結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年03月05日(木曜日)

ベイシアの「新フォーマット」と村木厚子の「今できること」

1日中、横浜商人舎オフィス。

月刊商人舎3月号、責了しました。
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みんな、みんな、ありがとう。
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商人舎流通SuperNews。

ベイシアnews|
3/25「ベイシアタウン新狭山店」、都市型新フォーマット

㈱ベイシアが3月25日(水)、
「Beisia Town新狭山店」を開業。
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このニュースリリースで、
ベイシアの広報室が初めて、
「新フォーマット」という言葉を使った。

オトナリマートの記事などは、
これまで「新業態」というワードを使った。

嬉しい限りだ。
その、率直さに拍手。

私は「業種・業態・フォーマット」と呼んでいる。

業種は「売り物」、
業態は「売り方」。

その業態が行き詰った。

そこで「フォーマット」が登場した。
神戸大学名誉教授の田村正紀先生が、
『業態の盛衰』という学術書の中で明らかにした。

「フォーマットは業態が分化した一つの形である」

スーパーマーケットという業態から、
「オトナリマート」が生まれた。
「Beisia Town」も一つのフォーマットだ。

このフォーマットに名称をつける。
それが「バナー」である。

「ベイシアタウン」1号店は、
ベイシアにとって埼玉県下の24号店。

新狭山店は次世代の都市型店舗。
その新しいフォーマットづくりを切り拓くための、
「旗艦店」と位置づけられている。

異なるフォーマットを、
一つの商勢圏につくって展開する作戦を、
「マルチ・フォーマット戦略」と呼ぶ。

その典型がイギリスのテスコだ。
「テスコエクストラ」という非食品強化の大型店、
「テスコスーパーストア」というレギュラー店、
「テスコメトロ」という都心部中小型店、
そして「テスコエクスプレス」という小型店。

その間を縫って、
オンラインリテーリングを展開する。
食品の「テスコ・コム」と、
非食品の「テスコ・ダイレクト」。

こういう戦略の整理が大事だ。

さて日経新聞「私の履歴書」

今月は村木厚子さん。
元厚生労働次官。
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村木さんは2008年に、
厚生労働省4人目の女性局長となった。
さらに2013年7月から2015年9月まで、
厚生労働事務次官を務めた。

しかしその間の2009年6月、
社会・援護局障害保健福祉部企画課長のとき、
虚偽公文書作成・同行使の容疑で逮捕された。

逮捕から5カ月後の2009年11月、
保釈請求が認められて解放された。

冤罪事件だった。

連載第5回のタイトル「勾留 164日間」

「最終的に、私の拘置所生活は164日に及んだ。
その間、自分を支えたものは何かを振り返ると、
好奇心のほかにいくつかが浮かぶ」

「ひとつは、自分なりの
危機対応方針があったことだ」

「今考えても仕方ないことは考えない。
今できることに集中する。
2人の娘を育てながら働くなかで
学んだ処世術だった」

今できることに集中する。
それが危機対応の方針だ。

拘置所でも、なぜ逮捕されたのかなどと、
振り返ってみても、仕方なかった。

だから。
「健康管理をちゃんとする。
裁判に向け準備をする。
今すべきなのは、これだけだ」

素晴らしい。

「気分転換も、大事だった」

もともと読書好きだった。
期間中に約150冊を読んだ。

これも素晴らしい。

そのなかの一冊。
相田みつをの「にんげんだもの 逢」
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弱きもの人間 
欲ふかきもの にんげん 
偽り多きもの にんげん 
そして 人間のわたし

「さらに大きかったのが、
仲間や家族の存在だった」

「独房でひとり、『自分は変わったのか』
『失ったのか』と問いかけたことがある」

「いや、周りが間違えて騒いでいるだけだ。
私はなにも変わっていない」

「真実を貫け」

「逮捕されて間もないころ、
接見に来た弁護士が仕切りのアクリル板越しに
寄せ書きを見せてくれた」

「同僚や友人ら多くの名前があった。
信じてくれている人がこれだけいる。
失ったものもあるだろうが、
まだ持っているものがたくさんある」

「接見禁止が解除されると、面会は70人、
手紙は500通もいただいた」

「自分はやっていない。
ここで諦めるわけにはいかない。
娘たちが将来なにか壁にぶつかったとき、
『あのときお母さんも闘った』と
思えるようにしたい」

「結果はどうあれ、
それが自分の役割だと思えた。
娘たちの存在が、
心のつっかい棒になった」

私の履歴書はいつも、
生まれた時から始まる。

村木厚子さんだけは、
突然、逮捕された時から始まった。

そして第5回まで、
逮捕後のことが続く。

その意味で実に面白い。

危機対応方針は、
「今できること」に集中する。

すばらしい。

〈結城義晴〉

2026年03月04日(水曜日)

