結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年02月08日(水曜日)

米国FRBの物価目標正式導入と震災後のゼロベース計画づくり

明日からアメリカ・北カリフォルニア。
サンフランシスコとサクラメント。

特別の準備をするわけではない。

朝、トランクに1週間分の着るものと薬、
本を数冊、パソコンがらみの備品を詰め込んで、
ただ出かけるだけ。

渥美清演じる「フーテンの寅」ではないが、
気分はふらりと出かける感じ。

ポール・サイモンの「ホームワード・バウンド」。
I’m sittin’ in the railway station.
Got a ticket for my destination.
On a tour of one-night-stands
my suitcase and guitar in hand.

最後の「スーツケースとギターを持って」、
ここがいい。
そして「家に帰りたい」
“Homeward Bound”
ポール・サイモンはつぶやく。

私の場合も、そんな心持ち。
でなければ、1年に7回も8回も、
海外には出られない。

もちろん講義テキストなどは、
万端整えてある。

いつも、引っかかるのは、原稿。
今回は、それも仕上げてある。

立教大学は入試で、私は春休み。
採点して成績をつける仕事が、
わずかに残っているが。

それでも、穏やかな気分で、
かの地に発つ。

そのアメリカの中央銀行の機能。
Federal Reserve Board(FRB)、
「米連邦準備理事会」と称する。

今朝の日経新聞コラム『大機小機』で、
コラムニストのカトー氏が取り上げた。
ちなみにこのコラムニストの名まえは、
加藤さんだと思うが、
ペンネームの「カトー」は、
共和制ローマ時代の政治家。
あのユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)より前の人。
本名マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス。
清廉な人柄で、ズバリと言い切る弁舌で著名。

そのカトーをペンネームにするコラムニスト。
日本銀行をやり玉に挙げた。

FRBが1月25日、
「長期目標と政策戦略」と題する声明を発し、
「物価目標を正式に導入」。
「物価目標」とはインフレ・ターゲット政策のこと。

「第1に、個人消費支出物価指数でみて
インフレ率2%がゴールである」
この2%のゴールが明確にされている。

「第2に、その前提として
長期的に物価を決めるのは金融政策である」
これも明言。

「第3に、目標値については、
下限値を1%とする」

「消費者物価指数の数値が大きくなる上方バイアスと、
デフレに陥るリスクを考慮して」いる。

そのうえで、FRBは実績を出している。

「FRBはこの10年間のうち7割近くの期間、
インフレ率を2%近傍に収めている」

さらに「米株価はリーマン・ショック前の水準に戻り、
失業率は8.3%まで下がってきた」

批判の急先鋒ポール・クルーグマン教授も、
今回の決定は「正しい方向への一歩」として評価。

それに対して日本銀行。
日本でも、「事実上のインフレ目標」が採用されている。
「FRBとの差はないという立場だ」。
その説明は、「インフレターゲットの長所を取り込み、
短所を除いたより進化した仕組み」。

しかし、コラムニストはカトー並みに怒る。
「日銀が、今回のFRBのような分かりやすい声明を
発表したことはない。
私は、日銀が物価は長期的には金融政策で決まると
明言したことを知らない」

「日銀が『事実上』採用しているという目標値は
下限がゼロであり、
デフレに陥りやすい」

最後に、「日銀の実績は劣っている」。

企業経営や店舗運営に関しても、
目標と根拠が明示されねば、
実績は上がっていかない。

この道筋を通らねばならない。

そもそも目標や根拠が明示されなければ、
それに対する真実の実績すら判明はしない。

今週月曜日2月6日の日経MJ「底流を読む」。
日本経済新聞消費産業部次長・白鳥和生さんの記事。

「ゼロベースで考える」

「東日本大震災の影響を受け、
今年は『前年比』で物事や状況を分析したり、
考えたりするのが難しい1年でもある」

実務的には、まったくその通りだ。
予算を組むにも計画を立てるにも、
昨年は参考にできないし、比較できない。

では「一昨年を参考にし、比較すればいいのでは」。
これもありそうな考え方。
しかし白鳥さんは言う。
「一般的基準が通用しない年だからこそ
ゼロベースで経営を見直す機会にすべきではないか」

私もこの考え方を採用する。
東日本大震災のあるなしにかかわらず、
消費税増税論議にかかわらず、
ゼロベースで計画をつくること。

故渥美俊一先生は、言い切った。
「急速成長のためには
前年対比は役に立たない」。

「前年対比」を基準に仕事をし始めた途端、
「急速」な成長が視野の中から消える。

「低調」な成長を計画しているからこそ、
「前年対比」を指標としてしまう。

しかり。

「消費税率の引き上げが迫りつつあり、
東日本大震災によって
明らかに消費者の価値観は変わった」

「前年比でいくらプラスだったとか
マイナスだったとかで一喜一憂することなく、
優良企業をベンチマークし、
現行の組織や作業システム、
取引の在り方を見直す姿勢を求めたい」
白鳥さんの提案も明快だ。

それでも業界全体、産業全体で、
日経新聞もマスコミも、私自身も、
「前年対比」で事を論じる場合が多い。

しかし自分の会社だけは、
自分の店や自分の部署だけは、
ゼロベースで計画を立ててみる。
いかがだろう。

東日本大震災を「良い機会」とする。
今年は、絶好の、その機会である。

米国FRBの3つの方針。
①「インフレ・ターゲット2%がゴール」
②「下限値は1%」
③「長期的物価を決めるのは金融政策」

ゼロベースでのアクション計画には、
分かりやすくて、明確な目標が必須である。

<結城義晴>


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