8月8日、夏のゾロ目の日。
しかし偶数のゾロ目は、
ないがしろにされている。
五節句は、
人日(じんじつ)1月7日の七草、
上巳(じょうし) 3月3日の桃の節句、
端午(たんご)5月5日の菖蒲の節句、
七夕(しちせき/たなばた)7月7日のたなばた、
そして重陽(ちょうよう)9月9日の菊の節句。
偶数のゾロ目はやはり、
ないがしろにされている。
しかし今日は、
第94回全国高校野球選手権大会。
47都道府県の代表チームの健闘を祈念したい。
日経新聞企業欄に、
「いなげや、都心高級スーパー買収」の記事。
東京・首都圏経済欄には、
「三浦屋、後継者を確保できず決断 いなげや傘下入り」の記事。
年商2000億円のスーパーマーケット企業いなげやが、
年商110億円、9店舗の高級スーパーマーケット三浦屋を買収。
三浦屋は1924年創業の老舗スーパーマーケット。
紀ノ国屋やいかりスーパー、京北スーパー、
成城石井と同じジャンルの企業。
しかし創業家出身の71歳の山崎哲保社長の後継者が存在しなかった。
そこで発行済み株式のすべてをいなげやに売却。
アメリカでも例えば、
ブリストルファームという高級スーパーマーケットが、
アルバートソンの傘下に入ったり、
さまざまなM&Aがある。
三浦屋の店舗バナーとプライベートブランド、
いなげやにとってはプラスに働くと思う。
いなげやの藤本勇常務が、発言している。
「出店できなかった駅ナカや駅周辺に出店できる」
年間5店程度の新規出店を目論む。
こういった吸収合併。
これから頻繁に起こる。
後を継ぎたくないのに、
無理やり後継させられた悲劇を、
私もたくさん見てきた。
それならば一定の金額で会社を売却し、
従業員と顧客、取引先の安定を図るのも一つの考え方。
いなげやは三浦屋のブランド力を、
最大限、活用すべきだろう。
さて、6月22日にオープンしたばかりの万代西宮前浜店。
million townとよばれる2層店舗の1階が万代で、
2階にはしまむらが入っている。
今年度最高レベルの店舗のひとつ。
万代前浜店の売場面積は700坪。
レイアウトをみるとわかるように、
店舗右サイドには、
直営の2つのショップが配されている。
ひとつがインストアベーカーリー、
そしてドラッグストアの万代薬店。
インストアベーカリーのボンシエール。
ウッディな床材と天井の仕上げ、広々とした空間。
これもウッディな什器を採用した質感がいい。
専用の出入り口も設けられている。
円形の木製什器に、かご盛りでインストア製造加工のパンが並ぶ。
バタール300円。大きな試食用のパンでお勧めする。
そのバックルームはガラス張り。
産地厳選の素材をアピール。
主力品目の焼き上がり時間の告知パネル。
スクラッチのインストアベーカリーのイノベーション、
大いに評価される実験だ。
味の検証は欠かせないが。
その右手奥には「万代薬店」。
万代では、これまで店内の通路に、
ドラッグ部門をコーナー化し、実験していた。
ドラッグストアのショップ形式での展開は初めて。
カウンター奥は医薬品コーナー。
医薬品以外の日用品は中央レジで一括清算できる。
だから日用品は、万代薬品での展開のみ。
調理用品も並ぶ。
化粧品のサイン。
HBCやコスメティクスなど、
横文字を使わないことにこだわった。
エンドでの石鹸と歯磨き粉のセール品の展開。
一般ドラッグストアでは見かけない、単品のボリューム展開。
万代の販売力があってこそ。
ベーカリーショップとドラッグストア。
ラインロビングの意欲的な試みだ。
そして食品フロア。
正面入り口を入ると季節の果物と野菜の展開。
本日のお買い得野菜の平台。
低い陳列線で、奥壁面まで見通せる。
広い主通路に2列のアイランドを配置。
写真右手に、ベーカリーショップと万代薬店。
左手(写真奥)に多段ケース。
入ってすぐの柱回りに、季節の果物と切り花の展開。
青果売り場の導入部は、季節のフルーツ。
こげ茶の木製什器を多用し、クオリティ感を出す。
果物の平台。
青果の導入部分はトマトの展開。
地場野菜のコーナー。
ここには特別に人が一人ついて対応。
量販野菜の平台。
青果売り場から万代薬店を望んだところ。
広い開口部で出入りしやすい。
万代薬店に近いサイドの平台には、
バナナやかんきつ類の訴求力の高いフルーツの平台。
人参などの根菜類の平台。
その上の飾られているカボチャとナスのモジュール。
専門の販促スタッフの手づくり。
