第三次安倍晋三改造内閣発足。
新たに掲げたテーマは、
｢一億総活躍社会｣の実現。
9月末までの通常国会で、
なんとか安全保障関連法を成立させ、
ふたたび経済再生に挑む。
しかしそれは、
安全保障法案反対勢を含めての、
1億総活躍であるから、
自己矛盾してはならない。
首相は新しい『3本の矢』を設定した。
それは「強い経済」「子育て支援」「社会保障」。
以前の3本の矢はまだ未解決で、
金融緩和だけだったと言っていいし、
インフレターゲットも実現してはいない。
｢一億総活躍社会」とは、
少子高齢化に歯止めをかけて、
人口1億人規模を50年後も維持する社会。
若者、高齢者、障がい者など、
誰もが活躍できる社会づくり。
言葉づかいそのものは、
やや稚拙な印象を受ける。
「新3本の矢」の目標数値は三つ。
第1に2014年度で490兆円の名目国内総生産を、
2020年ごろに600兆円にする。
第2に出生率を現在の1.4から、
2020年代半ばに1.8にする。
第3に家族を介護するために、
離職する人を20年代初頭にゼロにする。
是非とも実現してもらいたいところだが、
私は最初の「3本の矢」を、
忘れてはいけないと思う。
さて、アメリカ視察スペシャルコースは、
テキサス州サンアントニオで2日目。
朝8時からホテルの会議室でセミナー。
前半は、特別講師のメリッサ・フレミング女史。
ウォルマートを中心に回るアメリカ小売業の、
最新動向をガイダンスしてもらう。
メリッサさんは元HEB上級副社長。
今はマーケティング・コンサルタント。
商人舎スペシャルコースでは、
必ず、登場いただく。
ウォルマート、クローガーをはじめ、
各社の動向を、実に丁寧に語ってくれた。
とりわけ、古巣のHEBの戦略やPB開発の話は、
極めて重要な内容だった。
通訳は藤森正博さん。
素晴らしかった。
参加者たちも真剣にメモを取って
アメリカ小売業の全体を理解し、
PB開発の問題点を把握した。
恒例の質問タイム。
平和堂の夏原陽平さんは
何度も質問。
同じく平和堂の田中仁史さん。
グッド・クエッションがたくさん出た。
その後メリッサさんを囲んで記念撮影。
いつものように私が仕切る。
前列に座る人を決めて・・・。
親指を立てて撮影。
最後に、メリッサさんと2人で写真。
セミナー後半は、
結城義晴の第1回講義。
商品戦略問題を中心に、
約1時間。
PB問題の整理から、
マーチャンダイジングの考え方まで、
一気に語った。
時々、咳が出て
聞き苦しかったことをお詫びしたい。
講義を終えるとすぐに
2日目の視察店へ。
まずはホールフーズ。 
店頭ではハロウィンのプロモーション。
どこに行っても
ホールフーズの店は美しい。
デリ売場。
私たちもここで惣菜を購入し、食事。
ホールフーズオリジナルの飲料に興味津々の
マツモトの二人。
松本隆文社長と北尾定祐さん。
屋外で食事を楽しむ参加者たち。
いい笑顔。
平和堂の皆さん。
ユニバースの二人。
みんな、アメリカ人になったつもりで、
デリを楽しむ。
口に合う人、合わない人。
それも経験。
最後にホールフーズのトイレを紹介。
ファンタスティック!!
ショッピングセンター内には、
隣接してターゲットがある。
食品をそろえたスーパーターゲット。
ウォルマート・スーパーセンターに対抗したフォーマット。
しかしお客はまばら。
昨年、顧客情報が流出し、
それからターゲットはおかしくなってきた。
次はウォルマートの食品フォーマット、
ネイバーフッド・マーケット。
HEB撤退跡の居ぬき店舗だが、
ウォルマートらしい店づくりに改造。
ハロウィン・プロモーションを売場の各所で展開。
隣にバラエティストア、
ダラーツリー。
入口のシーゾナルスペースで
ハロウィン商品を品ぞろえ。
サンアントニオに来た最大の目的は、
この地出身のHEB。
HEBはこのエリアで、
50%を超えるドミナントを築く。
その最大の戦略はマルチフォーマット。
それらをくまなく視察しようというのが
スペシャル研修会前半の目的。
まず、同社最大店舗のHEBプラス。
ウォルマート対策のために、
非食品を強化したフォーマット。
青果売場は核部門。
見通しの良い主通路。
エンドではおすすめ品を単品量販。
天井が高く、快適な売場。
でもローコスト設計。
この店の最大の特徴は、
木組みの美しい天井。
感動した。
さらにHEBのフード&ドラッグ。
この店は商圏特性に合わせて、
ややアッパースタイル。
店内は全体に照明を落とし、
上質感を演出。
HEBはミート部門が強い。
食品売場の一角に、
キッチンウェアのコーナー。
天井まで届くプレゼンテーション。
ベッド&バス・ビヨンドのよう。
奥主通路。
サインもほかの店と違い、
ブルーを多用。
スポットライト照明が
きちんとエンドを照らす。
こうした手法は参考にしたい。
今日、最後の訪問は、昨年オープンしたHEB小型店。
部門構成はフード&ドラッグ。
ただし商品を絞り込んでいる。
お客はヒスパニック系が多い。
日本人が視察に来たから
大いに目立つ。
調剤薬局。
スペースは小さくとも
機能は必須。
チェックアウトレジは、
エクスプレスレーンと通常レーン。
この店は商品を絞り込み、
さらにコンペティティブブランドのPBを、
大量に投入する。
移民の多い立地に合わせた、
ディスカウント型の小型店舗。
最大店舗から小型店まで、1日をかけて、
HEBのマルチフォーマットを見て回ったが
HEBのビジネスモデルはこれだけではない。
明日は、最新型HEBプラスや、
都市型高級スーパーマーケットの、
セントラルマーケットを視察する。
HEBの店づくりは、
自由自在に変わってきた。
(つづきます)
〈結城義晴〉
