結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年05月13日(火曜日)

「成城石井売却」ニュースと「外で待っているもの」

日経新聞の一面に、
「成城石井買収」の見出し記事。

実際は「成城石井売却」の話。

いい加減にしてほしいところだ。

原昭彦社長をはじめとして、
幹部や社員・従業員3429名は、
どんな思いをしているのだろうか。

現在は、丸の内キャピタルが所有している。
三菱商事系投資ファンド。

2011年までは、
現レインズインターナショナルの傘下にあった。

その丸の内キャピタルが、
400億円超で買収し、
今秋にも500億円ほどで売却する。

昨日の5月12日締切で、
買い手を探していたが、
ローソンや三越伊勢丹ホールディングス、
そしてイオンなどが意向を示した。

成城石井は現在、
首都圏・中部・関西に店舗網を広げ、
直営店95店、フランチャイズ店15店、
合計三桁の110店を展開。
ちょっと古いデータだが、
2012年12月期売上高518億円、
そして営業利益31億円。

同社には、
「成城石井 BASIC」
という経営理念がある。
その真っ先に来る「信条」。
いわゆるクレド。

成城石井は
日本の豊かな食文化を育てる会社です
仕事を通して人を育てる会社です
従業員と家族を大切にする会社です
明るく優しい社会の実現を願う会社です
お取引先様との共存共栄を実行する会社です
株主、投資家の期待に応える会社です
小売業、流通業全体の発展に協力する会社です

素晴らしい。

しかしどうも株主の期待に応えるばかりで、
従業員と家族に
心配をかける会社になっている感じだ。

その大株主さん、
成城石井 BASICを読み直してください。

お願いします。

さて、昨日から、
商人舎MagazineのDailyNewsを、
全部自分で書いている。

昨日はワールドニュースで、
ウォルマートとアマゾンのEコマース競争。

今日は、ジャパンニュースで、
ヤオコー2013年度決算分析。

どちらも次にニュースが投稿されるまで、
公開されているが、
どうしても辛口になってくる。
あるいは期待しているだけに注文が多くなる。

ご容赦願いたい。

毎日更新宣言ブログは結城義晴の行動日誌、
Daily Newsは結城義晴の専門分析。

さらに月刊『商人舎』やWeekly商人舎は、
徹底的な特集や特別企画。
こちらは有料。

商人舎のアメリカ研修などに参加する人たちは、
月刊『商人舎』や商人舎magazineを読んでおくと、
学習効果は絶大になるし、
まあ、結城義晴の生き方を知ることができる。

