結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年10月17日(土曜日)

日経社説「新型コロナが示した小売業の教訓」に物申す

天下の日経新聞社説が、
小売業のことを取り上げてくれた。

とっても、ありがたい。

「新型コロナが示した小売業の教訓」

「緊急事態宣言の発令から半年余り。
2020年3~8月期の小売業の決算を見ると
新型コロナウイルスの感染拡大が
個人消費に与えた影響は大きく、
今後の経営に教訓をもたらしている」

その通り。
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社説子の言う教訓⑴
これまでの成功を支えた前提条件への過信は禁物。

「近年の消費の重心は、
人口減や少子高齢化とともに、
大都市部の繁華街や駅周辺にシフトしたが
コロナ禍で一変」

「テレワークの広がりや外出の自粛で
都心部の集客力が低下した」

そこで百貨店の3~8月期決算は悪化。

高島屋が232億円の最終赤字。
J・フロントリテイリングも163億円の赤字。

「デジタル化は遅れたままで、
インバウンドと高齢者に依存してきた
事業モデルの脆弱さが露呈した」

百貨店に対しては手厳しい。

「意外だったのが、
コンビニエンスストアだ。
有事に強いはずが、
都心部のランチ需要の大幅減に伴い、
上期の既存店売上高が極端に落ち込んだ」

社説子は流通の専門家ではないのか。
コンビニの低調に率直に驚いている。

この結果、最終損益は、
ファミリーマートが107億円の赤字、
ローソンは前年同期比84%減。

一方、食品スーパーマーケットは、
業績が回復した。
「郊外や住宅地に多い」と表現する。

「ライフコーポレーションは
純利益が前年同期の3倍に達した」

ライフは都心部にも出店しているが。

ここでまたコンビニに戻る。
「利便性で成長したコンビニだが、
時間の余裕が生まれた消費者に対して
提供する価値が低下してしまった」

論述が行ったり来たり。

社説の言う教訓⑵
客離れを放置してはいけないこと。

「コロナ禍は構造的に
客離れが進む産業や企業に容赦がない」

これはその通り。
コロナは相手を見ない。
大統領も農民も、容赦しない。

「例えばアパレル。
若者の関心が薄れていたほか、
カジュアル志向が強まり、
業績不振に拍車がかかった」

「オンワードホールディングスや
三陽商会など大手アパレルは赤字に陥り、
先行きが見えない」

あれれ?
これらの企業は小売業か?

「居酒屋チェーンも同じ。
以前から若者の
アルコール離れが進んでおり、
市場回復は困難を極める」

これも小売業ではない。
社説子、最初のテーゼを忘れている。

しかし柳井正さんの発言を引く。
ファーストリテイリング会長兼社長。
コロナ禍での企業のあり方について、
「今までの常識は通用しない。
自社の存在理由を考え抜くこと」

柳井さんの発言は正しい。
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社説子の結論。
「企業はコロナ禍の教訓を生かし、
リスクの分散や新事業の育成など、
経営戦略の再構築が急務だ」

経営戦略の再構築が急務である。
これには大賛成。
しかしこの2つの教訓だけでいいのか?

さらに柳井さんの「自社の存在理由」と、
リスクの分散や新事業の育成は、
そのまま結びつくものではない。

取り上げてくれたのはありがたいが、
社説にしては分析が浅くて、甘い。

残念だ。

COVID-19は、
小売業だけではなく、
あらゆる業種業態に、
その存在理由を問う。

そのレゾンデートルから見て、
自社の事業を再定義するときである。

そこで改めて、
ピーター・ドラッカーの事業の定義。
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ミドルマネジメント研修生、
知識商人大学修了生。
立教大学院の修了生も、
わかるだろう。

第1に、
組織を取り巻く「環境」である。

第2に、
その組織特有の「使命」である。

そして第3に、
使命を達成する「強み」である。

第1の環境の変化は、
新型コロナウイルス禍によって、
何が変わったかをつぶさに、
見る、聞く、考える。

第2の「使命」こそ、
柳井さんが言う存在理由だ。

使命は突き詰められねばならない。
だからこそ、
これまでの成功の前提条件を、
過信してはならない。

だからコロナ禍で使命を果たすために、
手段や方法は変わるかもしれない。

鈴木敏文さんの口癖。
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
「過去の成功体験を捨てよ」
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だとすればコロナ禍に限らず、
どんなときにも成功の前提条件を、
過信してはならない。

