結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年02月23日(木曜日)

天皇誕生日の司馬遼太郎の「衝突の経験」

天皇誕生日の祝日。

10代のころは生意気盛りで、
天皇を軽視するところがあった。

今は、日本に天皇制は必要だと考えている。

ただしその必要性については、
国民一人ひとりの理解が、
もっと深まることが求められる。

だから天皇誕生日も祝日でいいと思う。
参賀に行くつもりはないが。

1960年生まれの今上天皇は8つ年下。
学年で言えば7つ下だ。

象徴天皇としてのお役目を、
よく理解していて、素晴らしい。ph2-r0502-birthday3
イギリス王室などと比べると、
その在り方は凛としていて、
日本の天皇にふさわしい。

その天皇誕生日。

ずっと家にいて、
自室でぼんやりと、
原稿など書いている。

パソコンに向かってはいるが、
つまりは構想などを練っている。

司馬遼太郎さんが、
『坂の上の雲』を書いていた時の話。

1970年7月、いつものように
みどり夫人と散歩に出かけた司馬さんは、
交通事故にあった。

みどりさんの『司馬さんは夢の中1』
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「むこうから走ってきた車に撥ねられて、
道路脇の大きな石に思いっきり頭をぶつけた」

眉間を切るほどの怪我で、
失血はあったが幸いに軽傷で済んだ。

むしろ後遺症はみどりさんのほうにあった。
見舞客や電話の応対で声が出なくなり、
事故の瞬間の衝撃が心に残って
震えることもあった。

司馬さんはみどりさんに言った。
「ひょっとして、頭、打ったのは、
俺ではなくて、お前だったんじゃあないのか」

みどりさんは本の中でまとめる。

「事故に遭ったとき、司馬さんは、
ずっと『空海』のことを考えながら
歩いていたのですって。
それにしては、私とあんなに喋り、
あんなに笑っていたのに、
いったい司馬さんの頭の仕組みは、
どうなっているのでしょうね」

司馬さんほど立派なものではないが、
ぼんやりと書いているというのは、
こんな状態のことだ。

その司馬さんは車だけでなく、
いろいろな人とぶつかっている。

1951年11月の新聞記者時代。
福田定一記者(司馬さんの本名)は、
取材記者の一人として、
京都府水産試験場にいた。

昭和天皇は京都巡幸の際、
この水産試験場を訪れた。

エッセー『権力の神聖装飾』より。
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「天皇は背をまげ、陳列ケースに
度のつよい近視のめがねを近づけて
説明にうなずいておられた」

この時代、取材記者もかなり接近できた。
司馬さんは昭和天皇の間近にいた。

「私は元来ボンヤリしている人間だから、
なにかほかのことでも考えて
天皇に注意をはらわなかったのかもしれない」

説明を聞き終わった昭和天皇が、
方向転換しようと、急に体の向きを変えた。

「そこに私が物体として立っていた。
当然、ぶちあたった」

突然のことによろけた司馬さん、
おもわず、言った。
「失礼!」

昭和天皇は左に90度の旋回運動中で、
よろけることなく、
表情の変化も見せなかった。

「私には拝謁の経験はないが、
衝突の経験はある」
(週刊朝日2015年6月26日号より)

面白い。

さて朝日新聞「折々のことば」
第2652回。

本当に面白い本は、
どのコーナーに置いてよいか
わからない本です。
〈元大型書店長・福嶋聡(あきら)〉

「リアルな書店の魅力は、
思いも寄らない本と出会えること」

「売上げデータに縛られ、
売れ筋ばかり並べれば
書店はみな同じ表情になる」

福嶋は憂う。

今や本はアマゾンで買うもの。
本屋の存在感はどんどん薄れている。

消費財の商品もネット販売が進む。
だから売れ筋ばかり並べるのではなく、
店独自の商品が欲しい。

それがポジショニングである。

「未知の発想はすぐには分類できぬもの。
大型書店は“欲望や格差の増幅器”ではなく
“社会の変革器”であるべきだ」
(朝日新聞デジタル2月14日、「本屋ないと本当に困る?」)

