結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年12月03日(木曜日)

「バターはどこへ消えた?」と顧客が求める「経路の純化」

昨日から今日にかけて、
月刊『商人舎』12月号の巻頭論文。
1万5612字。

1本の原稿としては、
これまでのところ最高字数。

いまや立教大学のビジネスデザイン研究科では、
修士論文が2万字だというから、
それに近い量だ。

月曜日には『食品商業』に1万1000字。
量を書けばいいというわけではないけれど、
必要ならば「量」も書く。

村上春樹さんは、
長編小説を執筆するとき、
きっちり1日に10枚書く。
つまり400字×10枚で4000字。

私もそのくらいのスピードで、
ゆっくりと書きたいものだとも思うが。

今日は雨の中、
午前中に千葉の海浜幕張に向かった。

イオンタワーに。
イオンリテール㈱の広報グループに、
お世話になった。

大塚聡さんと来間祐也さん。
写真はないけれど。

お会いしたのは、
上山政道さん。DSCN9984-5

電子マネー推進本部本部長。DSCN9986-5
たっぷり2時間近く話し合って、
固い握手。

上山さんは、
イオンクレジットサービス㈱常務取締役から、
2013年5月に現職に。

専門家の話を聞くのは、
本当に勉強になる。

私も「商業の現代化」の話をして、
結構、満足した。

ありがとうございました。

さて、日経新聞経済欄。
「バターはどこへ消えた?」

政府の規制改革会議議長は、
住友商事相談役の岡素之さん。

大手乳業メーカー幹部から、
バター需給の現状を聞き取り調査。

雪印メグミルクの小板橋正人さんは、
「特約店にはまんべんなく
バターを供給している。
それなのに末端の店頭にないのは、
乳業メーカーからすると不思議だ」
取締役執行役員酪農部長の発言。

さらに明治の木島俊行さん。
こちらは執行役員酪農部長。
「足元は一昨年並みの在庫が積んであり、
この冬は潤沢に供給できる」

農林水産省の主張。
「緊急輸入でバターの供給は十分だ」

農水省は「国内の生乳需給の調整弁として、
バターを国家貿易で輸入する立場。

しかし一方で、
全日本洋菓子工業会は、
「毎年、緊急輸入したバターの数量と
市場に出回る量はかけ離れており、
一体どこにあるのだろうというのが
業界の疑問だ」
この工業会はバターを使う「川下」

そこで日経は疑問を呈する。
「バターはどこにあるのか」

農水省の第1の疑問。
「高値を狙って流通段階で
在庫をためている業者がいるのでは」

第2は構造問題。
「原料である生乳をつくる酪農家の減少や、
複雑な流通制度によって
生産が一部メーカーに偏っている」

岡議長の規制改革会議は、
「流通経路や供給体制をさらに点検し、
来年6月をメドに解決策をまとめる」

1962年に林周二先生が、
『流通革命』を発刊。

ここで問いただしたのは、
「問屋無用論」よりも、
「流通経路の純化」である。

その意味では、
現在でもまだまだ
『流通革命』が必要な領域がある。

故中内功さんや、
故渥美俊一先生に、
復活してもらって、
活を入れなければいけないのだろうか。

「バターはどこへ消えた?」

このフレーズは当然ながら、
2000年11月発刊の本のパクリ。
『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン執筆のベストセラー。
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買って読み始めた記憶があるし、
読みやすく書かれた本だったとは思う。
タイトルはよく覚えているが、
途中でやめてしまったはず。

なんだか説教臭かった。

しかし「バターはどこへ消えた?」は、
しっかりと解明してもらいたい。

林著『流通革命』は、
スペンサー・ジョンソンの平易さはなけれど、
こう言い切る。

「顧客は明らかに
経路の純化を求めているのである」

〈結城義晴〉

2015年12月02日(水曜日)