決して、器用な生き方ではないけれど。

さて日経の企業欄『ニュース一言』で、
味の素の伊藤雅俊社長が一言。
「消費増税前の駆け込み消費の反動減は
最小限に食い止められた」。

うれしい一言だ。

「小売店と協力し、早くから
売り場作りなどを展開したおかげだ」。

製販の協力態勢が、功を奏した。

「米や生鮮食材と組み合わせたメニュー提案など、
家庭内在庫の消費喚起が功を奏した」
つまりはクロス・マーチャンダイジング。

ていねいに丁寧に、
くりかえし繰り返し、
場所を変えて、
プレゼンを変えて、
訴え続ける。

時期が来ると、
それが爆発する。

伊藤さんの予測。
「6月には前年並みに回復するだろう」。

その6月中旬には、
昨日発表された攻撃的メンバーで、
ブラジルFIFAワールドカップ。

日本の梅雨もなんのその、
売上げ好調といきたいところだ。

最後に『ほぼ日』の糸井重里さん
アイデアの話を続ける。

行き詰まっているプロジェクト。
みんなが一所懸命に考えている。
そして迷いつつ結論を出す。

「それを出すしか仕方ないので出してみる」

しかしそんな場合は、たいてい、
「その仕事の範囲だけで
『答え』を探していることが多い」と糸井。

つまりは、考えが「閉じこもっている」。

解決するには、
「開くしかない」

開くとは、「考えの通気性をよくすること」だ。
「外と、行き来できる穴を開けること」だ。

ただし、「外が空っぽだった場合」。
「開いたはずの穴は、再度閉じてしまう」。

「外が空っぽな空間なのか」
それとも、
「外にいろんなおもしろいものが、
手を組もうとして待っていてくれるのか」。

ここに「大きな分岐点」がある。

そして糸井重里のアイディアに関する結論。

「仕事の外に、
たくさんの『待っているもの』が
あるときに生まれる。

その『待っているもの』とは、
じぶんがじぶんの頭で
『考えたことのあること』だ」

「仕事でもないのに、
さんざん考えたことが、
仕事の外側で、
くっつこうとして待っていてくれる」

成城石井の原昭彦さん、
3429人の幹部・従業員の皆さん。

外で「待っているもの」が、
きっと、たくさん、ある。

自分で自分の仕事を切り拓こう。
自分たちの頭で考え抜こう。
それが投資家たちが言う、
「企業価値」を上げることだ。

そして企業価値を上げることができる人たちこそ、
日本の豊かな食文化を育て、
仕事を通して人を育て、
従業員と家族を大切にし、
明るく優しい社会の実現を願い、
お取引先様との共存共栄を実行し、
小売業、流通業全体の発展に
協力することができる。

へこたれず、頑張れ!

〈結城義晴〉

2014年05月12日(月曜日)

カスミの店長権限拡大と小濵裕正会長「現場従業員の声を聞け」

Everybody! Good Monday
[2014vol19]

2014年第20週。
ああ、もう52分の20。
ということは26分の10、
すなわち13分の5。
38.5%で約4割。

5月も第2週日曜日の母の日が終って、
第3週。

1年で一番いい季節です。

月刊『商人舎』5月号発刊。
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昨年の5月号が創刊号だから、
2年目に入ったことになります。

なんとか発刊し続けることができました。
数々の話題を提供し、
トレンドをつくることもできました。

心から感謝いたします。

2年目に入って、
これからが本番です。
私自身、まだまだ、
働きが足りないと感じています。

まだまだ、さらにいっそう、
雑誌に打ち込みます。

よろしくお願いします。

さてこの間、海外企業特集を三度。
昨2013年6月号でトレーダー・ジョー
7月号でホールフーズ、
そして11月号でメルカドーナ。

今回は、イギリスのテスコ特集。

その目次。

特集 TESCO顧客伝説
世界最大スーパーマーケットのカスタマー戦略物語

Message of May
顧客に聴け!       

Legend Retailer
ひとつの柱と四つの強み

結城義晴

TESCO 企業概要
イギリス発巨大小売企業の経営数値推移と発展略史

中興の祖テリー・リーヒー10の経営哲学
デロイトトーマツコンサルティング㈱パートナー 矢矧晴彦

ジェイソン・フィンチ店長Interview
テスコ一筋31年、大繁盛Colney Hatch Extra大型店の仕切り方

4 Formats of Tesco
Extra storeからExpress storeまでの
マルチ・フォーマット戦略を俯瞰する
Colney Hatch Extra store
Kensington Superstore
Goodge Street Metro store
South Kensington Express store

web版の商人舎Magazineには、
さらに追加記事。

ビル・バーチ店長が語る
「セインズベリー市場攻略戦略」

ウェイトローズ
Canary Wharf店の「アンビアンスセクション」

特別企画
再びMERCADONAの奇跡 
ジョアン・ジリ広報ディレクター・ロングロングインタビュー

最新店舗MERCADONA ànecblau店 

結城義晴のBlog [毎日更新宣言] Review
正直であることは忘れないでほしい。

今月号も自信作です。
これからの講演など、
イントロダクションでお話しします。
テスコとメルカドーナの素晴らしさ。

まだまだ、海外企業特集、
やりたいものです。
ご期待ください。

さて、一昨日から微熱。
ずっと寝たきりだったが、
なんとか回復。

温かい土日曜に病い。
昔からこの傾向があった。

あたたかや今日も生命をたまはりぬ
〈朝日俳壇 奈良市・吉田淳〉

今週の私のスケジュール。

今日と明日は、
横浜商人舎オフィス。

オフィスにいると、
朝一番で、来客。
㈱MESファシリティの前田仁さんと、
JTBの小阪裕介さん。

6月と11月の海外視察研修の打ち合わせ。
よろしくお願いします。
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そして昼食は裏の魚盛。
いつも満足。

手造りのコロッケ旨き裏町の
肉屋のおばさん今も健在
〈日経歌壇 浜松・鈴木れい子〉

今週水曜日からは、
アメリカ・ラスベガス。
商人舎USA研修会Basicコース。

来週まで。
楽しみです。

一番いい季節の日本を離れ、
一年中いい季節のラスベガスへ。

一年中いい季節よりも、
一番いい季節のほうが、
いい。

不思議だが。

それでも一番いい季節の国から、
一年中いい季節の地へ。

贅沢な幸せ。

さて今日の日経MJ〈フード〉欄。
「カスミ、店長権限を拡大」の記事。

「これまで各店舗が
独自のPOPを掲示したり、
総菜など店内調理品を
開発したりする場合は、
本部の承認を受ける必要があった」

「今後は、原則的に
店長の判断でできるようにし、
本部は支援する立場になる」

小濵裕正会長がコメントする。
「本部とのやりとりなどから
店長を解放しなければいけない。
店長には、『本部の声を聞く暇があるなら、
現場の従業員の声を聞け』
と言っている」