司馬遼太郎の書著は、
小説であって、歴史書であって、
啓蒙書であって、哲学書である。

書店もどこにおくのがいいのかわからない。

私がぼんやり書こうと思っているのも、
そんなものだ。

天皇誕生日にぼんやりと考えた。
夜まで書き終わらなかったけれど。

〈結城義晴〉

2023年02月22日(水曜日)

ウォルマート’22決算6113億ドル(79.5兆円)の「戦略の貫徹」

今日はオンライン会議の日。

朝から㈱True Dataの役員会。IMG_15233
ビッグデータのマーケティングを展開する。
一昨年の12月19日に、
条件が整って株式を公開することができた。

しかしあくまでも「ゼブラ企業」を目指す。

利益追求と社会貢献。
この一見、相反するかに見える理念を、
両立させようとする企業のことだ。

まさに両利きの経営。

ゼブラはシマウマのこと。
利益と貢献の両立が、
白黒模様のシマウマに喩えられた。

だからシマウマ企業は、
他社と協調しながら持続可能な成長を目指す。

一方、ユニコーンは一角獣で、
ユニコーン企業は、
得意分野でオンリーワンを目指す。

私も「パブリックな企業」になろうと、
役員会などを通じて言い続けている。

だからTrue Dataは、
利益を追い過ぎることはないし、
儲かり過ぎということはない。
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一取締役としては、ときに、
もう少し利益を出してほしいとさえ思う。

しかし人財に投資し、
システムに投資して、
社会へのお役立ちを優先する。

それでいいと思う。

ベンチャーに特有の驚くほどの急速成長は、
ゼブラ企業のTrue Dataには似合わない。

それでもお陰様で、
順調で堅実な成長ぶりだ。

シマウマも持続的な成長をする。

午後は万代知識商人大学の打ち合わせ。
第8期が3月からスタートする。

人事部マネジャーのお二人。
石川慎也さん(左)と海野正敏さん(右)。
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そして亀谷しづえ商人舎ゼネラルマネジャー。

2016年の3月に、
日本のスーパーマーケット産業初の、
企業内大学として始まった。
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2023年度は第8期。

今期になって、
海野さんが受講する。

さて注目のウォルマートの本決算が、
発表された。

1月末が締め。

私も㈱商人舎を2月1日に発足させた。
1月末締めにしたかったからだ。

ウォルマートnews|
’22通期営業収益6113億ドル・6.7%増/過去最高収益更新

2022年度の売上高は6059億ドル。
1ドル130円換算で78兆7645億円。
前年比6.7%増。

サムズクラブの会員費収入が、
54億ドル(7030億円)で8.3%増。

これらを合計して、
営業収益は6113億ドル、
79兆4677億円。

80兆円に届く。

しかも6.7%の増加である。
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営業利益は204億ドル、
2兆6556億円で21.3%減少。

純利益は1168億ドル、
1兆5184億円で14.6%減少。

ウォルマートには3つの部門がある。

①米国内ウォルマート部門の売上高は、
4206億ドルで6.9%増。

1月31日現在の国内店舗数は4716店。
前年は4739店だったから、
23店舗の減少。

それでも売上げは6.9%伸びている。
eコマースがけん引している。

営業利益は206億ドルで4.5%減少。

2年間では13.0%の伸びで、
これは547億ドルの成長。
7兆円を超える伸びを見せた。

ウォルマートUSは2年間で、
イオンやセブン&アイの、
1年間の総売上高に近い伸びを示した。

しかも店数は減り続けている。

②サムズクラブの売上高は、
843億ドルで14.7%増。
こちらは600店規模で店数は変わらず。

営業利益は19億6400万ドルで13.1%減少。

しかし既存店売上高は10.5%増。
会員費収入は8.6%増加。

③ウォルマート国際部門の売上高は、
1010億ドルで0.02%増のほぼ横ばい。
営業利益は29億6500万ドルで21.1%減。

ただし為替の影響を除くと、
売上高は9.0%増、調整済み営業利益は8.9%増。

毎週約2億4000万人の顧客。
20か国に1万500店舗。
世界中で約210万人の従業員。

プレジデント兼CEOのダグ・マクミロンは凄腕だ。
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「私たちの勢いにワクワクしています。
ウォルマートチームは
今年を締めくくる強力な四半期を達成しました。
昨年直面した在庫とコストの問題に対処するため、
迅速かつ積極的に行動したことで、
過去2四半期は好結果となりました。
第3四半期についた勢いはさらに増し、
今も続いています」

