結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年10月27日(金曜日)

ダイエー「フードスタイル横浜西口店」開業とサミット岡野町店

ダイエー横浜西口店。
スクラップ&ビルドして、
再スタート。
IMG_56653
かつてのダイエーのドル箱店舗だ。

しかし市場環境が変わり、
施設も老朽化して、
2019年2月に営業を終了していた。

上階には居住スペースがあって、
1970年代には社宅となっていた。
私の友人のバイヤーたちはほどんど、
このダイエー横浜西口店の上階で、
新婚生活を送った。

思いの深い店舗だ。

私自身、この店から、
歩いて10分くらいのところで育った。
だから私の躯体の9割くらいは、
ダイエーの食品で出来上がっている。

今回のフォーマットは、
イオンフードスタイル。

つまりスーパーマーケットだ。

ダイエーnews|
イオンフードスタイル横浜西口店10/27オープン

早朝から行列ができた。IMG_56663
この店になじんだ顧客が、
待ちに待った開店である。

しかしあの「何でもそろうダイエー」は、
今回のオープンでは454坪1フロアの、
スーパーマーケットになっていた。IMG_56713

上階には今後、家電のエディオンと、
ドラッグストアのハック、
スポーツのビクトリア、
ワンプライスショップのキャンドゥ、
靴のABCマート、
そしてクリニックなどが入る。

開店と同時に顧客が入ってきた。IMG_56833

オーソドックスなコの字型レイアウトで、
顧客が多いからだろうが通路は狭く感じた。

それでも精肉売場では、
薩摩姫牛などを積極的に売り込んでいる。

各所で試食販売を展開しているが、
もっと大量に食べさせればいいのに、と思った。
正月番組の「芸能人格付け」のように、
ほんの一口だけ食べさせる。

オープン当日なのだから、
これでもかと食べさせて、
顧客を喜ばせるのがいい。
IMG_57093
店舗左翼コーナーに、
鮮魚の対面売場が設けられている。

金目鯛が1尾1000円で売られて、
人気を博している。
これも「いいものをどんどん安く」で、
いくら売れても品切れしない、くらい、
どんと売るのがいい。

オープン初日としては、
青果以外は陳列量が少なくて、
売場展開が臆病になっている印象だ。IMG_57363

冷凍食品部門は充実させて、
イオンの総合力が結集された印象だ。IMG_57223

グロサリーでは、
トップバリュベストプライスが目立った。

オープン後、しばらくは、
「いいものをどんどん安く」。
つまり「享楽円」販売でなくてはいけない。

顧客はその気になって、
店にやって来てくれている。

なのにコンペティティブブランドがズラリ。

ん~。

最後のデリとベーカリーは、
必死の売場づくり。IMG_57773

レジには完全セルフを導入して、
セミセルフとの組み合わせ。
ダイエーはずっとTEC製だから、
これも妥当な判断だろう。IMG_57803

レジ裏の花の売場は見事だった。IMG_57933

そしてこの店の特徴の一つが、
「CATCH&GO」IMG_58113

スマホアプリで会員になっておいて、
スキャンして入店すると、
商品を手に取って店舗を出るだけ。
自動的に決済ができる。

天井のカメラと棚のセンサーで、
顧客の行動を読み取る。
IMG_58013
Amazon Goは、
2018年1月にシアトルで始まったが、
そのシステムと同じ発想だ。

こちらはNTTデータの開発。

弁当やホットデリカ、飲料、菓子など、
約400品目の品揃え。
利用客は1日1000人が見込まれる。

この店の前の通行者は、
1日2万人と計算されている。

その通行客をターゲットにする。

ただしAmazon Goはもう、
結論が出ている。

店自体からの収益は得られない。
ジャストウォークアウトシステムのための、
デモンストレーション機能を担う。

スーパーマーケットとしては、
初めての試みだが、
このダイエーの450坪ほどの売場から、
15坪分をこのシステムに割く意味はあったか。

大桃昌史店長は勉強家で、
月刊商人舎の読者だ。
IMG_58133
会社の方針もあるだろうが、
地域の顧客を精一杯喜ばせてほしい。

想定しているよりも、
商圏は広いと思う。

頑張れ。

私はその足で、
サミットストア横浜岡野店へ。IMG_58423
徒歩10分ほど。

新店がオープンしたら、
競合店を覗いてみる。
流通ジャーナリズムの鉄則だ。

サミットnews|
10/21「サミットストア横浜岡野店」改装オープンIMG_58243
1週間前にリニューアルを施して、
ダイエーの開業を迎え撃った。

今や、サミット屈指の繁盛店である。

店舗入り口を広くし、
鮮魚部門の前のスペースを効果的にし、
惣菜部門を拡大し、
冷凍食品売場を拡充した。

実に効果的な改装である。

「おためし下さい」コーナーも、
原則を貫徹して続けられている。IMG_58273

店長に声を掛けたら、
丁寧に説明してくれた。IMG_58313

足立功一 店長。
IMG_58403
1カ月前にこの店に赴任した。
つまりダイエー対策の腕利き店長。

『サミットスタディ』を発刊したとき、
東中野店をモデルとして、
全面写真展開した。

足立さんはそのときの青果部門チーフで、
売場づくりを担当してくれた。

いい売場だった。

そのいい売場が、
この岡野町店でも実現されている。

「先週の土日はよく売れしました。
今日も午前中は前年比100%です」
意気軒高。

こちらはイオン天王町とダイエー横浜西口に、
挟み撃ち状態で攻められている。

それでも顧客を喜ばせようとの意志が現れている。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第2891回。
「すぐ気ぃついてたら、
よかったんですけど」
〈スーパーマーケットの店員(京都)〉

編著者の鷲田誠一さん。
「知人は、買った品物を袋に詰める台に
読みかけの本を忘れたのを
帰宅してから気づき、
慌てて取りに戻った」

「するとレジにいた女性店員に
こう声をかけられた」

「本はきちんと店の奥にしまわれていた」

「相手の不注意にあきれるのではなく、
なくさなくてよかったですねと
微笑むだけでもなく、
客の焦りや取りに戻る労まで
ねぎらう濃(こま)やかな心配りに、
知人はグッときたらしい」

スーパーマーケットは顧客から、
「グッときた」と思ってもらわねばいけない。

最後はそれが勝負を分ける。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • じつは、
    昨日、わたしも松戸のサミットさんに行ってました。
    製菓売り場が面白かったです。

    サラダは
    外からの仕入れして販売している平凡なスーパーが多いなか、
    サミットさんは、
    お客様から丸見えの厨房で、スタッフが楽しそうに野菜をザクザク加工し、
    安くて、おいしいサラダを作っておられました。
    サラダは、弁当総菜コーナーではなく、農産コーナーにあり、
    店内を買い回りする楽しさがあり新鮮でした。

    ロピアさんで大きいりんご飴を見て、、
    サミットさんでは、
    チョコバナナを見ました。
    不思議と、
    べたな加工品は、心にしみます。

  • 小売りラブ♪さま

    いつも、ありがとうございます。

    どの店にもある商品ではなくて、
    その店にしかない商品をつくる。

    珍しい商品ではなくても、
    その店の味やおいしさがあるのが、
    いいのですね。

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