結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月28日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その16】台風

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。
そんな猫の目で見る博物誌――。

台風に備へスーパー賑はへり
〈秋山英身〉

台風の本質は「熱帯低気圧」

トリプル台風が去ったと思ったら、
その一つが残って、迷走台風10号。

熱帯の海上で低気圧が発生する。
それは「熱帯低気圧」と呼ばれる。

その熱帯低気圧の中で、
二つの条件を備えるものを、
わざわざ「台風」と位置付ける。

人間に大きな影響をもたらすから。

その条件の第1は、
北西太平洋または南シナ海にあること。
北西太平洋とは赤道より北で、
東経180度より西の領域。

日本列島は、
東経123度から東経154度の間にあるから、
この中にすっぽり入る。

第2の条件はその低気圧域内の最大風速が、
10分間平均でおよそ秒速17m以上のもの。
この速さは34ノット、風力8。

台風は動く。

上空の風に流されるから。
もちろん大きな風は、
高い気圧団と低い気圧団の、
配置の関係で起こる。

しかし一方で台風は、
地球の自転の影響で、
北へ向かう性質をもつ。

だから、東風が吹いている低緯度地域では、
西へ流されながら次第に北上する。
そして上空で強い偏西風が吹く中・高緯度で、
速い速度で北東へ進む。

この中・高緯度が日本列島と重なる。

台風はエネルギーだ。

暖かい海面から水蒸気が上る。
それが凝結して雲粒になる。
そのときに放出される熱を、
エネルギーとして台風は発達する。

だから台風はエネルギーだ。

しかし、移動すると、
海面や地上と摩擦が起こる。

したがって台風は絶えず、
自らのエネルギーを失っている。

台風は赤道付近の海上で発生する。
発生期の台風。
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〈気象庁ホームページ資料より。以下同じ〉

赤道付近の熱帯地方は、
海面水温が高い。

そんな熱帯の海上では、
上昇気流が発生しやすい。

上昇気流が積乱雲を生み出す。

積乱雲が多数、まとまると渦を形成する。
その渦の中心付近の気圧が下がり続けると、
熱帯低気圧となる。

その熱帯低気圧の風速が、
秒速17m超えたものが「台風」だ。

だから台風は、
「入道雲の集まり」と、
認識することもできる。

台風は発生し、発達し、成長し、衰退する。
つまりライフサイクルがある。

発達期の台風。
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台風の条件を満たしてから、
中心気圧が下がって、
勢力が最も強くなるまでの期間を、
「発達期」という。

海面はあくまで暖かい。
そこから暖かい水蒸気が台風に供給される。
それをエネルギー源として発達する。

中心気圧はぐんぐん下がり、
中心付近の風速も急激に強くなる。

最盛期の台風。
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中心気圧が最も低くなり、
最大風速が最も強くなる。

しかし台風が北上するにしたがって、
中心付近の風速が徐々に弱まる。
それが衰退期。
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ただし衰退期には逆に、
範囲が広がる。

もちろん衰退期といっても、
台風には変わりないから、
風は強い。

その強い風の領域が、
衰退期には広くなる。

そして台風は普通の温帯低気圧、
あるいは熱帯低気圧となる。
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地球の自転の影響で、
台風は北上する。

すると海面水温が低くなる。
そしてエネルギー源としての、
海からの水蒸気の供給が減少して、
普通の存在となる。

台風には大きさと強さの段階がある。

10分間平均の風速が基準となる。

「大きさ」は強風域の半径で示される。
強風域とは秒速15m以上の風が吹いている、
あるいは吹く可能性がある範囲。

大きさの階級分けは単純。
「大型」は半径500km以上~800km未満、
「超大型」は800km以上。
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超大型は日本列島全域に影響を与える。

一方、「強さ」は最大風速で区分される。
これも単純。

「強い台風」は、秒速33m以上~44m未満、
「非常に強い台風」は、44m以上~54m未満、
「猛烈な台風」は54m以上。

この大きさと強さは、
気象情報を提供される場面で使われる表現。

だから「大型で強い台風」という場合、
半径500km以上で800km未満で、
秒速33m以上~44m未満の風が吹く。

ただし単に「強い台風」と表現される場合は、
強風域の半径が500km未満で、
中心付近の最大風速が33~43mのことを示す。

ちょっとした表現でも、
厳密な定義がある。

台風には仲間がいる。

サイクロンとハリケーン。
これはエリアの違い。

最大風速が17m以上の熱帯低気圧でも、
北インド洋と南太平洋にあるものは、
「サイクロン」

北大西洋と北東太平洋の熱帯低気圧のうち、
最大風速が32.7m以上が「ハリケーン」

世界気象機関は、
地理的な領域に関係なく、
熱帯低気圧を最大風速により分類する。
①トロピカル・デプレッション 17.1mまで
②トロピカル・ストーム 17.2~24.4m
③シビア・トロピカル・ストーム
24.5~32.6m
④タイフーン”typhoon” 32.7m以上

日本では、「野分」といった。
「のわき」あるいは「のわけ」と呼ぶ。

吹とばす石はあさまの野分かな
〈松尾芭蕉〉

「あさま」は浅間山のこと。

もう一句、松尾芭蕉。

芭蕉野分して盥に雨を聞夜哉
〈松尾芭蕉)

「盥」はたらい。

台風に揺られる芭蕉の葉、
庵の中は雨漏りで、それを受ける盥の雨音。

芭蕉は、芭蕉を思いつつ、
盥の音を聞いている。

しかし台風が過ぎ去ったあとには、
空は晴れわたる。

「台風一過」

のんきなセミの声が聞こえたりする。

猫はそれを待ち望むのみ。
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雨漏りはしない。

台風の来たりてコンビニ賑はへり
〈未曾 司〉

(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)

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