ウォルマートは、
COVID-19パンデミックの間に、
凄い決断をし、
大きな変身を遂げた。

『コロナは時間を早める』の中にも書いた。
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そしてそれを’22決算の数字で裏付けた。

今、最も重要なことを貫徹する。
それが真の戦略である。

そして戦略は数字に表れてこなければ、
戦略たり得ないものなのだ。

〈結城義晴〉

2023年02月21日(火曜日)

ヤオコーの新しい「AI自動発注システム」と「自働発注」考

朝6時、アクアラインを抜けると、
朝焼け。

京葉工業地帯の煙突が見える。

今日は風が強い。
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日は射しているものの酷く冷たい風。
そんな凄く寒いなかでワンラウンド。

時差ぼけを治すにはこれにかぎる。

商人舎の社内ラウンド。
山本恭広編集長と、
亀谷しづえゼネラルマネジャー。

昼すぎに終わって、
再びアクアラインへ。

予想通り酷い内容。
しかしこれでぐっすり眠れば、
時差ぼけは完全に治癒する。

海ほたる。
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左手にはかすかに富士の姿。
右手には東京の街。
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2時過ぎに横浜商人舎オフィスへ。

そして仕事。

そこでご報告。
商人舎米国研修。
ベーシックコースin Las Vegas。
5月9日~15日。
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お陰様で、
満員御礼。
受付を終了します。

次は10月のスペシャルコース。
ニューヨークを中心に、
もう一つ、重要都市を訪れます。
現在、検討中。

ポストコロナ時代の米国小売業。
どうなっていくか。

それをお見せします。

ご期待ください。

さて商人舎流通スーパーニュース。
ライターの梁川憲太郎さんが頑張ってくれて、
絶好調です。

ライターの磯村ゆきさん、
それからもちろん山本編集長と、
編集スタッフの鈴木綾子さん。
さらに亀谷ゼネラルマネジャー。

私以外の商人舎の執筆陣が、
総がかりで記事を書いています。

ヤオコーnews|
需要予測に基づく自動発注システムを全店で稼働

昨2022年11月から全182店舗で、
新しい自動発注システムを稼働させている。
特長はAIによる需要予測。230221_yaoko

約30種類のコーザルデータを分析する。
「Causal」は形容詞で、
「原因となる、因果関係の」の意味。

つまり店頭の売上げに影響を与え、
その原因となる要因、要件のこと。

特売やプロモーション、時事的な変化、
天候、催事と歳時、競争環境など、
モノが売れていくときには、
さまざまな要素が存在する。

商品そのものと価格だけではない。

その要因を「コーザルデータ」という。

ヤオコーのシステムは、
これらのうち重要な30種類のコーザルデータを、
AIにディープラーニングさせて、
売上げ需要を予測する。

そして「自動発注」する。

月刊商人舎では、
2018年12月号で特集を組んだ。
「自働発注」考
AIは「自動発注」を改革するか? 201812_coverpage-448x631

この号の[Cover Message]
人手不足は深刻だ。だから現場の作業を削減せよ。オペレーションを改革せよ。その結果、「自動発注システム」が導入される。その仕組みには、最新の人工知能(AI)が活用されるはずだ! いや、AIは優秀な人間のように「考える」ことができるから、これまでよりも良い発注制度ができ上がるに違いない! しかし、ちょっと待て。そのこと自体を疑ってかからねばならない。AIとはそもそも何なのか。AIにはどんな種類があるのか。どんな機能があるのか。AIを小売業の発注業務に取り入れることができるのか。理論的に、現実的に。実際に多くの企業で「自動発注」は採用されている。そして成功する場合もあれば、失敗する場合もある。それはまた、なぜなのか。――本誌の結論を明かそう。人間とコンピュータ、あるいはAIとの協働、すなわち「自働」こそ、これから求められるシステムの本質である――。

