ウォルマート「トランプ関税値上げ」始まる

「ウォルマート値上げへ」
日経新聞のアメリカからの報告。
ニューヨークの朝田賢治さんと、
ワシントンの高見浩輔さん。
とうとう来たか。
そんな感じ。
アメリカ最大の小売業で世界最大の小売業。
アメリカ最大の企業で世界最大の企業。
アメリカ最大の中国からの製品輸入企業で、
世界最大の中国からの製品調達企業。
5月下旬から値上げする方針を表明。
もちろん理由は「トランプ関税」
その影響を受けた商品が5月から店頭に並ぶ。
仕入れ原価が急騰したら、
当然、売価に反映させる。
ウォルマートのジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)
「5月の終わり頃から値上げする可能性がある。
6月にはさらに価格上昇が顕著になるだろう」
ウォルマートの第1四半期決算。
商人舎流通SuperNews。
ウォルマートnews|
第1四半期1656億ドル、2.5%増/eコマース堅調で黒字化
年度決算が1月末なので、
2~4月期の営業状況。
営業収益は1656億0900万ドル、
1ドル150円換算で24兆8414億円、
前年同期比2.5%増。
営業利益は71億3500万ドル、
1兆703億円)、4.3%増。
営業利益率4.3%。
純利益は44億8700万ドル、
6731億円でこちらは12.1%減。
米国内の事業は総売上高1121億6300万ドル、
0.3%のマイナス。
営業利益は57億ドル、マイナス17.5%。
既存店売上高はガソリン販売が足を引っ張ったが、
商品売上高は4.5増。
客数は1.6%増、客単価は2.8%増。
この第1四半期決算には、
トランプ関税発動によって、
消費者の駆け込み需要が発生した。
だから既存店売上高は4.5%増。
この数値は日経の記事とは違うが、
直接当たって確かめた。
ダグ・マクミロンCEO。
「(対中関税率が)軽減されたとしても、
関税率は以前より上昇する。
値上げにつながる」
それがレイニーCFOの発言となった。
米国商務省の4月の小売売上高。
関税の影響が消費に出ることを予見させる。
季節調整済みの前月比で0.1%増。
伸び率は縮小した。
国内総生産(GDP)算出に使われる小売業数値は、
0.2%の減少に転じた。
インフレとトランプ関税のダブルパンチのなか、
ウォルマートはエブリデーロープライスを堅持し、
中低所得層の支持を得た。
さらに一部の高所得者をも獲得し始めた。
ウォルマートが値上げすれば他社も追随する。
それは米国全体の国民支出にブレーキをかける。
米国の雇用や所得は堅調。
消費はまだ大崩れを見せてはいない。
非農業部門の就業者数は2~4月、
月平均で15.5万人も増えている。
米国連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長。
アメリカ経済は「堅調なペースで拡大を続けている」
パウエル議長は利下げを急いではいない。
しかしトランプ関税によって、
確実に企業の景況感は悪化している。
関税の影響が雇用環境に波及すれば、
GDPの7割を占める個人消費の勢いはそがれる。
一方、大統領のドナルド・トランプ。
SNSで発信するところが卑怯だと思うが、
ウォルマートを批判した。
「ウォルマートは関税を受け入れるべきだ。
一切売価に転嫁すべきではない」
これはマクミロンに対するプレッシャーとなる。
「チェーン全体で価格を上げる理由を、
関税のせいにするのはやめるべきだ」
関税分を飲み込んで、
自社の努力で売価を維持せよ。
これは見方によれば、
優越的地位の乱用だ。
パウエル議長に対しても、
批判の矛先を向けている。
「パウエルは利下げが遅すぎることで
伝説になっている男だ」
自分のことばかり考えて焦りまくっているが、
それは何より米国民の生活を苦しめている。
世界の人々の暮らしに暗雲をもたらす。
ダグ・マクミロンには、
いつも顧客のほうを向いて、
トランプに対しては、
毅然としていてほしいものだ。
〈結城義晴〉
1 件のコメント
「ウォルマートは関税を受け入れるべきだ。一切売価に転嫁すべきではない」
こうなることはわかっていたはずなのに、どうしてこんなことが言えるのか、本当に理解に苦しみます。
まさかわかっていなかったのか?わかってはいたが自分の一言で何とかできると思っているのか??
評論家的な物言いですが、アメリカ社会の矛盾を体現した存在としか、言いようがないです。