結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年12月04日(水曜日)

「ソシオテクニカルシステム論」と韓国「戒厳令」のエントロピー法則

東海道新幹線で西へ。

冬の富士山は美しい。IMG_8061 (002)

(はる)る日や雲を貫く雪の富士
〈高井几董(きとう)〉IMG_8053 (002)
几董は江戸中期寛政時代の俳諧師。

新大阪に着いて、
特急くろしお19号に乗り換える。IMG_8087 (002)

パンダくろしおの車体は面白い。IMG_8088 (002)

和歌山に着いてタクシーに乗ると、
もう暗くなっている。

メインストリートのイルミネーション。IMG_8094 (002)

お堀端も美しい。IMG_8093 (002)

ホテルに落ち着くと、
眼下に和歌山城。IMG_8091 (002)

何度見ても名城だ。IMG_8090 (002)

夕方6時半から、
㈱オークワ幹部の皆さんと会食、懇親。

右から森口宗徳業務推進室長、
武田庸司専務取締役、
小西淳上席執行役員人事総務本部長 、
そして小澤一雄人事部教育課長。IMG_9704

はじめてのことなので、
私、饒舌となった。

チェーンストアのマネジメント、
アメリカのHEBやウェグマンズのこと。

さらにチェーンストアの教育のことなど、
語り続けた。

そしてソシオ・テクニカルシステム論。
企業体を大きく分けると、
ソシオ(組織)システムと、
テクニカル(技術)システムになる。

技術システムに変革がもたらされると、
組織システムに変容が表れる。

そして組織システムが改善されると、
技術システムにも好影響が生まれる。

互いに作用しあって、
会社は良くなっていく。

商人舎最高顧問の故杉山昭次郎先生の持論だ。

だからトップや幹部はいつも、
ソシオとテクニカルの両面から、
会社を引き上げねばならない。

チェーンストアはどちらかといえば、
テクニカルシステムに関心が深い。
そして技術システムを学び、真似ることが多い。

しかしそのとき組織システムの、
Management教育を施すと、
想像を超えた成果が上がる。

1977年、47年前の新人のころ、
杉山先生の流通システム研究所を訪れて、
初対面の時に教えていただいた理論だ。

私の中をずっと貫いている。
そしてときどき思い出す。

日本料理のよし野。
離れでおいしい料理をいただき、
ゆっくりと語り合った。IMG_9706
ありがとうございました。
楽しかった。

さてお隣の国韓国で、
戒厳令が発布された。

驚いた。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領。

韓国の戒厳令には2種類がある。
「警備戒厳」と「非常戒厳」。
今回は後者の非常戒厳令。

1980年の民主化運動以来、44年ぶり。

与党の関係者も韓国軍の参謀たちも、
同盟国であるアメリカのホワイトハウスも、
もちろん日本政府も知らなかった。

今年4月に国会議員選挙があった。
与党・国民の力は大敗。

尹大統領の政権運営は機能停止の状態だ。
予算案も可決できていない。

五木寛之の小説に『戒厳令の夜』がある。
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1976年発表の大作。
南米チリを舞台にした、
壮大なドラマだったが、
むさぼり読んだ記憶がある。

その戒厳令が今、
隣国で発せられている。

世界中の既存与党的な存在が、
脅かされている。

それは政治の世界だけではない。
経済界も経営の世界も。

ピーター・ドラッカーの言う、
「エントロピーの法則」

「物事は放っておくと、
乱雑・無秩序・複雑な方向に向かい、
自発的に元に戻ることはない」

この不可逆的であることが怖い。

だからドラッカーは強調する。
「先んじて自ら、陳腐化せよ!」

そう、積極的に意図的に、
組織の新陳代謝を促す。

それがエントロピーの法則を逃れる唯一の方法だ。

ソシオテクニカルシステム論でも、
どちらかに風穴を開けねばならない。

けれどそれは決して、
「戒厳令」の宣布ではない。

〈結城義晴〉

2024年12月03日(火曜日)