ヤオコーでは、システム導入後の効果として、
発注業務に要していた時間を、
約3時間から約25分へ約85%短縮できた。

在庫を約15%削減できた。

従来のヤオコーの自動発注システムは、
イレギュラーな需要変動には対応していなかった。
棚割システムとの連携もなかった。

そこで熟練担当者が一定の時間をかけて、
発注業務を行っていた。

ヤオコーの新システムは、
自動化率を従来の約65%から約98%に向上させた。

棚割システムとの連係によって、
特売や商品入替を考慮した発注量が決定され、
在庫と納品量の削減が実現した。

店舗での品出し作業も軽減された。

それでも「自動」と「自働」の比率や関係性は、
ヤオコー独自のものだろう。

ヤオコーの社員やパートタイマーだから、
ヤオコーの「自動発注」は最適化される。
そして作業時間の短縮ができる。

たとえばトレーダー・ジョーならば、
主な店内作業は3種類しかないから、
その自動発注システムは、
シンプルでも効果が絶大なものとなる。
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ヤオコーはヤオコーのシステムを、
つくったのだ。

そして人が関与する余地は、
ゼロにはならない。
それが商売というものだ。
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より良い効率を求めるときには、
必ず「自働」となる。

そしてどれだけの「自働化率」となるか。

それがその企業の、
そのフォーマットの特長となる。

〈結城義晴〉

2023年02月20日(月曜日)

幾時代かがありまして/店にともし火つけました

Everybody! Good Monday!
[2023vol⑧]

2023年第8週。
2月第4週。

一月、往ぬる。
二月、逃げる。

2月は速い、短い。

そして今週金曜日の2月24日。
ロシアのウクライナ侵攻から1年。
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現地の人たちには、
長い1年だったに違いない。

ブチャの虐殺は忘れてはいけない。
マリウポリ製鉄所の死闘も,
ヘルソンの奪回も。

2月12日の日経新聞。
「詩探しの旅」
詩人の四元康祐さんが書く。

「ゆがんだ想像力」

「昨年2月、ロシアが
ウクライナに侵攻したとき、
まっさきに思ったのは
ロシアの詩人たちだった」

その一人が、
マリア・ステパノヴァさん。
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「ある詩祭で一度会っただけだが、
威風堂々という言葉が似合いそうな
知性と教養の持ち主だった」

「あのマリアなら、
抗議の声を上げずにはいられないだろう。
誰よりもシャープでパワフルな言葉で」

「だがその代償は生やさしいものではあるまい」

4月、四元さんは恐る恐る彼女の名前を
ネットで検索した。

すると有名な映画俳優の動画が飛びこんできた。

見出しは、
「ジェレミー・アイアンズ、
マリア・ステパノヴァの
『プーチンの想像の産物としての戦争』
を朗読する」

「いま抵抗すべきは、
ひとりの男の
歪(ゆが)んだ想像力の支配に対してだ。
それは私たちを内側から捕らえ、
私たちの夢や日常や未来を、
力づくで支配しようとする。
私たちはそれから自由にならねばならない。
この瞬間もウクライナでは
命懸けの戦いが続いている。
理性の独立を守る戦いが、
すべての家庭とすべての人の頭のなかで
繰り広げられているのだ。
そこでも、ここでも、
私たちは抵抗しなければならない」

