大相撲夏場所千秋楽。
優勝決定戦となった。
大関霧島と小結若隆景が12勝3敗で並んだ。
決定戦は、
若隆景が互角の立ち合いのあと、
見事な出足と「おっつけ」で、
霧島を押し出した。

この若隆景、身長183.0cm、体重135.0kg。
幕内力士としては小柄だ。
しかし生い立ちを見ると、
相撲一家に生まれて、
生粋の相撲取りだ。
母方の祖父は小結若葉山で父は幕下若信夫。
兄は幕下若隆元と幕内若元春。
三人兄弟の三男。
福島市立吉井田小学校1年生のときに、
兄たちと一緒に相撲を始めた。
相撲クラブの指導者だった父親から教えられた。
二人の兄と一緒の学法福島高校に進学。
身体が小さかったから、
東洋大学法学部に進んで相撲を続けた。
兄二人は大相撲入りしていた。
4年次には相撲部副主将。
全国学生相撲選手権大会で団体優勝、
個人で準優勝。
プロとなる「大相撲」では、
兄たちと同じ荒汐部屋に入門、
三段目付出しで初土俵。
四股(しこ)名は戦国武将毛利元就の「三本の矢」に因む。
元就の三人の子は毛利隆元と、
吉川元春、小早川隆景だった。
ここから一番上の兄は「若隆元」、
次の兄は「若元春」となり、
三男は「若隆景」となった。
「若」は祖父の若葉山と父の若信夫からとられた。
その若隆景、
初土俵2場所目に三段目優勝、
翌年1月場所で幕下優勝、
さらに十両優勝を重ねて、
幕内に昇進した。
2021年7月場所で、
新三役の小結に昇進。
小柄ながら技能力士として、
とんとん拍子で出世した。
2022年春場所では、
千秋楽に12勝3敗。
優勝決定戦で髙安を、
上手出し投げで破って、
新関脇で初優勝。
年6場所制定着以降で史上初。
しかし好事魔多し。
2023年春場所に右膝前十字靭帯断裂。
手術をして長期離脱。
番付は幕下まで下がった。
リハビリを経て、6カ月で関取復帰を果たす。
そしてこの5月の夏場所。
優勝決定戦で、前場所優勝の霧島と対戦。
25場所ぶりの幕内最高優勝を飾った。
人間万事塞翁が馬。
感動した。
22年の初優勝のときだったか、
NHKのアナウンサーが、
「ワカタカカゲ」と絶叫したときに、
舌を噛んだ。
「ワカタタカゲ」
よく覚えている。
若隆景の二度目の優勝で、
これから再び、
アナウンサー泣かせの力士となる。
ただし私たちが「ワカタカカゲ」と言うときにも、
実はコツがある。
優勝賜杯を渡す際の表彰状読み上げで、
八角理事長がそれを実践した。
元横綱北勝海(ほくとうみ)。
「ワカ」と言ってから、
一呼吸おいて「タカカゲ」と発音する。
一息に「若隆景」と言おうとすると、
「ワカタタカゲ」と言ったり、
「ワカカタカゲ」となったりする。
「ワカ・タカカゲ」
これでいい。
これで応援し続けよう。
7月の名古山場所では、
「若・隆景」は関脇となって、
大関を目指す。
とんとん拍子の出世のあと、
栄光の優勝を果たし、
その直後の怪我によって、
元の木阿弥「幕下」に落ち、
そこから這い上がって、
優勝決定戦で二度目の幕内制覇。
私たちも失敗やアクシデントに、
負けてはいけない。
小粒・小型のハンデを、
乗り越えねばならない。
「ワカ・タカカゲ」
頑張れ。
〈結城義晴〉




















































































