結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年08月28日(土曜日)

鳩山由紀夫の「愛と心の政治」と結城義晴の「西友社員への手紙」

鳩山由紀夫の言葉づかいには、
いつも勉強させられる。
反面教師として。

昨日、モスクワにて発言。
時事通信の記者が伝えている。

菅直人首相のここ数カ月の政策の評価。
「友愛の政治は十分に見えない」

一方、小沢一郎前幹事長への感想。
「心の政治に力点があるのかなと思っている」

愛と心の政治。
彼が目指すものは、
うーん、まったく、よく解らない。
首相を退いてから、また一段と解読不能になった。
しかし、これが民主党と日本の行く末を左右している。

朝夕は、ずいぶん凌ぎやすくなってきた。
十分に夏の終わりを感じさせてくれます。

商人舎の横を流れる新田間川(あらたまがわ)。

dscn2211.JPG
横浜駅の横を流れて、南の方角へ向かう。

dscn2209.JPG

「愛と心」
感じられませんか、この風景。

さて、パソコンに残っている資料を整理していたら、
面白い原稿が出てきた。

2004年2月に書いた原稿。
私は㈱商業界社長だった。
『販売革新』の巻頭言「Editor’s Voice」に書いたものだ。
確か編集長は矢作勉君だったと思う。

「Editor’s Voice」は、『販売革新』誌の看板コラムで、
昭和38年発刊当初は当時の倉本初夫社長が書き、
その後は歴代編集長が書いた。
今の同誌では、巻頭言を編集責任当事者が書くことはない。
2004年当時は、発刊のときに戻って、
社長の私が書いていた。

記事は、ウォルマートに買収された西友の、
中堅社員から私宛に寄せられた手紙に、
「手紙で答える形式」となっている。

「西友社員への手紙」

前略 お手紙拝見しました。

このたびのアクションプランの件、
あなたのお手紙で詳しく知ることが出来ました。

大変なことが西友の中で起こっている。
その大変さを痛感しました。
ウォルマートのやり方は、
日本人にはどうにも理解できないことかもしれません。
けれどもそのウォルマートに、事実上、
西友が買収されてしまったというのも、覆せないことです。
あなたが、その西友に属していることも。

率直に聞きます。
あなたは今、激しく変わろうとしている西友の社風が好きですか。
今後変わっていくだろう西友の組織文化が。
やがてウォルマートと名前を変える西友での仕事が。

好きなのだとしたら、少しでも好ましいと思えるのなら、
しがみついてでも残って頑張ってください。
応援します。

仲間の何人かは、去ってゆくかもしれません。
でも、あなた自身がどうかをまず考えてみてください。

もし、嫌だなと思うのなら、これから生きる道はいくらでもあります。
こちらの場合にも私は応援します。

こんな時にダーウインを持ち出すのは、何だか気が引けますが、
彼は『種の起源』の中でこう書いています。
有名な言葉です。
「最も強い者が生き残ったのではない。
最も賢いものが生き残ったのでもない。
最も環境に順応したものが生き残ったのだ」

これを、企業社会に移し変えると、
会社や店の生き残りだけではなく、
むしろ組織の中で働く人間そのものに当てはめられるのです。
すなわちあなたが、新しい西友の環境に順応できるか否か。
それこそが、あなたにとって一番大事なことだと思います。

食うためにそんなことは言っていられない、という人は、
いやでも順応しなければならない。
理不尽なやり方だ、というのなら、労働組合の仕事となる。

しかしあなたに、新しい環境を拒否する気持ちがあるのなら、
西友を去るのもやむなし、ということになります。

私は、全国の流通業の経営者たちに公言しています。
「今こそ人材採用のチャンスですよ」と。
「西友を退職する人たちの中には、
優秀で、意欲あふれる人材がたくさんいますよ」と。

私は、一人ひとりの人間は、実は、強いのだと信じています。
あなたも。
だから、必ず、環境に適応することが出来ます。
むしろ組織こそ、環境順応が難しい。

あなたが西友に残るとしたら、ウォルマート資本の西友そのものを、
この日本の消費マーケットに、
環境適応させることの先頭に立つくらいの意志を持ってほしい。

ダーウインは、こう続けます。
「生存競争は、最も近い種の間で、最も激しい。
同じ餌をめぐって闘うからだ。
ここでは、ごく小さな違いが生存のための決定的要素となる」

ウォルマートと西友は、
この微差の生存競争を拒否しようと考えています。
経費率が圧倒的に低い差異性のある流通企業をつくろうとしています。
その経費構造が日本のマーケットに環境適応するか否かは、
それこそ歴史が証明することになります。

あなたは、この差異性のある企業づくりに、意欲を感じられるのか。
結局は、この点に集約されるのだと思います。
なぜなら、他の企業群は、ウォルマートの側から見たら、
「ごく小さな違いを生存のための決定的要素」と考えている者ばかりだからです。
もしかしたらあなたも、ごく小さな違いにこだわっているのかもしれない。

しかし、どんなことをいっても、外の人間に実感はありません。
当事者の問題だからです。
残るも、去るも、あなたが決めることです。
後悔しない意思決定をしてください。

あなたはどんな環境に、どう順応するのか。
あなたが決めることです。
あなた自身の意思を、私は何よりも尊重します。
そして応援しつづけるつもりです。
早々              ㈱商業界社長 結城義晴

この最初の手紙を寄こしてくれた社員は今、
どうしているのだろう。

私のウォルマートと西友の認識、
6年経過した今、
的確だったと言い切れるだろうか。
そして、私の「西友社員への手紙」には、
「愛と心」がこもっていただろうか。

当時を思い出しながら、そんなことを考えた。

この「西友社員への手紙」には、続編がある。
3カ月後の「Editor’s Voice」に掲載されたもの。
タイトルは「リー・スコット(ウォルマートCEO)への手紙」

これも、読み返してみると、
結構、面白い(来週につづくが・・・) 。

今週も商人舎ホームページと結城義晴の[毎日更新宣言]をご愛読くださって、
心から感謝します。
ありがとうございました。

良い週末を過ごしてください。

< 結城義晴>

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