玉生弘昌氏出版記念パーティーの「そうは問屋が卸しません」

秋田県の㈱伊徳。

店内に2日間、クマが立てこもって、
全国に知れ渡った。

この「いとく土崎みなと店」は、
日本海に臨む旧雄物川に近い市街地店舗で、
クマが出るほどのロケーションではない。

だからこそ、驚かされる。

伊徳は秋田県北部を中心に、
青森県までスーパーマーケットを展開する。
28店舗で年商約600億円。

2012年に秋田県南部の㈱タカヤナギと、
㈱ユナイトホールディングスをつくって、
秋田県内で協業する。

伊藤碩彦会長はじめ、
伊徳の皆さん、
お見舞い申し上げます。

さて、東京・明治記念館。IMG_8044 (002)

玉生弘昌氏出版記念パーティー。 IMG_8029 (002)

『経営者のための経済学史』
ダイヤモンド社から10月8日に発刊された。
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玉生さんは㈱プラネット名誉会長。
㈱True Data取締役、
一般社団法人流通問題研究協会会長。

超優良企業を起業し、
産業のインフラとなるまで育てた。

10月の株主総会で会長職を退いた。
その機に渾身の一冊を上梓。
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1年間をかけて、
フランソワ・ケネーやアダム・スミスから、
トマ・ピケティやMMTまでの、
世界の経済学の歴史を執筆した。

この本の紹介は、
11月27日のこのブログ。
玉生弘昌著「経営者のための経済学史」を紹介する。

パーティーの発起人の顔ぶれがすごい。

岡本圀衞、川野幸夫、掬川正純、
国領二郎、福岡政行、本郷孔洋の各氏。

ヤオコー会長の川野さんも、
ライオン会長の掬川さん、
政治学者の福岡さんも、
名を連ねた。

冒頭で発起人を代表して、
国領二郎慶應義塾常任理事。IMG_8027 (002)
本の紹介をしつつ、
玉生さんを祝福した。

乾杯の音頭は、
伊藤久美さん。
㈱True Data取締役。

そのあと懇親。

㈱全日本食品のお二人。
平野実社長と宇田川貴志専務。IMG_8031 (002)

泉田幸雄さんと野渡和義さん。
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泉田さんは日本ボランタリーチェーン協会前会長で、
この11月に旭日中綬章を受章。
実におめでたい。
野渡さんは㈱ユースキン製薬会長、
私の中学高校の器械体操部の先輩。

お二人は同年で親しい間柄。

ご指名で私もスピーチした。
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「巻措く能わず」の話をした。
読み始めたらやめることができない本。

とくに「貨幣の流れるプール」のイラストは、
新入社員の研修にも使えるほど優れたものだ。

さらにこの本の頂点となるのが、
「経済学理論」の信頼度採点表。
アラム・スミスは90点、
カール・マルクスは10点、
ケインズは?
ピケティは?
MMTは?

それは本を読んでください。
勉強になります。

「流通革命」の見方に対しては、
少しだけ異論を唱えた。

そこでかなり長話となってしまった。

私が40歳そこそこのころ。
全国菓子卸商業組合連合会総会で講演をした。
場所は帝国ホテル。

その講演の最後に言った。
「ここに集まっておられる卸売企業の中で、
半分は消えてなくなる」

私も若かった。

すると講演会の後の懇親パーティーの冒頭で、
島田美和連合会会長、㈱サンエス社長が語った。
小売業も製造業もトップが顔を連ねていた。

「先ほど結城さんという編集長が講演をして、
菓子卸売業の半分はなくなると言った」

「けれどそうは問屋が卸しません」

座布団、三枚。

しかしその後、サンエスも、
菱食と経営統合し、
いま三菱食品となった。

玉生さんは「問屋有用論」を主張する。
マーガレット・ホールの理論をつかって、
論理的に問屋無用論に反論する。

「取引回数最小化の原理」である。
これは見事だ。

しかしトンネル口銭に頼っていた、
多くの問屋は無用となる、
と林周二は書いた。

それは事実となった。

マーケットリーダーの超卸売業、
マーケットチャレンジャーの超卸売業、
そして多数のマーケットニッチャーの卸売業。
こういった構造になる。

その意味で「問屋有用論」は正しい。

㈱True Dataの取締役と執行役。
右から伊藤久美さん、越尾由紀さん、
そして島崎尚子さん。
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私も並んで写った。
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次々に壇上に上がって、
玉生さんへのお祝いの言葉を贈った。IMG_8040 (002)

最後に島崎さんから花束贈呈。
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玉生さん、本当におめでとうございました。

私も負けずに書きます。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2024年12月02日(月曜日)

