結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年12月22日(金曜日)

イオンの「2024年問題」対策と左手のピアニスト

日本経済新聞朝刊一面トップ。
「イオン、物流網を再構築」

イオン㈱の「2024年問題対策」
自社トラックの総輸送距離1割減。

来年4月から改正労働基準法が適用される。

トラック運転手の時間外労働は、
年960時間に制限される。
1カ月80時間、1週20時間弱。

これへの対応をどうするか。

イオンの改革で使われるのは、
AIを活用して最適ルートを割り出す、
配車システムだ。

イオンの約3300店舗。
国内全体の総合スーパーと食品スーパーの1割強。
それらの店に出入りするトラックは、
年間150万台になる。

この改革はそのうちの約15万台分を減らす。

センターからイオン全店までの、
年間トラック輸送距離は2億8000万kmである。
地球約7000周分。

その輸送距離は年間で最大2800万km減少する。

二酸化炭素排出量も約1割抑制される。

センターでの商品仕分けから積み荷の配置まで、
様々な作業の効率化も進める。

たとえば、
「運転手が店の倉庫から陳列棚まで
荷物を運ぶ作業をやめて、
荷物を下ろすだけにする」
こんなことをさせているのかとも思うが、
これで作業時間は1割減る。

納品面の改革も進める。
現在は朝と昼の納品時間が固定されている。
だからトラック積載率は5割から8割になる。

しかし改革後は、
トラックが満載になってから順次配送する。
こうすれば積載率はほぼ100%まで高められる。

九州や北海道などリージョン別に、
グループ各社が協力して共同配送にも取り組む。

長距離貨物輸送を、
トラックから鉄道や船に変える。
「モーダルシフト」の進捗である。

NX総合研究所の調査。
輸送需要に対して業者などが運べる能力は、
卸売・小売業、倉庫業で9.4%不足する。

日本の物流業界では、
トラック事業者の99%を中小企業が占める。

政府は11月の補正予算で、
「モーダルシフト」を支援する姿勢を打ち出している。
官民一体となった取り組みは必須だ。

イオンがその先鞭をつける。
意義のあることだ。

しかしまだまだ改革の余地は多い。
常識や慣習を打ち破って、
小さなイノベーションを積み重ねなければならない。

日経新聞夕刊。
「あすへの話題」

よく読むコラムだ。
そのなかで、
京都大学教授の根井雅弘さんの文章は好きだ。

タイトルは「左手のピアニスト」
舘野泉さん。
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舘野さんは65歳のとき、
フィンランドでコンサート中に
脳溢血(いっけつ)で倒れ、右
半身が麻痺してしまう。

医者からはピアニストとしての再起は
不可能と宣告された。

ところが、右手の自由を失っても、
舘野さんは懸命にリハビリに専念し、
あるきっかけで
左手のピアニストとして復活を遂げる。

舘野さんの息子さんが、
1枚の譜面をそっと置いて行った。
イギリスの作曲家フランク・ブリッジ。
第1次世界大戦の戦場で
右手を失った友人のために曲を作った。
ピアノは両手で弾くものという
固定観念にとらわれていたら、
いつまでも復帰できなかったに違いない。

しかし、舘野さんは違った。

それ以来、多くの作曲家が舘野さんのために
左手用の曲を作ってくれるようになった。

2024年問題にも、
左手のピアニストの姿勢が求められる。

プロのピアニストの中には、
自分の好きなピアノや調律について、
けっこう口うるさい人も少なくない。

だが舘野さんは、招聘されれば、
世界のどこであろうと、
条件がどうであろうと、
音楽愛好家のためにピアノを弾いてきた。

「自分のため」ではなく、
「誰かのため」に仕事をするときの方が
力が出るのだ。

左手のピアニストの言葉は、
2024年問題にこそ、
当てはまる。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2023年12月21日(木曜日)

ベルク古河諸川店の「秘密」と岩崎高治会長の「質疑応答」

朝から東北新幹線。
小山駅へ。
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結城紬はユネスコ無形文化遺産。
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レンタカーで 茨城県古河市へ。
ベルク古河諸川(こがもろかわ)店。IMG_03213
12月6日オープンの最新店。

