結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年12月28日(金曜日)

東証大納会1万円超・1ドル86円台とニトリ・デコホームへの注文

2012年も、あと4日。

東京株式市場の「大納会」
つまり最終売買日に、
日経平均株価の終値は1万0395円18銭。
前日比72円20銭高。

日経新聞は報じる。
「1999年以来となる大納会の年初来高値更新」

もっとも、バブル絶頂期の1989年の、
その大納会では最高値3万8915円87銭。

現在との差は、2万8520円69銭。

その日経平均株価は2012年1年間で22.9%高。
これはバブル景気など異常値ではないし、
日本の上場企業の実力を反映したものとして、
来年に向かって明るい兆候。

日経は、2012年の世界主要株価指数の騰落率を示す。
第1位は、タイ・総合36.3%
第2位は、ギリシャ・アテネ総合34.1%
第3位は、ドイツ・DAX29.8%
第4位は、インド・SENSEX25.0%
そして第5位に、日本・日経平均株価22.9%。

この後に、香港・ハンセン指数22.7%
シンガポール・ST指数20.3%
アイルランド・ISEQ全株16.4%
フランス・CAC40    16.3%
オーストラリア・オールオーディナリーズ13.4%
インドネシア・ジャカルタ総合12.0%
ロシア・RTS11.1%と続いて、
ここまでが二桁の伸び。

日本の上場企業の復活が、
2013年に希望を抱かせる。

一方、東京外国為替市場では、
円相場は1ドル86円台半ば。
2010年8月以来、約2年5カ月ぶりの円安・ドル高。

さらに1ユーロ114円台半ば。
こちらも1年5カ月ぶりの高水準。
ただし為替に関しては、
小売業は円安歓迎とばかりいかない。

開発輸入商品にとっては、
向かい風となる。

日本国が基本的に、
輸出によって潤っているとすれば、
円髙は国家の大敵だが、
自国の消費が経済を回す構造体質も、
必須の国力増強であるのだから、
為替レートは「適切・妥当」が、
一番いいと思う。

円高の恩恵を最大限に受けた企業のひとつが、
ニトリ・ホールディングス。
そのニトリ、「大都市圏に小型店」の日経新聞記事。
この小型店「デコホーム」の記事はとてもいい。

今、意識化しなければいけないセオリーを、
よく物語っているからだ。

記事は、
「家具販売最大手のニトリホールディングス」と始まる。
これは「業種」の表現。
日経新聞ほどの大新聞だけに、
「日本標準産業分類」を基準にしなければならない。
だから「家具販売最大手」となる。

ニトリのフォーマットは、
「ホーム・ファッション」と呼ばれるもの。

ニトリを家具屋と考える業種発想では、
説明がつかないことが多すぎる。

デコホームは売場面積1000㎡以下の小型店。
「首都圏など大都市圏のベッドタウン中心に、
商業施設などのテナントに入る」と記事。

設定商圏人口は5万~10万人。

商品構成は、インテリアに、
キッチン用品、バス用品主体。
べッドなどの大型家具は扱わず、
カーテンやカーペットなどを核にする。

出店エリアは「首都圏や近畿、中部のベッドタウン」。
「駅周辺や幹線道路沿いに立地を選定」。

「日常的な買い物に訪れる主婦層や
仕事帰りの会社員などを取り込み、
平日も集客できる店づくりを進める」

デコホームは11年2月以降、
首都圏に8店を開業。
しかし当初はうまくいかなかった。

新フォーマット開発のプロセスが面白い。
「当初はニトリでは扱わない
ペット用品や衣料品を
3割程度そろえるなどしたものの、
価格競争力が乏しく販売は低迷。
営業ベースの赤字が続いていた」

これは「ニトリ」とは異なるフォーマットを、
志向したことを示している。
私はアメリカ流のバラエティストアを、
つくろうとしたと思う。
しかしアメリカのコピーを志向する
フォーマット開発スタイルは、
もう完全に古い。

「12年に入り、一部店舗を改装。
値ごろ感のある生活雑貨主体に
品ぞろえの9割以上を
ニトリと同じに切り替えた
結果、
営業黒字に転換したため、
多店舗展開に乗り出すことにした」
ニトリのマルチ・フォーマット化を
鮮明に表す言い回し。

例えばイギリスのテスコは、
主に4つのフォーマットを展開している。
ハイパーマーケットのテスコ・エクストラ、
大型スーパーマーケットのテスコ・スーパーストア、
都市型中型スーパーマーケットのテスコ・メトロ、
そしてコンビニ型スーパーマーケットのテスコ・エクスプレス。

ここで大事なポイントは、
全てがテスコが提供しようとするライフスタイルで、
統一されていること。
商品ラインに共通性があるということ。

これがマルチ・フォーマット戦略の本質。

ここでニトリのデコホームのフォーマットの性格は、
テスコでいえば、1000㎡のテスコ・メトロと似ている。

ニトリの標準店は、
売り場面積3300~6600㎡。
15万人以上の商圏を想定し、
主要幹線道路沿いに展開。

この主力フォーマットが店舗数約270店。

似鳥昭雄社長のコメント。
「5年後にも出店の上限の400~450店に達する」
このニトリの既存店売上高は2012年2月期まで、
2期連続のマイナス。

そこで「デコホーム」の開発に拍車がかかる。
まさにニトリのマルチ・フォーマット戦略。

私にはネーミングとバナー戦略に注文がある。
テスコを真似れば、
「ニトリ・メトロ」。
アメリカのターゲットをモデルにすれば、
「シティ・ニトリ」。

ニトリの「家具販売業」での、
あの圧倒的な差異性と強みを、
小型店に活かすべきだ。

「おねだん以上、ニトリ♪」
のブランド力を、
最大限に活用しない手はないと思うが、
いかが?

〈結城義晴〉


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