第3が自分の「強み」の分析だが、
コンビニの強み、百貨店の強み、
スーパーマーケットの強み。
そこから考えを始める。

時には、SWOT分析も必要だろう。

この「使命」と「強み」から発想して、
まず本業をどう変えていくか。
そのあとで新規事業をどう開発するか。
どうリスクを分散するか。

こういった思考回路を巡らす。

社説子の「客離れの放置」とは、
一体何か。

そしてそれへの対策は、
いったいどんなことか。

私が思うのは、
環境と使命と強みの再検証である。
むしろ、それしかない。

取り上げてくれたのはありがたいが、
浅くて、甘いのは困る。

読んだ小売業者が、
妙に納得しただけで、
それで終わってしまう。

これは困る。

〈結城義晴〉

2020年10月16日(金曜日)

トレーダー・ジョーの新フォーマットの夢を見た。

不思議な夢を見た。
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米国のトレーダー・ジョーが、
新しいタイプの店を出した。
これを「新フォーマット」と言う。

その新トレーダー・ジョーを、
私は見に行っている。

どんな店かというと、
全部対面販売のトレーダー・ジョーなのだ。

先祖返りした新フォーマット。
「温故知新」の店。

店名は、
「○○○○○○by Trader Joe’s」
一瞬、目に映った。

旧い建物の一角の倉庫を、
改装したような店舗だ。
全体に暗い。

200坪くらいだろうか。
レギュラーのトレーダー・ジョーより狭い。

天井は古い木製のスケルトン。
しかしその間から空が見える。

店舗前面はガラス張りのシースルー。
入り口を入るとまず、
対面販売方式のチーズ売場がつづく。

店員が8人くらい並んで、
声をかけながら様々なチーズを売る。

あのニューヨークのゼイバーズを、
3倍くらいにしたようなチーズ売場だ。
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それから主通路は回り込んで、
生鮮食品や乳製品が売られる。
しかしこの辺りになると、
夢だから、うろ覚えだ。

一巡りして、
スタンドカフェがある。

そこで私は何かを注文して待っている。

胸がワクワクする店だ。
私は懸命に解説している。

そのあたりで夢は終わる。

しかし妙に鮮明に覚えている。

ああ、アメリカに行きたい。
トレーダー・ジョーを訪れたい。
それらのイノベーションを見たい。

そしてそれは温故知新に違いない。

そんな私の心のストレスが、
この夢を見させてくれたのかもしれない。

いい気分で目覚めた。

COVID-19パンデミック。
アメリカも感染した。
C

この大問題が解消したら、
みなさん、一緒に、
アメリカに行きましょう。

トレーダー・ジョーが、
全米で飽和になったら、
新フォーマットを開発するかもしれない。
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それを見に行きましょう。

楽しみです。

しかし「夢」と言えば、
ジークムント・フロイト。
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オーストリアの精神科医。
その著作は『夢判断』
「The Interpretation of Dream」

フロイトの考え方を簡単に言えば、
「夢の素材は記憶から引き出される」

ふむふむ。

「引き出される素材は無意識的である」

なるほど。

しかし、夢には、
「無意識に基づいた統合性が備わっている」

夢は、さまざまな事象を、
「一つの物語として連結させたものだ」

納得。

夢とは、
「潜在的な願望を充足させるものである」

つまり夢は、
「無意識による自己表現である」

トレーダー・ジョーの夢を、
自己分析すると前提には、
やはり新型コロナウィルスがある。
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閉塞された気持ちがある。

そして昨日の講演で使った写真。
「ピグリー・ウィグリー」の、
1916年のモノクロ写真。

あれに影響受けた。

クラレンス・サンダースによる、
世界最初のセルフサービス店だ。

しかし、私の見たトレーダー・ジョーは、
セルフサービスではなかった。

反対の対面販売方式。
なぜかは、わからない。

東大阪の万代百貨店が、
かつて対面方式を採用していた。
それも夢の素材にあるかもしれない。

夢のトレーダー・ジョーは、
それにちょっと似ていた。

もちろんゼイバーズにも似ている。 IMG_4796-1-448x336

そして夢の新フォーマットのイメージは、
ロピアの寝屋川島忠ホームズ店。
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しかしやっぱり一番の理由は、
「潜在的な願望」だろう。