年末年始商戦の「選ばれる店」と流行語大賞の「ふてほど」

Everyone, Good Monday!
[2024vol㊾]

2024年第49週。
12月第1週。

いよいよ12月商戦です。
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月刊商人舎10月号。
2024年末「おせち商戦」の必勝法
顧客が買いたくなる正月感ある売場づくり

読んでおいてください。
紀文食品の堀内慎也マーケティング部長の提案。
年末年始商戦にかけては業界随一の専門家。

そして今年は、
「最高の曜日回り」。202410_kibun-14
最長は9連休。

旅行は「安・近・短」。
最初のヤマは「12月21日・22日」の土日。

早仕掛けが浸透してきた。
だから早すぎる立ち上げは、
店全体の機会損失を招く。

ちなみに大安は19日(木)と25日(水)。
正月感の演出が効果を発揮する。

今年末年始商戦への結城義晴の提案。
「顧客の心をスイッチさせよ」
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2025年に向けて、
「選ばれる店」となる。
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今、絶好調の店も、
弱含みの店も、
普通の店も、
自分らしい「選ばれる店」を目指す。

その恰好の舞台が、
年末年始の商戦だ。

顧客を喜ばせる。
顧客を湧き立たせる。
顧客に来年への生きがいを提供する。

ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。

それがあなたの仕事です。

日経新聞「ニュース一言」
川野澄人ヤオコー社長、登場。
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「共働きの家族層が多い関東南部の消費は強いが、
年金で生活するシニアが多い北部では
収入が増えず節約志向が強い。
客数を増やすため価格対応を強めていく」

これ、久喜吉羽店オープンのときにも、
中間決算の記者会見でも言っていた。

ヤオコーは関東で南北政策をとる。
その南の政策と北の政策は異なる。

「節約意識の高い地域で、
日替わりの値引きを実施するなど、
地域の顧客に合わせた
販促や品ぞろえに注力する」

エブリデーロープライスとハイ&ローを、
地域に合わせて使い分ける。

しごく当然のことだ。

「南北で売上高伸び率は
数ポイントも開きがある」

この発言の意味は、
東大阪のオーケーの店には、
どう反映されるか。

楽しみだ。

別に東大阪が、
関東の北と同じとは思わないけれど。

最後に、
「2024ユーキャン新語・流行語大賞」

今年の世相を映した言葉や話題になった言葉。
大賞はドラマ「不適切にもほどがある!」
これを略した言葉「ふてほど」が選ばれた。
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この番組が始まってからしばらくして、
私まで毎週見るようになってしまった。

「ふてほど」は知らなかったが。

宮藤官九郎脚本のコメディー。
阿部サダヲ演じる主人公が、
1986年から2024年にタイムスリップ。

昭和と令和、それぞれの時代の対比。
現代では「不適切」な言動が、
昭和の時代には当たり前だった。

コンプライアンスに縛られた令和の私たち。
昭和の人間の直截的な言い回しは痛快だ。

むしろ今のほうが幼児的なのかもしれない。
だが、そのギャップがひどく面白かった。

ハラスメントは断じて許されないけれど。

そしてこのギャップの面白さは、
年末年始商戦にもきっと生かせる。

弱含みの店でも、
普通の店でも、
もちろん絶好調の店でも。

ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

では、みなさん、今週も、
「あすへの希望」、届けてほしい。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年12月01日(日曜日)

「倉本長治 商訓五十抄」の「無くてならぬ人間」

2024年も師走に入った。

穏やかな日曜日。

買物の好きな女に師走来る
〈星野立子(たつこ)〉

1903年(明治36年)生まれ、1984年没。
高濱虚子の次女。
中村汀女・橋本多佳子・三橋鷹女とともに、
「四T」と尊称された。

その父親の高濱虚子の句。
女を見連れの男を見て師走

師走です。

師が走る。

私には多くの師がいる。
お陰様で。

仕事の面でその第一に来るのが、
倉本長治師。

ほかにも渥美俊一先生、
壽里茂先生、
上野光平先生、
杉山昭次郎先生。
伊藤雅俊さん、岡田卓也さん、
北野祐次さん、清水信次さん、安土敏さん、
大髙善二郎さん、夏原平和さん、川野幸夫さん、
数えだしたら次々に名前が浮かぶ。