その根拠は、
「生き残りには
地域のファンづくりが欠かせない」

もちろんカスミは、
イオンの持ち分法適用会社だ。
だからチェーンオペレーションの部分も、
出来上がっている。

そのイオンも、
特にイオンリテールでは、
店ごとにポジショニング戦略を、
確立しようとしている。

だからカスミも、
標準化はもう当たり前のこととして、
その上で、店ごとに、
「それぞれの地域のカスミ」になる。

「画一的、標準的な取り組みをやめることで、
店舗の従業員らが新たな発想を出し合って
店をつくってほしい」

アメリカのチェーンストアでは、
standardizationはもう、当たり前だ。
だから殊更にそれを強調することはない。

日本人が質問する。
「どのくらい標準化が進んでいますか。
どのくらい店の判断できめていますか」

アメリカの店長が答える。
「全部、私の判断でやっている」

しかし店舗には、明らかに、
そのチェーンストアの標準がある。

トレーダー・ジョーも、
ホールフーズも、
HEバットも。

標準化とは、たとえて言えば、
パソコンの扱いのようなもの。

パソコンは標準化されていなければ、動かない。
標準化された手順を踏まなければ、
動きもしないし、便利にも使えない。

しかし、パーソナル・コンピュータと言う如く、
自分仕様で使いこなす。

チェーンオペレーションの標準化が進めば、
あとは個店仕様に徹するばかりだ。

カスミも、
そのレベルになってきたのかと、
私は思う。

全店が自社の標準を、
完璧にマスターしたうえで、
独自の店づくり、売場づくりをする。

それでもその企業らしさに満ち溢れている。
それが多店化する小売業の在り方だ。

そんな競争の段階に入ってきた。

この理屈は理解しなければならない。

もちろん「標準化」と言っても、
企業ごとにその尺度は違っていい。

そんなことを知るには、
アメリカを見ることが役に立つ。

ギリギリで病を食い止め、
水曜日から、私はラスベガス。

皆さんも、頑張ってください。

では、月曜日は、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2014年05月11日(日曜日)

ジジとお父さんの微熱[日曜版2014vol19]

ジジです。
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そとはいい天気。
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光がまぶしい。
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母の日です。
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ボクのかあさんは、
ミント。
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まっしろで、
うつくしい。

うまれたばかりのころ、
とってもかわいがってくれた。
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かあさん、
ありがとう。
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いまは、べつべつに、
くらしています。
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それにしても、
そとはいい天気。
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お花が、さいています。
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こちらも元気そう。
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でもユウキヨシハルのおとうさん、
ねてる。
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ビネツおじさん。
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熱はさがってきたけれど、
ちょっと、つかれたみたい。
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そんなときには、
おみずをたくさん、
のむのがいい。
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それから、これをのむ。
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サプリメント。

そして、ひたすら、
ねます。
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ボクもいっしょに、ねる。
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ぐっすり、ねる。
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きもちいい。
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なにも、しない。
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そうして、
おきる。
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また、
おみずをのんで、
ねる。
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こうして、
おとうさんは、
なおします。
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はやく、げんきになってくださいね。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2014年05月10日(土曜日)

渋沢栄一「能く集め能く散ぜよ」と倉本長治「二つの社会的活動」

立夏から小満へ。
「立夏」は「夏が立つ」ころ。
そして「小満」は、
「万物が次第に成長して、
一定の大きさに達して来るころ」。
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いい季節です。