アメリカに行きたい。
みなさん、来年には、
一緒に行きましょう。

大統領選挙も終わって、
世情は落ち着いて、
素晴らしい店々が、
躍動しているに違いない。

しかし振り返ってみると、
この12年ほどで、
日本の小売業の店も、
大きく変わった。

商人舎はそれらに、
少しは影響を与えることができた。

私が描いていた「夢」が、
実現している。

「夢」には5つの意味がある。

第1は、睡眠中に見るもの。
あたかも現実の経験であるかのように、
感じる一連の観念や心像。

第2は、将来実現させたいと思っている事柄。

第3は、現実から離れた空想や楽しい考え。

第4は、心の迷い。

そして第5は、はかないこと。

私は昨日の夜、
第1の夢を見て、
第3の夢を思った。
そして第2の夢を考えた。
第4の夢や第5の夢となることはない。

そう思った。

「温故知新の新フォーマット」
これはいいかもしれない。

〈結城義晴〉

2020年10月15日(木曜日)

故西端春枝先生の近畿女性同友会講演の「商業界精神」

今日は大阪へ。

横浜は雨模様だったが、
静岡に入ると晴れ間が見えて、
名古屋以西は爽快な秋。

新大阪駅に、
中尾徹さんが迎えに来てくれた。
スリーエスコーポレーション㈱、
業務部企画室室長。

昨年の10月に開催されたのが、
商人舎ミドルマネジメント研修会。
その第16回で、S級の成績を獲った。
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去年は主任だったが、
もう室長になった。

仕事も成果を上げているようだし、
自信もついたのだろう。
顔つきが変わっていた。

うれしい限りだ。

そのまま西天満の浄信寺へ。
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商業界ゼミナール近畿女性同友会
ずっと西端春枝先生が会長だった。

その西端先生が今年6月6日に永眠された。
私はその日のブログに訃報を書いた。
西端春枝先生 ご逝去

それから4カ月。

商業界近畿女性同友会は、
今日、活動を再開した。

㈱商業界は自己破産したが、
その同友会活動は衰えない。

今日は結城義晴が講師。

会場は西端先生が副住職だった浄信寺。

12年前にこのお寺の本堂で、
商人舎主催「寺子屋研修会」を、
開催させていただいた。

到着すると平澤範雄さんから、
先生が逝去されたときのお話を聞いた。IMG_90580
西端先生のご長男で、この浄心寺ご住職。
商業界スパークルの第一期生だとか。

お話を聞いてから、
焼香させていただいた。
様々な思いが胸に去来した。

控室には渡部裕子さんの見事な書。
魚は水を知らず 
人はくうきを知らず
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そして三人の先達の写真。
真ん中が西端行雄さん。
左が倉本長治先生、右が倉本初夫先生。IMG_90670
西端行雄さんはニチイ創業者。
もちろん春枝先生のご主人。

その西端行雄さんの胸像。
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今日の講義でも話したが、
私は「integrity」という言葉をよく使う。
ピーター・ドラッカーが、
最も大切にした概念だ。

「真摯さ」と上田惇生先生は訳した。
私は「真っ正直」と意訳している。

そして小売商業の世界で、
最もintegrityの言葉がふさわしいのが、
西端行雄さんだった。

午後4時、近畿女性同友会開始。
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今日は40名ほどの会員が参集。
さらに十数名の方がZOOMで参加する。

冒頭のご挨拶は暮部恵子さん。
㈱クレコスという化粧品会社の社長。
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まず西端先生の遺影の前で、
「商売十訓」の朗読。
コロナ禍で全員の唱和は中止。
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暮部さんが講師をご紹介してくださった。DSCN97830
私が㈱商業界の社長だったころ、
商業界ゼミナール(2月ゼミ)に、
ミュージカルを組み込んだことがある。
「パパの明日はわからない」
劇団ふるさときゃらばん。

暮部さんはそのことを話してくれた。
「商業界は変わると思った」

ありがたい。

そのご期待に沿えなかったが、
今日はその分まで語ろうと決意した。
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はじめはコロナ禍と、
その中の商人の生き方。
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そして商業界精神の本質。
「店は客のためにある。
店員とともに栄える」

