結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年09月06日(木曜日)

北海道胆振地震の全道停電と「元気を出そう・元気を売ろう」

台風21号が四国に上陸して、
近畿を抜け、日本海を北上して、
昨日5日の午前9時に、
北海道西岸で温帯低気圧に変わった。

日本中がそう一安心した途端、
今日6日の未明、午前3時8分に、
震度7の大地震。
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ああ、日本地震列島。

気象庁は正式名称を発表した。
「平成30年北海道胆振東部地震」
胆振は「いぶり」と読む。

陸のプレートの地殻内で、
断層面がずれて起きた、と専門家。
震源は深さは約37キロ。
活断層の地震としては異例の深さ。

マグニチュードは6.7と推定されるが、
道内全域の約295万戸で停電が発生した。

北海道電力は1951年の創設である。
しかし全道内全域の停電は初めてだ。

2011年3月の東日本大震災時にも、
全域の停電は発生していない。

今回の大規模停電の理由は、
「電力の需給バランスの崩れ」にある。

苫東厚真発電所は震源の近くに位置する。
石炭を燃料とする火力発電所だ。

6日未明の段階では全号機が運転中だった。
地震勃発によって、緊急停止した。

同発電所は165万キロワットの発電能力。
道内最大の火力発電所だ。

地震発生の時点で、
北海道の使用電力の半分を供給していた。

この苫東厚真発電所の停止から、
連鎖的に道内の火力発電所が停止した。

電力は常に、需要と供給が、
同量になる必要がある。

そうしなければ「周波数」が安定せず、
最悪の場合には大規模な停電となる。

家庭や店舗、工場に送られる電気は常に、
プラスとマイナスが入れ替わっている。
その入れ替わりの回数が、
「周波数」である。

「周波数」が一定に保たれねば、
停電となってしまう。

そして「周波数」を一定にさせるためには、
発電量と使用量が一致しなければならぬ。

周波数が乱れると、
発電機や電気機器が壊れる危険性がある。

スーパーマーケットの売場の、
生鮮食品のジャストインタイムと同じだ。

供給量と需要量が一定でなければ、
ロスが発生する。

つまり発注量や製造量が多くて、
購買量が少なければ、
廃棄ロスとなる。
逆になれば機会ロスとなる。

電力の「周波数」も同じことだ。

だから電力会社は常に、
需要と供給が一致するように、
発電能力を調整・運用する。

北電は北海道全域の枠組みで、
調整と運用をしている。

今回は苫東厚真発電所の停止によって、
供給量が大きく減少した。
そこで北電は周波数を乱さないよう、
連鎖的に全発電所を停止させた。

世耕弘成経済産業大臣の発言。
「連鎖的に他の発電所も、
自動的に発電を止めた。
そうしないと、電力の周波数が乱れて、
電力供給がうまくできないことになる」

火力発電所を稼働させるためにも、
電力が必要だ。

今後は水力発電所を動かして、
火力発電所に送電して、
発電を再開させていく。

ただ、送電線なども被災している。
だから復旧に時間を要する。

では本州から送電して、
北海道を救えないのか。

両地域を結ぶ送電線の容量は、
約60万キロワットでしかない。
道内の電力需要をカバーできない。

したがって復旧には1週間ほどかかる。

商人舎流通SuperNews。
北海道胆振東部地震news|
停電・断水で休業相次ぐも小売業各社店頭販売実施 

イオン北海道とマックスバリュ北海道が、
停電の中でも店頭で、
食品や生活用品を販売している。

イトーヨーカ堂は全道11店で、
やはり店頭販売を開始した。
セブン-イレブンも水や常温商品を販売。
ダイイチは一部店舗で、
冷凍食品を解凍して1人5個まで無料提供。

イオンもセブン&アイも、
こういった災害のときには、
ある時には補完し合い、
ある時には協働し合って、
地域社会のために活動しなければならない。

アークスはほぼ全店で営業している。
コープさっぽろは全店停電だが、
一部店舗で店頭販売。

スーパーマーケットや生協は、
まさにライフラインだ。

ファミリーマートもローソンも、
そして地元のセイコーマートも、
水やグロサリーを販売。

コンビニは街の灯台だ。

ツルハとサツドラ、ホーマックは、
一部店舗で営業。

ドラッグストア、ホームセンターも、
復旧、復興には欠かせない業態だ。

それぞれに全力を挙げて、
店舗営業の再開を目指している。

それ以外の全道の小さな店も、
頑張ってほしいと思う。

「元気を出そう・元気を売ろう」

元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。

お客さまに笑顔が戻る。
街に活気が蘇える。
あなたの商品のおかげです。
あなたのサービスのたまものです。

たとえ売場が、
空になろうとも。
たとえ補給が、
途絶えようとも。

あなたは店を開けようよ。
あなたは売場に立ち続けようよ。
店で元気を出そう。
売場で元気を売ろう。

元気があなたの付加価値です。
元気があなたの利潤です。

苦しい時にも、
元気が買える。
どんな時でも、
元気が貰える。

たとえ地震に
襲われようとも。
たとえ台風に
見舞われようとも。

店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。

それがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。

店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。〈結城義晴〉

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最後に今日の朝日新聞、
「折々のことば」第1220回。

足並みそろうと
全滅しちゃうので。
(雑草学者・稲垣栄洋)

「開花の時期をずらしたり、
背丈を違えたり、
植物はつねに
多様性を拡げようとする」
(インタビュー《弱い雑草の「戦わない強さ」》より)
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環境のどんな異変にも対応できるよう、
「とりあえず、
たくさん用意しておきましょうね」
というのが稲垣さんの言う多様性。

編著者の鷲田清一さん。
「人はついバラつきを嫌い、
標準化を図るが、
生き延びる工夫はどうも
植物のほうが上らしい」
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震災のときの小売業にも、
植物のような多様性が必要だ。

それぞれの店が、
それぞれの力を発揮する。

そして元気を出そう、
元気を売ろう。

頑張れ。

〈結城義晴〉


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