しかし私、微熱がある。

その昔は「微熱少年」と、
鈴木茂を気取っていたが、
今は「微熱熟年」
あまり、冴えた表現とは言えない。

しかし、疲れが、
溜まりに溜まって、
一日中、眠っていた。

いい季節に、
床の中。

それもいい。

明日は、母の日。

どうやって、
母を喜ばそうか。

さて日経新聞最終面『私の履歴書』。
今月はトム・ワトソン。
アメリカのプロゴルファー。
ジャック・ニクラウスの次の存在。
「新帝王」と呼ばれた。

そのトム・ワトソンの、
スイング開眼の瞬間。

1975年、25歳で、
全英オープンを制覇、
賞金ランキングでも7位。

帝王ジャック・ニクラウスを脅かす、
「ヤング・ライオン」の一人になった。

しかし、スイングは、
完成されていなかった。
だからスランプ。

76年12月初旬、
「日米対抗」に出場。

兵庫県播磨カントリークラブ。

「練習ラウンドでもプロアマ大会でも、
一向に改善の兆しは見られず、
ボールは左に曲がり続けた」
これはプロとして悲惨。

「極端なフックボールでOBを連発した後、
プロアマの最終ホールで
放ったドライバーショットは
またも左に大きくそれていった」

第2打地点。

「ここで私は開き直った。
思い切って、それまでの打ち方を
変えることを決めたのである」

「具体的には9番アイアンを手にして、
バックスイングを真っすぐに引くよう試みた。
言い換えれば、クラブフェースがずっと
ボールと向き合うようにしたのだ」

ゴルフ用語の「シャットフェース」。
「閉じた顔」。

ここで、意外にも、
完璧な打球を放つ。

「試合後、練習場に向かい、
同じ打ち方でドライバーショットを確かめてみた」

「打球はすべて思い通りに
真っすぐの軌道を描き、
私はこの大会の個人戦で
優勝することができ た」

日本でのスイング開眼。

シャットフェースなのに、
まっすぐな打球。

開いたフェースからは、
フックボール。

トム・ワトソンの誤解と錯覚は、
ここにあった。

ジュニア時代から天才と認められ、
名門スタンフォード大学のゴルフ部で活躍し、
期待されてプロとなったトム・ワトソン。
「完璧なスイング」を求め続けてきた。

その求道者のようなトムが、
日本での開眼。

実に面白い瞬間だった。

失敗のどん底で、
自分で開き直り、
自分で体験し、
自分で納得しなければ、
開眼はない。

私も最近、自分のゴルフ人生で、
ずっと誤解し、錯覚していたことの間違いに、
気づかされた。

それも「開くことと閉じること」の錯覚。
私の場合は、違う部分での開くことと閉じることだが。

実に面白い。

さてこれも日経新聞巻頭コラム『春秋』。
「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一。
1890年、帝国ホテルを創設した。
しかし、当初、業績低迷。

そこで二つの施策を講じる。

第一が「有能な支配人のスカウト」。
第二が「新館建設の長丁場の用地交渉」。
ヒュマンウェアとハードウェア。

渋沢の著書『論語と算盤』。
今も角川ソフィア文庫で読むことができる。

「能く集め能く散ぜよ」。
「能く」は「よく」と読む。

その意味は、
「世の中から集めたお金を、
企業の活動が活発になって
社会に元気が出てくるように使え」。

『論語と算盤』の冒頭にある。
「大なる欲望をもって
利殖(利益)を図ることに
充分でないものは、
決して(前に)進むものではない」

これを中内功さんだったと思うが、
「稼ぐは技術、使うは芸術」と言った。
中内さんはもちろんダイエー創業者。

緒方知行さんが好きな言葉で、
私もいつも頭の中に入れている。

商業界主幹の倉本長治先生は、
「公正で公平な社会的活動を行え」と説く。

私は『お客様のためにいちばん大切なこと』で、
倉本の「社会的活動」には、
二つの意味があると書いた。
第1は、自分の本業の仕事。
第2は、ボランティア活動。

本業では「能く集める」。
つまり「稼ぐ」。

ボランティアは「能く散ぜよ」。
すなわち「使う」。

私はここに「二つの法則」を認める。
第1の社会貢献では、
「小さな経費で大きな収益」を目指す。

一方、第2の社会貢献は、
「大きな努力で小さな成果」に満足する。
場合によっては成果すら求めない。

社会貢献も大きな方がいいだろうが、
こちらは地味な地味な成果を求め、
その成果を誇示してはならない。

最近の小売業では、
イオンの「木を植えよう」がよく知られるが、
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんも、
ヤオコー会長の川野幸夫さんも、
そしてトップを支える数多の商人たちが、
「能く集め能く散ぜよ」を実践する。

渋沢栄一、倉本長治。
中内功、伊藤雅俊、
そして川野幸夫。

能く集め能く散ぜよ。
公正で公平な社会的活動を行え。
稼ぐは技術、使うは芸術。

「小さな経費で大きな収益」と、
「大きな努力で小さな成果」。

微熱の頭で考えた。

〈結城義晴〉

2014年05月09日(金曜日)

学習院マネジメントスクール講義と「非製造業現代化」が日本を救う

朝一番で、白幡小学校へ。
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校庭には、不思議な魅力がある。

