイパーマーケット。
壮大な1フロア衣食住のフルライン総合スーパー。

しかしこの店は、大失敗。
その意味では、大型化も簡単とはいえない。

翌1988年、すぐに、ハイパーマートUSAを、
半分にして、絞り込んだスーパーセンターを開発。
これが第五のフォーマット。  

ハイパーマートから見れば半分だが、
ひとつ前のサムズクラブから見ればほぼ同じ。

そしてこれが、やがて大成功し、
最強のフォーマットと称賛された。

この大成功をみて、10年後、
折り返す。

第六の実験店ネイバーフッドマーケット。  
3000㎡、1000坪のスーパーマーケット。
このフォーマットが10年たっても、
モノにならない。

そこで2008年、第七番目のチャレンジ。
ミニスーパーのマーケットサイド。
  
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ミニスーパーでは、フォーマットにならない。
成立の可能性が低い。

レギュラータイプのスーパーマーケットと直接競合したら、
ひとたまりもない。

「コーナーマーケット」と表示された青果部門。
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しかし生鮮食品の品ぞろえが薄すぎる。
商品構成は、スーパーマーケットと全く同じカテゴリー。
1万アイテム。
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かといって、通路を狭くして、
商品を山積みしているわけではない。

ワインの品ぞろえは、コンパクトだが目立つところにある。

オープンキッチンの壁面では、
焼きたてピザやグリルアイテムを提供する。

ワインとピザ、デリ。
この店の核商品は、このあたりにある。

レジは、6基。

テスコのフレッシュ&イージーがすべてセルフレジであるのと、対照的。
つまり、フレンドリーも訴求している。

ジュリーさんが、丁寧にインタビューに答えてくれた。

カスタマーサービスとサービスデリ、そしてワインを重視している。

しかしオープン当初にあったものがない。
プリペアードフード。
2ドル均一のサイドディッシュ。
4ドル均一のサンドイッチやサラダ。
6ドル均一のアントレ。
8ドル均一のファミリーサイズのアントレ。

皆で取り囲んで、一生懸命に聞いた。

どうやらあくまでも実験店の位置付のようだ。

最初は、マーケティングリサーチし、
ターゲットカスタマーを設定し、
ポジショニングをつくって、新フォーマットにチャレンジした。

しかしそれは当然に、変わるもの。

ウォルマートは、10年前のネイバーフッドマーケットのときにも、
4店を一挙に出店させ、その後ずっとデータをとり続けた。
その方法論は、これまでと全く変わらない。

一方、競合店のセーフウェイやクローガー系のフライズとの価格比較を、
積極的に売り場表示している。

つまり小型店でありながら、
価格訴求もし始めた。

プライベートブランドのエンド陳列では、
ナショナルブランドと比較購買させる。
m3
ウォルマートの命とも言えるエブリデーロープライスは貫かれている。

マーケットサイドは、便利性と価格志向の両立を図る店である。

私は、はじめに見たときから、この店は、
「日本におけるコンビニ機能」だと感じた。  

アメリカにもコンビニはある。
しかしそれは日本のコンビニとは全く異なる。
社会的機能が。

ただの便利店。

しかし日本のコンビニは、
それを通り越して、
「朝昼晩のおかず屋」になった。

ウォルマートは、
日本のセブン-イレブンを、
アメリカの市場でコピーしようとしている。

私は、そう思う。

まだまだ、終わらないこの実験。

アメリカの小売マーケットには、
日本のコンビニ機能はない。

だから広大な市場が横たわっている。

ウォルマートは、巨大なマーケットしか狙わない。  
それも時間をかけて、最大の市場を獲得する。

「スーパーセンターに変わるものは、
日本のセブン-イレブンしかないじゃないか」
私は、一人、つぶやいた。

最初になかったのに今あるものがもうひとつ。
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「by walmart」の文字。

「Marketside」の下に、
小さくはあるが鮮明に表示されている。

これは、ウォルマートの本気さを象徴している。

「失敗だ」
「駄作だ」
さまざまな声が聞こえる。

しかし私は、もう少し、見ていきたい。
飽和するスーパーセンターに変わるモノを求めるウォルマートの姿を。

<結城義晴>  


2 件のコメント

  • 結城様、お久しぶりです。わたくしアイルランドのスーパークインの高木です。
    今回の日記にはアメリカの小型店舗が紹介されていますが、今日の英国のニュースではウエイトローズがコンビニエンス分野にビジネスを展開していくということです。マークス アンド スペンサーのシンプリーフードと競合しそうだということです。
    英国やアイルランドでも都市部では小型の店舗が増えてきています。
    これからも毎日のBLOGを楽しみにしています。

  • 高木茂樹さん、お久しぶりです。
    投稿ありがとう。
    お元気ですか。

    アイルランドでのEU投票、どうなったのでしょうか。
    そしてダブリンの小売業、どんな展開でしょうか。

    間違いのない世界中のトレンドは、
    「都市化」です。

    日本は50%以上が、
    首都圏、中京圏、関西圏に住んでいます。
    全体人口は少子高齢化が進んでいるのに、
    都会だけは人口が増えている。

    人口が増えている国は、さらに都市集中化が進んでいます。

    そして、都市には、土地がない。
    だから小型店化は世界のトレンドだといえます。

    また、お会いしたいですね。
    必ず。

    元気で頑張ってください。

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