イオンの「ランドセル」販売とスペイン首相サンチェスの「勇気」

3月4日。
まだ寒い。

月刊商人舎3月号の責了の日。
なんとか原稿をすべて書き終わった。

1日中、オフィスのデスクに座って、
8000字の原稿を書いた。

特集タイトルは、
考えに考え、悩みに悩み抜いて、
ちょっと変わったものにした。

ご期待ください。

けれど、今日中の責了ができなかった。
すみません。

夜食を食べてから帰宅。
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さて、商人舎流通SuperNews。

イオンnews|
3月4日より「イオンのランドセル2027」の予約を開始

そんな季節になった。
春です。

イオン㈱が新入小学生向けランドセルの予約を、
3月4日から開始する。
順次、全国店舗380店でスタートする。

最大約320種類。

最低価格帯は本体2万5000円、
税込2万7500円。
最高価格帯は本体9万円、
税込9万9000円。
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イオンは2001年に「24色ランドセル」を発売。
業界で初めて色の選択肢を広げた。

デザインなども様々にバリエーションを広げて、
今は約622万通りの組み合わせから選べる。

多様化、個性化に対応している。

私の長女が小学校に入るときには、
青い横長のランドセルを買ってもらった。

その時代はみんな赤い、普通のランドセルだった。

最初はみんなと違うのが嫌だったようだが、
すぐに違いが喜びに変わった。

それから30年ほどが経過して、
違いこそが個性となった。

ランドセルもポジショニングの時代なのだ。

正確な情報は手元にないが、
20世紀までランドセル販売の王者は、
ダイエーだった。

2001年に21世紀になって、
イオンがその王者の座を奪取した。

ランドセル販売首位の企業が、
小売業のトップである。

私はそう確信している。

今年もイオンがその地位を占めるのだろう。

さてスペイン首相、
ペドロ・サンチェス。
経済学者でカミーロ・ホセ・セラ大学教授。
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イラン情勢をめぐって、
ドナルド・トランプを批判している。

テレビ演説で「戦争反対」を表明した。

「違法行為に対して、
別の違法行為で応じることはできない。
それは大惨事につながる」

「何百万人もの運命を、
ロシアンルーレットのように
賭けてはならない」

アメリカとイスラエルによるイラン攻撃には、
欧州各国首脳は表立った批判を避けている。

サンチェス首相は初めから、
「一方的な軍事行動を拒絶する」と反対した。

スペイン南部には二つの軍事基地がある。
その基地を米軍が使うことに対して、
「国連憲章と矛盾する目的での
基地使用は認めない」

基地は米国との二国間協定に基づいて、
米軍が使用できる取り決めとなっている。

日本の基地と同じだ。

しかしスペインには拒否権がある。
だから今回、二つの基地は使われていない。

トランプは例によって反論。
「スペインはひどい。
すべての貿易を止めるつもりだ。
スペインとは一切関わりたくない」

「我々が望めば彼らの基地は使える。
飛んで行って使えばいい」

エマニュエル・マクロン仏大統領は、
サンチェス首相に対して、
スペインとの連帯を伝えた。

朝日新聞のコメント欄。
三牧聖子同志社大学大学院教授。

「日本の私たちも考えるべき
多くの論点を含む演説だった」

「相手国が同盟国かどうか、
自分たちに近い国かそうでないかで、
原則的な立場は変えない、
という勇気ある宣言だ」

「ダブルスタンダード」は、
国際関係においても、
否定されなければならない。
信用が失墜するからだ。

トランプは、
「イラン市民の自由」を掲げて
軍事行動に突き進み、
ハメネイを殺害した。

しかし「体制転換」の困難さに直面して
その目的を早々に放棄しつつある。

サンチェスはそれを痛烈に批判した。

サンチェスは、
2003年のイラク戦争にも言及した。
「大量破壊兵器の排除や中東の民主化を
戦争の大義としてうたい、
ヨーロッパが戦争に参戦した結果、
残されたのはより不安定な世界と
より苦しい生活だった」