陽だまりの中を、
児童が走ってゆく。
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忙しい身ながら、
地域とのつながりは、
忘れたくない。

だから白幡文化・スポーツ事業に協力する。
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息子と娘がお世話になり、
私はPTA会長を務めた。

さらにこの学校を拠点として、
ジュニアソフトボールチームを運営し、
長らくその監督や代表、顧問を務めた。
だから今でも、
できる限りのボランティアをする。

午後は横浜商人舎オフィス。

そして最後は、夕方に東京・目白。
学習院大学マネジメントスクールへ。

事務局長の磯部泰子さんが、
ガイダンス。
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上田隆穂学習院大学教授のご挨拶。
マネジメントスクール所長。
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月刊『商人舎』4月号では、
対談に応じていただき、
プライス・マーケティングの真髄を、
存分に、語っていただいた。

今年もこのクラスには、
満員に近い参加がある。
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ビジネススクールとして、
実によろしい。

その第一講義が、結城義晴。
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「潮目が変わる時代の流通概論」。
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18時45分くらいから始めて、
21時05分には終わった。

しかし、まだ語り足りない。

大学の教室で講義していると、
その環境になじんで、
心が解放されたまま、
自在に語ることになる。

そうすると脱線も増えて、
時間はあっという間に過ぎていく。

語り足りなかった残りの部分は、
いつか、機会をつくりましょう。

それでも、結城義晴の持論を、
存分に展開して、大満足。
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21時10分からポットラック。
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学習院大学名誉教授の湯沢威先生が、
静かに学習院マネジメントスクールの趣旨を説明し、
乾杯の音頭をとって下さった。
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そして乾杯。
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早速、湯沢先生と、
イギリス小売業について、
語り合った。
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長らくイギリスに留学された湯沢先生は、
想像通り、マークス&スペンサーのファン。
それからセインズベリーも大好き。
もちろんテスコにも凄い思い入れで、
話は弾んだ。

それから事務局の林純子さんと。
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そして受講者の質問と感想。
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㈱そごう西武経営企画室の速水和郎さんが、
コメントを寄せてくれた。
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事務局の皆さんと写真。
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最後の最後に、全員写真。
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学習院マネジメントスクールは、
来年2月まで毎週のように講義が開催され、
最後に研究とその発表がある。

今年も楽しみなチームとなった。

みなさん、私の課題レポートも、
しっかり考察して、執筆してください。

さて今日は、
カリスマ経営者がふたり、
退任のコメント。

まずは、宮内義彦さん。
オリックス会長兼CEO。

1960年、日綿実業(現双日)入社。
64年のオリエント・リース設立に、
準備段階から参加。
45歳でオリックスの経営トップに就任。
経営トップを33年余り務めた。

6月に退任し、取締役も退く。
助言役に徹する。

「ぎりぎりまでトップに居続けることは、
その後を考えると無責任」

「元気なうちに退任し、
新経営陣にアドバイスする立場になるのが
一番良い」

宮内さんの人柄から見ると、
これは実に正直な言葉だと思う。

「リースの隣、その隣と
事業を広げた」

この発言が本質をついている。

「事業分野は不動産や生命保険に拡大。
在任33年で営業収益は約20倍に拡大し、
1兆円を超える総合金融グループになった」。

誇りとすること。
「バブル崩壊、アジア通貨危機、
リーマン・ショックと、
何度も危機に見舞われたが、
一度も赤字を出さなかった」

後任の井上亮社長は、
「宮内イズム、オリックスのDNAを深めて、
次の50年への一歩を踏み出す」。

もうひとりは、井上礼之さん。
ダイキン工業会長兼最高経営責任者。

6月27日付けでCEOを退任。

しかしこちらは、
退任後も取締役と会長を継続。
さらに新設のグローバルグループ代表に就任。

まだまだ完全引退はありそうにない。

1994年6月にダイキン社長に就任。
2012年、米グッドマン・グローバルを買収、
空調世界最大手となった。

さらに2014年3月期決算は過去最高益。
しかし井上さんは手綱を緩めない。

「世界で戦える体制になっていない」。

今や売上高の7割超は海外。
連結社員数は5万6200人の8割が、
海外企業で働く。

世界に根ざした経営を貫くには、
「マーケティングや商品開発など
現地に権限を委譲することが必要」。

ただし「泥水の情報が
真水になって
本社に入ってきたのでは
経営はできない」

カリスマ経営者もコミュニケーションと、
それに応じたマネジメント組織が必須であると、
実感している。

最後に今日の日経コラム『大機小機』。
今日のテーマは、
「非製造業立国を目指そう」
今日の学習院での講義でも、
同じようなことをレクチャーした。

私の言い回しは、
「すべての仕事は、
サービス業化せよ!」

法人企業統計によると、
「付加価値に占める非製造業の比率は
5年前に7割を超え、
情報通信などの拡大で今や8割近い。
就業人口では8割以上を占める」
私は国内総生産の比率で、
これを示した。