けれど一番先に来るのが、
わざわざ名前に「師」をつける長治先生。

その二冊目の「倉本長治 商訓五十抄」
「損得より先に善悪を考えよう」
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その十三番目の言葉。
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「居なくても判かる仕事」

「無くてならぬ人間になれ、
居なくても判かる仕事をせよ」
というのは、若い時からの私の
座右のスローガンである。
この言葉は、自分で作った幾つかの
格言めいたもののうち、最も好きな言葉である。

この「人間」というところを、
貴下は「店主」と置きかえてみたなら、いい。

「居なくても判かる」というところの意味が、
不分明というよりは二様の解釈を持つところに
この言葉の欠点があるようだ。

その「判かる」というのが、
現場に居(お)らない自分に、
進行の状態などがチャンと推測出来る
という風にも取れるし、
或いは、自分が旅行不在、又は病気欠勤、
乃至は退職した時でさえも、
自分のやって来た仕事は、
他の人にも直ちに一切が了解されるように、
整然、明瞭、一糸乱れぬものであり、
あらゆる統計と記録が
保存されているのでなくてはなるまい
――との二つの考え方にとれるのは、
正に言葉の欠点ではあるが、
その欠点があるところに、
又とない含みがあり、
私には、そこのところが
無上に好ましいのである。
倉本長治モノクロ2

「人間」というところを、
「社長」と置き換えてもいい、
「店長」でもいい。

「部長」「チーフ」でもいい。

無くてならぬ店長になれ。
自分がその場にいなくても、
わかるような仕事にせよ。

あるいは自分がいなくなっても、
みんなにわかるような仕事にせよ。

この「五十抄」の奥付を見る。
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2004年2月17日第1刷発行。

発行所/株式会社商業界
発行人/結城義晴

私が代表取締役社長で、
発行人でもあった。

その発行人であることに責任と誇りを感じる。
そして襟を正す。

ただし、無くてならぬ社長だったか。
自分がいなくなっても、
みんなにわかるような仕事をしたか。

ん~。

残念でならないけれど、
師走の今日、この言葉は胸に沁みる。

吉井莫生(ばくせい)の句。
毎日新聞の記者だった。

師走記者筆の疎略を慎まん

この師走、無くてはならぬ者とならねば。

〈結城義晴〉

2024年11月30日(土曜日)

ルービニの「世界の巨大な脅威」と「うまい忘れ方・いい記憶のし方」

11月最後の日。
明日から師走。

経済学者のヌリエル・ルービニ氏。
トルコ生まれ、イタリア育ちのアメリカ人。
ニューヨーク大学スターン経営大学院名誉教授。
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米国クリントン政権で、
経済諮問委員会エコノミストや財務省顧問。
サブプライムローン問題を予言し、
それに続く世界金融危機を言い当てた。

世界経済に対して悲観論を展開するため、
「破滅博士」と呼ばれる。

日経新聞電子版think!に登場。

近著のタイトルは、
『MEGATHREATS(メガスレット)』
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世界経済を揺るがす、
10の「巨大な脅威」を指摘する。

