[毎日更新宣言]の終了宣言と2025年商人舎4つの「大賞発表」

2025年大晦日。
このブログを始めてから、
19回目の大晦日。
結城義晴のblog[毎日更新宣言]。
終了を宣言します。
ありがとうございました。
今日は外出せず、
最後の身の回りの整理。
自室は書斎にしているが、
ずいぶん散らかっている。
片づけをしていると、
つい、本などをめくってしまう。
司馬遼太郎『世に棲む日日』
幕末の吉田松陰と高杉晋作の物語。
その206頁と207頁のところに、
昔の名刺が挟まっていた。
栞代わりに使っていたらしい。

商業界創立50周年のマークが入っていて、
「取締役編集担当」とある。
販売革新編集長を兼務していた。
1998年のことだ。
50周年記念事業として、
前年8月から当年3月まで連続的に、
5冊の単行本を発刊した。
『渥美俊一選集(壱・弐・参・四・五)』

すべての原稿を私自身が選んだ。
つまり渥美俊一の処女作から、
最新作までを集めて、読み通して、
そこから貴重な原稿を選択した。
初期のもの、中盤のものが、
とても良かった。
とくに「壱・繫盛への道」の原稿は、
読みながら涙が出た。
装丁は大森一郎さんにお願いした。
私のお気に入りのデザイナー。
50周年の年の販売革新巻頭言は、
「本当の正義」を書いた。
「本当の正義」
正しきによりて滅ぶる店あらば
滅びてもよし。
断じて滅びず。
21世紀という時代、
この言葉は、ますます重みを増し、
輝いてくるに違いない。
なぜならば、
滅び行く者たちが次々、
明らかになってくるからだ。
滅亡する機能、
役に立たなくなる仕事が、
露になってくるからだ。
正義は、
時代によって、
反転のごとき様相を呈する。
古い正義を振りかざす者たちは、
新保民八の言葉を声高に叫びつつ、
滅びてゆく。
新しい正義は、
古い正義と闘争を繰り広げつつ、
同じように新保民八の言葉を叫ぶに違いない。
正しきによりて滅ぶる店あらば
滅びてもよし。
断じて滅びず。
この言葉を信じる者も、
この言葉をまやかしに使う者も、
この言葉によって裁かれる。
滅びるか、滅びないか。その事実によって。
21世紀という時の流れが、
本当の正義を証明してくれる。
< 商業界創立50周年を迎える年の初めに>
それからもう28年が経過しようとしている。
多くの企業が滅びた。
ダイエーも西友もマイカルもユニーも。
イトーヨーカ堂も自主独立ではなくなった。
ニッショーストアも関西スーパーも。
株式会社商業界そのものも、
滅びてしまった。
商業界に関しては、
私たち商人舎がそれを引き継ぐ決意だ。
その月刊商人舎を2025年も12冊発刊した。
去年もそう思ったが、
今年はその去年よりも、
いい雑誌ができたと思う。
そのなかから、
「自分で選ぶ4つの「月刊商人舎大賞」
まず第1は「表紙大賞」
商人舎専属デザイナーの七海真理さん。
アメリカでデザインを学んで、
鋭い感覚をもつ。
デザインに使うイラストや写真は、
特集テーマに沿って編集部が全員で選ぶ。
その表紙大賞は、
月刊商人舎2025年6月号。

特集は、
’25ニッポン小売業番付
日本小売業ランキング107社と目標主義経営
横組みの雑誌の表紙を、
大胆にも縦組みにした。
金太郎が巨大な鯛と相撲を取っている。
いいなあ。
第2は[Message大賞]
ほぼ毎号、メッセージを書く。
食品商業編集長になったときからはじめて、
販売革新編集長のときにも続けた。
商業界の取締役になってからも、
専務や社長のときにも、書いていた。
商人舎でももちろん。
その今年のメッセージ大賞は、
[Message of October]
卵が先でしょ。
卵が先か、鶏が先か。
互いに循環する原因と結果。
その端緒を同定することの無益さ。
文字通りの解答は意味不明である。
XがY無しに生じ得ず、
YがX無しに生じ得ない場合、
最初に生じたのはどちらか。
形而上学的ジレンマ。
遺伝学のブルックフィールド教授。
鶏ゲノムを持つ最初の鶏は、
最初の鶏の卵から発生した。
だから卵が先だと考えた。
ダーウィンの進化論。
互いに異なる種の遺伝子の交配によって、
新種の遺伝子が生じるのだから、
極めて明快に卵が鶏より先にあった。
統計学は鶏の飼育数と卵の数とが、
予測可能かを調査した。
卵の情報からは鶏の数が予測できたが、
その反対はなかったから卵が先だと結論づけた。
イギリスの科学者チーム。
OC-17というたんぱく質を解析した。
成熟した鶏の雌が卵の殻をつくる。
だから母鶏がいてこそ卵ができる。
ユダヤ教とキリスト教。
創世記の神は鳥を創造し、
それらに産み殖やすよう命じた。
だから鶏が卵より先だ。
ニーチェは読み解いた。
何者も「最初」たりえない。
循環する時間において、
「最初」は存在しない。
DXの内製化もイノベーションも、
小さく始めて大きく育てる。
人の育成こそ最も重要な課題である。
ならば、卵が先でしょ。〈結城義晴〉

自分でも大いに気に入っている。
第3が[原稿大賞]
これはいつも悩む。
選ぶのが難しい。
けれどこれはインパクトが強かった。
2本の原稿をセットで原稿大賞とする。
商人舎8月号特集。
In-Store MD(Merchandising)へようこそ!
店内技術体系を論理的に革新せよ。
その[結城義晴+島田陽介]の原稿。
チェーンストア3.0の「店内MD技術」革新
〈結城義晴〉

ドコに、ナゼ、何を「置く」かの「13セオリー」
〈島田陽介〉

この2本の原稿はぜひ、是非、読み返してほしい。
そして最後に「特集大賞」
とくによかったと思う特集も多い。
商人舎3月特集「あうん」の営業企画
5月号現場の生産性
[アウトプット÷インプット]最適化の手段

9月号特集
’25アメリカの歩き方
US-Retail[必携]視察ガイドブック
それから10月号。
自前のRetail-DX
両輪の「技術と人」をインソーシングする道筋
そして12月号特集。
リージョナルチェーンの盲点
「商圏」と「商勢圏」を混同するな!!
どれもほかのメディアには絶対にない、
専門性と提案性のある特集でした。
けれど、やっぱり特集大賞は、
「In-Store MD」へようこそ!
店内技術体系を論理的に革新せよ。
チェーンストア3.0の時代に、
現場問題を解決するカギを握っている。
商人舎は技術特集を得意としている。
1年間の編集へのご協力とご愛読、
心から感謝します。
最後に再び、
[毎日更新宣言]の終了を宣言します。
〈結城義晴〉




















