ダラスの超大型SCでモールと百貨店を巡って順位づけした。
七夕の日なのに、
西日本は記録的な大雨。
千葉県では震度5弱の地震。
遠くダラスの地から、
お見舞い申し上げたい。
何度も何度も書いているし、
語っているけれど、
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。
そう思う。
ダラス2日目。
朝8時から講義。
まずはイオン行動規範を唱和。
それから挨拶。
そして今朝の講義は、
GMSとデパートメントストア。
シアーズやJCペニー、コールズ、
さらにメイシーズとノードストローム。
非食品の競争の焦点となっていること。
広い見識をもって、
アメリカ流通業を見ること。
それがなければ、
鳥の目、魚の目は、
身に付かない。
後半は商品戦略論。
プライベートブランドについても、
丁寧に整理し、解説する。
2時間の講義はあっという間に終わった。
イオンリテールのアメリカ研修。
事前講義を2時間ずつ2回。
成田空港で1時間。
そして今朝の2時間。
ニューヨークでも早朝講義をするし、
バスの中でもずっと講義。
いくら時間があっても足りない。
それくらいアメリカのチェーンストアは、
広くて、深くて、高い。
講義が終わると、
ストーンブライアセンターへ。
スーパーリージョナルショッピングセンター。
SRSCと略す。
超大型ショッピングセンター。
2階のフードコートが壮大。
メリーゴーランドもある。
そして1階中央スペースには、
イートインのコーナーが新設された。
これまでRSCやSRSCの核店は、
百貨店とGMSだと言われてきた。
しかし私は違うと考える。
百貨店が核店のSCなのだ。
その百貨店には2種類ある。
ノーマルデパートメントストアと、
ディスカウントデパートメントストア。
これは現在もアメリカの商業統計で、
しっかりと分類されている。
絶対にこれが正しいと、
私は確信している。
さて、そのディスカウント百貨店。
シアーズ。
2005年3月24日に、
ディスカウントストアのKマートと、
合併して、シアーズホールディングスに。
シアーズホールディングスは、
2018年1月期の決算で、
年商167億ドル(1兆6700億円)、
前年比でマイナス24.5%。
純利益は3億8300万ドルの赤字。
ずっと赤字が続いている。
シアーズというバナーも、
年商110億8400万ドルまで落ちてきた。
前年比マイナス15.2%で、
営業利益は7億9700万ドルの赤字。
570店舗まで減ってきた。
入り口を入ったこのマネキン。
独立記念日向けプレゼンテーションだが、
ひどいものだ。
住関連売場には人っ子一人いない。
1階のファッションフロアも死んだ売場だ。
こうなったらもうおしまいだ。
JCペニーの年商は、
125億600万ドル(1兆2506億円)、
純損失が1億1600万ドル。
こちらも872店まで減少。
シアーズだけとらえると、
ペニーのほうが大きい会社だ。
アパレルはペニーの強い部門だった。
シアーズよりはいいが、
かつての面影はまったくない。
ディラードはローカル百貨店。
年商60億710万ドル、マイナス5.0%。
南部を中心に293店を展開。
店頭に在庫が多い、
唯一残った地方のノーマル百貨店。
そしてメイシーズ。
2018年1月期は248億3700万ドル、
2兆4837億円、前年比マイナス3.7%。
一応、世界最大の百貨店。
1858年、マンハッタンで創業。
アメリカ中の百貨店を吸収合併して、
店舗数は852店。
純利益も15億3600万ドル出ている。
百貨店らしい百貨店で、
1階入り口は化粧品売場。
しかしベッド売場などはガラガラ。
好調な店だけに絞って店数を半減させ、
超ホットトレンドストアになるのがいい。
私はそう思う。
最後はノードストローム。
年商151億3700万ドル。
百貨店業界で唯一プラスの4.4%増。
純利益は4億3700万ドル。
それでも営業利益率は2.9%。
この店はわきにティーバーを併設。
いまや百貨店にも飲食機能は必須。
それをやっているのは、
ノードストロームだけだ。
夏休みで子どもたちも大はしゃぎ。
創業業種の靴売場は、
最高の商品がズラリと並ぶし、
店員が最高の接客をする。
アパレル売場のマネキンも素晴らしい。
ストーンブライアの百貨店。
結城義晴の売場評価ランキング。
1位 ノードストローム
2位 メイシーズ
3位 JCペニー
4位 ディラード
5位 シアーズ
首位と最下位が他を引き離し、
他からずっと引き離されている。
もう一つの核店が、
ディックススポーティンググッズ。
スポーツ専門店チェーン。
年商85億9000万ドル、8590億円。
前年比プラス8.4%。
純利益3億2300万ドル、
12.5%の伸びを示す。
伸び率だけで見れば、
ノードストロームを上回って、
このSCの第1の核店となる。
ハードラインが45.3%、
アパレルが34.0%、靴が19.7%。
つまりスポーツ専門大店と言えど、
53.7%は服飾関連である。
これが重要なポイントだ。
その他のテナントを覗くと、
一番元気なのがアップルストア。
倣ってマイクロソフトもショップを出す。
モールの通路に、
ポップアップ風の飲食店が多く出ている。
そしてキッザニアUSAが、
まもなく出店する。
大型ショッピングセンターも、
どんどん変わっていく。
変わらなければ退場するだけだ。
ちょっと移動して、
ベッド・バス&ビヨンドへ。
年商123億4900万ドル。
1兆2349億円で、1.0%の伸び。
純利益4億2500万ドル。
こちらはマイナス37.9%。
天井まで積み上げた店内が、
圧倒的な印象。
ホームファッションで唯一最大の企業。
この領域もウォルマート、コストコ、
そしてamazonにどんどん浸食されている。
ああ。
アメリカのカテゴリーキラーは、
全滅に近い。
ランチはインアウトバーガー。
いつもながらきびきびしたoperation。
素晴らしい。
現在334店まで拡大したが、
直営主義は変えない。
私はいつものプロテインハンバーガー。
炭水化物ダイエット者には、
最適の食べ物だ。
もちろんフライドポテトは食べない。
ダラスの2日目、
セミナーをやって、
ランチまでは非食品の勉強。
反面教師が多すぎるが、
それは日本にとっても、
イオンにとっても、
セブン&アイにとっても、
すでに起こった未来である。
(つづきます)
〈結城義晴〉