結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月09日(火曜日)

商人舎Special Memberとミンツバーグの「マネジャーの仕事」

商人舎ホームページ右段に新しいコーナー。
「商人舎Special Member」

2008年2月1日に発足し、
その年の4月17日に「発足の会」が開催され、
それから2年半。
お陰様で、商人舎はすこしずつ、
社会からも認知され、
小売商業・サービス業、製造・卸売業からも、
行政やマスコミやアカデミズムからも、
「商業の現代化」や「知識商人の養成」というスローガンとともに、
一定の評価をいただくことができるようになってきました。

心より感謝いたしたいと思います。

しかし、商人舎は私、結城義晴ひとりの会社。
そんイメージが確立されています。
実際にここまでのところ、
そうでもありました。

それにもかかわらず、
多くの方々から、
様々なご要望をお受けし、
それにお応えできないこともしばしば。

そこで、従来から、商人舎の趣旨にご賛同いただき、
あるいは商人舎のコンセプトをご一緒につくっていただいてきた皆様に、
「商人舎Special Member」となっていただいて、
正式に活動にご参画いただくことになりました。

そのご紹介ページが、
ホームページ「商人舎Special Member」です。

最高顧問に、流通仙人の杉山昭次郎先生
特別顧問に、元西友商品本部長・物流本部長の萩原政利さん、
海外特別顧問に、私のアメリカのパートナー浅野秀二先生
エグゼクティブ・プロデューサーに、
私の㈱商業界時代からの「相棒」松井康彦さん、
エグゼクティブ・ディレクターに、
これまた最も信頼する川勝利一さん、
そしてチーフ・ツアー・コーディネーターに、
商人舎USA研修会を一手に仕切る鈴木敏さん。

商人舎Special Memberの輪はこれからも、
どんどん広がっていきます。

そして、「商業の現代化」を果たす商人舎の機能は、
強化されていきます。

ご期待ください。

さて、雑誌「danchu」が創刊20周年を迎えた。
現在の編集長・町田成一さんは、
創刊時からのメンバーで、
㈱商業界の『食品商業』に属していた。
私の最初の部下で、私は編集長。

ある日突然、退職願を出してきて、
私は大ショック。
業務上は大きな痛手となったし、
次の編集長の有力候補でもあったのだが、
町田さんがプレジデント社の「danchu」に移って20年。

今では、良かったと思っているし、
祝福したい気持ちでいっぱいだ。

その「創刊20周年の結論。」と題された記念特集。
「いま本当に
食べたいもの、
行きたい店」

これはそのまま小売りサービス業に当てはまる。
あなたの店は、
「いま本当に行きたい店」になっているか。
「いま本当に食べたいもの」を売っているか。

さて、日経新聞スポーツ欄のコラム「スポートピア」。
作家の加藤廣さんが「反管理野球のすすめ」を書いている。

私は、本来、日経というメディアに似合わないはずだが、
この新聞のスポーツ欄のコラムが大好きだ。
豊田泰光の「チェンジアップ」は愛読している。

日本経済は1973年のオイルショックの後あたりから、
厳しい経営管理体制を敷くようになる。

経済界が「管理経営」を進めると、
不思議なもので、野球界でも「管理野球」が大隆盛。
「管理野球」は巨人軍の川上哲治監督が始め、
ヤクルトスワローズ、西武ライオンズの広岡達郎・森昌彦と受け継がれた。

川上・広岡・森の合計監督歴29年のうち優勝回数23回。
なんと79%の成功率だった。

しかし、加藤さんは断ずる。
「この種の教育は間違っていた」

「仕事は一般人の場合、
人生の手段にすぎないのに、
人生を仕事に埋没させ、
その奴隷になることを
上から強要したからである」

経営者たちは「管理野球」を歓迎した。
だが、「働く側(選手)の評判はすこぶる悪い」

もちろんこのころの巨人軍には、
「管理」という概念とはほど遠い存在もあることにはあった。
長嶋茂雄に王貞治。
本当のところ、長嶋・王がいたからこそ、
全体では「管理管理」と称したのかもしれない。
しかしその川上・広岡・森に対してアンチテーゼを掲げるのが、
西鉄ライオンズを率いた三原脩監督。

私は生れが福岡ということもあって、
チームがなくなってしまったいまでも、
西鉄ライオンズ・ファンを自負している。

三原はもとより、中西太、豊田泰光、仰木彬、稲尾和久、
みんな大好きだった。

東京の巨人軍に対して、
田舎の福岡のライオンズ。

その三原の「反管理野球宣言」とも言える名言。
「選手は惑星である。
それぞれが軌道を持ち、
その上を走っていく」

「この惑星、気ままで、
時には軌道を踏み外そうとする。
その時発散するエネルギーは強大だ」

三原は彼ら惑星の力を結集する方法を、
「遠心力野球」と称した。
「遠心力野球とは、それを利用して、
力を極限まで発揮させるものである」

「この結論を得た時に私は、
豊かな気分にどっぷりと浸かることができた」

三原の「遠心力野球」とその時の心境。
三原は述懐する。
「手綱は解放すことだ」

ただし「反管理」と「無管理」はまったく異なる。

「無管理」ではない「反管理」。

これが現代の経営にも通ずる。
いやデフレ時代の閉塞感の中で、
ふたたび「管理野球」にもどる危険性を持つ現在、
忘れられては困るのが三原流。

ドラッカーの後を継ぐとも目されている経営学者
ヘンリー・ミンツバーグ
が、
名著『マネジャーの仕事』の中で、
5つの「仕事の特徴」を整理している。

①マネジャーの仕事は、
ルーチン的であらかじめ設定された仕事と、
予定外に発生する仕事とが入り混じっている。

②マネジャーはゼネラリストでもありスペシャリストでもある。

③マネジャーはあらゆる筋からの情報に頼っているが、
口頭で伝達された情報を好む傾向にある。

④マネジャーの仕事は、瞬間的で、雑多で、
断片的という特徴を持つ活動で構成されている。

⑤マネジャーの仕事はサイエンスというよりもアートであり、
直感的プロセスや何が正しいかの「感覚」に依存している。

「ルーチンの仕事と予定外の仕事」
「ゼネラリストでありスペシャリスト」
「瞬間的で、雑多で、断片的な仕事」
「サイエンスというよりもアート」

それがマネジャーの仕事。
小売りサービス業にするならば、
店長の仕事。

それがどんどん複雑になってきている。
しかもマネジャーは「口頭で伝達された情報を好む」。

どうだろう。
三原脩とヘンリー・ミンツバーグ。
両者を繋ぐ一本の糸が、見えてはこないだろうか。

働く者が、解き放たれる。

これとは別の次元で、小売りサービス業には、
解き放たれたように見えて、実は乗せられて、
「ぎゅうぎゅう」とサービス残業を強いられるケースが散見される。

これは、いけない。

三原の反管理野球は、
独立自営者の野球選手をまとめるための考え方だ。
ミンツバーグのマネジャーも同じこと。
従業員・サラリーマンを、
「反管理野球」のごとく称してサービス残業させるのは、
マクドナルド店長裁判を持ち出すまでもなく、
法律違反である。

この時、経営者と管理者は、犯罪者となる。

万が一にも、そんなことが常態化しているとしたら、
これは「商業の現代化」など、
夢のまた夢となってしまう。

「以って自戒とすべし」である。

<結城義晴>

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