「老俳優の口から聴こえてきたのは、
紛れもない、マリアの言葉だった」

ロシアの詩人も闘っている。
ひとりの男の歪んだ想像力の支配に対して。

私たちも共闘しなければならない。
たったひとりの男の歪んだ想像力と。

やっかいなのは世界を見渡すと、
そんな男が一人ではないことだ。

民主主義国のほうが少ないという、
2023年の世界の現状と、
私たちは闘わねばならない。

ヨーロッパが生み出したデモクラシーと、
それ以外の地域の価値観とを、
それこそトレードオンしながら。

幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました(中原中也)

それでもともし火つけました
店にともし火つけました

二十四節気の雨水は、
農耕を始める季節だ。

今、ウクライナとロシアに、
「光の春」が訪れるときでもある。
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今週は木曜日が天皇誕生日の祝日である。
そして来週金曜日は桃の節句。

店も売場も春に向かって、
華やいでくる。

その店と売場に、
明るい光を灯したい。

ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
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それが私たちの仕事だ。
それが私たちの役目である。

では、みなさん、今週も、
売場に希望の灯を灯そう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年02月19日(日曜日)

荒井由実の「ひこうき雲」と「不当な差別は許されない?」

二十四節気の雨水。

雨水につきものの春一番が吹いた、
と思ったが、その発表は、なし。

帰国してから1週間が過ぎて、
やっと時差ぼけが治った気がする。

しかしそれを完全に治すには、
あれが必要です。

ゴルフラウンド。

以前、帰国の成田空港まで、
息子に迎えに来てもらって、
そのまま一緒にゴルフ場に行って、
ワンラウンドしたことがある。

午前の到着だった時のこと。

そうしたら、すぐに治った。
ゴルフの方は散々だったけれど。

日経新聞「私の履歴書」
今月は作曲家の村井邦彦さん。

暁星学園の小・中・高校から、
慶應義塾大学法学部へ。
いわばボンボン。

慶応のビッグバンドのころから、
ピアニストとして活躍して、
音楽業界に入った。

作曲家だけでなく、
プロデューサー業もやって、
順風満帆。

どこかで挫折が訪れないのかと、
半分期待しながら(?)、毎日読んでいる。
人間には挫折が必須だ。

今日のタイトルは、
「ひこうき雲」

そう荒井由実のデビューアルバムの話題。

私も大学生のころ、
リアルタイムでこのアルバムを聴いていた。

学年は荒井のほうが一つ下だけれど、
キラキラ輝いていた。

1972年から1年がかりで制作。
73年11月発売。

きっかけは村井と細野晴臣との出会い。
あのはっぴいえんどとYMOの細野。

細野のギター演奏を数小節聴いて、
村井は魂が揺さぶられ、
その才能にほれ込んでしまった。

そこで「ひこうき雲」の制作のとき、
真っ先に細野の起用を決めた。

細野は松任谷正隆と鈴木茂、
そして林立夫を連れてスタジオに現れた。

のちのティン・パン・アレーのメンバーだ。

松任谷はユーミンの旦那。
鈴木ははっぴいえんどのリードギタリスト、
林は凄いドラマー。

ひこうき雲は、
作詞作曲・歌唱の荒井由実もいいけれど、
バックバンドが秀逸だった。

私はそれが大好きだった。

録音は「ヘッドアレンジ」で進められた。

譜面は使わない。
口頭で曲のイメージを伝えながら、
全員でつくりあげていく。

荒井由実のこのアルバムには、
すべてが詰まっている。
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ひこうき雲/曇り空/紙ヒコーキ
空と海の輝きに向けて/きっと言える
雨の街を/返事はいらない/そのまま

いいなあ。

1976年に、
松任谷由実と名前を変えたが、
この「ひこうき雲」と、
次の「MISSLIM」が、
圧倒的にいい。

MISSLIMには、
山下達郎が参加している。
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生まれた街で/瞳を閉じて
やさしさに包まれたなら
海を見ていた午後/12月の雨