12月商人舎標語「自ら軛を断て。」と2015ヒット商品番付

今月の商人舎標語。
月刊『商人舎』12月号の巻頭言と連動。

タイトルは、
自ら軛を断て。

あなたは縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。

牛が曳かれてゆく。
首の上に木製の棒がつけられている。
(くびき)である。

牛は何も言わない。
ただひたすら下を向いて、
のろのろと歩いてゆく。

強制されているからか。
それが自分の役目だとでも観念しているからか。
それとも何も考えていないからか。

商人はもともと自由である。
一人の顧客と対面するとき、
一人の商人は奔放である。

ところがその自由な商人のなかに、
いつのころからか軛につながれる者が出てきた。
社畜と堕す者が生まれた。

ひたすら命令に従う者、
顧客や市場よりも体制に迎合する者、
権力や理論に従属する者。

強制されているからか。
それが自分の役目だとでも観念しているからか。
それとも何も考えていないからか。

2015年が終わろうとする今、
そんな軛を、自ら断ちたい。
正々堂々、顧客や市場と向き合いたい。

組織人でありつつ、
独立自営商人の気概をもちたい。
自分で考えぬく脱グライダー商人でありたい。

あなたは今も縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。
〈結城義晴〉

今年最後のメッセージ。
ハードパンチを繰り出してみた。

12月10日発行号、
ぜひご期待いただきたい。

さて、自分の雑誌の締め切りで忙しい中、
古巣の㈱商業界『食品商業』に、
600号記念の原稿を寄稿した。

1万0147字。
長編、力作。

発刊されたら読んでください。

私も、そのメディアの通巻600号の中で、
1989年2月号(通巻215号)から、
2000年10月号(通巻390号)まで、
編集長を務めた。

11年9カ月、都合176号。

歴代の編集長の中で一番長い。
感慨は深い。

私の次に長かったのは、
初代編集長の故今西武さん。
創刊号から167号まで。

私はこの雑誌編集部で、
今西編集長の部下として、
1982年から4年間、仕事をした。

自分で編集長を辞した後も、
編集局長や社長としてかかわったから、
1982年から2007年まで、
25年間、このメディアに関係した。

人一倍、愛着はある。

そんなこともあったので、
古巣商業界の雑誌の最新号を、
ちょろちょろっと覗いて見た。

月刊『販売革新』12月号は、
【総力特集】
2016年に生かす「好調企業の勝ちパターン」

ん~っ、「勝ちパターン」か。

パターンで勝てれば苦労はしない。
なんだか、ひどく安易。

そのパターンをこそ、
タイトルにしてほしい。

野球で言えば、
「先行逃げ切り」だとか、
「粘って粘って大逆転」だとか。

しかしこの野球のパターンでも、
結構、類型的だ。

「勝ちパターン」はつまらない。

月刊『商業界』は、
【総力特集】
あなたの商いを強くする
「編集力と伝える力」

語感の問題だが、
「編集力」なら「伝達力」か、
「伝える力」なら「編む力」か。

「勝つ」とか「強くする」とか、
結局は売上げ至上主義?!

それこそ、編集部の編集力が問われるね。

月刊『食品商業』の12月号は、
【特集】本当に学ぶべきアメリカSM

タイトル「本当に学ぶべき」は、
おもしろくない。

それに、前にも書いたけれど、
学ぶべきと教えているマリアーノスは、
赤字を出してクローガーに買収された。
セーフウェイはサーベラスに買収されて、
店は閑散としている。

反面教師なら学べるけど、
そうは書かれていない。

ただし、島田陽介先生の主張には、
いつもながら同感だ。

ついでにダイヤモンドフリードマン社。
『ダイヤモンド・チェーンストア』
12月1日号特集は、
「いざ切り拓け、数兆円!
ナチュラル・オーガニック市場」

このメディアは、
こういうの、得意です。

広告も集めているんだろう。

さらについでに、
月刊『マーチャンダイジング』
【総力特集】
30社 150店舗顧客満足度調査2015
「エクセレントストア」の新条件

これ、『食品商業』や『販売革新』でも、
やってた。

こちらはドラッグストアなんだろうけど。
ほんとうに新条件がみえてきたの?

このメディアは商業界のOBたちがやっているし、
私、応援している。

と、まあ、業界の雑誌を垣間見たけど、
活字離れが激しい中、
ネットに押されないように、
頑張ってほしい。

全体にいえる印象は、
ピーター・ドラッカー先生も言ってるが、
自分の目で見て、
自分の耳で聞いて、
自分で考えて、
自分で書くこと。

わが身を顧みず、ちょっとだけ、
先輩風を吹かしてみました。

みんな、かわいい後輩たち。
許してください。

最後に、日経MJ12月2日号。
もう恒例の『2015年ヒット商品番付』

東の横綱は「北陸新幹線」
西の横綱は「ラグビー桜ジャパン」

東西横綱はどちらも顧客が買えないモノ。
つまり「商品」ではない。

大関は東の「火花」
西の「定額配信」

張出大関は、
東の「ハローウィン・フィーバー」
西の「肉食ブーム」
フィーバーとブームか。

これでは「2015年ヒットしたコト番付」だ。

時代は変わった。
その変化に対応しなければ、
メディアも生き残れない。

古い観念、
古い慣習、
古い理論。
その軛を断たねば、
生き残れない。

〈結城義晴〉

2015年12月01日(火曜日)

12月1日の流行語大賞・水木しげるの訃報と「革命しよう」

2015年の終わりの始まり。
12月1日、火曜日。

いい天気。
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初冬にしては、
まぶしい日差しが差し込む。
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「2015新語・流行語大賞」が発表された。
1984年から続く、暮れの風物詩。

今年は二つ。
「爆買い」と「トリプルスリー」

前者はインバウンド消費を表現した。
後者はプロ野球の3割・30本塁打・30盗塁。
ホークスの柳田悠岐と、
スワローズの山田哲人が達成した。

2004年から㈱ユーキャンの提供となった。

審査委員は7人。
姜尚中(作家・聖学院大学学長)
俵万智(歌人)
鳥越俊太郎(ジャーナリスト)
室井滋(女優・エッセイスト)
やくみつる(漫画家)
箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)
清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)