天井はスケルトンで、開放感がある。
そのうえベルクの最新ノウハウ満載。
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冷凍食品売場は、
真ん中の平ケースと両側のリーチインケースが、
店舗中央を貫く。
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デジタルサイネージも店内各所に導入。 IMG_02693

コの字型レイアウトの最後に、
インストアベーカリー。IMG_02633
バックヤードをシースルーにして、
実にいい売場だ。

最も売れるのが、
諸川あんぱんと諸川クリームパン。IMG_02583
購入して食べてみたが、
実においしい。

店内には楽しい仕掛けがある。
これは「グミ」売場に誘導する足型。IMG_02823

久保翔太副店長が応対してくれた。
半年前に副店長になった31歳。
早く店長になってください。IMG_03523

このベルク古河諸川店。
素晴らしい。

隠れた秘密がある。

その詳細は、
月刊商人舎新年1月号で披露しよう。
すべての読者にとっても、
2024年に向けて大いに役に立つスタディだ。

乞う! ご期待。

ベルクを辞して、
フードスクエアカスミ古河諸川店へ。
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昨2022年7月15日オープンの新店。

カスミnews|
フードスクエアカスミ古河諸川店(543坪)7/15開設

フードスクエアは2000㎡級で、
カスミのレギュラータイプだ。

この店の売場面積は1796㎡(543坪)、
駐車場146台、駐輪場80台。
年商目標は17億円と発表されている。

カスミは今、ある実験をしている。
生みの苦しみの最中にある。
頑張ってほしい。

さらに近隣には、
マスダ三和(みわ)店がある。IMG_03403
こちらは古い店で、
カスミやベルクが出てくる前は、
一番店だったのだろう。

現在はエコスの傘下に入っている。

多分、増田伊作さんが社長のころに、
開発した店だろう。
きちんと売場面積をとって、
コの字型のレイアウトにして、
駐車場もそれなりに備えている。

しかしやはり古い店の印象はぬぐえない。

急ぎ、小山駅に取って返して、
東京へ戻る。

しかし予定をオーバーした取材となって、
新幹線を1台乗り過ごした。

小山駅の新幹線は、
1時間に1本しか止まらない。

東京・日本橋二丁目へ。
日本スーパーマーケット協会。

恒例の販売統計調査と景気動向調査の発表。
江口法生専務理事(左)。
右は日生協の近藤美奈子広報部部長。
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岩崎高治協会会長が、
2023年の振り返りと24年の展望を語った。
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「2024年年頭所感」は、
すでに発表されている。
それにかぶせるように、
岩崎高治らしい鋭い分析の語りだった。

そのあとの質疑応答に際しても、
質問者のだらだらとした話を、
メモを取りつつ的確にまとめて、
想定を超えた内容を即答した。

全部終わってから、
私は今日のベルクで見たことを話した。
それから先月号のヤオコーのことも、
質問してみた。

これらの難問にも即答してくれた。

その回答のことは書かない。
ライフらしい考え方だと思う。

今年最後のツーショット。IMG_03543
商人舎15周年セミナーにも、
ずっと参加してもらった。
パーティでは乾杯の音頭を取ってもらった。
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心から感謝しつつ、
岩崎さんの来年の活躍を祈念しよう。

日本橋の商店街のイルミネーションは、
とてもきれいだった。

ああ、クリスマスか。
そう思った。
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岩崎さんは57歳。
ヤオコー社長の川野澄人さんは48歳。
ベルク社長の原島一誠さんは45歳。

そういった人たちの時代になった。

私の役目は見守ることだ。

ちなみにナザレのイエスの誕生は、
紀元1年の12月25日とされている。
死んだのは諸説あるけれど30歳か、
あるいは33歳だという。

東方の3人の学者たちは、
イエスの誕生に立ち会ったあと、
その成長と短い人生を見守ったのだろう。

私は来年も、
彼らの成長を見守ろうと思う。

〈結城義晴〉

2023年12月20日(水曜日)