いいなあ。

村井邦彦や細野晴臣たちが、
「ユーミン」を創った。

日経新聞「風見鶏」
「正当な差別」などない

編集委員の大石格さんが書く。

「首相秘書官の発言をきっかけに、
性的少数者(LGBT)への理解を促す
法律づくりの検討を
岸田文雄首相が自民党に指示した」

差別の問題は難しい。

「ある分野の被害者が、
別の分野では加害者ということもある」

米国最高裁のギンズバーグ元判事。
3年前に惜しまれて亡くなった。

弁護士時代にからめ手から攻めた。
「目標は女性の権利擁護なのだが、
男性の権利を守れ、という訴訟を起こした」

「当時、親などの介護にかかる費用を補う
所得控除は独身男性には認められていなかった。
結婚して妻に介護させればよい、
と思われていたからだ」

男性に不利な制度はおかしいとの訴えは
あっさりと認められた。

最高裁は男女で扱いが異なる制度は
憲法違反と判決に書いた。

「ギンズバーグ氏は以降、この判決を盾にして
女性の扱いが不利な事例で次々に勝訴していく。
戦略がまんまと当たった」

日本のLGBT法案の焦点は、
「差別禁止」の扱いにある。

「理解増進は許容するものの、
差別禁止規定の盛り込みには反対」
自民党にある主張だ。

21年の与野党連携の議員立法。
基本理念の表現は、
「性的指向や性自認を理由とする差別は
許されない」

しかし保守層が猛反発し、
法案は国会提出に至らなかった。

今、「差別は許されない」を、
「不当な差別は許されない」に修正する案が
取り沙汰されている。

大石編集委員。
「“正当な差別“ならば許される
とでもいうのだろうか」

井上ひさしの、
「差別語のための私家版憲法十一箇条」
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第一条
人は生まれながらにして不平等である。

第二条
本人に責任のないことをからかったり、
笑ったりするのは無意味な上に、
卑劣な行為でもある。

第四条
自分と違うという理由だけで、
人を笑い者にする権利は誰にもない。

第十条
人間でありながら
人間扱いされることのない
制度的差別はまだまだあるはず。
これからはそれらについて
じっくり考えることにしよう――。

「不当な差別は許されない」が、
「正当な差別は許す」では、
差別はなくならない。

松任谷由実が今、
歌にしてくれそうなテーマだ。

〈結城義晴〉

2023年02月18日(土曜日)

「美しい商人 醜い商人」と「自分を大きく見せようとする者」

商人は自分を、
大きく見せようとしてはいけない。

自分を大きく見せようとする者は、
真の商人にはなれない。

断じて。

この1カ月ばかり、
そのことを考えてきた。

商人は店と商品を、
顧客によりよく見せる者である。

自分の店の店員や部下を、
より良く育てようとする者である。

自分を大きく見せる者ではない。

スーパーマーケットトレードショーで、
岩崎高治さんに会った。
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彼は自分を大きく見せようとは、
絶対にしない。

私は岩崎さんには、
産業のリーダーになってほしいと考えるから、
その分、日本国民や政治、行政の人たちにも、
他産業の人たちにも、
岩崎さんの人間としての大きさを伝える。

しかしご本人はそれを絶対にしない。

イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんも、
イオン名誉会長相談役の岡田卓也さんも、
ことさらに自分を大きく見せようとはしない。

ファーストリテイリングの柳井正さんも、
イオンの岡田元也さんも、
万代の加藤徹さんも、
イズミの山西泰明さんも、
控え目すぎるくらいだと思う。

平和堂の故夏原平和さんもそうだった。

これはその下の年代の経営者にも共通する。
万代の阿部秀行さんにも、
マツモトの松本隆文さんにも、
さらに下のヤオコーの川野澄人さんにも、
ロピアの高木勇輔さんにも、
私が信頼する経営者に共通することだ。

たとえてみれば、
ドナルド・トランプの正反対の人格像だ。

故上野光平さんの著書。
『美しい商人 醜い商人』
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「前者は、美しく、きれいで、りっぱな、
みごとな商人ということになり、
後者は、醜く、邪悪で、意地が悪く、
気むずかしい商人ということになる」