さらに「商売十訓」とその謎解き。

最後は新保民八。
「正しきによりて
滅ぶる店あらば、
滅びてもよし。
断じて滅びず」

新保はまず、正しくあれ、と諭す。
そして正しくあるならば、
滅びてもよし、と言い切る。

現実を顧みると、正しくないものは、
即座に、滅びる。

しかし、正しさを唱える者が
滅びてしまうことも、ままある。

なぜか。
なぜ、
正しくあることを目指しているのに、
滅びるのか。

それはイノベーションがないからである。

イノベーションとは、
「自ら、変わる」ことである。
「店が客のためにある」ことに向けた、
自己変革である。

原点を貫くための原則を新保は、
「滅びてもよし。断じて滅びず」
と、心意気を示すように訴える。

だが私は、
「滅びてもよし」と「断じて滅びず」の間に、
「自ら、変われ」「自己革新せよ」という、
強い意志が横たわっていると考える。

経営の革新と技術の革新は、
滅びぬために不可欠だからである。

商人の原点と原則は、
「正義」を貫き、
「革新」を続けることにあるのだ――。
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この新型コロナウイルス禍でも、
革新は必須だ。
それはイノベーションであり、
「自ら、変わること」である。

講義が終わって拍手をいただいた。DSCN98430

最後に長澤政代さんが、
西端先生の思い出を、
とつとつと語ってくださった。
ナガサワ食品㈱会長。
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西端先生をもっともよく知る人。
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私のことも褒めてくださった。
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恐縮至極。
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最後に長澤さん、暮部さんと写真。
ありがとうございました。IMG_90620

講演会が終わったら交流会。
女性同友会の中心メンバーの皆さんと、
意義のある、楽しい交流。

撮影の一瞬だけ奥に集まって、
マスクを外してポーズ。
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國場佳代さん(㈱アトリエ・カヨ代表取締役)
井坂美佐さん(スリーエスコーポレーション社長)
岡田真希さん(花LINKS㈱社長)
橋本由紀子さん(安心堂白雪姫取締役)
岩橋成子さん(㈱日之出屋岩橋会長)
細畠美鶴さん(キャリアコンサルタント)

女性経営者の皆さんのパワーに煽られた。
ありがとうございました。
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壮にして学べば、
すなわち、
老いて衰えず。

老いて学べば、
すなわち、
死して朽ちず。

西端春枝先生に、合掌。

〈結城義晴〉

2020年10月14日(水曜日)

「ポジショニング競争は人間の精神を豊かにする」

日経新聞電子版。
経営者ブログ。
鈴木幸一さん。
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㈱インターネットイニシアティブ会長。
略してIIJ。

1992年12月創業。
その当時は世界的にも、
インターネット接続サービスが、
開始されたばかりだった。

「やらなければいけない仕事、
新しいサービス開発等々、
いくら時間があっても、
足りない時代」

社員たちが要望した働き方の基本は、
「好きな時間に、
必要だと思っただけ、

オフィスで仕事を
させてほしい」

ん~。

わかる。

私が入社したばかりの販売革新編集部。
1977年、故緒方知行さんが編集長だった。
何としても「流通革命」を仕上げる。
それを支え続ける。
そんな気概があった。

商業界史上最高部数の食品商業編集部。
お陰様で結城義晴が編集長。
スーパーマーケットとコンビニを、
2つの核にして雑誌をつくった。
両業態の抜きつ抜かれつが、
実にスリリングで面白かった。
食品産業の地位向上を、
リードするという意気込みもあった。

読者もそれに応えてくれた。

そんなときは、
IIJ創業期と似ている。

思い切った実験的な企画も実行した。

鈴木さん。
「一般の事業者に定着していた
“働き方”を踏襲していたのでは、
米国や欧州の進んだ国に対し、
遅れるばかりであり、
しかもコミュニケーションの相手は、
初めからグローバルであり、
“日本だけができない”という
接続サービスを提供するのでは、
世界と肩を並べていくことはできない」

そんな危機感を
ほとんどの社員が共有していた。

鈴木さんは述懐する。
「シリコンバレーでは、
“普通の勤務形態”を貫いて
成功した会社も起業家もいない」

コロナウイルス禍によって、
「IT時代の働き方改革」が、
国の施策となっているかのようだ。

鈴木さん。
「新しい技術分野において、
わが国の劣勢が報じられるたびに、
誰もが、余裕をもてる”働き方改革”の
実践を目指したら、この国の産業の
将来はどうなるのだろう」