もちろん事務局がある程度選考して、
最終審査と決定をこの7人がやる。

ことしはまあ、妥当な線だった。

では、去年は、どうだったか。
覚えているだろうか。

2014年もふたつ。
「集団的自衛権」
「ダメよ〜ダメダメ」

こう並べてはいけない、という意見もある。

一昨年の2013年は、多かった。
「今でしょ!」
「お・も・て・な・し」
「じぇじぇじぇ」
「倍返し」

なるほど、豊作の年だった。

2012年は、ひとつ。
「ワイルドだろぉ」

お笑い芸人のギャグは、
長続きはしない。

東日本大震災の2011年は、
「なでしこジャパン」

明るい話題を拾った。

そして2010年は、
「ゲゲゲの~」
朝ドラの『ゲゲゲの女房』のタイトル。

そのゲゲゲの女房の亭主、
漫画家の水木しげるさんが亡くなった。
享年93。

各紙が評伝を書き、
巻頭コラムで追悼した。

朝日新聞『天声人語』
「ネコのように生きるのが理想だったという。
自由に寝て、起きて、あくびをする」

「飄々とした味わいの中には、
戦争で散った仲間を悼む
涙があふれていたと思う」

日経新聞『春秋』
「束縛を嫌って自由気ままに生きることを
『水木サンのルール』と呼び、実践した。
強制や締め付けを嫌う気持ちは
生死の境をさまよった軍隊経験で
いっそう強く なっただろう」

毎日新聞『余禄』
「人は死後どうなるか。
水木さんは想像した。
人は生者の目に見えない形に変化する。
天国も地獄もなく、みんな
ふわふわしたものになる。
何と気分いいことか」

2015年の暮れを迎えようというとき、
水木さんは、
ネコのように生き、

ふわふわしたものになった。

ご冥福を祈ろう。

さて、12月の野菜卸値見通し。
農林水産省の調査。

主要野菜14品目で、
高値が見込まれる品目は、
12月の前半・後半ともないようだ。

顧客は喜ぶ。
商売は難しい。

大ニュースは、
「日経・FTグループ」誕生。
私も7月24日の毎日更新宣言ブログで、
取り上げて、コメントした。

今日は日本経済新聞社社長の岡田直敏さんが、
新聞の一面に、自慢気に書きつける。

「英フィナンシャル・タイムズ買収手続きが
30日に完了、『日経・FTグループ』が
世界へ産声を上げた」

買収額はキャッシュで、
8億4400万ポンド、約1600億円。
証券市場評価による企業価値の3倍。

フィナンシャルタイムズも、
よほど現金にひっ迫していたのだろう。

紺屋の白袴、医者の不養生。

しかしデジタル版の有料読者は、
単純合計で93万人。

米国ニューヨーク・タイムズは91万人、
それを抜いて、世界第一位。

新聞発行部数は、
ウォール・ストリート・ジャーナルの、
146万部の2倍強。

メディアの影響力は規模と量と金かもしれない。
しかしメディアこそ質が問われる機能であり、存在だ。

果たして日経・FTは量を質に変えられるのか。

もちろん買収されたFTが日経に対して、
決定的に変質を迫ってくるだろう。

水は高きより低きに流れる。
覆水盆に返らず。

そこで岡田さんが強調するグループの旗印は、
「質の高い最強の経済ジャーナリズム」

「新しいメディアが次々に誕生するなかで、
新聞の生き残る道は、
『クオリティー』の一点にある」

そのQuality Journalismとしては、
「人材とインフラへの終わりなき投資」。

ただし社長としてのコメント。
もうちょっと期待していたが、
優等生的でつまらない。

ドキドキワクワクがない。

21世紀、ドキドキワクワクも、
大切な「質」の要件の一つだ。

まあ、それを、
期待してはいけないか。

私は熱心な有料購読者の一人だから、
言わせてもらっておこう。

さてさて、最後に、
月刊『商人舎』12月号の巻頭言を、
今、思案していたら、
違うものができた。
それを披露。

タイトルは「革命」。

革命しよう。
君は言う。

そうかい。
僕は答える。

でも僕らはみんな、
世界を変えようと思ってる。


それは進化だ。

君は言う。

ああ、そうかい。
僕は答える。

僕らはみんな、
世界を変えようとは思ってる。


でも君が何かを壊そうとしたら、
僕はそれには加わらないよ。

知らないのかい。
破壊などしなくてもいいってこと。

うまくいくさ。
うまくいくんだよ。
〈Beatles「Revolution」〉

もちろんジョン・レノンの考え方。

念のため、歌詞。
You say you want a revolution
Well, you know
We all want to change the world
You tell me that it’s evolution
Well, you know
We all want to change the world
But when you talk about destruction
Don’t you know that you can count me out
Don’t you know it’s gonna be alright
Alright,alright
[J.LENNON/P.McCARTNEY ]

パリ同時多発テロに対して、
「破壊」で臨んではならない。
それではうまくいかない。

日経&FTは、
どんな姿勢で臨んでいるんだろう。
よく読んでみよう。

では、12月もよろしく。

〈結城義晴〉

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