「どちらの商人像も、いやというほど、
身に覚えのある商人の姿ではないか」

同感。

「だが、私がここで言いたいのは、
商人がすべて二種類に分かれる、
などという道徳学者のような主張ではない」

これにも同感だ。

「私たちは人間であるから、
神でもなければ悪魔でもない。
より正確に言えば、
神と悪魔が同居しているのが
私たち人間である。

商人も人間であるから、
美しさと醜さが同居しているのである」

「そして心の中で、
生まれてから死ぬまでの一生の間、
美しさと醜さが戦い続けているのである。

美しさと醜さが別居しているのではない。
内に醜さがあればこそ、
何とかそれと戦って少しでも
美しくありたいと願うのであり、
醜さを永遠に自分の中から
追放しきってしまうことは、
誰にもできない」

「いや醜さを追放できないどころか、
自分の醜さに常に敗れる可能性が
少なくないからこそ、
負けまいとする努力が尊いのである」
上野光平

自分の醜さに負けまいとする努力。
それを怠ってはならない。

私はこれが真の教養であると思う。
西友を実質的に創業した上野さんは、
まさにそんな人だった。
控え目で真摯な人だった。

一方、故倉本長治著。
「店は客のためにある」より。
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「正しさについて」

「世の中のために、
君の店は存在した方がよいのか、
無くても構わぬかを考えよう。
無くても困らぬような店なら、
存在の意義がないのである――。

富はどこまでも、
正直と勤勉の所産でなければならぬことは、
「法と非法とを混用して冨を求むる者は、
地獄に行くより仕方がない」と、
パーリ語経典『増支部』に出ている。
商人は、隠したところがあっては、
あらわれた部分にいかに正直であっても
いけない――」

隠れたところで邪悪な者には、
富はついてこない。

「私は商人を信頼する。
商人を愛する。
そのうちのほんの僅かな人が、
災難や道徳的欠陥のために失敗するのである」

「商売でいちばん難しいことは、
その店の中のどこにも
嘘がないようにすることである――」

これこそが真理である。

自分をことさらに大きく見せようとすると、
そこに嘘が滑り込んでくる。

「商売は、どこまでも
大衆を相手とする公共的な存在であり、
人間の美しい相互扶助の営みである以上、
どこまでも愛と真実を
貫かなければならない」

今日善くならないで、
どうして明日、
善くなることが出来ようか。

そう、今日を精一杯、
善くなるよう生きる。

商才は大事だけれど、
嘘は絶対にいけない。

〈結城義晴〉

2023年02月17日(金曜日)

スーパーマーケットトレードショー2023交遊録と産業の復活

スーパーマーケットトレードショー2023。

この水曜日から金曜日まで、
3日間の開催だったが、
帰国後の忙しさで、
とうとう最終日の訪問となってしまった。

場所は幕張メッセ。

横浜から東横線に乗って、
大井町線に乗り換え、
さらに臨海線で新木場へ。

JRのホームに上がると、
東京スカイツリーが見えた。IMG_13583

京葉線から見る東京湾の海は光っている。IMG_13603

海浜幕張駅を降りると、
この人の波。
IMG_13633

歩いて10分ほど。
IMG_14263

幕張メッセ。
IMG_14253

入口のところでばったり会った。
㈱よこまちのみなさん。
社長の横町俊明さん(中)、
取締役店舗運営部部長の横町正俊さん(右)。
取締役商品部部長の松森広明さん(左)。
揃ってコーネル大学ジャパンの修了生。IMG_25013

