結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年08月11日(日曜日)

「民主主義を立て直す方法」と石田梅岩の「商売の哲学」

今日は「山の日」の祝日。
しかし日曜日。

ハッピーマンデー制度の導入によって、
明日の月曜日が振り替え休日。

山の日に特別の由来はない。
祝日法の趣旨は、
「山に親しむ機会を得て
山の恩恵に感謝する」

「海の日」が1995年(平成7年)に制定され、
1996年施行。

それから20年後に山の日が始まった。

『古事記』『日本書紀』の日本神話には、
山幸彦と海幸彦が出てくる。

日本人のルーツ。

「やまさちひこ」と「うみさちひこ」。

山の猟が得意な山幸彦と、
海の漁が得意な海幸彦の物語。

だから海洋国家日本に、
兄の「海の日」が制定されたら、
弟の「山の日」が追加された。

先日、福岡に帰省して、
94歳になる伯父と飲みながら話した。

父の兄で、今、結城一族の長老。

その伯父によると、
結城一族はどうやら、
山の民だったようだ。

つまり大きく分けると山幸彦の系譜。
私も山の民なんだと、自覚した。

その山の日。

ひどく疲れ切っていて、
山の民としては気恥ずかしいけれど、
クーラーの効いた自宅で、
一日中、静養。

夕方、外に出たら、
美しい夕日。
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立秋は過ぎたけれど、
暑さは激しくなるばかり。

しかし、夕方になると一瞬、
秋の気配を感じる。
IMG_98389

日が沈むと月に叢雲。  IMG_98449

上弦の月が白い雲に隠れていった。
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旧盆を控えて、
「帰省」の季節

帰省には「省」という字が使われている。
この字を「せい」と読む場合、
3つの意味がある。

第1は、振り返ってよく考えてみること。
「反省」「自省」などはこの意味。
第2は、安否をたずねること。
特に親の安否をたずねるのが「帰省」。
第3が、はぶくこと。
「省力化」や「省人化」として、
最近もよく使う。

ただし、振り返ってよく考えて、
その成否をたずねてから、
省くこと。

そのほうが「省」の精神にあっている。

中日新聞の「中日春秋」。
「なるほど、単に故郷に帰るだけでは
帰郷であり、里帰りであり、
父母のことを思わなければ、
本来の”帰省”ということにはならぬのか」

その通り。

そして佐藤林太呂の一句。
夕闇に母をとらへし帰省かな

帰省してみると、
夕闇の中に母が待っていてくれた。
その姿をとらえた。

そんな句か。

私にはもう母も父もいないけれど。

さて、日経新聞「社説」
「なぜ民主主義がうまく機能しないのか」

いま、世界中で市場の問題。

話題の本『選挙制を疑う』
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ダーヴィッド・ヴァン・レイブルック著。
1971年、ベルギー生まれ。
ルーヴェン・カトリック大学を出て、
ケンブリッジ大学で学び、
ライデン大学で博士号を取得。
欧州を代表する知識人の一人。

レイブルックの提案は大胆だ。
「民主主義を立て直す方法」として、
「選挙をやめ、くじ引きを導入する」

最初に言い出したのが、
18世紀のフランスの思想家ルソー。
「一般的な公職は
良識、正義、誠実があれば
十分務まる」

そこでルソーは訴えた。
「抽選制の方が民主主義の本質にかなう」

コラムニスト。
「一般市民が裁判の陪審員や裁判員を
無難にこなしていることを考えれば、
全くの暴論でもあるまい」

「自分もいつ政治の担い手に
選ばれるかしれないとなれば、
国のかじ取りに無関心ではいられなくなる」

「政治との距離が縮まれば、
いまの代表を無能呼ばわりして
留飲を下げることのむなしさにも
気付くはずだ」

妙に納得。

選挙の完全廃止でなくとも、
抽選で選ばれた市民が討論をし、
それを政策決定の一助とする国が、
ヨーロッパには結構ある。

アイルランドの上院は、
一般人が議員となる。

ファーガル・クインさんが、
その上院議員だった。
スーパークイン社長。

「日本でよくある
政府のお仕着せの公聴会よりも
よほど有益だろう」

レイブルックはもうひとつ訴える。
民主主義を機能させるには、
「多数決とは何かを、
もういちどよく考えること」

「数が多い勢力の意見が
採用されるのは当たり前だが、
それで一件落着でよいのか」

米国の選挙では、
落選した候補が勝者に電話して祝福する。
良い伝統だ。

ラグビーのノーサイドの精神。

「敗者が負けを受け入れなければ、
円滑な政権運営は容易ではない」

しかし勝者にも節度が必要だ。
「勝ったからには何をしてもよいんだ
という態度ではかえって混乱を招く」
ドナルド・トランプ政権がそれだ。

一方、中華人民共和国には選挙制もない。
だから香港で紛争が起こっている。

この民主主義に問題のある2国が、
世界を先導するかに見える。

それが日本にも韓国にも、
伝染してきた。

ああ。

コラムの結論は石田梅岩の「共栄の精神」。
「先も立ち、われも立つ」

故倉本長治は昭和の石田梅岩と言われて、
江戸時代の商売哲学者を敬愛し、
研究した。
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「民主主義の原点もそこにある」

商売の哲学と民主主義の原点は
共通している。

ただし、どんなことも、
振り返ってよく考えて、
その成否をたずねてから、
省くこと。

〈結城義晴〉

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