「非製造業が元気だし、
新陳代謝も進む」
つまり第3次産業。

その第3次産業活動指数。
まずは、
「技術革新に取り残された伝統産業が衰退」

半面、
「インターネットサービス、
宅配介護などが急速に伸び、
主役交代が急ピッチだ」
この指摘は、
今さらというわけでもないが。

伸びている分野が、
さらに具体的に列挙される。
「厳しい国際競争にさらされている金融、
技術革新が激しい情報通信
情報技術(IT)を本格活用した流通、
知識集約型の学術研究・専門・技術サービス」

流通業も伸びている7業種の一つ。
ありがたい。

そしてキーワードは、
①競争、
②イノベーション、
③情報テクノロジー、
④知識集約型。

7業種の労働分配率も考慮される。
「これらで生産性に見合った賃上げが実現すれば
非製造業だけで賃金が3兆円増え、
消費を1%押し上げる」

非製造業の「1人あたり付加価値額」に関して、
アメリカとの比較が示される。
「金融で9割、
専門・技術サービスと建設で8割、
流通で6割にとどまる」。

日本の流通業の人時生産性は、
アメリカのそれの6割。

「我が国は巨額の貿易赤字を抱え、
製造業の再生と投資の国内回帰が
テーマになっている」

コラムはそれを覆す主張をする。

「非製造業に
もっと光を当ててはどうか」

まったく同感。

そして予測。
「非製造業の主要7業種の生産性を
米国と同水準に引き上げられれば、
約100兆円の付加価値が
新たに創出される」

ポール・クルーグマン教授は指摘する。
アメリカでも非製造業の生産性を、
さらに上げよ、と。

考えていること、
主張していること、
行動していること。

それが様々な局面で、
繋がってきた。

私は「商業の現代化」を標榜している。
それは「非製造業の現代化」と、
言い換えてもいい。

2008年4月、
㈱商人舎発足の会の私の講演タイトル。
「小売りサービス業が日本を救う」。

まだまだ日本は、救われてはいない。

〈結城義晴〉

2014年05月08日(木曜日)

いなげや成瀬直人社長「一に惣菜・二に生鮮」とイオン事業分類体系

今日は鈴木國朗さんが、
横浜商人舎オフィスを訪ねてくれた。
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㈱アイダスグループ代表取締役社長。
同社は30周年を迎えて、
記念の品をプレゼントしていただいた。
おめでとうございます。
ありがとうございます。

コンサルティング・カンパニーで、
30周年はすごい。

今日、送られてきたばかりの
「Meiji Marketing Review」をもって、
一緒に写真。

さて4月1日の消費税増税後、
反動や影響はどうだったのか。

㈱いなげや社長の成瀬直人さんが、
日経新聞の決算トーク欄で答えている。
「購買意欲の衰えは全く感じない」

5月に入ってからの既存店売上高は、
前年同月を3%上回るペースだとか。

「和牛がびっくりするほど売れ、
高めのワインも好調だ」

従って、来年の2015年3月期連結経常利益は、
31億円と今年3月期対比1%増を見込む。
これはいなげやにとって、3期ぶりの増益。

2013年1月に社長に就任した成瀬さん。
「競争力を高めるための
改装などの投資は減らせない」。

1976年3月にいなげや入社のプロパー組。
様々な社内職歴を経て、
1998年、人事部長。

最近は、人事を始め管理部門の担当が長いが、
スーパーマーケットの経営戦略には長けている。

その食品スーパーマーケットにとって、
既存店へのリニューアル投資は、
新店開発よりも重要だ。

古くて小さな店が多いいなげや。
店舗改装作戦が、
企業の成長の鍵を握っている。

いなげやの前期は、
過去最大の改装年度だった。
小規模改装を含めて131店中約60店舗。
新店は5店舗だった。

来年3月までの今期も、
改装中心に活性化を果たす。

原則は「2年に1回サイクルの改装」。

そのリニューアル・コンセプトは、
一に惣菜、二に生鮮。
そのために、
惣菜子会社の㈱クックサンを本体に統合。
グループ全体の経営資源の集中を企図している。

遠藤正敏会長の後を受けて、
上手に難局を乗り切っている。

そのいなげやの15%の株式は、
イオンが保有している。
連結子会社ではないが、
持分法適用会社。

これも日経新聞企業欄の記事だが、
イオンの子会イオンタウン㈱が、
住宅地に近接する中小型ショッピングセンターを、
「2014~16年度は全国30カ所以上に開く」。

