結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年06月09日(木曜日)

Eテレ「100分de名著・ドラッカー」によって明らかにされた「社会の許しがあって存在する企業」

Eテレの番組『100分de名著・ドラッカー』第2回。
今回も、良かった。
20110609113056.jpg

今回のテーマは、
「何のための企業か」
上田惇生先生、絶好調。
上田節に私は再び、酔いしれた。

第2回で上田先生が選んだ文章がこれ。
20110609113122.jpg
企業が存続する意味を、
これほどに明確に論じた文章はない。

どんな企業も、
どんな組織も、
社会や経済の許しがあって、
存在している。


社会や経済は企業を、
一夜にして消滅させる力を持つ。

企業の中にいて、内側の目しか持たないと、
まるで「真空に独立して存在している」と、
勘違いしてしまう。

会社と個人がこのままの状態を続けると、
やがて「ゆでガエル」となる。
そんな会社、あなたは知らないか。

上田先生、今回も存分に語ってくださった。
20110609113225.jpg

そしてドラッカーの真髄が随所に現れた。
20110609113245.jpg

バランスには三つある。
20110609113309.jpg
とりわけ二番目が大事。
近い将来と遠い将来との間のバランス。

両方大事だというところに、
ドラッカー思想のカギがある。

どちらかではない。
トレード・オフではない。

両方大事で、そのバランスのとり方に、
経営の本質がある。

「実も蓋もない話」だが、
それが21世紀の問題解決の心構え。

最後に上田先生は語る。
20110609113327.jpg
「金もうけのためにやっていると思った途端、
変になる」

忠告の言い回しであるところが、
ドラッカーの真骨頂だが、
これは、倉本長治の『商売十訓』第一訓そのもの。
「損得より先に善悪を考えよう」。

「金もうけ」と考えるな、
しかし「明日のために利益も必要」と、
ドラッカーはいい、
倉本長治は、
「欠損は社会のためにも不善と悟れ」という。

最後に、手厳しい言葉。
ドラッカーは、組織の中のこんな存在に、
我慢がならなかったに違いない。
20110609113342.jpg
ドラッカーの観察者としての鋭い目が表れた言葉。

「知りながら害をなすな」
私はこういった表現が、大好きだ。

これまた、あなたの会社に、
この類の存在は、ないか、
こんな人間は、いないか。

あなた自身は、
そうなってはいけない。
それと闘わねばならない。

さて今朝の日経新聞に商品比較記事。
面白い。

「夏向けの女性用機能性肌着」

ユニクロを中心に、
イオンとイトーヨーカ堂、
3社のコンパリゾン。

機能性肌着とは、
「着るだけで夏を涼しく過ごせる効果をうたった」商品。

今年は、節電とクールビズで、
大ヒットの予測が立つ。

そこで日経新聞の特集は、
機能性肌着の中で、
「吸汗速乾」の1枚1000円前後のPBを比較。

ユニクロのブランドは「サラファイン」。
旭化成のキュプラ素材、
そこに「東レの特殊なナイロンを組み合わせた糸」を使っている。

ユニクロは2007年から販売して、もう4年目。
「機能の向上と肌触りのよさをいかに両立させるか」
ここに「知恵を絞っている」

一方、イトーヨーカ堂は、
「ボディクーラー」のブランド名。

女性用には「涼しさ機能」が加味された東レの技術を活用。

商品デザインを二つ持つ。
「肌着として着用するタイプとアウターとして着られるタイプ」
それを「春、初夏、盛夏の3シーズンに分けて投入」。
今年からの取り組み。

イオンは「クーリッシュファクト」のブランド名。
こちらは東洋紡との共同開発の新繊維「ドライスピンR」を使う。
それによって「速乾性能が昨年よりも約30%向上」。
さらに「消臭と抗菌防臭のダブルデオドラント機能」を加えた。

3社とも、メーカーとの共同開発で、
その機能性の効用をうたう。

3社の販売目標。
ユニクロは3600万枚、
イトーヨーカ堂とイオンは1000万枚。

まだ3.6倍の差があるが、
ユニクロの独壇場ではなくなりつつある。
すなわちコモディティ化現象が起こりつつある。

<結城義晴>


2 件のコメント

  • 結城先生へ 第1回は視聴できませんでしたが、今回はしっかり視聴できました。特に「どんな企業も、どんな組織も、社会や経済の許しがあって、存在している。」との警句には、思わず私の足元を見つめました。かつて読んだ松村 清先生の著作に、米国No1のDg.sのウォルグリーンが過去に国税当局から脱税の嫌疑がかかったときには、ウォルグリーンの顧客達から「あの私達が信頼するウォルグリーンが脱税をする訳が無い、節税の間違いだ。」との声があがったと、書かれていました。わが国で消費者からそんな声があがる企業が何社あるでしょうか?

  • いまちゃん、ありがとうございます。

    ドラッカーは企業は社会のものだ、と繰り返し強調しています。
    社会と経済に許されて初めて、存在を続けることができる。

    大きくても、小さくても、変わりません。
    最大を目指すより、最適を志向せよ。

    日本にもウォルグリーンのような企業が増えてほしいものです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.