最後に、
「在宅でもなんでも、
働く場所はどこでもいいけれど、
少なくとも、
徹底して
鍛えられる場にいないと

若い人が育つのは
難しいのではないかと
じいさんの心配である」

同感だ。

だからといって、
サービス残業が許されるというのでは、
まったく、ない。

上司は部下に、
サービス残業を強要してはいけない。
経営者はそれを前提に、
マネジメントしてはならない。

しかし自分を徹底して鍛える。
そんな時期はだれにも必要だ。

その自分を鍛える時期が、
「売れる経験」と同期したり、
「良いものづくりの体験」と重なると、
人間は信じられないほど育つ。

競争も同じだ。

だから今、
ロピア寝屋川島忠ホームズ店や、
平和堂アル・プラザ香里園の、
現場の若い人たちは、
すごい成長をしているに違いない。
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だから激しい競争をしていても、
みんな、どこか愉快そうだし、
充実している風である。
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しかもそれは、
自分らしさを追求する競争だし、
ポジショニング競争である。

楽しいに違いない。
充実しているに相違ない。

今日も月刊商人舎10月号
次々に注文が入る。
202010_coverpage
ありがとうございます。

まだまだ在庫はあります。
ご注文はこちらまで☟
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最後に再び、
ブレーズ・パスカル。
鹿島茂編著『パンセ抄』
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「人は精神が豊かになるにつれて
自分の周りに独創的な人間が
より多くいることに気がつく。
しかし、凡庸な人というのは
人々の間に差異があることに
気づかない」
(断章七より)

精神が豊かにならねば、
独創的な人間に気づかない。
自分が独創的にもなれない。

ポジショニング戦略のパワーは、
人間の精神を豊かにするところにこそ、
存在するのだと思う。

〈結城義晴〉

2020年10月13日(火曜日)

一般社団法人「離島振興地方創生協会」千野和利理事長のビジョン

今日も素晴らしい秋の日だ。
お昼前に東京駅。IMG_90310

駅側から皇居側を臨む。IMG_90290

東京駅前の丸ビル。
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その35階。
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皇居を見下ろす絶景。
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今日は千野和利さんとランチ。IMG_90370
㈱阪急オアシスの社長、会長を歴任。
現在は、全国スーパーマーケット協会副会長。

それよりも千野さんの活動の中心は、
一般社団法人離島振興地方創生協会理事長。
「Japan Food Islands」
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今年4月のコロナ禍の中で設立され、
社員総会と理事会が開催された。

設立時の社員企業は、
三菱食品㈱、㈱日本アクセス、
ヤマエ久野㈱、㈱類設計室。

専務理事は元大塚食品㈱の高岡久さん、
理事は㈱いなげや前会長の遠藤正敏さん、
マックスバリュ東海㈱元社長の寺嶋晋さん、
そして三菱食品の中野勘治さん、
伊藤忠食品の濱口泰三さん、
三井食品の水足眞一さん、
日本アクセスの吉野芳夫さんなど、
大手卸売業の元社長・会長がずらり。

その目的は、
「国境離島振興と地方創生」をめざして、
3つの活動をしていく。

1 食品産業の育成
2 食品産業の基盤整備
3 住民の生活環境整備

この3つのテーマを中心に、
バリューチェーンを構築する。
そして離島と地方の生産基盤づくりを行う。

そのために官民一体となって、
総合コンサルティンググループを築いていく。

このバリューチェーン構築が、
いかにも千野さんらしい着想だ。

日本は6852の島嶼(とうしょ)から成り立つ。
いわば「海洋島嶼国家」である。
本土が5つの島。
離島は6847あって、
有人島は416、無人島が6432。
法対象となるのが304島で、
離島振興法の対象となるのは255島。

この離島振興と地方創生のために、
バリューチェーンを築く。

5年間のビジョン。
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すでに半年にして、
正会員が69社、
賛助会員が61社。
名だたる製造業と卸売業、
そして小売業が参集した。

イトーヨーカ堂、
エイチ・ツー・オー食品グループ、
エブリイ、
関西スーパーマーケット、
サンシャインチェーン本部、
東急ストア、
万代、
ヤオコー。

さらにイオン九州、
いなげや、
小田急商事、
ハローデイ、
富士シティオ、
ライフコーポレーション。

もちろん、全国農業協同組合連合会、
一般社団法人全国スーパーマーケット協会、
一般社団法人日本惣菜協会も、
参画している。

私はまだまだ小売業、
特にスーパーマーケットの参加が、
足りないと思う。

実に意義のある仕事で、
しかも地方や離島の生産物は、
バリューチェーンがサポートすれば、
マーチャンダイジングに貢献する。

千野さんは3つのチャネルを考えている。
第1が道の駅、
第2がeコマース、
そして第3がスーパーマーケット。

まずは長崎県の五島列島で、
最初のプロトタイプをつくり、
順次、鹿児島県や福島県で、
そのモデルを展開していく。

4月から9月の半年間に、
五島・上五島を4回訪問し、
壱岐・対馬は3回訪れた。

受託者の支援によって、
20品目が開発された。

千野さんがこの協会を設立したきっかけは、
長崎県の中村法道知事との交流。
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中村知事に招かれて、
五島を訪れて、
感じるものがあったそうだ。