業界で言われる近隣型のNSC、
つまりネイバーフッドショッピングセンター。
スーパーマーケットを核店舗とする商業集積。
だから全国のマックスバリュや「ザ・ビッグ」が核となる。

つまりイオンタウンは、
NSC専門のディベロッパー企業。

イオンはもうひとつ、
イオンモール㈱をもつが、
こちらはRSCのディベロッパー企業。
リージョナル・ショッピングセンター。
核店舗はイオンリテールの総合スーパー。

イオンタウンの前身はロック開発㈱。
「日本及び、中国・アセアンにおける
ナンバー1 NSCディベロッパー」を目指す。

そしてイオンモールの前身は、
ジャスコ興産、イオン興産と、
㈱ダイヤモンドシティ。

イオンタウンは、これまで約120店を展開。
今後も毎年10店以上の新店開発を行って、
活発。

一方、イオンモールのRSCの14年度は、
従来計画より出店ペースを抑える。

イオンの全体戦略としては、
グランド・ゼネレーションをターゲティングして、
NSC開発を急ぐ。

イオンタウンの商圏は、
NSCの教科書通り。
車を利用する場合で、商圏10~15分。
徒歩客、自転車客もターゲット。
首都圏では駅の近くにも開発。

売場面積は5000~2万5000㎡。

イオンタウン社長の大門淳さん。
「冷蔵庫代わりに週3~4日
通ってもらえる店にする」

イオンタウンの特徴は、
食料品のスーパーマーケットに加えて、
日常的に使う専門店を20~100店、
店揃えする。

この中には非物販のサービス業も、
揃えられなければならない。

まさに教科書的なNSC。

それを教科書的にやり遂げられるのが、
イオンタウンとイオンモールの強みだ。

グループ企業一覧には、
14の分類がある。

まず①純粋持株会社としてのイオン。
小売業態別にグループ分けされる。
②GMS(総合スーパー)事業
③SM(スーパーマーケット)事業
④DS(ディスカウントストア)事業
⑤戦略的小型店事業
⑥ドラッグ・ファーマシー事業

その他の業態別事業グループ。
⑦総合金融事業
⑧ディベロッパー事業
⑨サービス事業
⑩専門店事業
⑪Eコマース事業

それから海外展開。
⑫アセアン事業
⑬中国事業

最後に、⑭商品機能等。

この中の⑧ディベロッパー事業が、
さらに二つに分かれて、
イオンモール㈱とイオンタウン㈱。

イオンモールが大型のRSC担当、
イオンタウンが小型のNSC担当。

③のスーパーマーケット事業には19社あって、
そのうち持分法適用会社が4社。
㈱マルエツ、㈱カスミ、㈱ベルク、
そして成瀬社長の㈱いなげや。

私は分類の概念が大好きだが、
イオンは連邦経営でグループを拡大して、
その後、業態別、事業別、地域別に、
企業群を分類整理している。

分類整理そのものが、
純粋持株会社イオンの役目でもある。

まだまだ分類の改善の余地は大いにあるし、
足りない事業も多数見受けられるが、
この事業体系を有することと、
そこにトップマネジメント層を持つこと、
そしてそのトップたちがそれぞれ、
自分の見識と実行力を持っていることが、
イオンの強みといえよう。

持分法適用会社とはいえ、
いなげやの成瀬さんもその一人だし、
イオンタウンの大門さんも、
もちろんその一員。

日経新聞の中で、
別の欄に分かれて掲載されている記事が、
実はみな繋がってくる。

時流に合わせて、
それらのつながりの紐帯
(ちゅうたい)を、
引いたりゆるめたりする。

それができることが、
いまやイオンというリテール・トップ企業の、
特長であると見るが、
いかがだろう。

〈結城義晴〉

2014年05月07日(水曜日)

丸谷才一『星のあひびき』と伊藤雅俊「御用聞きとオムニチャネル」

飛び石連休中、
丸谷才一著『星のあひびき』を、
読んでいた。
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といっても、
頭からずっと読み続けて、
最後まで読み終わるのではなくて、
ひろい拾い、読む。

