結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年08月29日(土曜日)

「八月の終わり」の妙な切なさと「浮世のこともみな〆切主義」

8月29日。

物心ついてからずっと、
8月の終わりには、
妙な切なさを感じる。   IMG_84780

退任表明した安倍晋三さんも、
この切なさを感じているに違いない。

小学校から中学・高校まで、
8月の終わりごろは必ず、
夏休みの宿題に追い詰められた。

そのころから私の信条は、
「追い詰められること」

深夜まで宿題に取り組んでいると、
本題の宿題よりも、
詩集をめくったり、
小説を読みふけったり、
時には哲学書を紐解いたりした。

そこで「妙な切なさ」の中にたゆたう。
それが習慣になった。

高校一年から友達に誘われて、
同人誌に入会した。
名称は『ひこばえ』といった。

1年に何度か、作品を発表する。
その手書き原稿が、
一冊の同人誌として製本される。
それを回覧して、
仲間の同人の詩や小説を読む。

大学生になってからは、
早稲田大学童謡研究会に入って、
西條八十や北原白秋、野口雨情を、
研究したりしながら、創作に励んだ。

西條八十先生は、
この童謡研究会の創立者だ。

日本のわらべ歌にも、
イギリスのマザーグースにも、
興味をそそられた。
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まど・みちおや阪田寛夫、
サトウハチローや谷川俊太郎、
そして井上ひさしを目指した。

私は作詩と作曲をした。
だから吉田拓郎の「夏休み」、
井上陽水の「少年時代」、
荒井由美(当時)の「ヒコーキ雲」などにも、
大いに刺激された。

毎週、「さぶるこ」という合評誌を、
ガリ版印刷して全員に配った。
誰かは知らないが、
先輩が命名した習作誌は、
「遊女(さぶるこ)」と呼ばれた。

それをまとめて、
作品集「遊創」を編集した。
さらに作品を厳選して、
「早稲田童謡」を発表した。

㈱商業界に入社して、
社会人になってからは、
一転、ビジネス誌の編集に携わった。

以来、43年間、
原稿を書き続けている。

原稿はどんどん長くなってきた。
二番目の上司の高橋栄松編集長は、
「長いものを書け」と叱咤激励してくれた。

編集長になってからは、
特集の巻頭論文やルポ記事などのほかに、
月刊誌の巻頭言を書き始めた。

若いころの手習いによって、
私の巻頭言は詩のようになる。

「私の好きな人」

笑顔の人。
はっきりとした人。
晴れやかな人。

機敏な人。
元気な人。
清潔な人。

素直な人。
明るい人。
意欲ある人。

勇気ある人。
正義の人。
まっ正直な人。

優しい人。
耐える人。
辛抱強い人。

太っていても、やせていても。
大きくても、小さくても。
若くても、老いていても。

男でも、女でも。
日本人でも、外国人でも。
豊かでも、貧しくても。

心の力を持つ人。
頭の力のある人。
言葉の力を有する人。

私の好きな人。
ほんものの商人。
素晴らしい人間。
〈拙著『Message』から〉

指折り数えてみると、
私が何かを書き続けて51年間。
この間、一貫しているのは、
「〆切主義」

つまり締め切り間際に、
集中力を高めて書き上げる。

そして書き終わると、
どこかに切なさを感じる。

コラムニストの故山本夏彦さんの名言。
「まことに世は〆切」
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山本さんは月刊誌「木工界」の創刊者で、
商業界と同じ印刷所を使っていた。

山本さん曰く。
「何も原稿のことばかりではない。
浮世のことはすべてそうだ」

ブログを書き始めてから、
私には毎日、毎週、毎月、
〆切だらけ。

自らに〆切を課す。
その〆切の頻度が高まれば、
大量に書ける。

大量に書いていると、
文章の質も高くなる。

「締め切りに焦ってこしらえた原稿は、
不出来なことがある」

作家の村上春樹さんは、
「〆切主義」を否定する。

村上さんはマラソンランナー型だ。
毎日、コツコツと書き続ける。
「一日、十枚書くとそこでやめる」

私には、それはない。
夏休みの宿題と同じ「〆切主義」

そして締め切りに追われて書くと、
私には良いものが創作できる。
もちろんあとからの推敲は必須だ。

ただし時間が迫っても、
絶対に手を抜かない。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、
同じようなことを言っている。
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「なんでもギリギリにすると、
一番スピードが上がって効率がいい」

これを知って、
私はちょっと安心した。

作家の故井上ひさしさんは、
自ら「遅筆堂」を任じた。
「筆が遅い人」である。
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その井上ひさしさんの挽回策の一つ。
「良い本を書き上げ、
内容のよさで遅れを勘弁してもらう」

私も全くの同感。

そして、書き終わると、
「妙な切なさ」を感じる。

八月の終りのながきてがみかな
〈星野麥丘人『雨滴集』より〉
星野麥丘人(ほしの ばくきゅうじん)は、
1925年~2013年の俳人。
俳句誌『鶴』の主宰者。

八月の終わりの長い手紙にも、
妙な切なさは感じられたに違いない。

〈結城義晴〉

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