結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年10月15日(日曜日)

マンハッタンの老舗店とトレーダー・ジョーの「シビアな戦い」

イスラエルが、
パレスチナ自治区ガザを砲撃している。

この地区を支配しているのが、
イスラム組織のハマス。

そのハマスが民間人を殺傷している。
それに対してイスラエルが報復をする。

こちらのテレビニュースでも、
トップの扱いだ。
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アメリカとイギリス、フランスは、
イスラエルを支持し、
ロシアと中国はパレスチナを支援する。

世界は二つに分かれて、
戦争や紛争は終わらない。

私たちはアメリカに来てから5日目となる。
ニューヨークは3日目だ。

今日はマンハッタンを巡る。
伝統的なスーパーマーケットと、
大人気の全国チェーンの闘い。

ブロードウェイを歩いて、
比較しながら視察する。

これも3年ぶり。
どんな変化が起こっているのか。

朝8時過ぎに、
ゼイバーズ。
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ユダヤ人のゼイバー兄弟が開いた店。
はじめは珈琲とスモークフィッシュの店だった。
それが独特の商品を増やしていって、
スーパーマーケットになった。
1店舗しかないけれど、
マンハッタンの人たちから愛されている。

入口を入るとこの対面のチーズ売場。IMG_83423

セルフサービスのチーズ売場。IMG_83433
珍しいチーズにも、
それぞれに顧客がついている。

売れるから並べる。

惣菜売場も対面方式。
ゼイバーズだけの味を提供する。
不思議なことに私たち日本人も、
とてもおいしく食べられる。IMG_83453

そして圧巻のスモークフィッシュ対面売場。IMG_83463

今日は二人の調理人。
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福島道夫さんが注文したのが、
スモークサーモンと、
ホールのスモークトラウト。
すぐに食べやすく調理してくれる。IMG_83493

いかがでしょう?
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福島さんはベーグルも20個買って、
それに合う味のクリームチーズも購入。IMG_83583
みんなに振る舞ってくれた。
食べなければわからない。
だから食べる。

パン売場も独特の味が揃う。
近くの工場から届けられる。IMG_83513

この品揃えと対面サービス。IMG_83563

一番奥が珈琲売場。
私も必ずこのコーヒーを買って帰る。
みんなにもお薦めした。IMG_83533

売場でポジショニングについてレクチャー。IMG_90733

それぞれに次の店に歩いていく。
私はゼイバーズカフェに入った。IMG_83623

先ほどのコーヒーが飲めるし、
パンやペストリーが食べられる。IMG_83633

私はコーヒーを一杯。
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歩いて5分ほどでシタレラ。
マンハッタン育ちのデリショップ。IMG_83643
デリを核商品にするけれど、
どの店も総合化していって、
スーパーマーケット形式になる。

隣接して、
フェアウェイマーケット本店。IMG_83903
マンハッタンの王者。
典型的な地元スーパーマーケット。
生鮮食品の鮮度と価格で他を圧倒していた。

そこで次々に支店を出した。
投資会社に会社を売却して、
ニュージャージーなどにも出店した。

そしてナスダックに上場した。

そこでまた多店展開を図った。

しかし郊外では、
フェアウェイの良さは発揮できなかった。

上場3年で倒産。
チャプター11を適用申請。

その後、二度目の倒産。

店頭と入口に青果のボリューム陳列。IMG_83653

通路奥のコーナーにオーガニック野菜。IMG_83673
しかしコロナ前までは、
中2階にオーガニック専用売場があった。

野菜と果物の売場からは、
ボリューム感がなくなった。IMG_83693

以前の売場はこんなにすごかった。???????????????????????????????

惣菜は対面売場で独特の味を提供する。
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チーズ売場も、
ゼイバーズに引けを取らなかったが、
それが貧弱になった。
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鮮魚と精肉売場もスペースが半減した。
この対面売場にずらりと鮮魚が並べられ、
裏側にこれでもかと精肉が品揃えされていた。

それがこちらの面に、
肉と魚が隣り合わせとなった。
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裏側にはリーチインケース。
ガッカリだ。
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中2階のオーガニック売場は、
飲料コーナーに変わった。IMG_83823

以前はすべてがオーガニック青果だった。
そしてオーガニックは毎年3割伸びていた。???????????????????????????????

変わらないのはエレベーターの写真。
ジョディ・フォスターが微笑む。IMG_83853

チェックスタンドには、
セルフレジが導入された。
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改装とは本来、店をより良くするものだ。
ところがフェアウェイは、
店の魅力を削ぐ方向で、
何度も改装が加えられた。

悲しいくらいだ。

その理由の一つが、
この店の登場だ。

5分ほど歩くと、
トレーダー・ジョー。

地下1階と地下2階の2層店舗。
地上1階と2階にはデュアンリード。
マンハッタンのドラッグストア。
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エスカレーターで地下1階に降りる。
花と乳製品から始まる。
まだ朝の9時前だ。
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それから青果部門。
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通路の真ん中にバナナの島陳列。
1本19セントの売り方は変わらない。
キングコングがバナナを持って、
エンパイヤステートビルを登るイラスト。IMG_83993

平台の青果は精肉部門の前まで広がった。
完全にフェアウェイから青果を奪っている。IMG_84013

BUTCHER SHOPは多段ケース。
すべてセンター供給だ。IMG_84023

エスカレーターで地下2階に降りると、
グロサリー売場が広がる。
全品がプライベートブランドで、
人気が高い。
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今は、パンプキンのアイテムが、
売場を席巻している。
ハロウィンを控えて、
トレーダー・ジョーの客数はさらに増える。
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冷凍食品もすべてプライベートブランド。
生鮮以上に評価が高い。
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冷凍冷蔵アイテムも、
頻繁に新製品が開発され、
強くアピールされる。
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エスカレーターで地下2階に上がる。
カート用のエスカレーターも並んで設置されている。IMG_91083

