結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年02月02日(水曜日)

2月の商人舎標語「最初にすべきことから始めよ」と金子美登さんの「霜里農場」の有機野菜の美味しさ

2月2日。
ぞろ目だが、
なんでもない日。

ところが中国では、今日は大晦日。
明日の2月3日が春節で、
3、4、5日の3日間が国定祝日。
そして一般に1週間の春節休暇。
春節とは旧正月のことで、
古くは「元旦」と呼ばれていた。
そう、日本の1月1日のこと。

中国でも帰省ラッシュが起こるが、
この1週間ほどの期間に移動する人口が、
なんと延べ28億5000万人に上る。
昨年比で11.6%増

すごい大移動が隣の国で起こっている。

エジプトでは、首都のカイロで100万人のデモ。
ムバラク大統領の退陣を求める抗議行動。

30年間、政権を担い続けた「独裁者」のムバラク大統領、
エジプト国営テレビで、「再選を目指す考えはない」と表明。

このエジプト人を突き動かしたのも、
ツイッターやフェイスブックのインターネットをとおした「生の声」。
我々の用語でいえば、「現場の声」。

中国でも、インドでも、イスラム圏でも、
インターネットの「現場の声」がパワーを生む。

恐いのは、この現場の声が、
「衆愚世論」を形成してしまうこと。
それだけは避けなければならない。

さて日経新聞経済欄のコラム『大機小機』。
コラムニスト三角氏が、
「日中逆転下の企業提携」で問題提起。

2つの日中合弁が発表された。
第1は、「NEC―レノボ・グループ」提携。
これは日中のパソコン首位同士が「相互市場開放」を目指して組んだ事例。

「両社はまず日本に合弁会社を設立し、
レノボのパソコンを NECの国内生産拠点、流通網を使って拡販する」

「NECは逆にレノボが中国に持つ強大な顧客基盤を活用。
強みの企業向けIT(情報技術)システムで商機を探る」

ピーター・ドラッカー先生の主張「強みを活かせ」を、
両者は合弁によって、さらに強化しようとしている。

第2は、「キリンホールディングス―華潤創業」連合。
日中食品大手同士の提携が目指すのは、
「商品融合」と「文化融合」。

「こちらは中国に合弁会社を新設。
キリンが華潤の販売網を通じて自社の清涼飲料を拡販する一方、
華潤はキリンとの共同開発品も取り込んで商品ラインアップを抜本強化し、
巨大市場での地歩を固める」

三角氏は言う。
「2010年の国内総生産(GDP)で中国が日本を抜き、
世界2位の座についたことが確実になった。
国内では3位転落を嘆く声も聞かれるが、
それは当たらない」

「日中合わせたGDPは推定約11兆4千億ドル(約930兆円)、
およそ世界の2割を占める」

日本の経済にとって、
「『再成長』へのまたとないチャンス」

三角氏はあくまで前向きだ。

「ギブ・アンド・テークの発展的関係が築ける可能性を
2つの合弁は示した」

NECとキリンの決断。
私も、是としよう。

「ワンアジアへの融合」のコンセプトは、
我々にとって、我々の子孫にとって、
必須のテーマだと思うからだ。

さて、2月の商人舎標語。
「最初にすべきことから始めよ」
First thing first!

いかにもドラッカー先生らしい言葉遣い。

これが、ジャック・ウェルチの「選択と集中」に、
大きく示唆を与えた。

何を選択し、何に集中するか。
「最初にやるべきこと」
「最も重要なこと」

1年の初め、2月。
「最も重要なことから始めよ」
つまりは「最初にすべきこと」
これが仕事を実行する際の鉄則。

2月末決算の企業も、
3月末決算の企業も、
この2月には準備が済んでいなければならない。

だから2月こそ、
「最初にすべきことから始めよ」

そして重要なのは、
「最初にすべきテーマ」が明確になったら、
次にその手順と優先順位を明示し、
「一時(いっとき)に一つのことだけ実行せよ」
Do one thing at a time!

