結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年02月25日(日曜日)

ツルハ・ウエルシアの経営統合と「水と太陽でつくるもの」

きぶし蕾(つぼ)み老猫逝きぬ皆泣きぬ

俳人の金子兜太さんの句。
23年連れ添った愛猫を見送って詠んだ。

その金子さんも、
2018年2月20日に亡くなった。

きぶしは春の季語。

きぶしが蕾をつけるころ、
老描が逝った。
皆が泣いた。

わが家のジジのときを思い出す。
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日経新聞巻頭コラム「春秋」が取り上げて、
猫との共生を考える。

その日経新聞の日曜版一面の記事。
「ツルハ・ウエルシア統合検討」

三連休の最後の日曜日に、
日経のスクープ。

ドラッグストア1位はウエルシアホールディングス、
2位はツルハホールディングス。

両者が経営統合の検討に入った。

すでにこのブログでも書いた。
ウエルシアHDの親会社はイオンだ。
そのイオンがツルハHDの株式を、
投資ファンドから買い取って、
ウエルシアとツルハを経営統合する。

ウエルシアHDの売上高は1兆1442億円。
ツルハHDは9700億円。
合算すると2兆1142億円。
5000店を超える店舗数となる。

日本のドラッグストア市場は8兆3449億円。
4分の1を占有するチェーンストアとなる。

東京都府中市の十字薬局と、
埼玉県春日部市の一の割薬局、
埼玉県坂戸市の池野ドラッグが、
2002年に合併して、
店名をウエルシアに統一した。

それから吸収合併を繰り返して、
1兆円を超えるウエルシアホールディングスとなった。

ツルハホールディングスは、
北海道旭川市の鶴羽薬師堂が祖業。

こちらも合併を繰り返して、
日本第2位のドラッグストアチェーンとなった。

イオンは現在、ツルハHD株の約13%強を保有。
香港のオアシス・マネジメントから、
ツルハHD株を約13%株式交換で手に入れ、
持ち分法適用会社にする。

現在3位のマツキヨココカラ&カンパニーは
年商9512億円。

その2倍の規模になる。

日本の小売業ランキングでは、
1位セブン&アイ・ホールディングス、
2位イオン、
3位アマゾン・ジャパン、
4位ファーストリテイリングだが、
その次の5位に入る。

岡田元也イオン会長は、
2021年までツルハHDの社外取締役だった。
経営内容はよく知っている。

ツルハの本拠地北海道で、
同社は約430店のネットワークを敷く。
一方、ウエルシアHDは7店舗。
補完関係が成り立つ。

すでに、青森県内で共同配送に取り組んでいる。

アメリカのドラッグストア産業は、
すでに「複占」に向けて動いている。

1位のCVSヘルスは、
3226億ドル(1ドル150円換算で48兆円)。
2位のウォルグリーンブーツアライアンスは、
1327億ドル(20兆円)。

日本のドラッグストア産業も、
この複占に向かうのか。

その前に数社による寡占状態が生まれ、
3社による鼎占となる。

日本のコンビニは今、鼎占である。

しかしこのイオンによるツルハの買収は、
その潮流を示している。

ドラッグストアは、
薬品と化粧品を核とする。

そこに日用雑貨や食品を品ぞろえする。

エコス会長の平富郎さんは、
商品を象徴的に二つに分けた。
「機械でつくるもの」と、
「水と太陽でつくるもの」
工業型商品と農業型商品である。
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ドラッグストアは、
機械でつくるものを核とする商売で、
スーパーマーケットは、
水と太陽でつくるものを中心とする事業だ。

機械でつくるものの商売は、
経営統合が進んで巨大化する。

水と太陽でつくるものの事業は、
それが進みにくい。

しかしアメリカでは、
スーパーマーケット1位のクローガーが、
2位のアルバートソンを買収して、
2200億ドル(33兆円)のチェーンとなる。

「水と太陽」が機械化している。
生鮮食品のグロサリー化、
冷凍食品化である。

一方、商人舎流通SuperNews。

ウォルマートnews|
’23年度年商6426億円ドル6.1%増・純利益32.8%増

2024年1月期決算は今回もまた、
過去最高収益を記録。

もちろん世界第一の企業だ。

営業収益は6481億ドル、97兆円。
6.0%の増加。

6%といっても6兆円の伸びだ。

営業利益は270億ドル(4兆億円)で32.2%増、
純利益は155億(2兆3267億円)で32.8%増。

eコマースの世界総売上高は、
1000億ドル、15兆円を超えた。

ダグ・マクミロンCEOのコメント。Photo by Iron Lotus Creative / Stephen Ironside
「私たちはチームを誇りに思っています」
マクミロンはいつもこの「誇り」を口にする。

「今後も顧客と会員のため、
価格引き下げをさらに進めていくことに
ワクワクしています」

寡占、鼎占、複占は、
それぞれマーケットのほとんどを、
数社、三社、二社が占める現象だ。

「ほとんど」は「すべて」ではない。

だから数えきれないくらいの、
マーケットニッチャーが、
光り輝く時代がくる。

食品小売業で言えば、
ニューヨークのゼイバーズ、
サンフランシスコのバークレーボウル。
サクラメントのナゲットマーケット。

いかに機械化が進もうとも、
「水と太陽」の価値がなくなるわけではない。

〈結城義晴〉

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