チェックスタンドからは、
朝の9時過ぎなのに、
長い行列ができている。IMG_91133

久しぶりの買物で、
私も120ドル以上買ってしまった。IMG_91123
ワイン抜きでこれだけ買うことは、
あまりない。

私はコロナ前に年間30回ほど、
トレーダー・ジョーを訪れた。
長いブランクもあって、
家のトレジョ在庫が切れた。
だから大量に買ってしまった。

ありがとう。

フェアウェイ本店が負けてしまうのも、
よく理解できる。

伝統の老舗も、
「良いものを安く」のPBにはかなわない。

地上1階のデュアンリード。
ここはコンビニエンスストア機能を果たす。
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2階が日用雑貨と化粧品。IMG_84123

そして調剤薬局。
この売場はウォルグリーンの店名。
ディアンリードが、
ウォルグリーン傘下にあるからだ。IMG_84163

そしてトレーダー・ジョーと、
デュアンリードは、
ネイバーフッド型の商業集積である。

フェアウェイの単独店は、
利便性の面でも負けている。

フェアウェイは歯を食いしばってでも、
生鮮三部門を縮小してはいけない。

鮮度と安さを追求し続けねばならない。

トレーダー・ジョーには、
生鮮の強みはないからだ。

私たちはシタレラの、
やや大型の店を訪れた。
フェアウェイの隣の店は、
2層で300坪ほどである。

こちらは1フロアで400坪くらい。IMG_84333

入口に精肉部門。
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そして圧巻の鮮魚部門。
これはトレーダー・ジョーとも戦える。IMG_49523

そしてデリ部門。
シタレラの味は他の真似を許さない。IMG_84303

しかしこの店はセルフデリの売場をつくった。
ホールフーズが開発した販売方式だ。IMG_84293
しかしそれは失敗した。
セルフデリの売場のままに、
パック商品が並んでいた。

自分の強みを忘れて、
ホールフーズの真似をしても、
顧客が離れていく原因をつくるだけだ。

青果部門はもともと狭い。
それなりに維持しているが、
全体に普通のスーパーマーケットに、
近づいてしまっている。IMG_84273

グロサリーなどは、
マンハッタンの店らしい、
密度の濃い品揃えだ。

しかし「自分の強み」を喪失した店は、
限りなく普通になっていく。
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シタレラとフェアウェイが、
そのことを示している。

ゼイバーズは絶対に方針を変えない。
ブレることがない。
1店だけだがしっかり顧客を捉える。
それがサバイバルの道だ。

自分の強み、他との違い。
それを堅持することこそ、
ポジショニングの本質である。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年10月14日(土曜日)

イータリーからウェグマンズ・リドル・S.レオナードまで。

ニューヨーク2日目。

8時にホテルを出発。
最初の視察地はバッテリーパーク。

ハドソン湾に自由の女神が見える。
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思い思いにマンハッタンの空気を吸っている。IMG_80733

それから自由の女神を背景に、
全員写真。
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今日は快晴。
その中にそびえるワールドトレードセンター。IMG_80933

 

視察の最初の店は、
アマゾンゴー。
ご存知、キャッシャーレス店舗。IMG_80873

最初はアプリがないと入店できなかった。
今、入店は自由。

商品を手に取って、店を出るときに、
クレジットカードかアマゾンゴーアプリを、
スキャンさせて、決済する。
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飲料や菓子、サンドイッチなどの、
ほんの限られた商品が並ぶ。
イートインスペースもある。IMG_43883

ホールフーズマーケットのPB「365」を品揃え。
この水はよく売れる。
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団員は菓子や飲料を手に取り、
実際に買物体験。IMG_8084.3JPG
Amazon Goはいま、
ジャストウォークアウトシステムの、
デモンストレーション店舗となった。

向かい側にあるのがイータリー。
ワールドトレードセンター4の、
3階に入居している。IMG_81313

エスカレーターを上がると、
EATALYのロゴが迎える。IMG_44063

店に入って右手に、
コンパクトな青果のセルフ売場。IMG_44103

イタリアン青果と加工食品以外は、
対面方式の売場。

チーズ売場にはさまざまなイタリアンチーズ。
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売場をつなぐ通路の壁面には、
調理器具やキッチンウエアが展開される。IMG_44313

壁面には、
イタリアの食文化の紹介パネルがある。
「学び、食べる、買う」が、
イータリーのコンセプトだ。IMG_44303

9時に訪問したので、
レストランはオープンの準備段階。IMG_81103

唯一開店していたカフェ。
エスプレッソとサンドイッチを楽しむ。
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そして9・11跡のグランドゼロに向かう。
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貿易センターのツインタワーで、
亡くなった人の名前が刻まれたプール。
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慰霊プールに手向けられた花。
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そしてターミナル駅舎のオキュラス。
設計はスペインの建築家、
サンティアゴ・カラトラバ氏。
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その屋根は毎年9月11日に、
犠牲者を追悼して開かれる。
オキュラスはラテン語の目を意味する。
年に一度、その目が開かれる。

ポーズを決めて記念撮影。
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朝の観光を兼ねた視察を終え、
一路ニュージャージー州へ。

マンハッタンを後に、
ハドソン川を越えて約1時間の移動。

その時間を車中講義にあてる。IMG_44423

そして着きました。
ショップライト。IMG_81343

ショップライトはコーペラティブチェーン。
ニュージャージー州の8つ食品店が、
1940年代に協同組合を結成した。
現在はウェイクファーンという会社が、
調達、物流を担っている。

この店は、グループの最高峰店舗だ。
入口入ると右手にファーマシーがある。IMG_45003

顧客が必要とする処方せん薬局を、
店舗奥ではなく、入口に配置した。

青果売場の導入部はバナナの島陳列。IMG_81493

果物のカラーコーディネーションは見事。IMG_8807

インストアベーカリーで、
ケーキやクッキーなどを提供。
店内加工のスイーツが充実している。
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デリカテッセンのコンセ「ボアーズヘッド」。
視察してきた店舗のなかで、
どこよりも大きな看板だ。IMG_4455

内装や装飾品で店内はきらびやかだ。IMG_8806

対面の鮮魚売場コーナー。
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売場は良く管理されている。
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そしてレジ前のハロウィンプロモーション。
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イートインスペース。
ウッドのテーブルや椅子が設けられている。IMG_82123