さてさて、先週日曜日1月23日の午後、
「第1回USPシェフズテーブル」の食事会に参加した。
有機野菜を食する会。

ところは「ラ・ターブル・ド・コンマ」。
東急田園都市線駒沢公園駅近くのフレンチレストラン。
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USPシェフズテーブルは、
農家の方々とシェフとのコラボレーション企画で、
美味しい食材を美味しくたべようというもの。

USP研究所の有志が行っている「USPファームプロジェクト」のひとつ。
USP研究所は、ご存知、當仲寛哲さんが代表を務めるコンサルタント集団だが、
ここが農業体験と新規就農者支援活動を展開中。

「ラ・ターブル・ド・コンマ」は、
小峰敏宏シェフの野菜メニューが評判の店。
小峰さんはフランスの名門『タイユヴァン』で経験を積んだ。
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使われた素材は、金子美登(よしのり)さんが提供してくれた有機野菜と鴨肉。
金子さんは、埼玉県小川町で循環型農場「霜里農場」を経営し、
同時に、特定非営利活動法人全国有機農業推進協議会理事長、
そして小川町議会議員を歴任する。

この世界を牽引するリーダーであり、超有名人。
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金子さんの有機野菜、
小峰さんの調理・料理、
そして中庭の見えるダイニングでの食事。
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総勢20名ほどが集まって、会話を楽しみながら、
本格的なフレンチをいただくという趣向。
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前菜は、人参のムースとコンソメジュレ。
にんじんの香りと甘みがたって、美味しい。
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カブとトリュフのエチュヴェ、葱のグラタン仕立てに続いて、
ほうれん草のパテとムール貝が供される。
ほうれん草のソースもムースも、青臭さやえぐみがない。
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白菜のプレゼ、ミモレットと黒トリュフを添えての料理の後は、
本日のメイン、青首鴨胸肉のロースト 大根のキャラメリゼ。
鴨は、金子さんの農場で害虫駆除に精を出していたカモ。
ありがたくいただく。
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最後に
牛房と木の実のタルトレット味噌風味、牛房のシャーベット添え。
満足。
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この会には経済評論家の勝間和代さんも参加していた。
USP研究所所長の當仲さんと3人で写真。
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食後は、USPファームの紹介。
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活動報告は當仲恵子さん。
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最後に小峰シェフと金子さんを囲んで参加者全員で記念撮影。
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最後の最後に、この日の主役の金子ご夫妻と写真。
20110125135921.jpg
私は金子さんの隣で、ずっと話していた。

アメリカのスーパーマーケットのオーガニック食品は、
それ自体、食べてみても味の違いはわかりにくい。

しかし、一定期間、食べ続けていると、
オーガニック以外の食材や農薬を使った食品が、
すぐにわかるようになる。

つまり、「否定的要素によって判明するオーガニック」である。

しかし金子さんの有機食品は、
香りが違うし、味が違う。

もちろん小峰シェフの力量が、
ここに大きく影響しているからだが。

私は、金子さんにそんなことを話し続けた。

有意義な出会いであり、有意義な時間だった。

心から感謝しつつ、
「最初にすべきこと」から始めたい。

<結城義晴>


4 件のコメント

  • 久しぶりに書き込みさせていただきます。
    最近、買ったCDオーディオセミナーについての質問です。

    第25巻「店全体を惣菜化せよ」の、林廣美先生との対談で、
    結城先生は、「惣菜の教科書(商業界)は、すぐれた本だが、中でも、初版が一番いいですね。」というような意味のことを、おっしゃっていましたが、
    初版は、改訂版にはない、どのような、すぐれた点があったのでしょうか?
    また、初版は、今から、手に入れることはできますか?

  • いつも楽しく読ませていただいています。
    食の問題は杉山先生も鋭く書いていらっしゃいます。
    地域の食文化は作られることありますよね。
    昔の話ですが、北海道で和牛を売り続けたスーパーがありました。
    北海道は牛を食する文化がなく、最初は廃棄し続けていました。
    辛抱づよく売り続けて定着していった経緯があります。
    伊豆のAスーパーもノンコモデティ商品を定着させるために3年かかりました。
    オーガニック商品も辛抱強い提案販売が必要と思います。

    差別化、差異化は時間のかかるものだと思いますが。

  • スーパーマーケット従業員様、
    ありがとうございます。
    初版は何と言ってもベーシックな技術が、
    余すところなく書き込まれています。

    それに惣菜センターの役割や経営も論述されています。
    版が改まるたびに、だんだんメニューや商品づくりに傾斜していきます。
    これもこれで大切なのですが、
    それは変わっていくものです。
    初版には変わらない技術が提示されていました。
    一番多く売れたのも初版だったと思います。

    まずこれから読んでもらいたいと考えるものですが、
    現在は在庫切れですし、増し刷りしていません。

    アマゾンなどで探せば、手に入るかもしれません。
    悪しからず。

  • 立地マンさま、いつも感謝。

    オーガニックに関して、
    今のところ、小売業では利益は出にくいと思います。
    仰るように時間がかかります。

    ホールフーズですら軌道に乗せるまで、
    17年も年月がかかりました。

    しかしやがて重要なカテゴリーになります。
    ここが重要なことです。

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