結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年02月20日(土曜日)

大坂なおみの「全豪制覇」とウグル・サヒンの「ワクチン開発」

三寒四温、
春風踏脚。

このところ週末は暖かい。

考えてみると「三寒四温」は、
ウィークリー単位となるから、
その年、週末が暖かいサイクルならば、
その冬中、ウィークエンドは暖かい。

しかし今日はひどく風が強い。

横浜駅の西口側。
北幸にある商人舎オフィス。

一人で出社して、
単行本の執筆。

これもいい。

一人でコーヒーを淹れて、
一人で味わう。

そして物思いにふける。
パソコンに向かう。

静かな時間が流れていく。
仕事は私にとって、
至福の時間。

これほど幸せなことはない。
心から感謝。

しかしいったい私は、
何に対して感謝しているのか。

欧米人ならこんな時にこそ、
神に感謝するのだろう。

私はそんな神をもたない。
だから「仕事」に感謝する。

帰宅して、
全豪女子オープン決勝を、
テレビ観戦。
大坂なおみ対ジェニファー・ブレイディ。
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第1セットは伯仲。
それを精神力で乗り切って、
なおみがセットを奪うと、
第2セットは簡単に制覇。

結果としてみると、
なおみ、圧勝。

大坂なおみの父は、
ハイチ共和国出身のアメリカ人、
母は根室市生まれの日本人。

ダイバーシティを体現する。

だからその発言も注目されるし、
その注目に答えて、
素晴らしいコメントを発する。

2018年に全米女子オープン優勝、

19年、全豪女子オープン、
20年、全米女子オープン、
そして今年、全豪女子オープン。

全仏オープンとウィンブルドンは、
これからの目標だろう。

今回の優勝コメント。
「私のチームに感謝します。
あまりに長く一緒にいすぎました。
1カ月以上、一緒にいます。
隔離を一緒に乗り越えました。
私にとって家族のような存在です。
トレーニング、試合中ずっと一緒です。
試合前、緊張している私の話を聞いてくれます。
そのことに感謝しています」

「そして会場の皆さんに感謝します。
ここに見に来てくれてありがとうございます。
前のグランドスラムは無観客でした。
エネルギーをいただけて本当に力になりました。
そして心を開き、私たちを迎えてくれて
本当にありがとうございます。
グランドスラムを今、
戦えるのは本当に大きなこと。
機会をくれた皆さんに感謝します」

感謝を繰り返した。
それに私たちは感動した。

ところで、
COVID-19ワクチン。
現在、日本では医療従事者に、
米国ファイザー社製が接種されている。
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しかしそのワクチンを開発したのは、
ドイツのバイオ製薬ビオンテック社だ。

CEOはウグル・サヒン。
2月14日の日経新聞電子版で、
インタビューに答えている。
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「20年1月12日の土曜日、
独西部マインツのすばらしい朝市で
トルコパンと紅茶で朝食をとっていた」

サヒンCEOはトルコ人だ。
ドイツで出稼ぎしていた父を追って移住。

「医学誌『ランセット』で
中国・武漢の新型肺炎の記事を読み、
世界的なパンデミックになると直感した」

凄い直観力だ。

「すぐに妻で、Chief Medical Officer(CMO)の
オズレム・トゥレシに
ワクチンを生産しなければ、と相談した」

トゥレシCMOは、
ドイツ生まれのトルコ系移民2世。
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2人は大学の研究所で知り合って、
結婚後に会社を設立。
それがビオンテックである。

日本で新型コロナウイルス感染者が出たのは、
1月16日だ。

その4日前にサヒンは、
ワクチン開発を心に決めていた。

「月曜には主要な従業員や監査役会に
状況を説明し、説得した」

「我々はmRNAを使った
がん治療薬を開発していたが、
大きく方針転換した」

mRNAはウイルスの遺伝子の一部を、
人工合成してヒトに投与する新しい技術だ。
この技術を使って「mRNAワクチン」は、
新型コロナで初めて実用化された。

「まずチームを作った。
ワクチン候補を見つけるチーム、
免疫試験するチーム、
生産を担当するチーム、
そして治験のチームなどだ」

チームマネジメントである。

「これらは順番に進めていくのが普通だが、
我々は最初からすべてを並行して始動した。
無駄にできる時間などなかった。
週7日、24時間体制で作業し、
20以上の候補を見つけた」

そしてファイザーがパートナーになった。

「大西洋の両側で開発し、
候補を絞り込み、治験し、
20年11月9日に我々のワクチンは
非常に効果が高いという結果が得られた」

ファイザーのアルバート・ブーラCEOは、
ギリシャ出身の獣医である。
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「11カ月での実用化は、
科学の力を示すことができた物語だし、
協力の力を示せた物語でもある。
同じ目標を本気で目指せば
不可能はないということを示せた」

トルコ人とギリシャ人。
歴史上は血みどろの闘いを繰り返した。

そのトルコ系ドイツ人と、
ギリシャ系アメリカ人が、
コロナウイルスワクチンを開発した。

サヒンが直感しなければ、
トゥレシが賛同し後押ししなければ、
そしてブーラが協力しなければ、
コロナワクチンは、
こんなに早く開発されていなかった。
??????

世界はダイバーシティによって、
感動を与えられ、
命を救われている。

〈結城義晴〉


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