「平和を理想主義と言う人がいるが、
それは違う。
戦争は一握りの人だけ得をするが、
平和はすべての人を幸せにする」

三牧教授。
「サンチェスの立場は、
理想主義と切り捨ててよいものとは思えない」

ドナルド・トランプが、
二度目の大統領になったとき、
友人の経営者がつぶやいた。
「ウクライナ戦争を終わらせてくれるなら、
トランプ大統領も悪くない」

しかし現状を見ると、
トランプは戦線を世界に広げている。

ペドロ・サンチェスのような、
勇気のあるリーダーは、
貴重な存在だ。

私たちもそんな勇気を、
少しでいいからもたねばならないと思う。

戦争は一握りの人間だけが得をする。
平和はすべての人を幸せにする。

イオンのランドセルは平和の象徴だ。
平和だからこそ売れるのだ。

〈結城義晴〉

2026年03月03日(火曜日)

OICグループビジョン2026の激励講演「自ら、変われ。」

朝から雨の「雛祭り」の日。

その雨の中を、
有楽町の東京国際フォーラムへ。
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今日はホールAの大会議場で、
「OICグループビジョン2026」
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OICグループは、
㈱ロピアを中核企業として、
㈱スーパーバリュ、㈱アキダイなどの小売企業、
利恵産業改めDeRie Foods㈱を始め、
㈱丸越醸造や日本マイセラ㈱などの製造業や商社、
道場六三郎事務所などの外食業などなど、
50社が参画する食品特化企業グループとなった。

それらの経営幹部や社員、
ロピアのチーフ以上の社員など、
全国から1500名ほどが参加した。

大久保恒夫さん。
3月1日にロピアの社長に就任したばかり。
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午前11時にスタート。
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高木勇輔OICグループ代表の挨拶。
いつものように淡々と語ってよかった。

それから大久保新社長が、
ロピアの経営方針を発表。

さらに2月末に終わったばかりの2025年業績と、
2026年の経営計画が発表される。

浜野仁志取締役前経営戦略本部長と、
後任の山田将一取締役経営戦略本部長が、
それぞれ自分のやり方で発表した。

プレゼンテーションも、
とんがり★こだわり。
それぞれの個性が許される。
それを求められるし、楽しむ。

これもポジショニング戦略だ。

その後はグループ会社の紹介クイズ、
部長たちのパネルディスカッションなどが、
次々に披露されていく。

中でも異色のイベントが、
ボディビルダーの雛祭りコンテスト。
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高木代表が俳優の金子賢さんと親しい。
そこでこの企画が実現した。
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金子さんは、
ボディビルダーとしても活躍している。
主催するボディコンテストが、
「Summer Style Award(サマスタ)」
さらにNABBA JAPANのCEOを務めている。
その啓もう活動を兼ねて、
この場で特別にコンテストが企画された。IMG_4968

会場のネット投票でベスト3が選ばれ、
大いに盛り上がった。IMG_4970

その後、「IDEAコンテスト」の表彰式など、
イベントは続く。
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そして最後は結城義晴の激励講演。

2015年3月4日に、
ロピアの経営方針発表会が開かれた。
このときから私は記念講演をしている。
当時は年商700億2500万円だった。

それから11年で10倍ほどに成長した。

今年も1月と2月に、
ニューヨーク研修を行った。

これも2015年に始まった研修だ。
コロナ禍中の2021年と22年は中止したが、
毎年1月と2月に開催している。

今年は1月に第1団、2月に第2・3団を引率して、
グループ会社から140名ほどが参加した。
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さらに今年は4月に第4・5団が計画されている。

2月25日には、
OICグループの経営者育成塾で講義した。
「社長100人プロジェクト」の最終講座。
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生成AIの活用をお薦めした。IMG_4980

それから柳井正さんとの会話。
「膨張」ではなく、「成長」でなければならない。
そのためにOICグループに必要なこと。

最後に現場の一人ひとりに、
徹底してもらいたいこと。
「ホッケースティックの関係」を説明した。IMG_4981

そして主題は「自ら、変われ。」IMG_4984
自分が変わらなければ、
仲間を変えることはできない。

自分が変わらなければ、
職場を変えることはできない。

自分が変わらなければ、
会社を変えることはできない。

トップも幹部も、
部長も店長もチーフも、
自ら、変われ。

アメリカの研修でも国内の研修でも、
私が最後に求めること。

私自身もまだまだ、
自ら、変わろうと思っている。

締めのあいさつは内田貴之さん。
OICグループ取締役経営企画部長。
スーパーバリュー社長として、
黒字化を成し遂げて、
本部に戻ってきた。
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OICグループの成長戦略について語り、
皆を鼓舞した。

