結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年04月02日(土曜日)

「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」と「潮来セイミヤの奮戦記」

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

今月の商人舎標語。

こうして毎日毎日、
前に進んでいく。

水前寺清子も、
いいかもしれない。

幸せは歩いてこない、
だから歩いてゆくんだね。
一日一歩、三日で三歩、
三歩進んで二歩下がる。

このときも基本は、
ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ。

それが365歩のマーチ。

私も毎日毎日、
1本ずつ、ブログを書いてきた。
この夏、8月で、丸4年になる。
そうすると365×4+1=1461となる。

これも「ひとつずつ、いっぽずつ」だった。

朝日の「天声人語」のコラムが600字。
日経の「春秋」は550字くらい。
これより[毎日更新宣言]は、はるかに多い。

㈱商業界の月刊誌の巻頭言は、
やはり600字くらいだった。
今はなくなってしまった『販売革新』のエディターズ・ボイス、
そして『食品商業』のメッセージ。

月刊専門誌の原稿1本。
400字詰め原稿用紙12枚、
4500字くらいが目安。
商業界の社長時代、
毎月、『販売革新』に、
「パブリシャー・ボイス」という連載を書いていた。
それがやはり12枚だった。

毎日更新宣言はその3分の1くらい。

コーネル大学RMPジャパンの毎月のレポート、
下限が2000字、上限1万字。

立教大学大学院のマーケティング講義で、
毎月、私の要求するレポートも、
同じく下限2000字、上限は1万字。

どちらも、上限は、
無限としたいところだが。

私の[毎日更新宣言]は、
1000字から2000字。

この震災以降、
どうしても長くなる。
お付き合いのほど、
願いたい。

ところで、常盤勝美さんから投稿。
今回の名称は、どうやら「東日本大震災」に統一されたようだ。
常盤さんは言う。
「天気予報の世界では『東日本』というと、
関東甲信・北陸・東海地方を指し示し、
肝心な東北地方は『北日本』に属します」

昨日も書いてたように私は、
「東北関東大津波大震災」がいいと思うが、
いかが?

その震災復旧時の花見に関して、
78歳の石原慎太郎都知事がコメント。
「桜が咲いたからといって、
一杯飲んで歓談するような状況じゃない」

何かというと、かの敗戦を持ち出す都知事だが、
「同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感ができてくる」
「戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。
戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」

連帯意識は復旧・復興に必須のものだが、
今回の震災は戦争とは違う。

西日本や首都圏・中部、北海道は、
天声人語がいうように、
「救国の散財」すらすべきだと思う。

花見もどんちゃん騒ぎして良いとは思わないが、
桜を愛でる心は大切だと思う。
それが日本人の美しさだと思う。

わが日本人の誠実さは、
今回の震災でも諸外国から絶賛されている。
私は日本が大好きだ。
日本人を心底、信頼している。

この時期に、上野公園で花見をして、
どんちゃん騒ぎをする日本人がいるだろうか、
もし万一、そんな輩がいても、
それを黙ってみている日本人ばかりだろうか。

私は、
私たち自身を、
信じたい。

さて、既に昨日のブログで報告したように、
4月に入った初日、
茨城県潮来市のセイミヤを訪問した。
横浜駅に8時に集合し、
高木和成さんのキャンピングカーで一路、潮来へ向かう。
高木さんは商業経営問題研究会の代表世話人。
キャンピングカーを駆って、
全国のショッピングセンターや店舗を巡回行脚している。
首都高速湾岸線から京葉道路で千葉県を横切り、
さらに東関東自動車道で約2時間。

高速道路は驚くほど、空いている。
成田を越え、大栄インターチェンジを過ぎると、
高速道路の路肩が崩れていたり、
路面が波打っていたりする。

ときどき、ナビが地震情報を発する。
東北はもちろんだろうが、
関東圏も、毎日のように余震で揺れる。

そして、利根川を渡る。
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セイミヤの物流センターが見えてきた。
外観からは傷んだところは見られない。
ほっとする。
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セイミヤは16店舗のスーパーマーケットを展開しているが、
今回被災されて、この物流センターが大いに役立った。
全国の仲間からの救援商品はこのセンターめがけて届けられ、
それが各店舗にが適宜、配送されたからだ。

JR潮来駅からほど近いセイミヤ本部。
1階が店舗、2階が駐車場、その3階が本部。
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加藤榮一会長と加藤勝正社長、
そして、額賀瑞穂常務がすぐに対応してくれた。
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震災当時の状況や現段階までの復旧の話を聞いた。
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3月11日当時、加藤社長はAJSトップ研修会で京都にいた。
すぐに潮来にもどるべく動いたが、会社に到着したのは翌朝。