他に、キャベツにもデコレーション。
店全体に、このかわいいサインがある。
ピーマンにも。
パイナップルにも。
じゃがいもにも。
いたるところにかわいらしい手づくりキャラクター。
野菜売り場の奥には、鮮魚売り場のアイランド式加工ブース。
大きなウナギのモジュールが目を引く。
国産ウナギ1尾1580円のお奨め品。
筆書きのPOPも、専門スタッフの手によるもの。
販促物作成は、統一感を重視し、すべて担当者が仕上げる。
その横では福岡、長崎、石川など産地直送の丸物の展開。
調理加工サービスを行う。
こちらはパック売り。魚種のバラエティが際立つ。
ここでも手づくりたこのキャラクター。
青果売り場から続く壁面沿いは塩干物コーナー。
骨を外して食べやすくしたレンジ対応の干物「レン爺(じぃ)」商品コーナー。
店舗奥壁面の鮮魚売り場。生もの、切り身が並ぶ。
ガラス張りのバックヤード。
そのガラスに張りつけられた魚たちが楽しい。
もちろん、手づくり。
刺身コーナー。
万代の加工処理の技術は高い。
パートタイマーが大物のブリやマグロをさばく。
その技術力が抜きんでている。
石川県産イワシ6尾で198円など、お買い得価格。
焼き物・煮物用の福岡県産天然真鯛2切れ380円、3切れ500円など、
2切れ、3切れ入りのパック化を徹底している。
鮮魚売り場から続く精肉売り場。
精肉売り場への導入部には「肉29セール」の手づくりPOP。
主通路に展開されるグロサリーの島陳列。
すべてお客の導線に対してフェイスものぼり旗も斜めに向けている。
万代はこのあたりが徹底している。
荒利を稼ぐ精肉部門は長い陳列線。
焼肉の大容量パックもしっかり品揃え。
アメリカ産カルビ1Kg1500円、国産牛焼肉500g1980円。
国産ローステキカツ用100g138円、アメリカ産は98円。
比較購買させる。
お勧め商品の試食台。
精肉売り場から続く惣菜売り場。
ガラスに張られた手づくりPOP。
コロッケバイキング。1個58円。
サラダコーナー。
導入部にPOPをつけて、
おすすめ商品をしっかりとアピールする。
これが原則。
ここでは1日分の緑黄色野菜サラダ298円をアピール。
50周年記念弁当はお買得価格399円。
売れ筋のおかずたっぷり弁当。
海老フライ、ハンバーグ、チキンフライなどが入って399円。
コンコースの最後に配置された日配売り場。
レジまでのL字型で展開する。
冷蔵ケースの上部には、牛や鶏のぬいぐるみが遊ぶ。
アメリカのスチュー・レオナードのように、
楽しい売り場を目指している。
飲料の多段ケース。
主通路に面しては、新製品を集めてアピール。
その奥が冷凍食品売り場。オープンケースとリーチインでの展開。
リーチインケースの上部には、大文字のPOP。
冷蔵ケースにシールを張って、中華メニューを販促中。
オープンケースでもご覧の通り。
レジ前が広いベーカリー売場。
ホールセール製品を、
98円均一、88円均一と値ごろ価格で訴求。
インストアベーカリーとの相乗効果か、
こちらもよく売れている。
ベーカリー売場の手前では、
平台でお供え用の和菓子をプロモーション。
冷凍食品売り場の横、
ベーカリー売場の奥が力を入れる酒売り場。
酒売り場は天井からつりさげた格子に組まれた木が特徴。
精肉売り場と酒売り場のコンコース沿いには、
50周年祝いの特注酒樽でディスプレイ。
レジ前のエンド。
ここではしっかり主力商品を売り込む。
PB「万代選品」のエンド。
しっかりとPBをアピールする。
グロサリーは上部に照明器具がついた専用什器。
キャンディ商品はフック陳列だが、回転式になっている。
万代西宮前浜店には、
意欲的な取り組みが随所に見られる。
什器しかり、プレゼンテーションしかり、
プロモーションしかり。
それがお客に伝わっている。
もちろん、万代の最大の強みである商品力が、
そのベースにある。
だから、支持される。
目標は30億円だが、
確実にそれを上回る勢い。
今年、話題をさらっているヤオコー川越的場店を東の代表とすれば、
西の代表のひとつに挙げられると思わせる出来栄え。
業態からフォーマットへ、
その中でポジショニング戦略を明確に打ち出す。
ポジショニング戦略とは、
万代の「強み」を最大限強調すること、
そして各所に新しいイノベーションの試みを展開すること。
それによって実現される。
「レベルが上がっている店、
それがよくわかる店」
顧客はそんな店を支持してくれる。
<結城義晴>