吉田拓郎「イメージの詩」の「長い長い坂」と糸井重里「余裕の波」

イメージの歌。

昨日のブログでちょっと使った。
吉田拓郎のデビューシングル。

聴いてみてください。61bm3xA9CCL-448x448

今、この楽曲を聞くと、
かったるい。

けれど当時は、
衝撃的だったし、
実にカッコよかった。

1970年6月1日の発売。
大阪万博の年だった。

三波春夫の「こんちにはこんにちは♪」が、
街中に流れていた。

「世界の国からこんにちは」

そんなとき吉田は、
広島フォーク村を組織して、
東京と大阪に対抗した。

若干24歳の吉田。

ボブ・ディランに触発されてつくった。
それは「Desolation Row(廃墟の街)」

ディランの旋律に、
勝手に言葉をつけて歌う。

それは当時のフォークの常とう手段だった。

しかしその歌詞こそが意味を持った。
「詩」であると考えた。

だからタイトルは「イメージの詩」

現在、収録されているのは、
『古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう』


これこそはと 信じれるものが
この世にあるだろうか

信じるものが あったとしても
信じない素振り
悲しい涙を流している人は
きれいなものでしょうね
涙をこらえて 笑っている人は
きれいなものでしょうね
男はどうして 女を求めて
さまよっているんだろう♪

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この「詩」の中のフレーズ。


長い長い坂を登って
うしろを見てごらん
誰もいないだろう

長い長い坂を降りて
うしろを見てごらん
みなが上で手を振るさ

ヤオコー会長の川野幸夫さんに、
このフレーズを贈りたかった。

他意はない。

このあとに、
昨日のフレーズが続く。


古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船をいま動かせるのは
古い水夫じゃないだろう

何故なら古い船も
新しい船のように
新しい海へでる

古い水夫は知っているのさ
新しい海のこわさを♪

今日は朝からオンライン会議。
㈱True Dataの取締役会。

最後にいつもトピックスを共有する。

True Dataの活動が毎月、
さまざまなマスメディアに載る。

それが取締役会で報告される。

山形新聞掲載の記事。
大学生とコラボして、
ホームセンターの販促を展開した。

それがヒットした。IMG_0112 (002)
True Data。
安心してください。
いい仕事してますよ。

今日は1日、
月刊商人舎2024年1月号の入稿。

いい原稿を1本、デザイナーに回した。

それぞれ自分の原稿を書いていて忙しい。

夜になって、
みんなでくじ引きをした。

土曜日に拡大令和名人会をする。
平成元年から続くゴルフの会。
34年が経過した。

その拡大版で、
今回は12人のゴルファーが集まる。
商人舎からは4人が参加。
ほかに8人の皆さん。

その組み分けをする。
名前を書いた札を12枚用意した。
裏返しにして伏せてある。IMG_0113 (002)

まず山本恭広編集長が、
4枚を引く。
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次に亀谷しづえGMが4枚引く。IMG_0115 (002)

厳正な抽選です。
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残りが4枚。
これで組み分けができた。

それぞれのパーティを、
チェックしたら、
いい組み分けができた。IMG_0120 (002)

これでラウンドします。
みなさん、楽しんでください。
発表は22日の前夜祭にて。

最後に糸井重里。
「ほぼ日刊イトイ新聞」の巻頭エッセイ。
「今日のダーリン」から。
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「へーいへーい、
いえいっいえぇい、
余裕がねーよーっ」

同感。

「わたしは元気ですが、
余裕がねぇです。
あいさつは、もちろん
“しわーっす!”ですよね。
そんでもって、寒いし」

同感!!!

「でもなぁ、
余裕を感じるかどうかって、
“波”ですからね」

「少なくとも、
ぼくにとっては
余裕は”波”です」

そう、心の余裕を感じるときには、
波がある。

「おんなじスケジュールで動いていても、
余裕があるときはあるし、
ないときは余裕がないの」

他愛ないくじ引きをする。
これは商人舎の余裕です。

今冬一番の寒波が来る。
みなさんも余裕を感じてください。

「しわーっす!」

〈結城義晴〉

2023年12月19日(火曜日)

