カムチャツカ半島地震。
マグニチュード8.8と推定された。
史上6番目に強い地震だった。
ちなみに東日本大震災は、
最大マグニチュード9.1で、
史上3番目の大地震だった。
北海道から和歌山県まで、
広い範囲に津波警報が発表され、
テレビはそれを報道し続けた。
岩手県の久慈港では、
1.3メートルの津波が観測された。
夜までには津波注意報に切り替わったが、
全国の避難指示対象者は約200万人となった。
セブン-イレブンは北海道、東北から、
関東・東海・関西まで262店舗が休業した。
イオンやイトーヨーカドーも、
一部店舗で営業を休止した。
津波の危険は去っていない。
念には念を入れて注意を続けたい。
お見舞い申し上げたい。
さて日経新聞「迫真」
力の入ったシリーズ。
「セブン、再起なるか」
文中敬称略で、
ノンフィクション風に描く。
第1回は、
「創業家にも会えない」
カナダのアリマンタシォン・クシュタールが、
セブン&アイを買収しようとアプローチした。
そのACT側の見解。
ACT関係者は話す。
「無理難題に対応してきた」
「創業家の伊藤家にも会えない。
セブンはどうすれば向き合ってくれるのか」
そして「セブンの建設的な協議の欠如」を理由に、
買収提案を撤回した。
セブンは「誠実で真摯に向き合ってきた」
ACTは「非常に限定的な情報しか届かなかった」
約1年の交渉が終わった。
セブンは望んでいた単独路線の成長戦略に向かう。
最後にセブン幹部。
「買収撤回で安堵はしていない。
これで終わりではなく、
企業価値を高めることが使命だ」
つまり何も変わっていないということだ。
第2回は、
「伊藤家『i』頼み、もろ刃の剣」
「株主提案で伊藤順朗会長就任案への
反対が出たらどうするか」
「会長に代表権を付けるべきか」
3月上旬、セブン&アイの幹部らによる、
次期経営体制の議論。
「スティーブン・ヘイズ・デイカスを、
社長に就ける人事と並行し、
議論となっていたのは
創業家出身で副社長の伊藤順朗を
会長に昇格させる人事だった」
これも失礼な言い回しだ。
敬称略の書き方を知らないのだろう。
「(順朗は)誰よりも会社を分かっており、
加盟店や取引先との関係も深くて強い。
彼のサポートは必要だ」
これもヘンなニュアンスだ。
「社名の『i』の由来の一つとされる
伊藤家の求心力は、
カナダのACTによる買収提案に対抗する
一つの切り札だった」
「伊藤家は買収提案に対抗するため、
24年秋ごろからセブンの株式非公開化を模索した」
「7兆円以上の資金を確保するために
国内外の金融機関などとの調整を進めてきた」
銀行幹部の証言。
「通常は当事者が自ら
説明やお願いに来るのに、
順朗氏と会うことは一度もなかった」
「2月にこの非公開化案は頓挫した」
どうも、順朗さん批判の記事らしい。
「直後に順朗の人事案を発表すると、
物言う株主が非公開化の失敗を
厳しく問いかねない」
「そこで、3月6日には、
デイカスの社長人事を発表し、
順朗の会長人事案の審議や公表は
株主提案の締め切りを過ぎた4月17日に遅らせた」
「創業家への過度な配慮によるちぐはぐさも目立つ」
5月27日の定時株主総会。
会社提案されるはずだった議案がなかった。
「セブン-イレブン・コーポレーション」への社名変更。
「セブンは単独での成長に向けて、
コンビニ事業への専念を明確にしており、
社名変更は象徴的なものだった」
「見送りには『i』の文字への思い入れが強い
伊藤家の意向が働いたとの見方も根強い」
「『順朗とデイカスの2頭体制』は
互いの責務を果たせるか。
さもなければ、強い創業家は
もろ刃の剣となりかねない」
終始、無礼な物言いが続いた原稿だった。
いったい何が言いたいのだろう。
誰の思惑が入った原稿なのだろう。
そんなことを勘繰らせる文章だ。
ここまで大いに期待外れ。
私はこの一連の描写を読んで、
セブン&アイが完全に、
大企業病にかかっていると感じる。
これまでも書いてきたことだが。
しかし筆が向かうべき「敵」は、
大企業病そのものだ。
『(くぞうし)』刑論の一文。
孔子とその子孫たちの言葉。
「古之聴訟者、悪其意、不悪其人」
昔の裁判官は、罪人の心は憎んだが、
人そのものは憎まなかった。
つまり罪を憎んで人を憎まず。
今、セブン&アイの全幹部・全社員は、
自分たちの「悪しき官僚化」をこそ問題にすべきだ。
病人が病気を自覚せずして、
治癒はない。
つまりそれなくして、
セブンの再起はない。
〈結城義晴〉