結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年05月31日(日曜日)

世界的な「合成の誤謬」とドンキの「ホワイトブランド」の素早さ

5月最後の日。
日曜日。

外は暑い。

日経新聞「大機小機」
「壮大なる合成の誤謬」

「合成の誤謬(ごびゅう)」は、
「個人や企業などミクロのレベルでは合理的な行動が、
マクロの社会全体でみれば逆効果となる現象」

コラムニスト。
「現在、世界では、
壮大な合成の誤謬が起きている」

東西冷戦終結後の1990年代から
経済の「グローバル化」が急速に進んだ。
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ヒト、モノ、カネが国境を越えて自由に動き、
企業は最適な場所から部品や原料を調達し、
最適な場所で生産する。

世界経済の結びつきは強まり、
国同士の相互依存も深まった。

その象徴が、冷戦の覇者の米国と、
グローバル化の申し子の中国という
2つの大国だった。

しかし21世紀、
とりわけ2020年代に入り、
逆転し始めた。

新型コロナウイルスの感染拡大、
ロシアのウクライナ侵略、
トランプ政権の米国第一主義、
中東での紛争激化――。

こうした動きは世界の分断を招き、
経済相互依存の姿を変えつつある。

ナフサ不足もその現象化の一つだ。

進んでいるのが、
いわゆる「経済の武器化」
あるいは「相互依存の武器化」だ。

中国によるレアアース輸出規制はその典型。
中国産原料に依存していた企業は、
供給途絶のリスクに直面した。

米国は「ドルの武器化」を進めた。
基軸通貨ドルの決済ネットワークから、
イランやロシアを排除した。

逆にイランは、
「ホルムズ海峡の武器化」を展開する。

そこで注目されるのが、
「経済安全保障」だ。

日本政府も2022年から、
経済安全保障担当大臣を置く。
初代は小林鷹之、二代目は高市早苗、
三代目が城内実、そしていまは小野田紀美。
何をしているかわからないが。

敵対国への依存を極力減らし、
サプライチェーンは同志国で再編する。

「経済の武器化への対抗手段として、
国や企業の対応は合理的に映る。
だが、世界経済全体でみれば
必ずしもそうはならない」

これが合成の誤謬。

「もっとも効率的な調達や生産が妨げられれば、
それだけコストは上がる」

「国や企業にとって安全保障上の負担であっても、
経済全体の効率は下がる」

さらに、経済の武器化が進み、
困窮する国が増えるほど、
不満や対立は積み重なり、
戦争のリスクが生じる。

経済安全保障の名の下に、
「経済の武器化」が、
世界で広がる現状は危うい。

同感だ。

コラムニストの提案。
「その連鎖を断つ『経済軍縮』が、
必要になるのではないか」

一方、日経新聞。
「ドンキが白黒包装の低価格PB」

PPIH。
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。

6月に売り出すのがホワイトブランド。
素早い。

ネーミングは、
「Everyday Real Price」
EDRP。

もちろん「Everyday Low Price」のモジリ。

白黒包装でコストを抑えた、
低価格プライベートブランド。

生活必需品に特化する。

500mlのペットボトルの水。
値段は40円。
ボックスティッシュ(5箱)、196円。
スパゲティ1kg、214円。

26品目。

ナフサ不足が進んでいると言われる中、
カルビーが白黒パッケージの製品を出す。

それにかぶせるように、
プライベートブランドをつくる。

すでに5月にPPIHは、
モノクロ印刷のラガービールを発表している。
原産国はベトナム。
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白黒包装にすることで印刷コストを減らす。
ついでに物流の見直しをする。
量産効果も見込む。

ドンキの「情熱価格」など従来のPBと比べて、
最大で約7%の原価低減を実現。
PPIHで最も安い。

パッケージのデザインには、
「¥」の記号がつけられる。

もちろんドン・キホーテ、
MEGAドン・キホーテ、
ロビン・フッドのほか、
ユニー傘下のアピタ、ピアゴなど、
全国約670店舗で売る。

PPIHが全社共通のPBを投入するのは、
なんと初めてのことだとか。

年商は2026年6月期の見込みで、
売上高2兆3270億円、営業利益1700億円。

総力を挙げて、
EDRPを売り込む。

チェーンストア各社でも新しい取り組みはある。

イトーヨーカ堂は5月下旬から、
肉や刺し身のプラスチック製の蓋を、
ラップに変更している。

ファミリーマートは今夏から、
サンドイッチなどの包装で、
ブランドロゴを白黒にする。

イオンもトップバリュで、
プラ使用量を抑えた包装資材へ切り替える。
「かに風味かまぼこフレーク」は、
プラ使用量を約43%減らして、
容量を変えずに販売価格を192円に据え置いた。

しかしPPIHはそれをブランド化する。

前にも書いたが1980年ごろに、
「ホワイトブランド」が世界的に広まった。

アメリカでもノーブランドだらけだった。

私にとってはそのデジャヴ。

イオンもイトーヨーカ堂も、
他のチェーンストアも、
ホワイトブランド化は遠慮なくやっていい。

たとえばイオンのコンペティティブブランドは、
「ベストプライス」で、
これは黄色と黒のパッケージデザインだ。

これなどホワイトブランドにしても、
何ら問題はない。

お薦めするわけではないが、
指をくわえてみていることはないと思う。

カルビーは早かった。
ドンキも早かった。

ここでは合成の誤謬も、
無視していい。

〈結城義晴〉


3 件のコメント

  • 最近はChatGPTやGemini等の生成AI(LLM)等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうAI戦略は従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。

  • カルビー・イオン・ドンキ
    素早い時代への対応は流石です。
    当社も次世代への改革中ですが「素早い対応・すなわちスピード感ある対応」が求められる時代になってきました。大手ではなく当社のような「中小零細企業」こそ求められることであると思います。
    何時も勉強になる毎日更新配信ありがとうございます。

    • 宮本さん、ありがとうございます。

      御社は中小零細企業ではありません。
      それでも時流を捉えて、素早い行動は必須です。

      素早く動けない会社が退場していきます。

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