結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年08月12日(金曜日)

マイヤ社長・米谷春夫、ヨークベニマル社長・大高善興の「被災企業の権利はイノベーション」

商人舎ホームページのブログを、
久々に紹介。

第1に、「流通仙人日記」
最終回を迎えてしまった。

現在、84歳。

連載は2009年1月20日に始まり、
2年半に及んだ。
その間、「脳の活性」が起こった。
すごいことだ。

最後の言葉。
「今後は、明るいスーパーマーケットの未来を夢見ながら、
安んじて、釣り三昧と洒落こむこととする」
流通仙人は週5回、ヘラブナ釣りを楽しむ。
「週休2日のフナ釣り」といったほうがいい。

そして夏と冬を除いて、
週1回、ゴルフをプレーする。

その合間を縫って、
晴耕雨読ならず、「晴釣雨著」だった。

今後は、
「脳の活性化のために、
時々は書きたいとも思っている」

ご愛読、心から感謝。

商人舎ブログの第2の話題。
ブログ小説「ジョージ君、アメリカに行く」
もう「第二話 夢の島ハワイ」に突入。

著者は、Shuji Asano。
そう、浅野秀二。

団塊の世代のチャレンジ精神が、
生の声で描かれていて、楽しい。

さらに「浅野秀二のアメリカ寄稿」は、
いま「ドイツから」。
アルディ、リドル、レーベなど有名な企業が出てきて勉強になる。

そして第3に今日、金曜日は、
「林廣美の今週のお惣菜」
今回はなんと第153回目で、
「手づくりマヨラーチキン」

役立ててください。
楽しんでください。
お願いします。

さて読売新聞の社説。
いつも途方もない提案をするから面白い。
「自民、公明両党は民主党代表選候補の政策や公約を見極め、
どの候補なら連携できるのか、表明することを検討してはどうか」

菅直人首相の退陣が決まり、
次の民主党代表が誰になるか取りざたされている。

はっきり言って、「帯に短し襷に長し」
私も国民も貪欲だ。

読売は、だからライバル党の民主党代表選候補の政策を研究して、
誰ならば「大連立できるか」を鮮明にして、
その候補を党外から応援せよ、という提案。

この新聞はずっと「大連立推進派」だから、
こんなこともズバリ提言してしまうが、
財界人に読売派は意外に多くて、
ちょっと話などしていると、
読売の社説の提案など出てきて、驚いてしまう。

しかし、読売のこの提案は、変です。

さて、日経新聞に「ネットスーパー」ネタ。
「仮設住宅向け拡充 ヨーカ堂や西友」

「東北地方の仮設住宅を対象に、
食品や日用品を配達するネットスーパー」が拡充される。

イトーヨーカ堂は7月末に宮城県、
今月下旬をメドに福島県の福島市と二本松市で開始。

西友もこの9月から仙台市と宮城県多賀城市、同名取市で、
ネットスーパーのサービスを開始。

新設の仮設住宅の周辺には、
スーパーマーケットがないことが多い。
だから「日常の買い物」に不便している被災者を支援する。
これはとても評価できる試み。

もう一つ日経新聞からニュース。
「第一屋製パン 『トヨタ式』導入で黒字転換」
同社細貝正統常務のコメント。
第一屋製パンは豊田通商と提携し、支援を受けている。
そこで昨年4月から主力工場で、
「トヨタ生産方式導入による生産性向上」を改善を始め、
現在、全工場に広まった。
そして1年、その成果が出た。

「設備投資に頼らず生産性を上げる」のがトヨタ方式。
人員配置や発注プロセスの見直しなどが地道に重ねられた結果、
想定以上の効果が出た。

細貝常務、「現場が活気づいてきた」。
そして「7年ぶりに黒字化できた」

これはいいニュース。
セオリーに則って、
やるべきことをやる。
すると結果が出る。

ドラッカー先生のイノベーションの方法論。
1.小さくはじめる
2.シンプルさを貫く
3.ケース・バイ・ケース
そのうえで、
4.それでトップになる

今日の最後のニュースは、日経MJから。
「震災5ヵ月、被災地スーパーの対応を聞く」
登場したのは、㈱マイヤ社長の米谷春夫さん、
㈱ヨークベニマル社長の大高善興さん。

