結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年09月07日(水曜日)

春風亭昇太の「三遍稽古」と安部修仁の「コピー」

台風の当たり年?

8月下旬にトリプル台風がやってきて、
その中の迷走10号が岩手に上陸、
さらに12号が長崎から日本海に抜け、
今また13号が発生。

被害に遭遇した皆さんに、
お見舞いを申し上げたい。

私たちの日本は、
台風列島・地震列島。
それに耐える力を知恵を、
私たちの「強み」にするしかない。

さてほぼ日刊イトイ新聞の対談。
春風亭昇太と糸井重里。

昇太さんは、今年、
『笑点』の司会に就任。
乗りに乗っている落語家。
1959年、静岡県生まれ。
1982年、春風亭柳昇に入門。
1992年、真打ち昇進。
2000年、花形演芸大賞大賞受賞。
第55回文化庁芸術祭演芸部門大賞受賞。
新作落語の創作活動に加え、
独自の現代的な解釈で落語に取組む。

その対談の第3回が昨日。
タイトルは、
「真似」と「コピー」の違い。

[糸井]昇太さんは、
柳昇師匠から落語を
学んだんでしょう?

[昇太]はい。
でも、師匠から教わった話は
少ないんですよ。
うちの師匠は、
新作落語をやっていたので、
「新作がやりたかったら、
自分で書け」
と言ってましたし、
古典落語のほうも、
20年間で師匠から教わったのは
二席だけなんです。

[糸井]二席だけ。

[昇太]でも、「三遍稽古」という、
落語家が本来やっていた古いやり方で
教えてくれました。

師匠が弟子であるぼくの目の前で
落語をしゃべるんです。
で、聞き終わったら、
「じゃ、またな」と
言って帰ります。

また何日か経って、
師匠がぼくの前で
落語を一席しゃべる。

それを3回繰り返します。
「三遍稽古」という言葉通り、
3回聞いて覚える
というものなんです。

――相撲には三番稽古がある。
実力がほとんど同程度の二人の力士、
二人だけで何番も続けて稽古する。
それを三番稽古というが、
実際は数番から数十番に及ぶ。
落語の三遍稽古は三度だけ[結城]

[糸井]弟子が自分で
やってみせるというのは
ないんですか。

[昇太]弟子がやってみせるのは、
最後だけなんです。
「あげにいく」という
言葉を使うんですけど。
「覚えましたので聞いてください」
と言って、師匠の目の前でやる。
師匠がそれを見て、
「じゃあ、その落語をやっていいよ」
と、許可が降りるんです。

[糸井]はぁー。

[昇太]いまの時代は
だいたい音源を取らせてくれるので、
それを聞いて覚えることが多いのですが、
本当に落語を教わるには、
昔の「三遍稽古」という稽古の仕方が、
ベストだったと思うんです。

なぜかと言うと、
音源を聞いて覚えると
完全にコピーになっちゃうんですよ。
息継ぎのタイミングまで
同じになっちゃうから。

[糸井]ああそうか。
それはダメですね。

[昇太]落語は、
自分の言葉で
しゃべった方がいいんです。
だから「三遍稽古」で、
なんとなく覚えるというほうがいい。

誰かが作ったものを、
他人が全く同じようにコピーしても、
おもしろくないんですよね。

実際にモノマネ芸をやってる人も、
完全コピーの人って、
いないじゃないですか。
やっぱりデフォルメしているから
おもしろいわけで。

――これこそ、
創意を尊びつつ良いことは真似ろ。
倉本長治に通じる[結城]

[糸井]完全コピー型のモノマネの人は
おもしろくないですよね。
なんだか知らないけど、
その人自身から
出てくるものがないから。

[糸井]「三遍稽古」の3回目の稽古は、
自分としては出来た、
というタイミングで、
「よし、師匠に見せよう」ってなるの?

[昇太]いや、師匠が
タイミングを決めるので、
こっちで決められないんですよ。
地方の公演とかに
カバン持ちでついて行って、
たまたま高座まで時間があるとき、
そういうときに突然
「昇太、やるぞ」って、
はじまるわけですよ。

[糸井]それ、
1回目の稽古から3回目まで、
どのくらいの期間なんですか?