いい話だった。

最後は幹部の皆さんと写真。
内田さんと福島道夫取締役。IMG_4960

右から井上裕一ロピア九州営業本部長と、
柴田昇中国営業本部長。IMG_4991

柴田さんの後任となった
佐藤博和中部営業本部長(右)。
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そして浜野仁志さん。
スーパーバリュー社長に就任。
前社長の内田さんと並んで、
「I♥SV」のTシャツを見せてくれた。
SVはもちろん「スーパーバリュー」
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わたしも加わって3人でポーズ。
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午前11時から午後5時半まで。
業績報告と経営方針発表、そして講演。
長い長いイベントだった。
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自分の出番は30分だったが、
ひどく疲れた。

それでも若い人たちに、
私の考えを伝えることは、
とてもやりがいがある。
私のライフワークだ。

知識商人の養成である。

その知識商人たちが、
商業の現代化を果たしてくれる。

柳井正さんも言っていた。
「チェーンストアは、
産業を変えなければならない」

OICもロピアも、
産業を変える気概をもって、
仕事に邁進してほしい。

もちろんすべてのチェーンストアが、
それを果たしてほしいと思う。

「来る者拒まず、
去る者追わず」

私は倉本長治と同じ考え方で、
長治の「近代化」の次の、
「現代化」に貢献したい。

〈結城義晴〉

2026年03月02日(月曜日)

「地域の消費者と雇用を守り続けること」と「良い会社」を選ぶこと

Everybody! Good Monday!!
[2025vol⑨]

2026年第10週。
3月第1週。

月刊商人舎3月号の入稿。
全員で頑張って、
4本の原稿を仕上げた。

みんな、立派だ。

もう少し、互いの仕事に干渉し合おう。

さて日経新聞電子版。
日経MJの記事が掲載された。
「スーパー売却の決断、栃木ヤオハン」

栃木県の㈱八百半フードセンター。
片柳伸一相談役登場。
私より2つ年下の71歳。

率直に語っている。

1976年、くろさきスーパー入社。
78年、八百半フードセンター入社、常務。
93年、父・片柳定夫氏から引き継いで、
2代目社長に就任。
25年相談役。

ローカルチェーンの切実な問題に、
ストレートに答えている。

八百半フードセンターは昨2025年10月、
クリエイトSDホールディングスの子会社になった。

店名は「ヤオハン」。
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片柳相談役。
「年商が小さなスーパーは
軒並み苦戦しているが、
青果物や惣菜が強いなど
特徴のある会社は繁盛している」