日経新聞社刊ということもあって、
宣伝を兼ねての登場だろう。

けれど、面白い。

「トランプ氏は破壊者であり、
確かに破壊が必要な部分もある」

「ただ私が言いたいのは、
トランプ氏は市場を気にしていることだ」

「株高であれば自分の政策が
支持されているシグナルになる。
成長率が落ち雇用が冷えれば株価は下がる」

株価次第。

「経済成長のためには金利を低く抑えたい。
インフレを高める政策には、
債券市場が金利の上昇を通じて
『自警団』としての警告を発するだろう」

「つまり市場の規律こそが、
トランプ氏に極端な政策による失政を避け、
より正統的な政策を取るよう促す役目を果たす」

なるほど「市場の規律」が機能を果たす。
その意味でアメリカは株価国家だ。

「各国政府の財政赤字は、
一段と大きくなるだろう。
国防や安全保障に、
多くの資金を費やさざるをえない」

「膨張する国の借金にどう対処するのか。
借金の実質価値を下げて
帳消しにするのがインフレだ。
インフレを招き入れる誘惑はいっそう強まる」

インフレは借金を帳消しにする。

「インフレを抑える
唯一の救いの手は

イノベーションだ」

ルービニ教授の、
日本に対するアドバイス。

「古い経済セクターではなく、
新しい経済セクターへの投資を急ぐべき」

これはチェーンストアにも当てはまる。
新しいセクターへの投資。

「時間をかけて財政再建を進めることが重要だ」

「低インフレを背景に
ゼロもしくはマイナスの政策金利で
日銀が政府を支えた時代は終わった。
債務に対する利子負担が増してくる」

「時間の経過とともに
持続不能な状態に陥っていくことは
避けねばならない」

「そのためにこそ、
イノベーションが大事になる」

「幸い日本は官民の協力で
基礎研究と応用研究の両方に強みがある」

「規模よりも収益性や株主価値を高める
プロセスを考えるべきだ。
そうすることで家計もテクノロジーから
高いリターンを得られる」

「AIの時代は、むしろ、
人口減少の国の方が追い風になりうる。
私は日本の将来に対して
楽観的だ」

「警報が鳴っているときに人は、
居眠りしていられない。
問題に立ち向かわなければならないのだ」

そう、警報が鳴っている。
居眠りなどしていられない。

「懸念が正しい方向に向けられていれば、
必ず人々は前向きな変化につなげる」

「身を隠すのではなく、
建設的に世界をより良くする努力を
しなければならない」

ルービニ教授のコメントはことごとく、
日本の小売企業にも当てはまる。

朝日新聞「折々のことば」
第3278回。

社会にもうまい忘れかた、
逆にいえば
いい記憶のしかたがなければ、
新しい状況に対応する方法が
生みだせないだろう
(能楽評論家・戸井田道三)

これがイノベーションの源だと思う。

「人は忘れてはならないことを忘れ、
忘れるべきことを忘れずにいる」

「だから、個人においても集団においても、
記憶の仕分けとでもいうべきものが必要なのだ」

「記憶の仕分け」

「組織のような『社会的身体』にも
『無意識』な次元があって、
そこまで掘り下げなければ、
歪(いびつ)な記憶が
別の新しい災害を生みかねない」
(『忘れの構造』から)
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忘れてはならないことを忘れ、
忘れるべきことを忘れずにいる。

昨日、大髙善興さんに会った。
伊藤雅俊さんも善興さんも、
間違いなく「記憶の仕分け」の達人だ。
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世界の趨勢に対しても、
日本のこれからについても、
自分の仕事においても、
「記憶の仕分け」は最も大切だ。

〈結城義晴〉

2024年11月29日(金曜日)

ロピア黒川店開業と新百合ヶ丘の競争/大髙善興会長に遭遇

㈱OICグループ。
㈱ロピアのホールディングカンパニー。

その11月の新店。

11月23日(土)、
北海道にロピア屯田店をオープン。
イトーヨーカドー屯田店の跡地。

商人舎流通SuperNews。
OICグループnews |
シーナシーナ屯田に「ロピア屯田店」11/23オープン

開店前の行列は3000人を超えた。
オーケー関西1号店の10倍ほど。
期待の大きさが表れている。

11月26日には、
ロピア 浜松プラザフレスポ店開業。
静岡県初進出の浜松市中央区の店舗。

ロピアnews|
静岡県初出店の「ロピア 浜松プラザフレスポ店」11/26開設

フードマーケットマム浜松フレスポ店の跡地への出店。
この店も絶好調。

はじめての地域に進出して、
それが大歓迎を受ける。
テレビや新聞、SNSの両面から報道される。

そして11月29日。
ロピア黒川店がオープン。IMG_7997 (002)
現地を見る限り、オーケー高井戸店よりも、
多くの顧客が行列した。

小田急多摩線黒川駅前に、
「フォレストモール川崎黒川」オープン。

その中核テナントがロピアとサンドラッグ。
ネイバーフッド型ショッピングセンターだ。

9時ごろに到着して、
福島道夫取締役本部長から、
丁寧に店内をご案内いただき、
新しい商品や売り方を説明してもらった。
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福島さんはロピア社長、関西ロピア社長を歴任。
台湾の立ち上げでも責任者として赴いた。

ロピアの新規事業開発を担う。

惣菜部門は「GOCHISOU MARCHE」の屋号。
ベーシックなとんかつに新しい考えを盛り込んだ。
おいしいトンカツをつくるためだ。IMG_7935 (002)

店内の壁面はイラストを減らして木目調。
そのかわりに筆文字の吊り下げで、
商品の説明をする。

これがとてもいい。IMG_7921 (002)