[昇太]2週間ぐらいです。
でもまあ、落語家なんで、
ずーっとなにかしらの落語を
聞き続けてるので、
ある程度、内容を知った上で、
稽古に入るんですけどね。

[糸井]かといって、
袖で聞いていた経験を全部足しても、
「習った」ことにはならないんですね。
稽古という形をとらないと。

[昇太]そうですね。

[糸井]この話はすごくおもしろいですね。
ぼく、どう応用するかまだわかんないけど、
なにかに応用してみたい気分です。
「習う」というのは「真似る」ことだけど、
「真似」と「コピー」は同じではない。
どんな分野においても、そうですよね。

――「模倣」と「複製」は異なる[結城]

[昇太]うちの師匠も、
「芸は模倣だから、
まず、その人のやった通りに覚えなさい」
と言うんですよ。
だから言葉もあまり間違えないように
いったん覚えるんですけど、
そこからどう離れていくのかというのが、
その人の修業だと言ってました。

――この対談。
素晴らしい。

糸井さん同様に、
私も「三遍稽古」は、
学ぶときの、
極意を示していると思う。

ただし、師匠は、本物で、
しかも、その師匠が三遍に、
命を懸けて教える。
弟子もその三遍に、
命を懸けて学ぶ。

だから弟子は、
命を懸けて、それを、
自分のものにする。

そして「あげにいく」

師匠は、弟子が、
命を懸けて自分のものにしていたら、
「いいよ」と許可を出す。

ただ、自分のコピーだけだったら、
「いいよ」はでない。

このあたりがじつに正しい。

日経新聞『私の履歴書』では、
安部修仁さんが語り続ける。
吉野家ホールディングス会長。

高校時代にバンド活動を始める。
ただしこの段階の修業は、
自分でも書いているが、
「コピー」

「楽譜など読めるわけもない。
頼りになるのはレコードだけ。
そこからコードを抜き出すしかない。
でも意外と簡単で
45回転のシングルレコードを
78回転に早送りにすると
ベースの音がはっきりと聞き取れて
コードのキーがわかった。
回転数を変えながら
器用にコードを拾っていく」

これ、ほんとうに、
わかる。

「安部しゃんは、天才と違うか」
メンバーに尊敬された。

しかしやっぱり、コピーだった。

その後、超一流の経営者になるのだから、
このころのことは人生の前置きだが、
「学校では校外で
音楽活動することを禁止していたので、
こっそり中洲のディスコに出入りして、
グループサウンズや
ローリング・ストーンズの
コピーをしていた」

コピーはコピー。
本物の師匠の三遍稽古には、
遠く及ばない。

大学の落語研究会の素人が、
コピーをして落語を語るが、
聞けたものではない。

大学の落研の先輩が、
いくら丁寧に後輩に教えても、
先輩は同じ素人、
本物のプロフェッショナルではない。

どんな仕事も、全く同じだ。
商売も、全く同じ。

「近くに伝説のライブハウス『照和』があり、
そこからは海援隊、甲斐バンド、
チューリップがデビューした」

福岡の『照和』は、
それこそ本物のライブハウスだった。
そこで自分の芸を磨いた者たち、
そしてその中のほんの一握りの、
運を持った者たちが、
メジャーになっていった。

だから何事も、本物から、
三遍稽古で学ばねばならない。

イオンの岡田卓也さん、
名誉会長相談役。
いつも言っている。
「学ぶときは超一流から学べ」

さて台風13号は去っていないが、
私は午後からYCAT。
横浜ベイブリッジ。
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そして横浜港とみなとみらい。
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大東京を抜け、
荒川べりの東京スカイツリー。
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そして到着。
成田空港第2ターミナル北ウィング。DSCN8617-6

ハワイ・ホノルルに向けて、
夜の便で出発。
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直前のレクチャーをして、
成田グループは元気いっぱいです。
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では、行ってきます。
商人舎ビギナーズコース。
イン・ハワイ。

始まりました。
ドキドキ・ワクワク・ニコニコの
3泊5日研修セミナー。

私は三遍稽古のつもりで、
命を懸けて語る。

よろしく。

〈結城義晴〉

2016年09月06日(火曜日)

「なくてもいいもの」がある街の「自分の店」のあり方

台風13号発生。
今日の午前9時、
沖縄県宮古島の北北西90キロ。

またか。

台風13号は今夜には、
沖縄本島に接近の見込み。

明日の朝には九州の南を通る?