ショップライトのすぐそばに、
リドル。
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アルディと並ぶドイツ発のディスカウンター。
リミテッドアソートメントストア。
ドイツ小売業第1位のシュワルツグループの、
有力フォーマットだ。

2017年にアメリカに進出して、
2023年現在、約170店舗を展開する。

入口のインストアベーカリー。
1個79セントが値ごろ。
49セントや99セントのアイテムもある。
しかも「1buy 1get free」「2buy 1get free」の、
プロモーションを展開。
試食をかねて買ってみた。
おいしかった。IMG_82563

ベーカリーから青果部門につながる。IMG_4512

今週のセール品は、
赤い大きなトップパネルで訴求。
エブリデーロープライスが基本だが、
1週間ごとのハイ&ロー販促を加えている。IMG_45183

売場中央に縦に配置された平台プロモーション。
今週の新商品、売り切れ御免の特売品が並ぶ。IMG_82213

商品は100%センターからの納品。
PBの構成比は約6割程度。
アルディよりPB比率は低いが、
その分、品ぞろえは豊富だ。IMG_82313
売場面積は約800坪。
1店当たりの売上げはアルディの約4倍。

強烈な店だ。

トロイヒルズのウェグマンズ。
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ロゴの前で写真撮影。
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売場は横長の長方形。
中央に青果、
右翼がフードサービスデリと酒売場、
左翼がグロサリー。

入口の広大な青果部門。IMG_8948

単品量販の平台をセンターに配置。IMG_45853

右翼のフードサービス部門入口は、
中華、チキンなどが島ごとに配置される。IMG_45503

セルフデリコーナーでは顧客が、
設置された蓋つき容器に詰めていく。IMG_45533

サービスデリゾーンに沿って、
惣菜、鮮魚、精肉などの生鮮・準生鮮の対面売場が、
右サイドに並ぶ。IMG_45633

平オープンケースのアイスベッド上に、
鮮魚の丸物や切身が陳列される。IMG_45653

グロサリーゾーンは手を掛けずに、
ローコスト、ロープライスを提案する。
ウォルマートにも負けないマーチャンダイジング。IMG_46093

ウェグマンズのデリでランチを楽しむ。
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食べることこそ勉強である。
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このエリアのマーケットリーダーだけに、
全方位型のマーチャンダイジングで対応する。
そうしてウェグマンズは1店で、
1億ドル=140億円(1ドル140円)を売り上げる。

ニューヨーク視察2日目の最後は、
ヨンカーズのスチュー・レオナード。IMG_89503
牛乳酪農家が始めた食品小売店。
スチュー・レオナードさん。
今年亡くなった。

その店がスーパーマーケットに転換し、
顧客最優先の楽しいスポットに変わった。
そして1988年代には、
ニューヨークタイムズに、
「ディズニーランドのような店」と評された。

おなじみのポリシーロック。
右上にレオナードさんの遺影。IMG_83003
原則1 顧客はいつも正しい。
原則2 万が一、顧客が間違っていると思っても、
原則1を読み返せ。

入口のところのソフトクリーム売場で、
必ず食べます。
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売場は完全なワンウエーコントロール。
NEBセントラルマーケットも、
このスチュー・レオナードを真似た。IMG_46683

ベーカリーのケーキ、ドーナツと続く。
買物客を飽きさせない試食、試飲が、
コーナーごとに配置され、実施される。IMG_46733

オリジナルキャラクターが、
ダンスしながら、演奏しながら歌う。
子どもたちは大喜び。IMG_46983

有名なバナナ娘。
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鮮魚の対面売場。IMG_47213

エージドビーフは凄い。
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子ども連れのファミリーが、
立ち止まりたくなる仕掛けが、
売場の随所にある。IMG_47263

そしてチェックアウト。IMG_47593
しかし、スチュー・レオナードは、
どこか空しい。

レオナードさんが亡くなったからだけではない。
進化が止まってしまったからだ。
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創業者には破壊的イノベーションがあった。
それを持続的なイノベーションで、
少しずつでも進化させねばならない。

それが止まると、
店は下降線をたどる。

残念なことだが、
それが現実である。

夕食は韓国BBQ「WONJO」
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ニューヨークで大人気。
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浅野秀二先生と福島道夫さん。
今回は受講生とともに参加。

イータリーとウェグマンズ、
そしてスチュー・レオナード。
さらにショップライトとリドル。

ポジショニング戦略のトップ企業を巡った。

コーペラティブチェーンのショップライト、
コロナ禍後も大健闘している。
感動した。

リドルはアルディより強いかもしれない。

そしてスチュー・レオナードさんの逝去に合掌。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年10月13日(金曜日)

NYに移動してウェグマンズ/ホールフーズ/トレジョ訪問

商人舎US研修Specialコース。
3日目はもうニューヨークへ移動する。

朝5時45分にホテルフロントに集合して、
ダラスフォートワース空港へ向かう。

アメリカンエアライン2847便で、
ニューヨーク・ラガーディア空港までの、
約3時間半の旅。

ダラス上空は雲海。
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1時間ほど飛ぶと青空。
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ニューヨークに近づいてきた。
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そしてマンハッタンの摩天楼が見えてきた。
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無事にラガーディア空港に到着。

ニューヨーク市には2つの空港がある。
国際線のJFK空港と、
国内線専用のラガーディア空港。

マンハッタンが見える。
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2022年にターミナルの大改装が完了して、
驚くほど洗練された空港に変わった。
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バッゲージクレイム。
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噴水のオブジェ。IMG_4198

視察のための専用バスに乗り込む。IMG_4199

ニューヨーク最初の視察店舗は、
ブルックリンにあるウェグマンズ。
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2005年にはフォーチュン誌の
「最も働きがいのある企業100」で、
ナンバーワンに選ばれた。
2017年、2018年は2位。
そして2023年にも4位。
小売業ではトップの常連企業だ。