店を一巡りして、地階の休憩室。
「賄い」をふるまってもらった。
福島さんお手製のカレーとハムカツ、
ケーキとスムージー。IMG_7999 (002)

店で働く人全員に朝、この賄いが提供される。
応援に来てくれた人々も例外なく、
賄いをいただく。

開業の日はみんな忙しくて、
ランチを食べる時間も取れないことがある。
だから朝、たっぷり賄いを食べる。
みんな、元気に仕事する。

福島さんの哲学だ。

私も必ずこれをいただく。
ありがとう。

10時オープンとお知らせしていたが、
9時45分には開店。

入り口からレジの前の通路に顧客が並んで、
それから反時計回りに売場が始まる。
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青果部門は八百物屋あづま。
高騰しているキャベツは大玉が150円。
飛ぶように売れた。IMG_7944 (002)

10時までは青果と精肉の売場まで、
ゆっくりとめぐってもらって、
鮮魚の日本橋魚萬には入れないようにした。

もちろん入場制限をして、
顧客にはゆっくりと売場と商品を見てもらう。IMG_7927 (002)

全店解放したらご覧の状態。
それでも入場制限をして、
店内の顧客にはゆっくり見ていただく。
試食も大展開して食べていただく。
そのうえで買っていただく。
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ひと段落して店頭にいたら、
大髙善興さんと会った。
㈱ヨークベニマル会長。IMG_7994 (002)

セブン&アイの話題になった。
善興さんからこの話が出た。

「イトーヨーカ堂は伊藤雅俊に戻らねば」

私が書いていることと同じことを、
善興さんは繰り返した。

そして商人舎を褒めてくださった。
何度も握手。

84歳の辰年。
私の一回り上だ。

まだまだ お元気で、
勉強を欠かさない。

私は善興さんを目指す。

そのあとロピア若葉台店へ。
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月刊商人舎2023年10月号。
特集・ロピアの「点と面作戦」
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この特集の中で、
[生活圏型]ロピア若葉台店
オーソドックスな売場づくりこそ

繰り返し来店にふさわしい。

IDとパスワードをもっている人は、
読み直してみてください。

黒川店と比べると新規さはないが、
少人数でよくこの売場をつくっている。
顧客もそれなりに入っている。IMG_7973 (002)
若葉台店は土日祭日には、
近隣の渋滞がひどくなる。
大繁盛の店だ。

だから隣接商圏の黒川店の開業によって、
それが緩和される。

その意味でも地域に貢献できる。

そのあと私たちは、
新百合ヶ丘へ。

ヤオコー新百合ヶ丘店。IMG_7974 (002)

11月15日オープン。
このブログで紹介した。

マンション群の真ん中の店。
フットサルのコートを店にした。
ヤオコー自身の開発だ。

生活圏型の「あっさりタイプ」の店だが、
どんどん進化して、惣菜など高度化している。
こんな店が生活圏にあったらいいな。
そう思える店だ。
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ヤオコーから新百合ヶ丘駅には、
デッキの遊歩道が連なる。

イオン新百合ヶ丘。
駅を出てくると右手にある。
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イオンリテールが展開する、
イオンスタイルの食品売場は1階。

売場は充実していて、
ヤオコーとそん色のないレベルだ。IMG_7976 (002)

青果から始まって、惣菜で終わる。 IMG_7978 (002)

1階にはグラムビューティーク。
イオンリテールのコスメティック店。IMG_7989 (002)

オーガニックのビオセボンが、
デッキでつながる2階の入り口にある。
この売場はヤオコーにもない。IMG_7980 (002)

さらに「フローズン」の大展開。
冷凍食品のショップだ。IMG_7981 (002)

その一角には「ピカール」のコーナー。
これもイオンにしかない売場だ。IMG_7990 (002)

駅前のデッキ広場の左側。
イオンと向かうようにⅬミロード。
イトーヨーカドーと小田急OXのコンビネーション。IMG_7986 (002)

2階と3階がイトーヨーカ堂の非食品売場。
「ファウンドグッド」のコーナーもある。
しかし衣料品はちょっと古いイメージだ。IMG_7982 (002)