そこから千野さんらしく、
一気呵成に協会を設立すると、
初動開始。

あっという間に、
多くの成果を上げた。

その行動力には感服。

ご協力をお約束して、
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まったく偶然だけれど、
月刊商人舎10月号のMessageで書いた。

小さな島に、
たった一店。

その店がとてもよく考えて、
お客さまをよく知って、
いつもその要望に応えてくれたら、
それはとても幸せな島だ。

しかしその店がちょっと迷って、
お客さまの期待に背を向けて、
儲けしか見えなくなったら、
すぐに不幸な島となる。

小さな島の、
たった一店は、
とても、
責任が重い。
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どういう縁だろう。
私も小さな島のことを考えていた。

〈結城義晴〉

2020年10月12日(月曜日)

商人舎10月号「ロピア飛来! 大阪寝屋川の陣」を紹介します。

Everybody! Good Monday!
[2020vol㊶]

2020年第42週。
10月第3週に入った。

秋真っ盛り。

毎年、この時期は欧米にいる。
だからこの10年ほどは、
日本の秋を堪能することはできなかった。

今年はコロナのおかげで、
日本の秋を味わえる。

とりわけ朝の気分は爽快だ。

月刊商人舎10月号。
本日、発刊しました。
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発刊が2日ほど遅れました。
申し訳ありません。

今回の特集の主役は、
「ロピア寝屋川島忠ホームズ店」
その新規開店が9月29日だったので、
11月号に回そうとも考えたのですが、
何とか早くお届けしたいと、
執筆・編集、デザイン、印刷・製本を、
10日間の突貫工事で仕上げて、
何とか今朝、刷り上がりました。

ご協力くださった小売企業の皆さん、
執筆陣の先生方、
デザインや印刷の皆さん、
そして商人舎スタッフの皆さん、
ありがとうございました。
心から感謝します。

それから年間購読の読者の皆さん、
さらに今回は予約販売をしましたが、
ご購入くださった皆さん、
今日、発送しましたので、
近日中にお手元に届きます。

ご査収ください。

そして機会があれば、
寝屋川を訪れてみてください。

[特集]タイトルは、
ロピア飛来! 大阪寝屋川の陣
平和堂・ライフ・万代の棲み分け競争を描き出す。
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商人舎特有の[Cover Message]
9月29日、大阪寝屋川市に衝撃的なスーパーマーケットが登場した。㈱関西ロピア1号店。50年前の1971年、神奈川県藤沢市に肉の宝屋藤沢店として創業。1994年にはスーパーマーケット業態に参入。社名は㈱ユータカラヤからロピアに変わり、ユニークなフォーマットを開発して、毎年、15%から20%の成長力を誇る関東の雄。一方、迎え撃つのは滋賀県に本社を置く㈱平和堂。そのショッピングセンターのアル・プラザ香里園。ダイエー香里店やジャスコ寝屋川店といった伝説店舗を退けて、地域一番店として残った総合スーパー。さらに京阪本線香里園駅前のライフ香里園店は2層の中型総合スーパー。関西ダントツを標榜する万代香里西店は300坪型の「地域の冷蔵庫代わりの店」。この4店舗はコロナ禍にもかかわらず、それぞれのポジショニングを確立したうえで、レース型競争とともにコンテスト型競争を繰り広げる。それぞれのユニークさ、「らしさ」を競う。自分をもった者、強い者同士の競争。これを機に日本の店舗競合が変わる。コロナは競争も変えたのか。

目次を紹介しましょう。IMG_90190

[CONTENTS]
202010_contents

「特集のまえがき」は、
結城義晴が執筆。
LOPIAが巻き起こした「寝屋川の陣」の真相IMG_90220

それから現地を訪れる人のために、
決戦場「大阪寝屋川」の全貌
寝屋川市の競争のデータと歴史が、
わかりやすく描かれています。

わかりやすくて面白いのは、
[Photo Report]
結城義晴の寝屋川行動記IMG_90250
厳選した写真112枚ほどで、
9月28日と29日の寝屋川の競争を再現。
ロピア寝屋川島忠ホームズ店と、
平和堂アル・プラザ香里園、
ライフ香里園店、万代香里西店。
ロピアの開店前日と開店当日の、
それぞれの動静をウォッチしました。