ヤオコー年末記者会見の「昭和モデルと令和モデル」

東京地検特捜部。
自民党安部派と二階派を強制捜査。

派閥パー券のキックバック疑惑。
なぜか昭和の臭いがする事件だ。

私の午前中は、
web会議。

㈱大創産業のお二人。
業務改善推進部長の大髙愛一郎さんと、
広報課の後藤晃一さん。

コーネル大学ジャパンが発足した時、
大高さんは事務局長として大活躍して、
私の「相棒」だった。

ご自身もコーネル大学ホテルスクール修了。
コーネリアンと呼ばれる。

来年4月1日から、
百円均一店は、
ワンプライスショップとして、
日本標準分類に地位を得る。

そのことに関する質疑応答。
私にとっては実に楽しいひと時だった。

それから今日は、
ヤオコーの年末記者会見。
毎年恒例。

川越のサポートセンターで行われ、
山本恭広商人舎編集長が参加した。

ヤオコーはチェーンストアの本部を、
サポートセンターと名づけた。
本部は店をサポートする存在。
そんな意味がある。
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今期は最終四半期の1月から3月を残すだけ。
増収増益の着地はほぼ決まっている。
11月13日の中間決算発表の場で語られた。

集まった記者は約30人。yaoko-kawano2IMG_7024

会見前に川野澄人社長の撮影。
記者が群がる。

今日の会見の内容は2つ。
第1は中期経営計画最終年度の今期の振り返り。
第2は目下策定中の第11次中期経営計画の大方針。

今期は11月まで売上高も利益も、
想定以上の水準で推移している。
1品単価の上昇がそれを牽引している。

基本方針の「2割強い店づくり」について、
川野社長は振り返った。
「2割とはいきませんが、
この3カ年は既存店が伸びました。
ヤングファミリー層の獲得、
カテゴリーごとの価格政策が評価されました」

さらにデリカセンターの出荷額の伸びを例に、
SPA(製造小売業)への移行を成果に挙げた。

生産性向上に関しては、
AI自動発注が寄与した。
セミセルフレジの全店導入も奏功した。

残された課題は2つ。
第1は看板商品となるPBの開発。
ヤオコーでも看板商品は足りない。
トレーダー・ジョーなどと比べると理解できるが、
ヤオコーはそのレベルを見ている。

第2は働きやすさと、
女性がよりよく活躍できる環境づくり。yaoko-kawano1IMG_7032

さて次期の中期経営計画の大方針。
4つの領域から説明した。
①商品・販売戦略
②運営戦略
③育成戦略
④出店・成長戦略

➀は二極化対応とエリア別の深掘り。
とくに群馬県など北関東と東京都、神奈川県では、
ヤングファミリー、ミドル、シニア層の構成比が異なる。
そこでエリア別の商品構成と提案について、
きめ細かく対応する必要がある。

②の「運営戦略」は省力化と省人化の推進。
今期は加工肉をデイリーに移管し、
自動発注の対象にした。
この取り組みをさらに広げる。

このことは月刊商人舎12月号で書いた。

③の「育成戦略」。
次の中期計画では、
グループ売上高1兆円が視野に入る。
だからリーダーとなる人材育成が必須だ。
「店舗では店長、まずは副店長に女性を増やしたい」

川野社長はわざわざ“女性活躍”というのは、
もはや時代遅れであるというニュアンスを込めて、
もっと活躍の場をつくりたい意思を語った。

また物流、デジタル、製造など、
専門領域の人材育成を強調した。

④の「出店・成長戦略」は、
継続的に旗艦店舗を開発すること。

締めくくりはこんな感じ。
「中期計画で昭和のモデルを令和のモデルに
チェンジしていく」

記者会見に出ていないので、
私には詳細やニュアンスがわからない。

川野澄人社長の就任は、
2013年4月1日。
平成25年。

30代の社長誕生と騒がれたが、
もう10年が経過した。

川野幸夫現会長は、
1985年1月に社長に就任し、
2007年6月に会長の座に就いた。

1985年は昭和60年。
2007年は平成19年。

その後、幸夫さんの弟さんの川野清巳社長は、
2007年から2013年まで。

昭和モデルと言えば、
幸夫会長時代のものだ。

昭和は64年間、
平成は31年間、
令和は今のところ5年。

けれど古いモデルを新しいモデルに変える。
多分、マネジメント全般の改革のことだろう。

まったく関係ないが、
この澄人さんのメッセージを見て、
「イメージの詩(うた)」を思い出した。

「古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船をいま動かせるのは
古い水夫じゃないだろう
何故なら古い船も
新しい船のように
新しい海へでる
古い水夫は知っているのさ
新しい海のこわさを」

