結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年07月27日(土曜日)

宮崎駿「力を尽くせ」とヨーカ堂・ダイイチ提携の「経営理念の合致」

昨日の東北仙台地区。
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青田に霧雨がかかる。

まるで避暑地に来た気分。

今日は全国各地で、
花火大会が開催された。

浴衣姿のお嬢さんたちが、
涼しさを届けてくれる。

宮崎駿監督の新作『風立ちぬ』。
日経新聞の文化欄で、
文化部記者の関原のり子さんが書く。
「反戦の心、戦闘機に乗せて」

宮崎監督はもう72歳。

主人公は飛行機設計技師・堀越二郎。
零戦の設計者。

柳田邦男のノンフィクション『零式戦闘機』は、
私の物書きとしての原点の一つだが、
この映画は堀越二郎に、
文学者・堀辰雄をオーバーラップさせてある。

関原記者が強調するのが、
イタリアの飛行機製作者カプローニのこと。
プローニはこの映画の夢の中で、
たびたび主人公に声をかける。
「力を尽くしているかね?」

これが作品を貫くテーマ。

堀田善衛の随筆集『空の空なればこそ』に、
旧約聖書の伝道の書からの引用がある。
「すべて汝の手に堪(たふ)ることは
力をつくしてこれを為(な)せ」。

宮崎監督のコメント。
「力を尽くせ、という言葉は
単純ではあるが胸に刺さった。
堀越二郎も堀辰雄もインテリ。
海外の文献を読み、自分たちが
(激動の時代の)どこにいるかよく分かっていた」

この後がいい。
「どんな状況であれ職業人は
その職業の中で
精いっぱいやるしかない。

力を尽くしても必ず見返りがあるわけではないが、
やっぱり力を尽くしてやった方がいいんです」

仕事を天職と受け止め、
「力を尽くす」

今月の商人舎標語、
「完全なるものを求めよ」

「力を尽くせ」に通ずる。

映画の中のセリフ。
「創造的人生の持ち時間は
10年だ。

芸術家も設計家も同じだ」

宮崎監督の述懐。
「根拠はないが、創意に満ちている瞬間は
10年ぐらいではないか。
20代の終わりから30代の終わりが
僕にとって一番創造的な時間だったと思う」

自分に厳しい人なんだなぁ、と思う。

10年か。

私の10年はいつだったのか。

20代から30代に
原稿を書きまくったあの10年か。
36の時、編集長になって、
本をつくり続けたあの10年か。
ブログを書き、月刊『商人舎』を創刊している
今の10年か。

はたまたこれからやって来る10年か。

「以前は午前1、2時まで働き、
9時からまた働き始めたが、
今では朝の2時間を体操など
自分の体のために費やさないと
仕事に出る気力がなくなってきた」

72歳の宮崎監督だから、
この境地に達したのだろう。

40代、50代で、これでは、
気持ち悪い。

作品をつくり終わった段階で、
「今は空っぽになることが必要。
最低でも半年はかかるだろう。
(次作は)それから考えればいい」

「力を尽くせ」

自分は力を尽くしているかと、
考える。

まず、自分から。

それなくして、
人に迫るのはいけない。

「力を尽くせ」

さて今週のWeekend News Summary。
1週間を振り返ると、
「イトーヨーカ堂・ダイイチ提携」が、
一番大きなインパクトを持っていた。

Weekly商人舎で、
私が急きょ、書いた。
「資本提携の衝撃と再編加速の予感」

日経MJの昨日の「総合小売り」欄で特集されている。
「道内スーパー売上高」の75%が、
3強によって占められている。

2011年の北海道内上位50社の売上高は、
1兆0928億円。

この数字からはイトーヨーカ堂が除かれているが、
第1位のアークスは27.5%を占める。
第2位のコープさっぽろ陣営は25.2%、
第3位のイオングループは22.7%。
第4位はホクレン商事の5.8%、
第5位が北雄ラッキーの4.1%、
そしてダイイチは第6位で2.6%。

イトーヨーカ堂北海道の売上げを全体に足し算して、
その上でイトーヨーカ堂・ダイイチ合計売上高シェアを出すと、
6.2%で第4位に入る。

ダイイチにとっても、
イトーヨーカ堂にとっても、
メリットの大きな資本業務提携だ。

この記事では、
ダイイチ鈴木達雄社長が、
イトーヨーカ堂・亀井淳社長に会ったのは、
今年7月9日だと書いてある。
「一気に基本合意した」

ダイイチは2006年9月期決算以来、
6年連続増収増益。
オール日本スーパーマーケット協会内でも、
優良企業の一つに上げられる。

だからこそ、この提携でも、
「今なら経営の自主性を
一定程度確保できる」

私は北海道のイトーヨーカ堂が、
ダイイチから学ぶことの方が多いと思う。

「水は高きから低きへ流れる」

セブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長。
「提携先を選ぶ決め手は
経営理念が合うことだ」

まさに至言。

「PB供給や店舗網補完などの
短期的な効果は狙わない」

鈴木敏文さんの発言は常に、
経営原則に則っている、
長期的視野に立つ、
従って世間とは違う。

このセブン&アイの考え方も、
ダイイチにとって、
いい方向に動くことだろう。

故に、力を尽くしつつ、
再編は加速される。

良い週末を。

〈結城義晴〉

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