顧客に愛される店づくり。
従業員が働き甲斐を実感する会社づくり。
私たちがずっと目指してきた企業だ。

入口中央に市場のような青果部門。
右翼がフードサービスと呼ばれる惣菜売場、
左翼が冷凍食品、グロサリー、雑貨など。

店は大きく2つのゾーンに分かれる。

導入部の青果売場は巨大な農産市場だ。
鮮やかなりんごの平台が顧客を迎える。IMG_4204

青果売場を進むとチーズの対面売場。
多品種多品目多SKU。
それがマーチャンダイジングポリシーだ。
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ピンからキリまでそろえる。

青果とチーズの売場を右に折れると、
フードサービスゾーンになるが、
そのトップは精肉部門。
壁面に設けられた対面売場。
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それから鮮魚売場に続く。
部門がいずれもショップ形式で展開される。
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氷を敷いて鮮度感を出した、
対面販売コーナー。
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自慢のフードサービスゾーン。
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セルフのデリも多品種多品目。
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最後がインストアベーカリー。
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惣菜部門はカテゴリーごとに、
ショップ形式の対面方式で展開される。
寿司、惣菜、ピザなど、いずれも美味しい。
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PIZZA(ピザ)とBUZZ(コーヒーショップ)。
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左翼のグロサリーゾーンは、
「Consistent Low Prices」
一貫した低価格。
つまりエブリーデーロープライスを謳う。
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ネットスーパーにも力を入れる。
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セルフレジも導入した。
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屋外のイートインコーナー。
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ニューヨーカーたちの要望に応えて、
ウェグマンズはどんどん進化している。

次にダンボ(DUMBO)地区に移動。
ダンボはブルックリン地区で最も変貌したエリアだ。
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治安が悪かった地域は、
いまや周辺に高所得層が住む高層マンションが建ち、
多くの観光客が訪れる人気スポットとなった。

私たちも記念撮影。
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商人舎メンバー。IMG_79923

タイムアウトのフードコートでランチ。IMG_8680

ブリスケットとポークリブ、
そしてサンドイッチをシェアした。

団員たちもそれぞれオーダーして、
ランチを楽しむ。
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ランチと言っても、
午後3時になろうという時間。IMG_8682

私も山本恭広編集長も大満足。
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マンハッタンブリッジを渡って、
マンハッタン中心部へ入る。

ユニオンスクエア地区へ。
ガーデン・オブ・エデン。
東14丁目ストリート沿いに立地する、
グルメ志向型の小型スーパーマーケット。
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青果売場の見事なプレゼンテーション。
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このプレゼンテーションを見てもらうために、
訪問する。
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天井は低いが、
かごのディスプレイで変化をつけ、
圧迫感を与えない。IMG_4307

鮮魚、精肉、デリ、ベーカリーは対面販売。
ダウンタウンならではの濃密な売場。IMG_4323

さらに14丁目ストリートを徒歩で北に進むと、
ホールフーズマーケット。IMG_4352

地下1階から地上2階までの3層店舗。
コロナ禍の間に改装した。

その1階のインストアベーカリー。IMG_8710

地下1階は生鮮3部門とグロサリー。
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そして1階にあったセルフデリを、
2階にもってきた。
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2階のイートインコーナーとあわせて
フードコートのようなつくりになった。IMG_4333

アマゾン傘下に入った2017年以降、
ホールフーズの店頭は、
明らかに客数が減った。

オンライン利用者が増えたことも理由だが、
イノベーションが停滞している。IMG_4349

歩いてトレーダー・ジョーへ。IMG_8721

ニューヨーク進出1号店。

売場壁面にはユニオンスクエアが描かれる。IMG_4357

店内は夕方で混みあっている。
コの字型の動線に沿って、
レジ待ちの顧客が並ぶ。
最後尾は青果売場まで伸びる。IMG_4356
トレーダー・ジョーは、
コロナの間に10m離れたワイン店を閉鎖した。

ウォルグリーンも撤退していた。
道を挟んだフード・エンポリアムは、
ターゲットに変わっていた。

ユニオンスクエアは、
大変化を遂げていた。

コロナは時間を早めた。

ニューヨーク視察の初日。
朝5時45分に集合して移動したが、
皆、元気。
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ホテルは、
THE MANHATTAN AT TIMES SQUARE GARDEN。
タイムズスクエアに近い伝統のホテルだ。

今日から3日間、ここを拠点に店を巡る。
ニューヨークでは夕食は各自。
自分で調べて食べ歩く。
これも学習になる。

浅野秀二さんと福島道夫さん、
事務局は「秀ちゃんラーメン」で夕食。IMG_4367

私はビールと味噌ラーメン。
疲れ切っていたが、
おいしかった。

ウェグマンズ、ホールフーズ、
トレーダー・ジョー。

イノベーションなき者は、
滅びる。

彼らとて例外ではない。
(つづきます)

〈結城義晴〉

 

2023年10月12日(木曜日)

Special2日目/ダラス都市圏の選りすぐり10店舗を駆け巡る


コロナは時間を早めた。

ダラスでそれを再確認した。

商人舎US研修会スペシャルコース2日目。

ホテル内のミーティングルームで、
早朝セミナーを開催。IMG_3568

朝8時から10時まで2時間の講義。IMG_8273

370ページ2分冊のテキストを使って、
一気に講義する。
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アメリカ視察の基礎知識と戦略的な話を中心に講義した。

ホテルでの講義が終わると、
視察スタート。
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しかしバスの中でも1日中、講義は続く。
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最初の視察はダラス市内、
クローガー。
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周囲にはマンションや戸建てが並ぶ。
競合店はトムサムとホールフーズ。

アシスタントマネジャーのチェースさんが、
インタビューに応じてくれた。
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34歳だが、17年間、クローガーに勤務する。
つまりは17歳の高校生の時から、
クローガー一筋に働く。
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この店の客単価は約35ドル。
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通常店より低いが、足元商圏が厚いため、
来店頻度は高い。