「『魚を買うなら絶対にあそこの店』など、
消費者の使い分けで支持を受け、
どれだけついで買いをしてもらえるかだ」

これはマーチャンダイジングにおける、
ポジショニングである。

「中途半端だと厳しい」
これがアンダーポジショニング。

製品やサービスが十分に差別化されておらず、
顧客にその特長や利点が伝わらない状態。

「栃木にも県外から大手が
次々と攻め込んできている」

埼玉県に本部を置く、
ヤオコー、ベルク、マミーマート。
群馬県のベイシア。

「1960年代は県内に
地場スーパーが20数社あったが、
いま自立経営は数社」

全国的な傾向であるし、
アメリカの30年前の大潮流と同じだ。

「道の駅の台頭で、
地元野菜の優位性も薄れてきた」

「大型のスーパーセンターでは、
食品や医薬品のまとめ買いができる。
しかし高齢者が車で訪れ、
広い店内を歩き回るのは大変だ」

これはベイシアスーパーセンターのこと。

「近くの食品スーパーで購入できれば利便性は高い」

ドラッグストア企業の傘下に入れば、
「化粧品で若年層を取り込める。
ローコストオペレーションや仕入れも学び、
成長できると感じた」

「クリエイトSDは神奈川に集中出店し、
健康産業で介護事業なども手がける」

「ヤオハンの生鮮・惣菜で相乗効果を出せて、
単独では難しかった出店も拡大できるだろう」

最後に、
中小スーパーマーケット経営者への助言。

「私もなんとか自力で
頑張りたいという思いが強かった」

「自分の代では終わらせられない、
と考える経営者は多いが、
成長が難しい場合、
法人と屋号が残れば問題はないと思う」

ホールディングカンパニー制を採用しているならば、
その子会社になれば法人と屋号は残る。

「最も大事なのは、
地域の消費者と雇用を
守り続けること。

決断は早ければ早い方がいい」

栃木県にはもうひとつ、
㈱ヤオハンという企業がある。
売上高70億円のスーパーマーケットで、
栃木県南部の栃木市を中心に9店舗を展開する。

2023年6月に、
㈱リオン・ドール コーポレーションの完全子会社となった。

ともにCGCジャパンの加盟企業で、
リオン・ドールはもちろん、
ヤオハンの従業員の雇用を継続している。

M&Aを積極的に展開するチェーンがある。
ドラッグストアでは、
クスリのアオキホールディングスや、
クリエイトSDホールディングス。

スーパーマーケットでは、
ヤオコーのブルーゾーンホールディングス。

ライフコーポレーションも、
「経営企画部」内にM&A対応チームを発足させた。

もちろんイオンはずっと、
経営統合を進めている。

コーネル大学のエドワード・マクラフリン教授。
「森の中の二人の男と熊の話」
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森の中を二人の男が歩いていた。

そこへ熊が出てきた。
一人の男が、叫んだ。
「早く逃げよう」

もう一人は、言った。
「君より早く逃げさえすればいい」  

熊とは、ウォルマート。
ふたりの男は、ローカルチェーンの経営者。

アメリカでは20年も前から、
こんなジョークが交わされていた。

君より先に良い会社に逃げ込む。

そんな現象が日本にも起こってきた。

私も片柳さんの考え方に賛意を示したい。
「最も大事なのは、
地域の消費者と雇用を
守り続けること」

そのまえにポジショニング戦略を考えてみよう。
自分らしさの立ち位置を追究する。

それがかなわないならば、
良い会社のグループに入ろう。

良い会社の傘下に入れば、
良い会社になる可能性が高まる。

そして良い会社が増える。

それは社会的に見て、
良いことだ。

ただし良い会社の定義はいろいろあるし、
それぞれでよろしい。

私はドラッカー主義を貫く企業が、
良い会社だと思う。
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それを選ぶのが今、
リーダーの役目となる。

では、みなさん、今週も、
良い会社になろう。

Good Monday!  

〈結城義晴〉

2026年03月01日(日曜日)

「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」のノーサイド

生三月は突然、
やってきます♫

大学時代の1年先輩のよしあきらさんが、
作詞作曲した歌。

3月1日にはなぜか、
いつも口づさむ。

急に青いインクで
歌を書きたくなります♫

三拍子のワルツの曲だった。

その3月になった。
日曜日。

ロンドンから娘が帰ってきた。
1週間ほど滞在する。

元気に仕事をしているようで、
ちょっと安心した。

家のそばには、
セインズベリーの小型店がある。
「ローカル」
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便利なエクスプレスストアだ。

マークス&スペンサーの改装店舗にも、
行ってみたそうだ。

イギリスはスーパーマーケットの国だ。
最大の小売業がテスコ(Tesco)。
スーパーマーケットチェーン。
27.9%のシェアを持つ。

第2位が セインズベリー(Sainsbury’s)。
シェアは15.2%。

第3位がアマゾンUK。

第4位がアズダ(Asda)。
ウォルマートの傘下にあったが、
ウォルマートは撤退した。
12.5%のシェア。

そこに第5位アルディ(Aldi)と、
第8位リドル(Lidl)が参入して、
急速にシェアを伸ばしている。

アルディが11.0%、
リドルが7.8%。

ドイツのボックスストア二強が、
イギリスの市場を荒らしまわっている。

アルディに続いて6位はモリソンズ(Morrisons)、
第7位にマークス&スペンサー(Marks & Spencer)。
Leeds White Rose Exterior