吉田拓郎のデビュー曲だ。
まったく関係はないけれど。
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本当のところは来年になってから、
川野澄人さんに直接、聞いてみよう。

そこんとこ、よろしく。

〈結城義晴〉

2023年12月18日(月曜日)

「買い物砂漠」の店舗機能と毎月の検査「結果良好!」

Everybody! Good Monday!
[2023vol51]

2023年第51週。
12月第4週。

あと2週間で、
今年が終わる。

悔いのない日々を過ごしたい。

昨年の正月にご報告しましたが、
今年から㈱商人舎として、
「賀状廃止」としました。

今年2023年元旦の年賀状。
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商人舎の新年のご挨拶は、
この毎日更新宣言ブログで行います。

よろしくお願いします。

もちろん私自身の個人的な年賀状は書きます。
ごく親しい人へのほんのわずかな枚数ですが。

こちらはよろしくお願いします。

今週末の日曜日24日が、
クリスマスイブ。

今年の曜日周りは、
クリスマスイブ日曜、
クリスマス月曜。

今年は特にイブが商戦の中心となる。
大事なのはこの1週間です。

さて日経新聞一面コラム、
「春秋」

「身の回りから、
スーパーマーケットが消えつつある」

日経の一面コラムに、
いきなり「スーパーマーケット」が出てくる。

「そんな話を耳にしたのは25年前のことだ」

そこでコラムニストは記事を書いた。
タイトルは、
「広がる買い物砂漠」
英語で言えば「フードデザート」

それは東京の都心部にも広がる。

その結果、「買い物難民」「買い物弱者」が生まる。

どの住居からも500m以内に食料品店がある。
ヨーロッパではそんな都市再開発の例もある。

コラムの述懐。
「日本では地域も国も、
人口減を想定した政策は敗北主義であり、
とにかくまず人口を増やせという声が
大きすぎはしなかったか」

「小売店、公共交通網、
水道や道路の補修や管理と、
待ったなしの宿題は多い」

そこで小さな事例。
「生協の店舗が相乗り式の
無料送迎車を走らせるなど、
広がる”砂漠”との戦いが
各地で始まっている」

とくし丸の広がりには触れていない。
全日食チェーンの小型店も、
機能を果たしているが、
そんなことも書かれてはいない。

もちろん流通の専門家ではない。
社会部上がりのコラムニストか。

視点は「送迎サービス」に向かう。

「今の法律では有償化すれば
白タクであり違法となる」

「法律やルールは、
困っている人を減らすために
存在するはずなのだが」

市場の競争原理だけでは、
買い物砂漠の問題は解決しない。

それでもこのコラムは、
逆に有店舗小売業の存在の重要性を、
再認識させる。

そしてこの問題には、
グランドデザインが求められる。
だれが、どう、それをつくるか。

今日は夕方、東京駅。
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みずほ大手町タワー。
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向かいの大手町野村ビル。
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そして大手町プレイスタワーの、
大手町プレイス内科。

毎月の血液検査・尿検査と、
田嶼尚子先生の診察。

ヘモグロビンA1ⅽは6.6。
私の年齢では合格。
中性脂肪は153まで落ちてきて、
これも私の年齢では合格。

何とかいい状態で年を越せそうだ。
ありがたい。

検査と診察の間に外は暗くなった。
大手町プレイスタワーも、
夜景の中にある。
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この楓の木は語り始めそうだ。
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銀杏の葉は散った。
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噴水。
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再びみずほ大手町タワー。
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再び野村大手町ビル。
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そして再び東京駅。
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今日の検査と診察は、
師走の私の気分を爽快にしてくれた。
東京は砂漠ではない。

では、皆さん、今週も、
社会的な役割を強く認識して、
クリスマス商戦を楽しもう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年12月17日(日曜日)

倍賞千恵子「私の履歴書」の「細部に命が宿る」

日経新聞「私の履歴書」。
今月は倍賞千恵子さん。

先月は黒田東彦さんだった。
前日本銀行総裁。

つまらなかった。
理由はすでにこのブログで書いた。

その反動もあって、
今月はとてもいい。

その倍賞千恵子さんの第14回。
「山田組」

そう、映画「男はつらいよ」の、
山田洋次監督のチームのこと。

「人生の学校でもあった」

山田監督の言葉。
「映画を撮るとは
みんなで心と力を合わせて
一つの大きな山を登るみたいなもの」

これは店も会社も同じ。
雑誌編集部も同じ。

「主役は渥美清さんが扮する寅さん」
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「テンポの良い口上に絶妙の間合い。
軽快なアドリブも入る」

