「よくないニュースばかり」の中の商売の善意・仕事の善意

朝、目覚めると、
天井がグルグル回っている。
㈱商業界の社長をやっているころ、
メニエール症にかかった。
完治はしていないが、
それには慣れてしまった。
1年か2年に一度、
こんなことになる。
急遽、予定を取りやめて、
午前中、ゆっくりしていた。
さらに午後はうつらうつらしていた。
夕方からよく眠った。
結局は疲労なのかもしれない。
ニューヨークに8日間。
かなりのハードワークだった。
それにひどく寒かった。
帰国してからも、
休みなしで動き回った。
その疲れがたまっていたのだと思う。
久しぶりに、
ほぼ日刊イトイ新聞。
巻頭エッセイは「今日のダーリン」
糸井重里さんが毎日更新している。
「あらためて言うのも変だけれど、
いいニュースなんて
ちっとも見ない」
強く同感したい。
「スポーツがらみでちょっとはあるかな、
ちょっとある」
これにも同感だ。
ミラノコルティナ五輪。
日本選手団の活躍はいいニュース。
スノーボードの4つの金メダル。
フィギアスケートの「りくりゅう」

ヨハネス・ホスフロート・クレボ選手。
ノルウェーのクロスカントリーアスリート。
金メダル6つを獲得して、
このカテゴリー完全制覇。

こんないいニュースもある。
糸井さん。
「しかし、ずっと毎日、
悪いことばかりが伝えられている」
「国内国外、過去も現在も未来も、
ご承知の通りである」
「それでも、よくない話、暗い事実について、
もっと知らないといけないのではないかと思い、
あらゆるよくないニュースについて
勉強もすることになる」
「どうしょうもないことのほうが圧倒的に多い」
ドナルド・トランプの関税政策。
米国連邦最高裁判所が、
関税の大半を違憲とする判決を下した。
これはいいニュースだが、
トランプはそれを非難している。
判事たちは「不誠実」で、
「外国の利益」に便宜を図っている、と。
ひどすぎる。
苦しんでいるのはアメリカ国民と、
アメリカの小売業や製造業だ。
糸井。
「どうしょうもないなりに
考えを持っていようとしたら、
それについて考えている時間も労力も多くなる。
「真面目によくないニュースに付き合っていると、
人生の大半を、よくないニュースについて
考え続け憂いている人になってしまいそうだ」
「生まれてこの方、ずうっと憂いてきて、
すべてを憂いながら
一生を終わる人だっているだろう」
「実際、そういう生活をしている人も
いるような気がする」
長い目で世界を見よう――。
私はそう考えている。
糸井さん。
「どうして、こんな
悪いことばかりの世の中にいて、
それなりに今日や明日を
生きていられるのだろうか」
そして、思う。
「たぶんそれは、どれだけ世界中が
よくないニュースにどっぷり浸かっていても、
ほっとする出来事だとか、
よろこばしい人間の善意だとか、
かわいい人や生きものだとか、
なにか美しいことだとかが、
ちょっとずつ『飛び石』のようには
あるからではないかな」
同感だ。
「暗いニュースの水面から
ちょっと顔を見せている石を、
ぴょんぴょん飛んでいる時間が、
ぼくらには残っている」
「そして、もしかしたらその飛び石、
総面積は少なくても、
しぶとく次々に生まれ続けているのではないか、
と、そんなことを思っているのかもしれない」
飛び石のいいニュース。
飛び石のいい話。
「『人の善意などどこにもない』と、
本気でみんなが信じるようになったら、
ほんとに『人の善意』には
居場所がなくなるのだろう」
そうそう、商売で、
人の善意を示そう。
日々の自分の仕事で、
人の善意を証明しよう。
そして最後の一言。
「きっと大昔から、
よくないニュースが
ほとんどなんだろうな」
そのとおり。
大半のよくないニュースのなかに、
飛び石の善意が混じっている。
それが人間の生きる力になっている。
商売で善意を示したい。
仕事で善意を証明したい。
などと考えていたら、
天井のグルグルは治った。
善意のことを思っていると、
病気まで退散する。
ありがたい。
〈結城義晴〉






