いろいろなメディアに書いたものを、
集めてきて編んだ本。

だから、ひろい拾い、読める。

1925(大正14)年、
山形県鶴岡市生れ。

ライフコーポレーション会長の清水信次さんの、
一つ上。

ということは、
イオン名誉会長の岡田卓也さんと同じ。

東京大学英文科卒で、英語に堪能。
だからジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』など、
難解なのを訳したりする。

1968年『年の残り』で芥川賞受賞。
谷崎潤一郎賞、読売文学賞、野間文芸賞、
川端康成賞、泉鏡花文学賞、朝日賞など、
数え上げたらきりがない。

旧仮名遣いが特徴で、
読んでいる側は、
実に気分がいい。

その『星のあひびき』の一文。
「『新聞言葉』の恥しい表現」。

私もずっと思ってきたことを、
これは丸谷さん、何度も書いている。
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「子供のときから新聞が好きで、
じつによく読んだし、今も読むが、
新聞の言葉づかひには
嫌ひなものが多い」

「ああ、いやだなあと怖気を震ひ、
それでも読むのをやめない」

たとえば――。

「――と胸を張る」
これは、ふつうに「・・・といばる」がいい。

「――さんも駆けつけた」。

丸谷さんが何度も書くのが、
「――とゲキを飛ばした」。

ぞっとしない、らしい。
同感です。

「あのゲキは本当は『檄』で、
木の札です」

「これは訓は『めしぶみ』『ふれぶみ』、
つまり回状のことで、
昔の中国で役所から人民に出した」

「特に急を要するときには鶏の羽をつけた。
だから『飛ばす』と言ふ」

「それを『激』と勘違ひして、
激しい口調で叱ること
だと思ひ、
野球の監督がすぐ目の前にゐる
コーチや選手にゲキを飛ばす」

「読んでて妙に恥しくなります」

しかし、この言い回し、
私もつい、使ってしまったりする。

もちろん「激」などとは、
死んでも書かない。
「ゲキ」はいいでしょう。
正しくは「檄」です。

ただし、そこら中で、のべつ幕なし、
「激」を飛ばすことを、
日々の業務にする勘違い経営者や、
似非コンサルタントがいたりする。

これは、恥しい。

このほか「辞書的人間」は筒井康隆、
「名人藝といふべき教訓句論」では高浜虚子、
「文系大学生に一番人気の社の経営者」では、
資生堂元社長の福原義春を題材にする。

現物を読んでほしいが、
丸谷才一の興味の視線の先が、
なにより面白い。

さて、日経MJ5月5日版の『斜光線』。
「伊藤雅俊氏卒寿の思い」
企業報道部次長の鈴木哲也さんが書いている。

セブン&アイ・ホールディングス創業者。
伊藤雅俊さんは、丸谷才一さんの一つ上。
つまり岡田卓也さんの一つ上だし、
清水信次さんの二つ上。

先週、90歳の卒寿を迎えた。

しかし、今も、
毎日、本社に出勤。
「人と会ったり、店を回ったり」。
活発な日々は続く。

その伊藤さんの「オムニチャネル観」。

「御用聞きはオムニチャネルの原点」。

オムニは「すべての」という意味。
だからオムニチャネルは、
すべての顧客接点をもって商売すること。

セルフサービスが極限まで発達した現代、
すべての接点の欠落部分を埋めるものは、
「御用聞き」ということになる。

これはさすがに鋭い視点。

昭和初期の恐慌時代の羊華堂洋品店。
伊藤さんの御母堂の伊藤ゆきさんが、
店を切り盛りしていた。

店で待っているだけでは
売上げを確保できない。

そこで伊藤さんが子供ながらに、
「商売の厳しさを目にして、
御用聞きや配達を手伝った」。

昔の商店の子供たちは、
例外なくそんな経験を持つ。

90歳にして伊藤さんは、
その時の感慨を思い出して、
オムニチャネルと結びつけた。

エーリッヒ・ケストナー。
ドイツの作家・詩人・児童文学者。
「子供のころを忘れないことこそ、
児童文学を書く才能です」
そんなことを言っている。
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実際にケストナーは、
『私がこどもだったころ』という
タイトルの本を書いている。

伊藤雅俊さんも、
ケストナーのような才能を
持っているのだと思う。

本物の商人は、
文学者でもある。

本物の商人は、
モノを売る人ではない。

人々に喜びをもたらす人だ。
人々に感動を与える人だ。

その条件の一つが、
「子供だったころのこと」なのかもしれない。

〈結城義晴〉

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