けれど1階の小田急OXには驚かされた。
認識を新たにした。
IMG_7983 (002)
小田急百貨店のスーパーマーケット部隊。
その強みを活かしている。

だからイオンスタイルともヤオコーとも、
違うポジショニングを獲得している。

この店を見ているときに、
再び大髙善興さんに出会った。

なんと、ロピア若葉台店から、
ヤオコー新百合ヶ丘を巡って、
小田急OXに到着とのこと。

私たちと同じルートだ。

善興さんは㈱小田急商事の社外取締役だ。
2018年にセブン&アイと業務提携をして、
善興さんがこの会社を指導している。

その指導の成果も上がっている。

2021年からセブンプレミアムを販売している。

善興さんの指導は「基本の徹底」。
店長はじめ店のスタッフが生き生きと働く。

この激戦区で確かな位置を占める。

「基本の徹底と変化への対応」
「お客様は買ってくださらないもの」

伊藤雅俊の教えは、
どんな会社にも通用する。

〈結城義晴〉

2024年11月28日(木曜日)

米澤房朝の「小さく・狭く・濃く・深く」と倉本長治の「商業革命」

月刊商人舎11月号。
お陰様でご好評をいただいています。
202411_cover-page
「会社は誰のためにあるのか?」

昨日、熊本の米澤房朝さんから、
お手紙をいただいた。
㈱ヨネザワ代表取締役会長。
眼鏡専門店を200店経営する。

商業界全国連合同友会前会長。
㈱商業界会館社長。

㈱商業界は自己破産してしまったけれど、
その親会社の商業界会館は残っている。
そして商業界ゼミナールは、
米澤さんにリードされて、
活動を続けている。

ほんとうに有難いことだ。

そして今日は電話でお話しした。

商人舎11月号は、
同友会などで読んでくださっている。

米澤さんはホームページにコラムを書いている。

「店はお客様の為にあり、
従業員と共に栄える」

私たちは、商圏内の人々の
ビジョンケアー、ヒヤリングケアーを担当する
プロ集団であり、専門店の専門家です。
地域に密着し、人と人との絆を大切にしましょう。
お客様の不自由・不便・不快などの
「不」を解消する視聴覚のプロです、
豊かなライフスタイルを提案創造しましょう。
お客様の満足は売上高として結果に表れ、
それを大切に管理することで
私達の生産性につながります。

小さく・狭く・濃く・深くを心がけ、
お客様の満足度を上げていきましょう――。

私の考え方と全く同じ。

店は客のためにあり、
店員とともに栄える。

そして小さく・狭く・濃く・深く。

有難いことだ。

米澤さんと話したので、
久しぶりに取り出して読んだ。
「倉本長治 商訓五十抄」
IMG_7898 (002)

[十四]商業革命と革命的商人

われわれがいう商業革命とは、
商品の取引、消費者に対する
販売の考え方(思想)から、
そのための組織や方法を
すべて急変させることを指し、
革命的商人というのは、
その激動をみずから挺身推進する
勇気ある先駆的商人のことである。

革命の精神は洋の東西を問わず、
孟子の言う「民を貴しと為し、
社稷(しゃしょく、国家のこと)之につぎ、
君(王)を軽しと為す」というところにあるから、
その企ては人類のためとか、
国家のためであって、
一部のもののために
事を起こす政治変動などは
革命とは言わない。

世界では多くの革命家が事のなる以前に
その成就を見る前に
生命を落としているのを見るが、
哲学者ソクラテスも
「事を為すとき、善悪正否のみならず、
生か死かを思わねばならぬ」と言い、
孔子でさえ、
「愛と真実に生きるものは、
善と正義を捨ててまで自らの生命を
全うしようとはしない」と説いている。

こうしてキリストは傑刑に処せられ、
ソクラテスは毒杯をあおったのである。

商業革命とは、
「大衆が損をしても商人が儲かればよい」
とする不当な伝統主義を打破して、
新しい商業モラルをうち立てる、
聖なる戦いなのである。
(考える商人より)
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一言ひとことが、響きます。

商業革命とは、
商品の取引、販売の考え方から、
組織や方法までを
すべて急変させることである。

商業革命は、
「大衆が損をしても商人が儲かればよい」
とする不当な伝統主義を打破して、
新しい商業モラルを打ち立てる
聖なる戦いなのだ。

結城義晴の本籍地は商業界、
現住所は商人舎。

それでいいでしょう。
それがいいでしょう。

ありがとうございます。

〈結城義晴〉

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