M&Sは1978年の8月に、
業務提携した。
M&SのPB「セントマイケル」を、
ダイエーが独占販売契約した。

ダイエーは高品質PBへ転換する時期だった。
M&Sは世界的に評価される高品質PBの先駆者で、
アメリカのチェーンストアとは一線を画していた。

だから最適の学習相手だった。

ダイエーの幹部やバイヤーがM&Sを訪問し、
さまざまな資料を貰い、
現場、現物でノウハウを吸収した。

私もダイエーでセントマイケルのバッグを買った。
いかにも英国らしいチェック柄のデザインで、
簡素な造りだったし、安かった。

それを毎日資料を入れて、
会社や取材に持って行った。

そしていつの間にか使わなくなった。
日本人には合わなかったのだと思う。

さて日経新聞夕刊「あすへの話題」
狂言師の野村萬斎さんのエッセイ。
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「宗論」

「自身や自国の『ファースト』が声高に響く世の中と、
極めてグローバリズム的な五輪が開催される世の中が、
共存する現在」

「とは言え、五輪において各選手は、
自身と自国のプライドをかけて勝負に挑む」

「試合というまさに『試し合う』ことによって、
相互理解が深まり、尊重し合える絆を生む」

「勝負はついても貶(おとし)めることはしない。
互いの健闘を讃(たた)え合える関係は美しい」

ラグビーではそれを、
「ノーサイド」と呼ぶ。

そこで狂言が出てくる。
「宗論(しゅうろん)」という作品。

「中世には新興宗教だった浄土宗と法華宗の僧侶が、
修行の帰りに道連れになる」

「仲良く旅をするが束(つか)の間、
互いの宗派の違いに気付いて喧嘩になる」

「殊に情強(じょうこわ)者と評される法華僧は、
浄土僧を毛嫌いし離れようとするが、
浄土僧は執拗に絡みつく」

ここからが面白い。

「陳腐な宗論にも及び、
互いの宗旨を揶揄(やゆ)して
イジり合うが決着はつかず、
最後は肉弾戦とばかりに
踊念仏対踊題目になり、
繰り返し唱えるうちに互いに
『南無阿弥陀仏』と『南無妙法蓮華経』を、
取り違える」

愉快な2人はそこでハタと悟りを開く。
「元々の本質は変わらない。
法華も弥陀も隔たりは無い筈だと」

「2人は悟ってまた同道するのである」

狂言の常でこういった悟りの状況では、
陳腐な言葉を並べるよりも、
謡(うたい)の調和によって2人の和解を示す。

「その方が観客の感性に訴えて
観客の腑(ふ)に落ちるのだ」

「謡の後、2人は映画のエンドロールが
無言で流れるかのような静寂の中、
橋掛りを通って幕に消えて行くのだ」

人間の修行は果てしない。

「命には終わりあり、
能には果てあるべからず」

「世阿弥も仰せである」

いい話だ。

キリスト教徒とユダヤ教徒。
そしてイスラム教徒。

アメリカ人とイスラエル人と、
イラン人。

いずれの宗教も旧約聖書を原点としている。

浄土宗と法華宗の僧侶のように、
隔たりは無い筈だと悟ることはできないか。

「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」
取り違えても仏の道に変わりはないのだ。

〈結城義晴〉

2026年02月28日(土曜日)

「商売のニヒリズム」と「鷲の勇気・蛇の知恵」

2月最後の日。

昼ごろ横浜商人舎オフィスに出て、
原稿執筆に必要な資料を整える。

そしてパソコンに向かう。

月刊商人舎3月号の編集は、
会社を留守にしている間に、
最終段階を迎えている。

仕事に勤しむ。

現在の嫌なことや未来への不安を、
忘れることができる。

ドナルド・トランプと、
ベンジャミン・ネタニヤフ。

イランを空爆した。

これは戦争だ。

第三次世界大戦に至らないことを、
心から祈りたい。

アルベルト・アインシュタイン。
「道徳性だけが人生に、
美と品位をもたらしてくれる」

美と品位を無視する行為が、
あまりにも多すぎる。

アインシュタイン。
「無限なものは二つあります。
宇宙と人間の愚かさです。
宇宙については、断言できませんが」
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人間の愚かさと無責任さ。
時代錯誤。

