暑さはつづく。
昨日の日経MJの記事の後半には、
伊藤順朗さんが登場した。
セブン&アイ・ホールディングス会長。
鈴木敏文さんと伊藤順郎さんを、
対比させる意図のある記事だ。
伊藤さん。
「社内でもっと総括すべきだと
思ってるんですよ。
誰が悪かったっていうより、
なんでダメになったのかを
徹底的に」
その通り。
「ヨーカ堂っていう会社なり、
GMSっていう業態の中で見ていくと、
ある意味で言い訳が立っちゃう」
「食品だけを突き詰めれば
できたかもしれないけども、
衣料品があるから普通のスーパーより
商品が広い面もあった」
「重厚な設備や店舗の投資含め、
それを捨て切ることができなかった」
「セブン-イレブンの成功で、
グループ全体はキャッシュリッチだったので、
そこまで踏み切れなかった」
「すごく情緒的で、
とろとろした話になってしまうんだけども、
やっぱり親会社意識が
あったのかもしれません」
それが大企業病だと私は思う。
伊藤さん。
「以前から利益率の高いコンビニと、
スーパーを比べるのは違うのではと思っていた。
ゲームのルールやゴールの基準が違う」
「スーパー業界にも高収益企業はあるが、
資本市場はコンビニと一緒に比較しようとする」
資本市場や株式市場には、
「業態」の概念がない。
鈴木敏文さんは、
「業態」よりももっと底流にある、
「商売」の鉄則を重視した。
「私の中のグループ経営は
家族みたいなもんでね。
親が一生懸命育てた暁に子が独立していく。
親が年老いると子は兄弟で助け合って
家をもり立てる」
「セブン-イレブンが育って
全体をもり立ててくれれば、
というのがグループの経営観なんだけど、
それではヨーカ堂が肩身の狭い思いをする」
「もう一回やり直すため
この2年間は地域の店舗を閉鎖した。
改革で少しずつ自信をつけ始めているなか、
自分たちで歩んで行った方が
いいんじゃないのと思った」
ヨーク・ホールディングスは、
ベインキャピタルに資本をもってもらった。
「もう一つ背中をプッシュされることは大事」
「ファンドの見方はすごいシビアだが、
事業を本当に深く理解している」
「単純に売却するんじゃなくて
会社のことを考えてくれる良いパートナー」
「今回は売り切りじゃなく、セブンや私、
大高家も(株を)持ってやっていく。
きっと良いグループになっていくと思っています」
会長としての意気込み。
「自信ありますよ。
させないといけないし」
「ただ、楽観はしていません。
国内を見たら少子高齢化、
胃袋が小さくなっている」
「さらにニューカマーとして、
トライアルとかロピアとかが
出てくるわけじゃないですか。
その中で戦っていくには、
勝ち筋をちゃんと見極めないと
ダメだと思っている」
「『自分たちがナンバーワン、自分でやればいい』
という感覚の人たちがやっていては
ダメだと思うんです」
伊藤さんは言った。
「寄り道、回り道、
振り向けば1本の道」
トヨタは豊田自動織機の事業部として始まった。
1933年(昭和8年)創設の自動車部。
そしてトヨタ自動車が本命の業態となった。
故渥美俊一先生は二段階革命論を唱えた。
まず「ビッグストア」をつくり、
そのあとで「本格的チェーンストア」に挑む。
イトーヨーカ堂は自動織機だった。
セブン-イレブンがトヨタ自動車だ。
イトーヨーカ堂はビッグストアだった。
セブン-イレブンがチェーンストアだ。
それが一本の道だ。
最後に昨日のこと。
商業経営問題研究会が開催された。
略称はRMLC。
左から小林清泰さん、高木和成さん、
そして村上篤三郎さんと加藤弘次さん。
山本恭広編集長が参加して報告してくれた。
テーマは2つ。
第1はセブン&アイ買収騒動後の行方。
国内セブン-イレブンやイトーヨーカ堂の展望。
さらに食品主体の日本小売業の国際戦略の難しさ。
このブログの伊藤順朗会長の発言が、
その行方を少し示している。
第2は少子化時代の小売業の対応。
ドン・キホーテが食品特化型店舗を展開する。
商人舎流通SuperNews。
PPIHnews|
食品強化型店舗を出店/2035年6月期6000億円目指す
食品強化の新フォーマットを、
200~300店舗出店する。
2026年6月期下期、2027年1月以降からスタート。
ピアゴの店舗転換から始める。
まあ、これも本命のビジネスになるのだろう。
ありがとうございます。
〈結城義晴〉