結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年01月27日(日曜日)

上田惇生先生の遺影に線香をあげ、ドラッカーに同期する。

1月10日、午前2時過ぎ。
上田惇生先生は亡くなられた。
81歳だった。
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ご家族によって、
ひっそりと葬儀が行われた。

今日、大宮のご自宅に、
焼香に行った。

遺影に手を合わせ、
お線香をあげた後、
奥様の上田栄子さんのお話を、
静かにお聞きした。

奥様は80歳。

「simpleという言葉が好きでした」

「だから本なども自分で整理して、
どんどん始末しました」

お宅の玄関の扉を開けると、
上田先生の書斎兼応接室がある。
掘りごたつが設けられていて、
ここでいつも集中的に仕事した。

後ろには壁一面に本棚があるが、
simpleを貫いて、どんどん処分した。
ずいぶんすっきりした本の並びだった。

Simple!

私も見習っていきたいと思った。

上田先生とドラッカーとの出会い。
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1973年にドラッカーの代表作を、
何人かで翻訳する話が持ち上がった。
書名は『マネジメント』上下2冊。

上田先生は、
その翻訳チームへの参加を誘われた。
「そのケツっぺたに、
くっついてったんです」

訳し終えて、本が出版された。

上田惇生はドラッカーに手紙を書いた。
それをファックスで送った。

「だいたいあの本は厚すぎる」

原書は800ページ、
翻訳本は1300ページ。
内容がダブっている箇所もある。

そこで英語のまま、
省略して薄くしたものを送った。

そうしたらドラッカーから、
「やれっ」と返事が来た。

「できたのが『抄訳マネジメント』」
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私も最初に読んだドラッカーが、
あの『抄訳マネジメント』だった。
1975年の発刊。

これが最大のベストセラーにつながった。
『【エッセンシャル版】マネジメント』
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「抄訳」こそ、simpleそのものだった。
つまり、ドラッカーのベストセラーは、
ドラッカーの代表作の、
上田惇生の翻訳兼シンプル化版だった。

「抄訳」を出版するにあたって、
上田惇生はわからないことを、
何でもかんでもどんどん聞いた。
ファックスのやり取りは700通になった。

ドラッカーは信頼を寄せた。
「このウエダってのは細かく見てくれるな」

「徹底」をシンプルに言えば、
細かく、厳しく、続けること。
つまり詳細に厳密に継続する。
これは結城義晴。

上田惇生は言う。
「わかんないから、聞いただけ」

これもシンプルだ。
「わからないまま、
自分の机の前を通さない」

上田惇生のモットー。

シンプルなうえに、
わからないことは、
わかるまで聞く。

翻訳本はたいてい、
つまらなくなってしまう。

「何を言ってるか
わかんなくなっちゃうことがある」

「最初は、ただ忠実に訳していた」

しかしそれがいつのまにか、
「ドラッカーの言ってることと、
私の言ってることが、
同じになってきちゃった」

融合であり、同期(シンクロ)である。
だから分身なのだ。

上田惇生が60歳の還暦になったとき。
ドラッカーからファックスが届いた。

“Happy birthday to you!”

そのあとに、
“Happy returns and best wishes
for healthy and productive additional‥‥”

「健康的で生産的なこれからの、
幸せな折り返しを祈る」

“You are now entering
what will probably be the most satisfied
third of your life‥‥”

「多分、もっとも満足のいく、
人生の残りの三分の一に、
あなたは今、差し掛かっている」

上田惇生のこの20年間は、
実に意欲的な仕事ぶりだった。

ドラッカー自身は95歳まで生きた。
そのウエダに対する予言も、
10年、長かったけれど。

上田先生は述懐している。
「30歳までが、人生の第1期。
60歳までが、第2期でしょ。
で、いちばんたのしい第3期が
これから始まるんだよ、ってね‥‥」

それを実践した第3期だった。

上田先生はドリス夫人のことを語る。
「ドラッカーの奥さんは、
科学者なんです」

ドラッカーが語るのを横で聞いていると、
ときどき聞こえなくなることがある。
そこでドリス夫人は発明した。

”しゃべってる人間が、
自分がどのくらいの大きさで
話しているのかわかるような装置”

80歳くらいで起業して、販売開始した。

そのドリス夫人への雑誌インタビュー。
質問。
「事業を起こし経営していくうえで
ご主人が有益なアドバイスを
くれたんじゃないんですか」

ドリス夫人。
「あの人は、実務的なことは、
全然ダメなの。
あの人は、何の役にも、
立たなかったのよ」

上田先生もまったく同じ。
キャベツとレタスの区別がつかなかった。

栄子夫人がそれを支え続けた。

心からご冥福を祈りつつ、
奥様のお幸せも願いたい。

合掌。

〈結城義晴〉
(『ほぼ日』「はじめてのドラッカー」を参照しました)

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