アメリカとイスラエルが、
世界の中で孤立していく。

今週の講義の中で、
倉本長治の言葉を紹介した。

「損得より先に善悪を考えよう」

権力を握ると、
最も大切なことを忘れてしまう。

いや、もっとも大切なことを無視する者が、
権力を握ってしまうのか。

少なくとも会社という組織では、
それがあってはならない。

朝日新聞「折々のことば」
第3585回。

鷲田清一さんがほぼ毎日、
モノを考えるきっかけを与えてくれる。

2月26日の「ことば」
離脱の精神を含まぬ
単純な「参加」主義は、
「翼賛」という名に代表される
左右大小さまざまの
追随主義を産む。
〈藤田省三〉

「『文民』であることを義務と考える公務員の精神は、
ときに国家権力による軍事行動の命令と衝突する」

アメリカにもイスラエルにも、
そんな公務員がいるに違いない。

もちろん日本にも。

「ここで『官』ではなく、
『員』の精神を支えるのは、
団体権力の圧迫と衆を恃(たの)んだ便乗的批難に、
(あらが)う『勇気』だ」

官僚ではなく、公務員、すなわち公僕。
勇気をもった公僕が存在する。

「成員の脱出の可能性を考慮に入れずに
組織団体が健康であることはない」

藤田省三は1927年に生まれ、
2003年に亡くなった。
丸山眞男の愛弟子の政治思想史家。
法政大学名誉教授。

『精神史的考察』から。
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何かを獲ることは別の何かを失うこと。
「費用の法則」という。

「新重商主義」の荒稼ぎが払うべき犠牲は、
かなり大きいものになるのが当然だ。

「新重商主義」とは、
第二次大戦後の先進諸国が、
貿易黒字を重視したこと。

今、トランプが衆愚の米国民に弁解していることが、
新重商主義だ。

しかし藤田は見抜く。
「成長経済によって喪われたものは、
広く社会の各分野にわたって、
相当に深刻なものがあるはずだ」

入って来た金の額の増減にだけ気を取られず、
失ったものについての自覚をしっかりともつこと。

金儲けだけは必要以上にしたけれども、
その代わりに生き方についての価値や規準は、
なくなってしまう。

その結果、何のための経済活動なのか、
その訳がわからなくなりかねない。

これが「新重商主義のニヒリズム」である。

「ニヒリズム(Nihilism)」は、
「虚無主義」のこと。

今、生きている世界、
特に過去および現在における人間の存在には
意義、目的、理解できるような真理、
そして本質的な価値などがない。

こう主張する、哲学的な立場のこと。

フリードリヒ・ニーチェは、
今まで人々が最高の価値と見なし、
人間の目的としていたものが、
無価値となる事態のことを言った。

トランプにはニヒリズムは、
まったく理解できないだろう。
トランプにはもともと哲学は皆無だ。

ニーチェはニヒリズムの態度を三つに分けた。
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⑴何も信じられない事態に絶望して、
その時々の状況に身を任せ、
流れるように生きるという態度。

「弱さのニヒリズム」
「消極的・受動的ニヒリズム」

⑵精神力が高揚し、
従来の価値を乗り越えていこうとするために、
従来の価値が無意味に感じられる態度。
すべては無価値であり、偽りだと考えるが、
それを前向きにとらえようとする生き方。

そのために自ら積極的に「仮象(かしょう)」を生み出し、
新しい価値を能動的に創造していこうとする。

「仮象」は難しい概念だ。
感覚には実際に存在するように現れながらも、
それ自身は客観的な実在性をもたないもの。

「強さのニヒリズム」
「積極的・能動的ニヒリズム」

⑶絶望することにも、
能動的になることにも、
価値はないと考え、
弱さのニヒリズム・強さのニヒリズムを否定する。

自分では何も考えずに、
しかし他者からの干渉も価値がないものだと、
無視して生きる。

一種の『悟り』のような態度。
「中心・無関心的ニヒリズム」。

ニーチェは第二の積極的ニヒリズムを肯定し、
自らを創造的に展開していくことを主張した。

「鷲(わし)の勇気と蛇の知恵を備えた、
『超人』として道を切り拓くこと」
ニーチェはそれを提唱した。

戦後の日本人は大抵がニヒリストとなった。
商売をする人としては、
大髙善雄と西端幸雄が、
知性派のニヒリストだった。

ヨークベニマルの大髙、
ニチイの西端。

ダイエーの中内功も、
ニヒリストだった。

商売はある意味で、
ニヒリズムの仕事なのだ。

この混迷の世界のなかで私たちは、
鷲の勇気と蛇の知恵をもたねばならない。

考えて、考えて、考え抜こう。

〈結城義晴〉

2026年02月27日(金曜日)

万代フラッグショップ中ノ忠敏店長取材とイオンの若手への講演

東京や横浜と比べると、
大阪や西宮は暖かい。

昨日の夕方、関西に入った。

朝9時半過ぎに兵庫県西宮市へ。
万代西宮前浜店。
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月刊商人舎3月号特集の取材。