「山田監督も台本には必ずしもこだわらず、
現場から生まれた即興のセリフや演技を
とても大切にした」

店も売場も、雑誌も同じ。
台本通りでは面白くない。

「寅さんのアリア――」

倍賞。
「渥美さんが口上を始めると
情景が目の前にパァーと浮かぶ。
周囲が合いの手を入れ、
演技を重ねることで
芝居が波紋のように広がってゆく」

「演者同士で支え合い、
響き合い、張り合う。
真剣勝負のハーモニー。
気は抜けないがお芝居の醍醐味」

スーパーマーケットで言えば、
青果部門、鮮魚部門、精肉部門の生鮮三品。
そして日配部門、グロサリー部門、惣菜部門。
さらにレジ部門。

総合スーパーで言えば、
食品部門、衣料品部門、住関連部門。

ドラッグストアで言えば、
薬品部門、調剤部門、化粧品部門、
日用品部門、食品部門。

支え合い、響き合い、張り合う。
真剣勝負のハーモニー。

撮影の合間、倍賞さんは、
その口上をまねて渥美さんに、
「花咲か爺さん」を話した。

「ところが『ここ掘れワンワン』のくだりで、
プーッと吹き出し、自分の方から大笑い」

すると渥美俊一。
「あのな、さくら。
そんなんじゃ、
人は笑わねぇぞ」

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渥美の説教。

「喜劇というのは
本人が真面目な顔でやるからこそ面白い。
真剣であるほど滑稽さが増す。
本人が先に笑ってしまったら
どうしようもない」

すごい、達人。

「細部に命が宿る――」

山田監督の撮影哲学。

団子屋での撮影の場面。
店の前を自転車でエキストラが横切る。
山田監督はNGを出した。

「ちょっと、ちょっと待って。
あなた、今どこから来て、
どこに向かう人なの?」

暇を持て余しているのか、
客を待たせて急いでいるのか、
通夜帰りなのか。

どんな人にも置かれた状況があり、
感情があり、性格がある。

「たとえカメラの焦点が
寅さんやさくらに合っていても、
遠景も手を抜かず丁寧に作ることで
映像のリアルさが深まる」

売れ筋商品に顧客の視点が注がれても、
それ以外のアイテムも手を抜かず、
丁寧につくることで、
店のリアルさが深まる。

“Retail is Detail.”
サム・ウォルトンの言葉。

「小売りの神は細部に宿る」

同じだ。

「役者だけではない。
照明さん、音声さん、大道具さん、小道具さん、
衣装さん、結髪さん、メークさん……。
脚本家、プロデューサー、監督も含めて
皆が協力しないと良い映画は生まれない」

倍賞千恵子。
「そこには主役も、脇役も、裏方も、
違いはないと私は思っている」

山田洋次と渥美清、
そして倍賞千恵子。

さらに山田組のすべての面々。

いいなあ。

そんなチームをつくりたい。
そんなチームで仕事したい。

店も会社も、
雑誌も。

冬の朝ひとり言いって着がえてる
〈風天〉
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渥美の俳句、
師走にはとくに身に染みる。

赤とんぼじっとしたまま明日どうする

ありがとう、
さくらも。

〈結城義晴〉

2023年12月16日(土曜日)

札幌すすき野の「ダイイチ」と大谷翔平の「人生の意味」

札幌と言えば、
すすき野。

その交差点の商業ビル。
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ココノススキノ。
COCONO SUSUKINO 