私は国際会議場のプレスルームへ。IMG_14223

ここで登録して、荷物とコートを預ける。
そしてトレードショーの会場へ。IMG_14213

活況を呈している。
IMG_14193

初日の開会式後、
横山清実行委員長の基調講演があった。
全国スーパーマーケット協会会長、
㈱アークス社長。

その講演のなかで、
商人舎の「両利きトレードオン」を、
高く評価してくれたそうだ。
結城イズムも語ってくださったかもしれない。

今年の1月号特集。
202301_coverpage-448x634

実に嬉しいことだ。

そして今回のトレードショーのテーマの一つは、
電気代の高騰への対策だ。IMG_14163

さまざまな研究の成果が発表された。
有益な提案がいくつもあった。

チェックスタンドの大問題も、
浮き彫りになった。

もちろん商品に関しては、
出展ブースの各社の開発が、
光り輝くようだった。

コロナ禍3年間の停滞と、
その後の爆発的なニーズの高まり。

そのエネルギーが、
このトレードショーに現れている。

私はそう感じた。
実に面白くて、
エキサイティングな展示会であった。

3日目だけだが、
私の交遊録。

まず岩崎高治さん。
㈱ライフコーポレーション社長。IMG_25623
コンコースを歩いていて、
ばったり出会った。

岩崎さんは速足で、
次々にブースを見て歩く。

4時間ほども会場にいただろうか。
失礼な言い方かもしれないが熱心な勉強家だ。

そして森下留寿さん。
ライフコーポレーション取締役専務執行役員。IMG_25263
岩崎さんとは別行動だが、
森下さんの視点で見ているようだった。

本部のVIPコーナーの前で、
㈱ロヂャース社長の太田順康さんと、
㈱ラルズ社長の猫宮一久さん。
そして㈱アークスの河関俊明さん。
商品調達グループゼネラルマネジャー兼東京駐在。IMG_25133
太田さんも猫宮さんも、
コーネル大学ジャパン伝説の一期生。

さらに㈱ベルク店舗企画部のお二人。
次長の湯浅貴之さんと、
建築課長の川村智紀さん。IMG_25373
月刊商人舎やこのブログの愛読者。
ありがたい。
故原島功さんの話などした。

高倉照和さんは、
スーパーサンシ㈱常務取締役、
NetMarket事業本部長。IMG_25533

そして最大ブースの寺岡精工に行くと、
寺岡和治会長がバルクシステムを説明してくれた。
IMG_25653
この仕組みはフランスでイノベーション賞を受賞した。

そこへ岩崎さんがやって来た。IMG_25663
熱心にチェックアウトシステムの解説を聴いていた。

このあと高木勇輔㈱ロピア社長が登場。
奥様を連れていた。

寺岡会長とツーショット。IMG_25673

フクシマガリレイ㈱のブース。
社長の福島豪さんと、
㈱Sydecas社長の寄玉昌宏さん。
IMG_25463
寄玉さんの商品は応用範囲が広くて、
もっと実用化が進めば面白い。

トモシアホールディングス㈱のブース。
竹内信夫さんは専務取締役営業本部本部長(中)、
デリカサラダボーイ㈱社長。
竹内紘之さんは商品本部本部長(右)。IMG_25093
トモシアホールディングスは、
旭食品、カナカン、丸大堀内の経営統合企業。

パナソニックのブース。 IMG_14133

右近貞治さん。
パナソニック産機システムズ㈱社長。IMG_25513
電気代削減に論理的に取り組む。

そしてブルーチップ㈱のブース。
宮本洋一社長と鈴木國朗さん。
鈴木さんは㈱アイダスグループ代表。
山本恭広商人舎編集長。
IMG_25313
ブルーチップは姫はまぐりが大人気だ。

さらにこのブースに、
サンシャインチェーン本部のお二人。
川崎博道会長(右)と、
桒名俊二社長(中)。IMG_25733

いつものプログレスデザインのブース。
社長の西川隆さんと鈴木國朗さん。
IMG_25553

山本編集長が加わって、
揃い踏み。
IMG_25593

最後に㈱フルックスの東川善彦さん。
デリカ営業部部長。IMG_25853

高木さんと訪れた三菱食品のブース。IMG_25753

それから綾子夫人が気に入ったドラえもん。IMG_25813

今回のトレードショーの金賞はこれ。IMG_25823
スーパーマーケットトレードショー2023。
スーパーマーケット産業が、
完全復活を果たしたと感じた。

それが消費産業の復活を呼び起こし、
内需拡大へ向けてのトリガーとなる。

素晴らしい。

〈結城義晴〉

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