それを結城義晴の目線で追った、
Photo Report。

たとえ寝屋川に行かなくとも、
追体験できるような仕立てです。

関東圏のロピアの社員の人たちさえも、
このPhoto Reportを見れば、
現地の状況がざっとわかる。

私は関西ロピアの若い人たちに、
「関西ロピアの創業だ」と言った。

だから「初心、忘るべからず」
生きている限り、
この感動を忘れないでほしい。

今回の本編は、
気鋭のジャーナリスト柴田正輝さん書下ろし、
[商人舎クリニックチーム同道記]
一気に読める現場リポートと、
結城義晴・鈴木國朗の解説。

さらに新谷千里さんの分析。
関西ロピアの独自の生産性対策を読み取る
超繁盛店の特異なローコスト・オペレーション

この切り口は商人舎独特のもの。
他では読めない。

そして巨匠・鈴木哲男先生。
[仮想クリニック分析]
関西ロピアはお客に支持されるか?
大阪食品小売業界に与えるインパクト度

鈴木先生にはオープン前に、
4社競争のシミュレーションをしていただいた。

見事に本質をとらえていた。

そして最後に、
結城義晴の[特集のあとがき]
闘い去って日が暮れて[三次元分析]

全編を見て、読んでから、
考えてください。

それが商人舎の願いです。

その考察の役に立つかどうか。

[Message of October]
大きな街の私だけの店

小さな島に、
たった一店。

その店がとてもよく考えて、
お客さまをよく知って、
いつもその要望に応えてくれたら、
それはとても幸せな島だ。

しかしその店がちょっと迷って、
お客さまの期待に背を向けて、
儲けしか見えなくなったら、
すぐに不幸な島となる。

小さな島の、
たった一店は、
とても、
責任が重い。

しかし大きな街の、
たくさんの店はどうしたらいいか。
どうすれば幸せなお客さまをつくれるか。
幸せな街になれるか。

大きな街のすべてのお客さまの心を、
小さな島のたった一店のように、
ぜんぶとらえようとしたら、それはできるのか。
いや、それはできない。

だから大きな街の、
お客さまをよく知る店は、
それぞれに私のお客さまを見つけて、
その私のお客さまを喜ばせる。

大きな街の、
私のお客さまのための、
たった一店になろうとする。
ほかにない一店であろうとする。

しかし大きな街の、
たくさんの店がみんな、
同じような商売をしたら、
それは幸せな街なのか。

そして大きな街の、
たくさんの店がみんな、
価格だけで競うとしたら、
それでお客さまは喜ぶのか。

これは小さな島の
たった一店が、
儲けしか考えないのと
同じだ。

かくて、大きな街で、
お客さまをよく知る店は、
私のお客さまを見つけて、
そのお客さまのための店になろうとする。

大きな街で、
小さな島の悪い一店になったら、
すぐにお客さまから見放されて、
消えてなくなる。

だから大きな街で、
私のお客さまのための、
たった一店でなければならない。
ほかにない一店でなければならない。
〈結城義晴〉
202010_message
ブログも長くなってしまいしたが、
記念すべきコロナ禍の中の一冊。
月刊商人舎2020年10月号。
新しい競争時代がやってきた。

ありがとうございました。

では、みなさん、今週も、
考えて、考えて、考え抜こう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

【追伸】
ご注文は以下からお願いします。
http://www.shoninsha.co.jp/wp-content/themes/shoninsha2015/pdf/magazine_202010_application2.pdf

2020年10月11日(日曜日)

「私の履歴書」KDDI小野寺正さんの「加入者」と「お客様」

日経新聞の「私の履歴書」
今月は小野寺正さん。
KDDI㈱相談役、72歳。

はじめは日本電信電話公社に入って、
それから不退転の転職。
やがてKDDIのトップとなる。

菅義偉総理が河野太郎大臣を起用して、
「聖域なき行革」を推進しようとする。

そのタイミングで、
小野寺正さんを取り上げた。
日経の「ジャーナリズム感覚」。
まったくの偶然ではないだろう。

政権への「忖度」はない。
連載を組むには準備期間が必要だからだ。

電電公社は1985年に民営化されて、
日本電信電話㈱(NTT)に変わる。

その年、小野寺さんは、
京セラ㈱の稲盛和夫さんが設立した、
第二電電企画㈱に転職する。

さらにこの第二電電(DDI)と、
トヨタ自動車のKDDなどが統合して、
KDDIとなって、NTTに対峙する。

小野寺さんは2001年に、
そのKDDI社長に就任する。

小野寺さんは宮城県仙台市生まれ。
父は宮城県庁の職員だった。
仙台第二高等学校から東北大学工学部。
そして「電電公社」に入る。
図1
その小野寺さんの電電公社の時代に、
いわゆる「土光臨調」が発足した。