2番目も市内の店。
トムサム。
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セーフウェイに買収され、
そのセーフウェイがアルバートソンと経営統合。
さらにそのアルバートソンが今、
クローガーに買収されようとしている。
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売場は整っているし、一定の客数はある。
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だがコンベンショナル型スーパーマーケットで、
「時代遅れ感」が漂う。
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プライスカードは二重価格になっている。
クラブカード会員には割引特典がある。
顧客を囲い込み作戦だが、
売価の二重表記は顧客の信頼をなくす。
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トムサムの入るショッピングセンターに、
ダイソーが出店する。
アメリカでは1ドル75セントで売る。
ダラーストアの1.5倍の売価の店だが、
人気だ。
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3番目は、
ホールフーズマーケット。
オーガニックスーパーマーケットのトップランナー。
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2017年にアマゾン・コムの傘下に入った。
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店舗内外装の洗練されたデザインは、
マーチャンダイジングと相まって、
十二分にポジショニングの要件を満たす。
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2階のレストスペースから売場を望む。
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アマゾン傘下に入って、
ネット販売の構成比が増えた。IMG_8376

そのため客数は低下して、
やや賑わい感を喪失した。
生鮮部門など店頭の在庫も減った。

それでもホールフーズのグロサラントは健在だ。
IMG_8367

ネット顧客は大喜びで、
売上げは上がっているはずだ。

4番目はホールフーズと競う、
H.E.Bセントラルマーケット。
都市型のアップスケールタイプの大型店。
売場面積は2000坪。
IMG_3858

H.E.Bはこのフォーマットを現在、
10店舗展開する。
IMG_8437

ワンウェイコントロール方式を採用していて、
全部門・全売場に顧客を誘導する。
IMG_3747

そのトップは圧倒的な青果売場。
売上高構成比は約15%くらいにはなるだろう。
IMG_8390

精肉、鮮魚売場は主通路の両サイドで展開。
IMG_8400

そしてリカー売場、グロサリー売場、
乳製品売場などを巡る。IMG_8406

そしてベーカリー売場に到着すると、
広々とした空間に、
焼き立てパンの香りが漂う。
強力なマグネット売場だ。
IMG_8416

このセントラルマーケットには、
購買したアイテムを食べるフードコートがある。
そこで今日のランチ。
IMG_8422

美味い昼食で、みんな満足げだ。
IMG_8443

5番目は、
ウォルマート・マーケット。

1998年に開発されたスーパーマーケットだ。
「ネイバーフッドマーケット」と、
ネーミングされたが、
今、「ウォルマート・マーケット」に変更中。
IMG_8446

青果売場は平台1基に1アイテムの品揃え。
つまり単品量販。
それはスーパーセンターと変わらない。
平台側面の価格表示は実にわかりやすい。IMG_3866

売場最終コーナーの主通路には、
ハロウィンをテーマにした島陳列が続く。
「アクション・アレー」と呼ばれる。
強力な磁石であり、売上げへの貢献度は高い。IMG_3884

さらにハロウィンのプロモーションコーナー。
IMG_8450

このウォルマート・マーケットも、
オンライン販売の基地になっている。

そして6番目は期待の店。
トレーダー・ジョー。
例外なく、どの店も大人気を博している。IMG_3927

店内に一歩入ると、
ひと目でトレーダー・ジョーとわかる店づくり。
IMG_8455

壁面上部のディスプレーは、
ハロウィン仕様となっている。IMG_3899

エンドにはパンプキン(かぼちゃ)がらみの商品が並ぶ。
IMG_3910

商品はすべてセンターから供給される。
つまり全店共通。
IMG_8457

だがプレゼンテーションは、
各店舗が独自に企画し、展開する。

デモンストレーションも復活した。
IMG_8456

280坪の店舗が今、
ハロウィン一色。
試食も復活。
それがトレーダー・ジョーの、
他社にない楽しさとなる。

7番目は、
ウィンコフーズ。
店舗面積7500㎡の倉庫型スーパーマーケット。
スーパーウェアハウスストアと呼ばれる。
IMG_8460

スケルトンタイプの天井、
ノンフリルの店づくりに徹する。
つまり低投資。
その上でディスカウントに挑戦する。
IMG_8468

店舗に入るとすぐに、
ウォール・オブ・バリュー。
つまり価値ある壁。IMG_3932

高いラック什器に、
競争価格のアイテムが連続して陳列される。
これはエンドが並んだ壁である。IMG_3934

そしてこれでもかと、
価格比較広告POPが付けられている。
IMG_8465

ナショナルブランドアイテムに関して、
ウォルマートはいくら、
クローガーはいくら、
HEBはいくら。
ウィンコはいくらで、
これだけ節約になる。
そんな比較広告だ。

カートを使って価格比較をしている。
同じ品目がカートに詰められていて、
ウォルマート(左)はいくら、
HEB(中)はいくら、
ウィンコフーズ(右)はいくら、と比較する。
IMG_7765

ウィンコは24時間営業で、
決済は現金かデビットカード。
クレジットカードは使えない。

低コストを武器にした安さづくりによって、
価格差を生み出す。
IMG_8472

売上げ規模は70倍のウォルマートとも、
互角の戦いを展開する。
IMG_8474

それがウィンコのポジショニングである。

8番目は、
クローガーマーケットプレイス。
道路を挟んでH.E.Bの新店と対峙する。IMG_4036
クローガーの非食品強化タイプの大型店だ。

フットボールのダラスカウボーイズは、
この地域で大人気のチームだ。
そのカウボーイズを応援するディスプレイ。

メジャーベースボールは、
テキサスレンジャース。
そのレンジャーズは地区優勝を果たした。
しかしアメフトのほうが人気がある。
だからクローガーはカウボーイズ推しだ。
それが売場全体に出ている。
顧客もそれに共感している。IMG_4023

非食品の中では、
自社アパレルの強化に努める。
まだ改良の余地は大いにある。
しかし隣接した化粧品の売場とともに、
女性客をターゲティングして、
クローガーのマーケティング姿勢を鮮明に出している。
IMG_3986
ウォルマートは全客層を狙う。
そして男性客も多い。

対してクローガーは、
女性客に集中する。

マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーの闘いである。

そこに割って入るのが、
9番目の訪問店H.E.Bだ。
そのフード&ドラッグ。
1週間前にオープンしたばかりの最新店である。
ダラス・フォートワース商勢圏の4号店。
クローガーと至近で競合する。
IMG_8482