米谷さんのコメント。
「ほぼ全部門で売り上げが伸びている。
震災前は岩手県沿岸部を中心に16店あったが、
被災した6店が営業を再開できていない中で、
全店売上高は前年とほぼ同じ」
すごいことです。

遠方からのお客の来店とその買いだめ需要で、
「客単価が2800円と、震災前から4割伸びた店もある」

「8月に陸前高田市に出した仮設店舗を含めて
来春までに5店を出す計画だ」
このファイティングスピリットはうれしい。

「今後2年は沿岸部の地盤を固め直し、
3年後に内陸部に打って出る」

さらに「すでに物流センターを大船渡から(内陸部の)北上市に移したが、
3年以内に本社機能の一部を、内陸に移すことも視野に入れている」

1961年にチリ地震の助成金で会社が誕生し、
2011年、東日本大震災で第二の誕生を果たしたマイヤ。

それは地震や津波など天災への根本対策がベースになければ、
組み立てられるはずはない。
「本社機能を分散すれば、
より災害に強い体制をつくれる」

消費に関して。
「被災者はもったいない意識が強まるなど価値観が変わった」
だから「小商圏でも成り立つ店舗フォーマットが必要になる」

米谷さんの経営の視点が一つ高くなった気がする。

一方、大高善興さんのコメント。
「震災から約60日で9割以上の163店をオープンできたが、
現在も7店を閉じており、
そのうち5店が原発から30キロ圏内にある」

「それでも既存店売上高は6月は前年同月比7%伸びており、
7月も同じ水準だ」
こちらも業績は好調。

「当初は米や紙おむつといった、まさに生活必需品が売れ、
1~2週間経つと温かい総菜や弁当が売れ出した。
次に酒やたばこなどの嗜好品が売れたが、
大きな余震があると、また元に戻ってしまう」

「被災地では安心・安全に対する意識が強く、
必需品が今も大きく伸びている」
コモディティ需要は、
これからの消費において、
忘れてはならない潮流である。

大高さんはこの後注目すべき発言をする。
「震災では日本企業の現場の力が注目を集めたが、
個店、従業員一人ひとりが際立つような仕組みを整えたい」

私は、4月13日のブログに書いた。
「私自身の意見として、はっきり言っておこう。
会社は、もっともっと、もっと努力しなければいけない。

物江信弘、小林稔、そしてすべての店長たちに、
ヨークベニマルは支えられている。
まだまだ、ひたむきで、真摯な、個人に頼っている。

それがこの大きな津波と大きな地震が、
会社に対して示したことだ。

創業の精神と個人の人間力に支えられている。

それがヨークベニマルというチェーンストアが、
東北関東大震災から教えられたことだった」

さらに大高さんのマネジメントは細かくなる。

「個店経営を理念に掲げてきたが、
今後は部門経営を意識したい」

「各部門の収益を明確にし、パート社員も含めて、

従業員一人ひとりに経営者という意識を持たせ、

小さな変化にもすぐに対応できる店を目指す」

ウォルマートでは“Store within a store”という。
略して SWAT、訳して「店の中の店」

店舗ごとの経営をさらに進め、
部門ごとの経営に細分化する。
そして部門マネジャーが小さな店の経営者となる。

ヨークベニマルの次のステップの目指すところは、
この「店の中の店」である。

最後に消費に関して。
「仮需はせいぜい1年程度で終わる。
大事なのはロイヤルカスタマーの信頼を得ることだ」

「特売やイベントに頼らず、
創業時の顧客第一主義の精神をもう一度高める」

ヨークベニマルも、今回の大震災後、
第二の誕生を果たそうとしている。

マイヤ、ヨークベニマルとも、
他社以上のイノベーションを企図している。

それが、
震災をこうむった企業に、
与えられた「権利」とでもいうかのように。

<結城義晴>

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