西宮前浜店は、
㈱万代のフラッグショップだ。
すなわち基幹店。

店長の役職は部長店長で、
商品部長や人事部長と同じ職位にある。

そのフラッグショップ店長の代表。
中ノ忠敏店長にインタビュー。

取材の前に店の様子を拝見。
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水産部門の凄い生魚売場。
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万代は毎年、2月末日は休業とする。
今年は明日の2月28日。
総棚卸しのためだ。

そして新年度スタートの3月1日には、
大売出しをする。

顧客もよく知っていて、
新年度最初の力の入った「一の市」に殺到する。

だから2月27日は普段よりも品ぞろえを控える。
それでも魅力的な売場だ。

水産部門にはこれがある。
「星風まどか アンバサダー就任!」
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元宝塚歌劇団花組・宙組のトップ娘役。
2024年に退団して、
25年に万代リテールホールディングスの、
アンバサダーになった。

この店にはドラッグストアが併設されている。
その登録販売者のお二人を写真で紹介している。
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中ノ店長が新たな取り組みを説明してくれる。
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それから2階の会議室で、
1時間半ほどのインタビュー。
記事の執筆は亀谷しづえ商人舎GM。
私は話を聞いているだけだったが、
実にいい内容で大満足。

さすが中ノ店長だ。
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記事を楽しみにしてください。

その後、大阪・梅田へ。
イオングループの教育プログラムで講演。
「2025年度現職強化ディベロッパーコース」
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グループ会社から店舗開発担当者55名が参集。
7月から計5回の1泊2日の研修。

その最終基調講話を担当した。IMG_4928

店舗開発はチェーンストアにとって、
成長の原動力となる機能だ。

「売上高は売場面積に比例する」
これがチェーンストアの成長の公式だ。

それを担う若い人たちへの講演。

やりがいがある。
私自身のモチベーションも高い。

午後1時から3時まで、
2時間を一気呵成。
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薬のヒグチの出店作戦が、
日本のドミナントエリアづくりの基本となった。

三角形を作るように出店していく。
それが基本だ。
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月刊商人舎2025年12月号特集は、
リージョナルチェーンの盲点
「商圏」と「商勢圏」を混同するな!!
202512_coverpage
この内容を話した。
商圏は隣接させよ、
商勢圏は隣接させる必要はない。IMG_4934

それから米国ショッピングセンターの変容。
イオンモールやイオンタウン、
「そよら」やジ・アウトレットなどに触れつつ、
私の提案を含めて解説した。

さらに「フォーマット論」と、
「ポジショニング戦略」
これはおさらい。

最後は月刊商人舎2025年7月号特集。
「居抜き」の是非
店舗開発の標準化パラドックス2025-07商人舎

最後は「居抜き出店」の条件と、
標準化パラドックス。

[Message of July]
202507_message (2)
パラドックスから抜け出せ。

景気が悪くなると、皆が倹約する。
しかしその結果として需要が減る。
そしてさらに景気が悪化する。
「倹約のパラドックス」である。

落書き禁止の壁に、
「落書きするべからず」と書く。
それは許されるのか。
「落書きのパラドックス」と呼ぶ。

正しそうに見える前提。
妥当と思われる推論。
それなのに受け入れがたい結論。
それがパラドックスである。

標準化された店舗は、
出店スピードが早い。
しかし標準に適した物件は出にくい。
だから店舗開発は遅くなる。

パラドックスに陥らないためには、
正しそうに見える前提や、
妥当と思われる推論を、
疑ってみる必要がある。

正しいと言われてきた理論、
わかりやすそうな理屈を、
頭から信用してはいけない。
自分で考えなければならない。

今がよければいい。
リスクを背負わない。
目先の利益を追いかける。
それがパラドックスに陥る原因となる。

正しいと言われてきた理論、
妥当と思われている推論。
いつもそれらを疑ってかかれ。
そしてパラドックスの隘路から抜け出せ。
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最後は力を込めて語った。

結構、難しい内容だったが、
よく聴いてくれた。

感謝したい。

梅田のヨドバシカメラ。
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新幹線に飛び乗って帰浜した。

今週は講演、講義で都合8時間。
ちょっと疲れた。

伊吹山の頂には少しだけ雪が見えた。
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癒された。

ありがとう。

〈結城義晴〉

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