店舗右手の入口には、
ファストフードレストランのBBQ。
IMG_8552

店内で加工・調理した肉料理を提供する。
新店では常設となっている。
IMG_8557

サンアントニオ都市圏に本拠を構えるH.E.Bは、
本拠地で5割のシェアを誇る。

そのH.E.Bがオースティン都市圏を制圧し、
ヒューストン都市圏では三つ巴の闘いを展開する。

そしてコロナ禍が明けた2022年、2023年と、
ダラス・フォートワース都市圏への侵入を図る。
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コロナは時間を早める。

H.E.Bの経営スピードは、
確かに早まっている。

精肉の牛肉売場は3つの強みを強調する。
⑴WAGYU(和牛)
⑵プライムビーフ
⑶グラスフェッド(放牧牛)
IMG_4084
地元テキサス州のチェーンストアだから、
精肉のベンダーとの絆が強い。
そのH.E.Bの強みを明確にした訴求だ。
IMG_8509

ウォルマートにもクローガーにも、
真似ができないポジショニングである。

壁面上部にそれが、
メッセージとして告知されている。
「NO STORE SELLS MORE TEXAS BEEF」
私たち以上にテキサスビーフを打っている店はない!IMG_4090

コロナ禍はH.E.Bを変えた。
強みを磨き続ければ、
ローカルチェーンやリージョナルチェーンも、
ウォルマート、クローガーを凌ぐことができる。
IMG_8495

それによって強みはさらに磨かれて、
次の新店に活かされる。

移動バスの車中講義でも、
そのことを強調した。
IMG_4134
外は真っ暗。
視察時間は延長したが、
成果は実に大きかった。

ここで参加者に、
視察の感想を話してもらう。

㈱関西スーパーの出原健二さん。
「H.E.Bはファミリー層をよくつかんでいる。
エンドやPOPにそれがよく表現されている。
来店客と売場がマッチしている」IMG_4144

最後に10番目の視察店はホテルの近隣。
スプラウツファーマーズマーケット。
オーガニックスーパーマーケットで、
ホールフーズとトレーダー・ジョーを急追する、
三番手として躍進してきた。IMG_4154

フロアレイアウトがユニークだ。
青果部門とバルク売場が、
店の中央をレジに向かって、
縦に貫通している。
IMG_8560

精肉やデリカテッセン、ベーカリー、
乳製品、グロサリー、サプリメントなどは、
両サイドに配置されている。
IMG_8572

定石を外した変則的な店で栗だが、
大型の八百屋だと考えると合点がいく。IMG_4166
この店も他との違いを追求している。
模倣する者は衰退する。
それがアメリカの闘いだ。

20時半にホテルに到着。

今夜の夕食は各自自由行動。

私たち事務局は、
視察店舗で購入した食材を試食しつつ、
とびきりのワインをいただく。

調理をリードするのは、
ご存知、福島道夫さん。

H.E.Bセントラルマーケットでは、
豚骨付きももスライスを購入。
これが絶品。

トレーダー・ジョーのトルティーヤも旨かった。

ワインはOverture。
これはナパのオーパスワンのワイナリーで、
福島さんが直接購入してきた。
IMG_7926

福島さんも今回の参加者で、
サンフランシスコに先乗りし、
ダラスで合流した。

見事な包丁さばきで手際よく切り分けてくれた。IMG_4188

商人舎スペシャルコースは、
参加者に、自分で考えることを求める。

そのための情報を十分に提供する。
そして選りすぐりの店舗を次々に訪れる。

重要な企業の店は、
複数回訪れる。

全員が「アメリカ通」になる。
そのうえで、
自分の目で見て、
自分の耳で聞いて、
自分の頭で考える知識商人を目指す。

収穫は大きかった。
3年ぶりにダラスに来てよかった。
本当にそう思った。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年10月11日(水曜日)

Specialコース・ダラス初日のウォルマート・HEB・クローガー

JL012便で羽田からダラスへ。
テキサス上空では朝焼け。
IMG_81623

ダラス・フォートワース国際空港へ向けて、
降下が始まる。
IMG_81663

アメリカ合衆国南部のハブ空港。IMG_74003

セブン-イレブンが出店している。
このダラスに本部がある。IMG_73993

小型バスが待ち受けてくれていた。IMG_3259
これが快適。

バスに乗るとすぐに、
車中講義を始める。
IMG_3267

空港の入国審査が思いのほか、
スムーズだった。
予定よりも1時間ほど早い出発。

そこで、少しだけ寄り道。
アーリントンのAT&Tスタジアム。
多目的スタジアムだ。
NFLのダラス・カウボーイズの本拠地。IMG_3272

全員で記念撮影。
IMG_8170-1

次いで隣のグローブライフ・フィールド。
屋根付き野球場。
MLBのテキサス・レンジャーズの本拠地。IMG_3273

ここでも記念撮影。
IMG_81773

さらにスタジアムの近隣のウォルマートを急きょ視察。
スーパーセンターだ。IMG_3281

そして午前10時半、
今日一番で訪問する予定だった
インアンドアウト。
カリフォルニア出身ハンバーガーチェーン。
この店ではオペレーションを見学しつつ、
ブランチ。
IMG_3283

お勧めは、
ハンバーガーとフレンチフライと、
ドリンクバーのセット。
セットの基本メニューは、
ダブルバーガー、
チーズバーガー、
ハンバーガーの3種類。

チーズバーガーであれば、
「ナンバー2プリーズ」で通じる。IMG_3284

向かったのがバールソン地区。
そのウォルマートスーパーセンター。
ウォルマートの中核フォーマットだ。
1店当たり約1億ドルを稼ぐ。walmart

店内レイアウトは左サイドが主動線に沿って、
青果、インストアベーカリー、ミート、デアリー、
そしてセンターに飲料や加工食品の食品ゾーン。
右翼は非食品で、衣料、住関連、最後に ドラッグ。
さらに園芸やアウトドア。
この店は左回りだ。
IMG_3297

