結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年11月13日(日曜日)

スピノザ「傲慢と自卑」とEATALY ChicagoのInnovation

朝日新聞『折々のことば:575』
11月11日の言葉。
鷲田清一さん編著。

傲慢な人々、
自卑におちいる人々は、
感情に極度に屈従する
人々のことである。

(スピノザ著『エティカ』工藤喜作・斎藤博訳)

傲慢と卑下――
一見反対に見える。

しかし、「おのれを見誤り、
抱いてしまったその感情を抑えたり、
別の方向に導く力をもたない点では
同じである」

実に鋭い分析。

その結果、
「より優れたものを目にしながらも、
感情に押し流されて、
より劣るものに従っている」

なんと多いことか。

「そしてその悲しみを軽減しようと、
『不幸な仲間をもつこと』へと走る」

これがいけない。
情けない。

バールーフ・デ・スピノザ。
(Baruch De Spinoza)
1632年~1677年。
オランダの合理主義哲学者。
フランスではルネ・デカルト、
ドイツではゴットフリート・ライプニッツ。
合理主義哲学の天才たち。

さてアトランタから、
シカゴにやってきて、
初日の最後は、
EATALY Chicago。DSCN0503

総店舗面積6万3000平方フィート、
約5850㎡の2フロア。
DSCN0477-6-6
23のレストランと、
スーパーマーケット。

野菜・果物、肉、シーフード、
さらにチーズとハム、ベーカリー、
パスタ、トリュフ、ソース、
さらにスウィーツ、
さらにワイン、雑貨などなど。
イタリアから空輸された食材が、
これでもかというくらいに販売される。

そのわきにレストランがあって、
食べる、飲む。

青果売り場は、
イタリアの市場スタイル。DSCN0486-6

籠盛りの1品1品に、丁寧な説明。DSCN0485-6

鮮魚売り場は対面方式。DSCN0459-6

ミート売り場も対面が主体で、
セルフ販売は脇役。DSCN0457-6

インストアベーカリーからは、
いつも焼きたてのいい香りがする。DSCN0467-6

圧巻はチーズと生ハムのコーナー。
すべてイタリア産。DSCN0453-6

生パスタも店内製造で、
超新鮮。DSCN0458-6

そしてシカゴ店には、
マイクロブルワリーを設けて、
地ビールを製造している。DSCN0444-6

チェックスタンドは銀行方式。DSCN0498-6

このマーケット部分と、
レストラン部分が、
融合しているのが、
イータリーの斬新さ。DSCN0479-6

そのレストランが大繁盛。DSCN0471-6

金曜日の夕方とはいえ、
この込みよう。
DSCN0466-6

レストランとスーパーマーケットの、
売上比率は7対3だという。DSCN0462-6

シカゴ店は今のところ、
外食部門が勝ち過ぎている。DSCN0454-6

逆に言えば、
小売部門の売りが足りない。DSCN0439-6

We Sell What We Cook,
and We Cook What We Sell.

これがイータリーの基本。

外食は内食にとって、
究極の試食なのである。

私たちは、特別室へ。DSCN0364-6

大繁盛のレストランで、
食べる時間がない。
だからミーティングしながら、
イータリーの料理と酒を楽しむ。DSCN0362-6

イタリア産ビール、
イタリア産スパークリングワイン、
イタリア産の赤白ワイン。
それをサーブしてくれるメンバー。DSCN0363-6

そしてまず、シェフからのレクチャー。DSCN0371-6

みんな興味深そうに清聴。DSCN0370-6

前原創さんが通訳をしてくれた。
米国三井物産取締役。DSCN0365-6
この後、前原さんからは、
アメリカの食品のトレンドを、
資料を基にガイダンスしてもらった。

感謝しておこう。

そのあとは飲んで、食べて、
大満足。

一通り食べてから、
万代の幹部・社員のスピーチ。

まず芝純取締役農産担当。DSCN0376-6

松岡俊行さん、
第3エリアマネジャー。
DSCN0393-6

入江正徳さん、
総菜部マネジャー。
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そして中筋浩二さん、
グロサリー・住関部執行役員。
DSCN0417-6

閉会の時に、
私は前原さんと話した。
日本のイータリーの展開方法について。

現在、三井物産が、
日本での展開を主導している。
第一期は失敗した。
第二期を成功に導くために、
どうするか。
DSCN0431-6
もちろん、私にはわかっている。

最後に万代社長の阿部秀行さんと、
前原さんを囲んで7班が写真。
DSCN0436-6
シカゴ初日の最後は、
イータリーで大満足。

ウェグマンズもホールフーズも、
内食・中食・外食の融合。

それらにも方向性を示したのが、
「スローフード」を標榜するイータリー。

これを私は、
「イータリー化現象」
と呼ぶ。

さて、ミシガン湖から朝日が昇り、
シカゴの2日目。
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宿泊は名門コングレス・プラザ。
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その2階会議室で、
朝から講義。
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アトランタ&シカゴ研修をまとめつつ、
後半はポジショニング戦略。
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万代ドライデイリー会の幹部は、
何度も何度も聞いている戦略。
しかし初参加者には、
新鮮だったと思う。
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今回訪れた店舗事例を中心に、
コンテスト型競争の時代、
フォーマットの時代、
その中でいかに、
イノベーションを起こし続けるか。
朝の2時間、それを語った。DSCN0522-6
Eataly Chicagoにも、
イノベーションを学んだ。

そしてもちろん、
イータリーに傲慢や自卑はない。

「より優れたもの」を目にしたら、
感情に押し流されたりしない。
「より劣るもの」に従ったりしない。

その証拠に、
Eataly「Our Policy」
1.The customer is not always right
顧客はいつも正しいわけではない。

2.Eataly is not always right
イータリーもいつも正しいわけではない。

3.Through our differences,
we create harmony
顧客とイータリーの差異が、
調和を創り出す。

スピノザがいま、
生き返ってイータリーを見たら、
絶賛するに違いない。
(つづきます)

〈結城義晴〉


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