11月30日オープン。

地下2階、地上18階。

もともとは札幌松坂屋だった。
1974年開業の百貨店。

しかし5年後の1979年には、
イトーヨーカ堂が札幌松坂屋と業務提携。
主導権はヨーカ堂に移って、
ヨークマツザカヤとなった。

私はこのころ販売革新誌にいたが、
華々しい改装オープンが誌面に載った。

その後、イトーヨーカ堂は、
米国ロビンソンと提携して、
1994年にこの店をロビンソン百貨店札幌に衣替えした。

しかし結局、百貨店としては、
売場面積が狭すぎたと思う。

当時、それはわからなかった。

2009年、 ロビンソン百貨店閉店。
それでもイトーヨーカ堂は、
この物件を所有していた。

そして「ススキノラフィラ」と呼ぶ商業ビルになった。
が、これも2020年に閉鎖。

建物を解体して、
スクラップ&ビルドし、
COCONO SUSUKINOとして再スタートした。

札幌市営地下鉄南北線すすきの駅に直結。

1〜4階に飲食店や物販店、
5〜7階にTOHOシネマズ、
7〜18階はホテルのSAPPORO STREAM HOTEL。

この地下2階に、
スーパーマーケットのダイイチが入った。

商人舎流通SuperNews。

ダイイチnews|
今秋、すすきの駅前再開発「ココノ ススキノ」に出店IMG_99423

地下1階の地下鉄側から来ると、
エスカレーターで地下2階に引き込まれる。IMG_99263

帯広主体のダイイチとしては、
札幌地区の7店目。

百貨店跡への出店は、
東京・銀座のオーケーと同じコンセプトだ。
IMG_99283
縦長の売場の入り口に青果が入り、
日配でつないで、奥に鮮魚と精肉の対面売場。
コの字型レイアウトをグロサリーでつないで、
広い惣菜売場を設けて、
青果売場の左のチェックスタンドに戻ってくる。

入り口青果の隣には、
オリジナルの「毎日手造りおはぎ」売場がある。

セブンプレミアム、セブンゴールドも、
各所にボリューム陳列される。

ダイイチの売場面積は約2000㎡。
約1万2000アイテムの品揃え。

この商圏は単身世帯が8割を占める。

都心型のアソートメントと、
即食を強化した。

売場中央の左翼壁面に、
四角くくり抜くように酒売場を設けた。
これがワインセラーのようになっていて、
とても良い。
IMG_99373

1階には「アインズ&トルぺ」ココノススキノ店。
㈱アインホールディングスのビューティー強化店舗。
IMG_99403

地下1階にはベーカリーが入っている。
「DONGURI」
IMG_99383

この店が大繁盛している。
IMG_99393
㈱どんぐりが経営する。

すすき野にはセイコーマートもある。IMG_99443

札幌からの帰りは、
新千歳空港でラーメンを食べる。

白樺山荘。
IMG_00413

味噌ラーメンに満足。IMG_00403

とてもいい札幌出張だった。

さて大谷翔平。
ドジャーズ入団が決まって、
日本中大騒ぎ。
スクリーンショット 2023-12-11 104407

朝日新聞「天声人語」は、
地元メディアが大谷を、
「ユニコーン」にたとえると報じる。

「伝説上の一角獣に、
前例のない二刀流で輝く姿が重なるのだろう」

「伝説のユニコーンは角で川や湖を浄化し、
動物たちを守ったという。
彼はこれからも野球界に新風を吹き込み、
人気を広げる力になるか」

二刀流の一角獣。
なかなかいい。

日経新聞の「春秋」

こちらが取り上げたのは、
「ジャッキー・ロビンソン」
「1947年、米ニューヨークを拠点としていた
ブルックリン・ドジャースと契約した
黒人初の大リーガーだ」
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「球場内の座席も肌の色で分けられた時代だ。
スタンドから悪口雑言が降り注ぎ、
守備につけば相手選手が足をねらって滑り込む」

「それでも卑劣な仕打ちに無言で耐え、
新人王、首位打者、最優秀選手と活躍を重ねた」

そのジャッキー・ロビンソンの言葉。
「人間の人生は、
ほかの人の人生に
少しでも意味を与えたときに、
初めて意味をもつ」

タイガー・ウッズも、
このロビンソンの言葉を座右とした。

大谷翔平も、
「勝利へのひたむきな思いと
誠実な人柄でさらなる高みをめざす」

ほかの人の人生に意味を与える。

それはベースボールプレイヤーに限らない。

人も店も会社も、
多くの人の人生に意味を与えるときに、
初めて意味を持つ。

それをしっかり意識したい。

〈結城義晴〉

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