その間、指揮したのが常務の額賀さん。
震災発生直後、各店に被害状況を確認しつつ、
物流センター内に対策本部を設置する。

どの店も、瓶が割れ、商品が散乱したが
お客様にも、従業員にも怪我はなく、
無事という報告に安堵する。

女性は全員帰宅させ、
各店、男手で店内を片付け、
店長たちが対策本部に集合したのは深夜。

断水と停電のなか、
何とか集まってきた店長たち。
全員で情報と行動の確認。

翌朝、加藤社長。
「今日から、3時間でもいいから店を開けよう」
使命感を優先するか、
目の前の状況を考えて行動するか。
「店を開けよう、売場に立とう」

震災翌日から、営業。
店内を開けられない店も、
駐車場や店頭で、
在庫商品を販売した。

ちょきり価格で、
値上げせず。

電卓で計算し、
手から手で、
代金をいただいた。

500~600人の長蛇の列。

店長の一人。
「商売でこれほど、
お客さんから
ほめられたことはない」

この地区ではセイミヤしか、
店を開けていなかった。
だからどんどんお客が来た。

加藤社長。
「使命感を持って開けた店に、
結局、お客さんが来てくださる」

「お客さんは、よく見ています」

セイミヤ16店のうち、特に、
液状化現象と津波の被害にあった神栖店は、
店内に泥が流れ込み、ひどい状況。
それでも、夜通し泥をかきだし、手で床を磨き、
安全対策をほどこし、翌朝から営業する。

それから3週間。

本部1階の店内は、
生鮮食品も、加工食品も、日用品も揃い、
影響がないように見える。

それでも、入り口のお知らせ板には、
避難時の注意事項と避難場所が書かれている。
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冷凍食品の売場では、
ロックアイスがミネラルウォーターに代用できると、
お知らせしている。
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商品によっては入荷されず、
品切れになっているものがある。
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茨城県は納豆の産地だが、
メーカーの工場が被災し、計画停電の影響もあり、
地元でも納豆が品切れしている。
デザート類も品薄状態だという。

「3回の大きな揺れがあった。その3回目が茨城沖。
橋が落ちたし、津波被害もあった。
液状化で避難生活をしている人もいる。
メディアは被害の大きかった福島や宮城ばかりを取り上げるが、
茨城も大変な被害を受けました」

「震災当初、仲間の企業や、
親しいメーカーや問屋さんから、
次々に商品が届けられた。
本当にありがたかった」

そして、被害の大きかった神栖店に向かう。

潮来市内はまだ、
電信柱があちこちに傾いていたり、
路面が隆起したりしている。
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そして液状化現象の被害にあった神栖店。
駐車場は砂が取り除かれ整地されている。
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近づくと、ファサード周辺は、
いたるところに三角コーンが置かれている。
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液状化で段差ができた入り口。
土嚢が積み上げられている。
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入り口には「肉魚揚物あります」の大きなPOP。
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入り口を入ってすぐ目に付くのが、
サービスカウンターに張りだされたPOP。
「がんばれ東北!がんばれ神栖!がんばれ鹿島!がんばれ潮来!」
「がんばれ神栖!セイミヤ神栖店 元気に営業中!」
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青果売場には果物や野菜が豊富に並ぶ。
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神栖店の橋本祐一店長がマイクで、
「ピーマン1個10円セール」を元気にアナウンスしている。
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その声に誘われるように、ピーマンを手にするお客さまたち。
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そして鮮魚売場。
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刺身が並ぶ。
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切り身も並ぶ。
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マグロの刺身で海鮮丼を提案する。
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しかし驚くなかれ、この神栖地区は、
今なお、断水中なのだ。
だから鮮魚部門は満足に品揃えできない。
しかし20リットルのポリタンクの水を使って、
最小限の商品づくりをして品出しする。
お客さまたちは、これまでと変わらない
日常の食生活を提供するセイミヤ神栖店で安心して買い物をする。

レジスタッフたちは、これまでと変わらず
笑顔できびきびと、応対をする。
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「元気を出そう、
元気を売ろう」

一歩、外に出れば土嚢が積まれ、工事用のショベルカーがある。
それに負けない大きな「営業中」のたて看板。
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道路に何本も立てられた「営業中」の幟(のぼり)と、たて看板。
店頭の照明を落としているため、
この幟は大いに効果を発揮する。
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「震災直後ののぼり」は必須アイテム。
マニュアルに書いておいてほしい。

神栖店は、元気に営業している。
最高の笑顔をみせる橋本店長に、
敬意を表しつつ記念撮影。
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頑張れ、セイミヤ神栖店!
がんばれ、橋本店長!

潮来市街にもどり、潮来ホテルを慰問。
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こちらは展望台浴場が被害を受け、修理中だったが、
この4月1日にやっと、復旧オープン。
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被災者への無料入浴サービスを始めた。
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茨城にもまだまだ避難生活を送っている人たちがいる。
その人たちのために、地元のホテルも頑張っている。
大学の1年後輩の岡野功君が、
すっかりベテランのホテルマンになって迎えてくれた。
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がんばれ、潮来ホテル!
がんばれ、岡野!

セイミヤの皆さんや岡野君の元気な姿を見たら、
私も元気が沸いてきた。
とてもこのまま、
横浜に戻る気になれなくなった。

潮来からいわきまで、何キロ? 何時間?
よし、暗くなるまでには着きそうだ!
いざ、いわきへ。
いざ、マルトへ。

夕方4時には、マルト本部到着。
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急遽、トップの皆さんに迎えていただいて、
ここでも商人の原点の感動的な話を聞いた。
その話は・・・・・・来週に続く。

皆さん良い週末を。

セイミヤの皆さんにも、
マルトの皆さんにも、
安らかな眠りが、
訪れますように。

<結城義晴>

[追伸]
商人ねっとの水元均さんから、
「チャリティセミナー」への協力の要請がきました。
趣旨に賛同し、
出講させていただく旨、
ご返事しました。

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