明日は夕方から、
私はハワイに向けて飛び立つ。
商人舎ビギナーズコース。
ドキドキワクワクセミナー。

大阪から出発する組もあるが、
決行します。
大丈夫だと思います。

今日の横浜は、
すがすがしい秋晴れ。
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そして朝から来客。

まず、福寺誠一さん。
現在、㈱キャリアバンク首都圏総括部長。
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元㈱サンライズ代表取締役社長。
森永製菓のアイスクリーム卸売。

現在は、人材派遣、人材紹介、
顧問派遣や研修事業などを展開。

固有名詞は出せないが、
面白い話、有益な情報を、
たくさん提供してもらった。

続いて、染谷剛史さん。
㈱リンクアンドモチベーション、
MEカンパニー執行役。
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Mはモチベーション、
Eはエンジニアリング。

小売業・サービス業に絞って、
ヒューマンリソースマネジメントの、
ソリューションを展開する。

その社内ベンチャーを立ち上げて、
みずからチームリーダー。

私、大いに感心した。

ポール・クルーグマンは書いている。
「サービス業の生産性が上がらねば、
国民の生活は豊かにならない」

染谷さんも同じ視点で、
このMEカンパニーをつくり、
社会貢献しようと頑張る。

応援します。

さて、朝日新聞『折々のことば』
鷲田清一さん編著。
「本やコーヒーのような……
なくてもいいものがある
世の中を考えたい。
となると、
自分の店だけ栄えればいい、
ではなくなるんです」
(堀部篤史)

京都の書店「恵文社」
その基幹店「一乗寺店」の元店長。

「本がなくても生きられる。
けれども本を読めば
『自分以外のものに関する想像力』がつく」

現代は、この、
「なくてもいいもの」が、
極めて大きな価値を生む。
ノンコモディティ・グッズだ。

もちろんなければならないものも、
大きな価値をもつ。
コモディティ・グッズ。

どちらも人間にとって、
必須のものだ。

この後の堀部さんの言葉が大事。
「懐が少し深くなって、
世に流通する『安易な物語』が
恥ずかしくなる」

そう、安易な物語。

ノンコモディティは、
安易な発想、安易な手法では、
つくれない。

恥ずかしくなるような言説では、
実現できない。

そしてコモディティも、
安易で恥ずかしくなるようなものではない。

安易で、恥ずかしくなるようなこと、
あるいは本当の意味を、
まったく理解しない模倣概念は、
仕事においても害になる。

そして堀部さん。
「あれこれ道に迷うことを
許容してくれるような
まちの空気を作っていきたい」

書店に限らず、
小売業・サービス業は、
「街の空気」をつくるものだ。

そのときに、絶対に、
避けなければいけないのが、
「自分の店だけ
栄えればいい」

とはいっても、これは、
「みんなで渡れば怖くない」ではない。
かつての商店街の馴れ合いや、
各種組合のような、
「寄りかかり合いの談合」ではない。

一つひとつの店が、
アイデンティティをもって、
独立自営商人の志を持つ。

的確なセグメンテーションをして、
独自のターゲティング、
独自のポジショニングをして、
そのうえで自分の店と、
街全体を構想する。

それをするのは、
間違いなく、知識商人だ。

自分の店の売上げだけを、
亡者のように、餓鬼のように、
追い求める商人ではない。

一見すれば、
なくてもいいもの。
しかしあれば人々を、
この上なく幸せにするもの。

それを追い求める個性ある店々。
そんな店々がつくりあげる街。

ショッピングセンターも、
そんな街でなければならない。

木村俊介著『善き書店員』から。
ミスミ社刊のインタビュー集。

鷲田さん、ミスミ社の本が好きだ。

ナレッジマーチャントの時代は、
いま、現実のものとなっている。

何しろ、あの朝日新聞の一面で、
そのポジショニングの概念が、
語られているのだから。

〈結城義晴〉

2016年09月05日(月曜日)

ユニクロ0.9%増・Old Navy撤退・柳井さんとのゴルフ善戦

Everybody! Good Monday!
[2016vol36]

2016年第37週、
9月第2週。

残暑は残っている。
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入道雲が見える。

それでも、ちょっとだけ、
秋めいてきた。
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空も雲も。
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秋めきし思ひに机辺(きへん)親しめる
〈朝日俳壇より 泉大津市・志賀道子〉