来店客以上に目立ったのが
青のベストを着用したピックアップスタッフ。
この時間帯で店内に20人ぐらいはいた。IMG_3301

冷凍食品売場。
リーチイン3枚にスナック3アイテムが並ぶ。
価格は1ドル7セントと3ドル74セントの2つ。IMG_3307

続いて、
H.E.Bプラス。

HEBの2022年10月期は、
346店舗で売上高368億ドル。
テキサス州と一部メキシコに出店する
ローカルスーパーマーケット。

テキサス州には4つの大都市圏がある。
ダラス、サンアントニオ、オースティン、
そしてヒューストン。IMG_3412
それぞれの大都市圏に商勢圏を築く。
だからリージョナルチェーンと考えてもいい。

店舗の左サイドにカーブサイドピックアップ。
オンライン対応でも競合は激しい。
それはウォルマートであり、
クローガーである。IMG_3410

HEBの圧倒的な青果売場。
地方チェーンのモデルである。IMG_3347

「MEAL SIMPLE」のコーナー。
オードブルメニュー、メインのミールメニュー、
イタリアンメニューなど
オーブン調理のミールキットが並ぶ。IMG_3377

H.E.Bプラスはウォルマート対策のために、
非食品売場をプラスしたフォーマットだ。
ドラッグ、ペットなどの部門がゾーニングされている。IMG_3396
店全体に活気があって、
ウォルマートを凌ぐ競争力をもつ。

次いでターゲット。
ウォルマートと同じビジネスモデルの企業。
ディスカウントストアの二番手チェーン。
H.E.Bプラスと道路を隔てたショッピングセンターに出店。IMG_3414

アパレルのプレゼンテーションは秀逸。
変化をつけたマネキンディスプレー。IMG_3417

ターゲットのコーポレートカラーは赤。
青を基調とするウォルマートとの違いを出す。IMG_3423

さらに車で3分のところに、
クローガーマーケットプレイス。
全米最大のスーパーマーケット、
クローガーの大型店。
ダラスでは約17%のシェアをもつ。IMG_3493

デリカテッセンは本来、加工肉とチーズのことだ。
「ボアーズヘッド」はデリカテッセンのトップブランド。
クローガーでは対面売場とリーチインケースで展開する。IMG_3466

非食品コーナーでは
ハロウィンのプロモーションがひときわ目立つ。
ハロウィンはアメリカでは最大規模の催事だ。IMG_3490

この激戦区のアルディ。
ドイツ発のボックスストア。
アメリカで約2800店に達した。
売場面積250坪に1500SKUを展開する。IMG_3494

4年ぶりに訪れたが、
大規模な改装がなされている。IMG_3495

アルディの特徴は、
シェルフレディ・マーチャンダイズ。
品目ごとにケース単位で納品、陳列される。IMG_3509

トラベル店長に急きょ、インタビュー。

アマゾンで6カ月勤務後、
アルディに就職。
まだ入社2カ月の24歳。

それでも店舗は粛々と運営される。
アルディの運営レベルの高さが出ている。
しかも彼は6~7店舗を統括する。IMG_3527

視察の締めくくりはクイックトリップ。
米国のセブン-イレブンがベンチマークする、
優秀なコンビニチェーン。
働きがいのあるランキング100社に入ったこともある。IMG_3548

名物はホットドッググリル。
顧客は店内の中央に配置されたグリルから、
ソーセージをとってその具材をパンで挟む。
これがうまい。
これを目当てにする来店客が多い。IMG_3547

視察を終えて、ホテルにチェックイン。
そして夕食会場のアウトバックステーキハウスへ。IMG_3549

アンガス牛のテンダーロインとリブの部位。
そのステーキと野菜やポテトの付け合わせ。
ビールを楽しむ。
IMG_75273

締めのデザートを堪能。
腹も落ち着いたところで皆さん満足。IMG_3563

テレビではスポーツ中継。
その一つがメジャーリーグ。
テキサス・レンジャーズが、
ボルチモア・オリオールズを7対1で破って、
地区シリーズ優勝。
IMG_75293
シャンパンかけが行われた。

最後にレンゴー㈱の木村友美さんとツーショット。IMG_75303

日本の羽田からアメリカのダラスまで、
長いながい一日が無事に終わった。

そして藤井聡太が永瀬拓也を、
大逆転で破って王座位を獲得。

八冠を達成した。IMG_7547
弱冠21歳。

史上初の偉業だけれど、
藤井は満足していないようだった。

それはこの将棋が、
藤井にとって不出来だったからだ。

大逆転ということは、
終盤までが悪かったことを意味する。

まだまだ精進しますというコメントに、
それが現われていた。

私たちもまだまだ精進しなければならない。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年10月10日(火曜日)

商人舎10月号の発刊とダラス・ニューヨークへの出発

月刊商人舎10月号、
本日発刊。
202310_coverpage

巻頭には、
[商人舎15周年記念セミナー5時間の再録]
「トレード・オン」が日本を救う
石原靖博先生、島田陽介先生。
ともに87歳。
それから鈴木哲男さんと結城義晴。
202310_seminar

