結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年10月17日(土曜日)

日経社説「新型コロナが示した小売業の教訓」に物申す

天下の日経新聞社説が、
小売業のことを取り上げてくれた。

とっても、ありがたい。

「新型コロナが示した小売業の教訓」

「緊急事態宣言の発令から半年余り。
2020年3~8月期の小売業の決算を見ると
新型コロナウイルスの感染拡大が
個人消費に与えた影響は大きく、
今後の経営に教訓をもたらしている」

その通り。
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社説子の言う教訓⑴
これまでの成功を支えた前提条件への過信は禁物。

「近年の消費の重心は、
人口減や少子高齢化とともに、
大都市部の繁華街や駅周辺にシフトしたが
コロナ禍で一変」

「テレワークの広がりや外出の自粛で
都心部の集客力が低下した」

そこで百貨店の3~8月期決算は悪化。

高島屋が232億円の最終赤字。
J・フロントリテイリングも163億円の赤字。

「デジタル化は遅れたままで、
インバウンドと高齢者に依存してきた
事業モデルの脆弱さが露呈した」

百貨店に対しては手厳しい。

「意外だったのが、
コンビニエンスストアだ。
有事に強いはずが、
都心部のランチ需要の大幅減に伴い、
上期の既存店売上高が極端に落ち込んだ」

社説子は流通の専門家ではないのか。
コンビニの低調に率直に驚いている。

この結果、最終損益は、
ファミリーマートが107億円の赤字、
ローソンは前年同期比84%減。

一方、食品スーパーマーケットは、
業績が回復した。
「郊外や住宅地に多い」と表現する。

「ライフコーポレーションは
純利益が前年同期の3倍に達した」

ライフは都心部にも出店しているが。

ここでまたコンビニに戻る。
「利便性で成長したコンビニだが、
時間の余裕が生まれた消費者に対して
提供する価値が低下してしまった」

論述が行ったり来たり。

社説の言う教訓⑵
客離れを放置してはいけないこと。

「コロナ禍は構造的に
客離れが進む産業や企業に容赦がない」

これはその通り。
コロナは相手を見ない。
大統領も農民も、容赦しない。

「例えばアパレル。
若者の関心が薄れていたほか、
カジュアル志向が強まり、
業績不振に拍車がかかった」

「オンワードホールディングスや
三陽商会など大手アパレルは赤字に陥り、
先行きが見えない」

あれれ?
これらの企業は小売業か?

「居酒屋チェーンも同じ。
以前から若者の
アルコール離れが進んでおり、
市場回復は困難を極める」

これも小売業ではない。
社説子、最初のテーゼを忘れている。

しかし柳井正さんの発言を引く。
ファーストリテイリング会長兼社長。
コロナ禍での企業のあり方について、
「今までの常識は通用しない。
自社の存在理由を考え抜くこと」

柳井さんの発言は正しい。
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社説子の結論。
「企業はコロナ禍の教訓を生かし、
リスクの分散や新事業の育成など、
経営戦略の再構築が急務だ」

経営戦略の再構築が急務である。
これには大賛成。
しかしこの2つの教訓だけでいいのか?

さらに柳井さんの「自社の存在理由」と、
リスクの分散や新事業の育成は、
そのまま結びつくものではない。

取り上げてくれたのはありがたいが、
社説にしては分析が浅くて、甘い。

残念だ。

COVID-19は、
小売業だけではなく、
あらゆる業種業態に、
その存在理由を問う。

そのレゾンデートルから見て、
自社の事業を再定義するときである。

そこで改めて、
ピーター・ドラッカーの事業の定義。
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ミドルマネジメント研修生、
知識商人大学修了生。
立教大学院の修了生も、
わかるだろう。

第1に、
組織を取り巻く「環境」である。

第2に、
その組織特有の「使命」である。

そして第3に、
使命を達成する「強み」である。

第1の環境の変化は、
新型コロナウイルス禍によって、
何が変わったかをつぶさに、
見る、聞く、考える。

第2の「使命」こそ、
柳井さんが言う存在理由だ。

使命は突き詰められねばならない。
だからこそ、
これまでの成功の前提条件を、
過信してはならない。

だからコロナ禍で使命を果たすために、
手段や方法は変わるかもしれない。

鈴木敏文さんの口癖。
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
「過去の成功体験を捨てよ」
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だとすればコロナ禍に限らず、
どんなときにも成功の前提条件を、
過信してはならない。

第3が自分の「強み」の分析だが、
コンビニの強み、百貨店の強み、
スーパーマーケットの強み。
そこから考えを始める。

時には、SWOT分析も必要だろう。

この「使命」と「強み」から発想して、
まず本業をどう変えていくか。
そのあとで新規事業をどう開発するか。
どうリスクを分散するか。

こういった思考回路を巡らす。

社説子の「客離れの放置」とは、
一体何か。

そしてそれへの対策は、
いったいどんなことか。

私が思うのは、
環境と使命と強みの再検証である。
むしろ、それしかない。

取り上げてくれたのはありがたいが、
浅くて、甘いのは困る。

読んだ小売業者が、
妙に納得しただけで、
それで終わってしまう。

これは困る。

〈結城義晴〉


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