政府諮問機関の「第2次臨時行政調査会」。
土光敏夫さんが会長を務めた。
index
土光さんはもともとはエンジニアだ。
石川島播磨重工業の社長から、
東芝の社長・会長を歴任、
経済団体連合会会長に就任し、
「ミスター合理化」と呼ばれた。

「土光臨調」は1981年に設置されて、
1983年に解散したが、
「増税なき財政再建」を掲げて、
三公社の民営化などを推進した。

この1981年、
電電公社の大改革のために、
真藤恒(しんとうひさし)さんが、
総裁として送り込まれた。

真藤さんは石川島播磨重工業の再建で、
辣腕を振るった経営者である。
もちろん土光さんが信頼する後輩だ。

電電公社の最後の総裁。
NTTの初代社長。

こちらは「ドクター合理化」と呼ばれた。
真藤恒
その電電公社総裁となった真藤さんは、
“課金”や”加入者”といった言葉を
「電電語」と名づけて忌み嫌った。

課金は電話代の使用料金を「課する」こと。
その使用料も「課金」という。
「加入者」は当時、電話に加入した人。

国が経営する公社は独占事業体である。
「加入者」に「課金」して、
収益を得た。

小野寺さんの述懐。
「私も末席に連なったある会議で
真藤さんが突然激怒したのを目にして、
驚いた覚えがある」

真藤さんは「加入者」のことを、
「なぜ”お客様”と言わないんだ」
と叱責した。

小野寺さん。
「ただ私の肌感覚でいえば、
真藤さんの改革への熱意は、
電電公社に十分浸透しなかった」

「あれから40年近くたつが、今もNTTは、
加入者という電電語を使い続けている」

「三公社」と言われた。
国が経営する事業体。

日本専売公社。
日本電信電話公社。
日本国有鉄道。

いずれも中曽根康弘内閣時代に、
民営化されてJT、NTT、JRとなった。
アルファベットで象徴される会社。
中曽根
中曽根さんはすごい総理だった。

公社に決定的に欠落していたのが、
「お客様」の視点であり、
「お客様」の発想だ。

真藤さんはそれを払拭しようとした。

日本の官僚は「公僕」と呼ばれる。
その役所や官僚が、
国民を「お客様」と見たら、
ずいぶん変わるのだろう。

もちろん小売業やサービス業は、
その視点や発想を失ったら、
瞬く間に自壊する。

巨大化した小売業組織も、
茹でガエルとなったら、
「土光臨調」が必要になる。

巨大化しないまでも、
「中小企業の大企業病」となったら、
「ミスター合理化」や「ドクター合理化」が、
求められる。

しかしそれも古いやり方では、
成就はしない。

土光さんの「モーレツ経営」も、
東芝では失敗し、
真藤さんも電電公社の体質まで、
変えることはできなかった。

だから最後に、
レーズ・パスカル。
鹿島茂編訳『パンセ抄』から。
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「人を効果的にたしなめ、
その人が誤っていることを教えるには、
その人がどの方向から、
ものごとを見ているかを
しっかりと見極めなければならない」

「というのも、
その人が見ている方向からは、
ものごとはたしかに真に見えるからだ」

「そして、それが真に見えることを、
認めてやる必要がある」

ここがパスカルの真骨頂。

「しかし、同時に、
別の方向から見ると誤っている事実を、
発見させてやらなければならない」

「そうすれば、その人は満足するだろう」

人間の心理。

「というのも、
自分が誤っていたのではなく、
全方向的に見入る術(すべ)を
欠いていたにすぎないと
気づくはずだからだ」

ここで人間の本質を突く。

「人は、全方向的に見ることができない
と言われても腹を立てないが、
誤っているとは言われたくないものである」

激怒して改革を唱えても、
すぐには改革は成就しない。

別の方向から見ると誤っている。
その事実を発見させてやることだ。

パスカルは鋭い。

〈結城義晴〉

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