最初で最後のレジェンドセミナー。
エッセンスを再録しました。

それから久しぶりにロピアの特集。
ロピアの「点と面」作戦
九州と東北の「飛び火」商勢圏づくりを可能とするもの

従来のチェーンストアでは否定された、
「飛び火出店」。

ロピアはそれを断行した。
ヨドバシカメラとコラボして、
福岡と仙台の店舗へ出店した。

ターミナル型の仙台ヨドバシ店。
202310_lopia-sendai-1

生活圏型の東京・稲城市の若葉台店。
202310_lopia-wakabadai-7

両店のスタディをもとに、
ロピアの「点と線と面」の作戦を考察する。

これはよく読んでください。

結論は[あとがき]に。

その10月号の目次。
202310_contents

今月号は雑誌の巻末に特別企画。
今度の年末商戦は違う!!
202310_kibun1-600x274
実務記事です。
ご愛読をお願いします。

さて今日は朝7時前に家を出て、
車で羽田空港国際線へ向かう。
IMG_73643

朝の渋滞にちょっと引っかかったが、
それも想定の内。
7時45分に第3ターミナルに到着。
IMG_73663

みんながチェックインすると、
部屋を借りて朝の事前講義。IMG_7387

今回も事前テキストとメインテキストを用意した。
事前テキストは200ページほど。
あらかじめ目を通したり、
読んだりしてもらう。
つまり研修の予習。

その事前テキストの確認。
IMG_7389

10時間のフライトで、
ダラスに到着したら、
すぐに視察を始める。

だからこのスペシャルコースの目的と、
予備知識を確認しておかねばならない。IMG_81563

ついつい力が入って、
話が長くなる。
IMG_7388

それでもみんな真剣に聴いてくれた。IMG_7390
COVID-19パンデミックによって、
アメリカのチェーンストアは、
大きく変わった。

一番激しく変わったのが、
ウォルマート、
そしてクローガー。

ウォルマートは、
オムニチャネルリテーラーに変貌した。
スーパーマーケット1位のクローガーは、
2位のアルバートソンを買収する。

図体の大きな企業は変わるのが難しい。
しかしその大チェーンが変わった。
IMG_7391
これは凄いことだ。

我々が学ぶものは何か。
最後にそれを話した。IMG_7393

もっともっと話したかったが、
ほぼ1時間で終わらせた。

講義が終わると、
出発ゲートの前で、
写真撮影。IMG_81583
では行ってきます。

チェックインすると、
私は桜ラウンジへ。

いつもの特性カレーライスと、
一番搾りの生ビール。
サラダとオニオンスープ。
IMG_73683
フライト直前のいつもの食事。
満足。

111ゲートから乗り込む。
IMG_73813

大谷翔平が送りだしてくれる。IMG_73823

JL012便。
IMG_73803
よろしくお願いします。

私自身が、
虫の目、鳥の目、魚の目で、
アメリカを見てきます。

頑張ります。

〈結城義晴〉

2023年10月09日(月曜日)

ノーベル平和賞受賞ナルゲス・モハマディの「地平線と未来」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㊶]

2023年第41週。
10月第2週。

今日の月曜日は、
ハッピーマンデー制度で、
スポーツの日の祝日。

しかし全国的に曇天で、
太平洋岸と関西は雨。

昨日、スポーツをしたので、
今日は休養。

急ぐ原稿執筆はない。
いや、『チェーンストア』後編は、
もう執筆日程も決めた。

そのプレッシャーはいつもある。

COVID-19パンデミックが始まって、
世界中が閉塞された状態になった。

私も講演の仕事など、
ほとんどなくなった。
取材やインタビューもできなかった。
雑誌は発刊し続けたけれど。

そこで本を書くことを決意した。

2020年から構想して2021年4月に、
『コロナは時間を早める』を書いた。

2022年はちょっと一休みのつもりだったが、
出版社からの要請があって書き直した。
新装版『店長のためのやさしいドラッカー講座』

そして今年2023年9月に、
商人舎15周年に向けて、
『チェーンストア――産業ビジョン』を上梓し、
2024年のはじめに、
『チェーンストア――戦略マネジメント』を刊行する。

本当にありがたいことだ。

本を書く環境、本を出す状態。
読者の皆さんの反響。

それが私の周辺にある。

ありがたい。

この気持ちを忘れてはいけない。

明日から、
ダラス・ニューヨークを訪れる。
202309_ranking

最も発展しているエリアがダラス。
最も尖がっているスポットがニューヨーク。
その両地域を一気に駆け巡る。

モチベーションは上がる。
イマジネーションは広がる。
そしてイノベーションのヒントは数多。

その「ニューヨークタイムズ」
10月6日の記事。

今年のノーベル平和賞受賞者を記事にした。
ナルゲス・モハマディさん。
〈ノルウェー・ノーベル委員会〉
mohamadhi

イランで最も著名な人権活動家。
女性の権利を主張して、
政府の弾圧と戦ってきた。

彼女は現在、テヘランのエヴィン刑務所で、
懲役10年の刑を受けて服役している。
「反国家プロパガンダを広めた罪」

51歳のモハマディさん。
刑務所内からもイラン政府を、
率直に批判してきた。

そのモハマディさんの、
ニューヨークタイムズへの書面声明。
「私の人権擁護活動に対する
世界的な支持と評価のおかげで、
私はより決心し、責任感が増し、
情熱が増し、希望が持てるようになった」

「私はまた、この認識によって
イラン国民が変化を求めて抗議活動を
より強力かつ組織化することを願っています」

「勝利は近づいています」

モハマディさんの夫タギ・ラフマニさんと、
16歳の双子の子供アリさんとキアナさんは、
フランスに亡命中。
彼女は8年間子供たちに会っていない。

夫のラフマニさん。
「これは、不当な法律が存在する社会で
何十年もイランの変化を求めて闘ってきた
すべての人権活動家にとっての賞でもある」

イラン人女性はこれで2人、
ノーベル平和賞を受賞した。

一人目は人権弁護士シリン・エバディさん。
モハマディさんの長年の指導者だ。

モハマディさんは1972年、
イラン中部の都市ザンジャーンで、
中産階級の家庭に生まれた。

イランのガズヴィーンの大学で物理学を学び、
そこですぐに活動に参加し始めた。

イランの知識界で著名な夫とは、
夫が教える地下授業に参加したときに出会った。

夫婦は結婚生活のほとんどを、
刑務所に出入りすることで過ごしている。

今年初めの英国紙タイムズのインタビュー。
モハマディさんが語る。
「刑務所の壁が高くて近くて
視界を遮っているにもかかわらず、
私は地平線と未来に
目を向け続けなければ
なりません」

どんなに壁が高くても、
地平線と未来に目を向ける。
そうしなければ、
生きてはいられない。

私たちもそれをしよう。

ニューヨークが、ダラスが、
私たちを待っている。

私たちも地平線と未来に目を向けよう。
そうしなければ、
生きてはいられない。

では、みなさん、今週も、
地平線と未来に目を向けよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

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