選評は「ようやく机に向かって
仕事をする気になれた季節の推移」

私はずっと机辺に親しんでいるが。

鶏頭や空き家に残る三輪車  
〈同 北九州市・榊原洋一〉

鶏頭の花、空き家、三輪車。
乗って遊んでいた子は、
どうしたのだろう。

桐一葉風の姿をつくりたる
〈同 大阪市・大川隆夫〉

高濱虚子を思い出す。

桐一葉日当たりながら落ちにけり

初秋です。

さて、土曜日の日経新聞の記事。
「ユニクロ0.9%増収」
ファーストリテイリングのユニクロ。
2016年8月期の国内既存店売上高、
前の期比0.9%プラス。

前年実績を4年連続で上回る。
客単価は通年で5.8%増。
単価の高いボトムスなどの販売が好調。
1人当たりの購入点数も増加した。

ファーストリテイリングは、
8月決算の企業。

上期の15年9月~16年2月は、
売上高が前年同期比1.9%減。

しかし下期の3月~8月は、
4.9%増と回復。

昨15年11~12月は2年連続の値上げ、
さらに暖冬が重なった。

売上高は前年同月比10%近くのダウン。
そこで年明けに一部商品値下げを決断。

週末セールを抑制して、
平日から価格を下げる戦略。

それが徐々に消費者に浸透し、
客数が戻ってきた。

ユニクロの客数・客単価、
そして売上げの推移は、
日本全体の衣料品の動向を、
端的に象徴している。

イオンもイトーヨーカ堂も、
ユニーもイズミや平和堂も、
その推移と自社の衣料品動向を、
常に引き比べておく必要がある。

今朝の日経新聞。
「オールドネイビー」日本市場撤退へ

Old Navyは米国ギャップの、
低価格フォーマット。

現在、日本全国に53店を展開中。
しかし来年1月末までに、
全店を閉める。

第1弾は大阪府・福岡県などの4店で、
今日付けで営業終了。

アメリカではGapよりもむしろ、
Old Navyが好調だ。

しかしそれも日本市場では、
展望が開けなかった。

日本ではユニクロと互角に、
競争できなければ、
勝負にならない。

それはイオンもイトーヨーカ堂も、
ユニーもイズミ、平和堂も同じだ。

さて昨日の私は。
神奈川県茅ケ崎市。
スリーハンドレッドクラブ。
もちろん名門ゴルフコース。

朝7時40分にスタートして、
10時40分過ぎには、
ツーサムのワンラウンドを終えた。

すごいスピードで、
実に気分爽快だった。
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お相手は柳井正さん。
ファーストリテイリング会長兼社長。

実は夏の間、
この日に備えて、
練習に次ぐ練習、
実践に次ぐ実戦。

万全の準備をして臨んだ。
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残念ながら敗戦したが、
まあ、いいだろう。
善戦はした。

柳井さんとは、
ラウンド中も、
そのあとのランチの時も、
ずいぶん話し込んだ。IMG_9102-6
柳井正、聞く。
結城義晴、答える。

結城義晴、聞く。
柳井正、答える。

それを繰り返しつつ、
ショットを放ち、
パットを沈める。

緊張感のあるラウンドだった。

柳井さんはいつも、
世界を見ている。
そして会社や産業の成長を、
強く、深く考え続けている。

その思考の強さ、深さは、
ギャップを超えている。

だからOld Navyは、
撤退せざるを得なくなった。

私はそう感じた。

「日本の小売業の閉塞状況を、
どう突破したらいいのでしょう」

「日本の技術やホスピタリティを、
そのまま、アレンジせずに、
海外で展開することでしょうね」

聞いたのは、柳井さん。
答えたのは、結城。

私は一風堂や加賀屋の、
海外展開の思想と実態を語った。

もちろんユニクロは、
ジャパン・テクノロジーを、
海外での武器にしている。

そのことは二人とも、
暗黙の了解事項だった。

もっと強く、深く、そして高く、
会社と産業の成長を、
考えねばいけない。

私はつくづくと実感した。

さて、今週の私のスケジュール。
今日は月刊商人舎編集会議。

明日は午前中、来客おふたり。

そして明後日から、ハワイ。
商人舎視察研修ビギナーズ編。
ハワイのドキドキワクワクコース。

あっという間に、
1週間が終わる。

高い志と強い意志。
知識商人には、
それが求められている。

では、皆さん、今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年09月04日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その17】キキョウ

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。
そんな猫の目で見る博物誌――。

秋です。

せわしなや桔梗に来り菊に去る 
〈正岡子規〉

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〈写真はTrev Grantより〉

キキョウ。
「桔梗」と書く。

漢名で「桔梗」。
「きちこう」と読む。
それを音読みで「ききょう」。

つまり和名は、
中国の命名に由来する。

万葉集にも歌われる古い花。
その万葉集の山上憶良の歌。

萩の花 
尾花葛花 
なでしこの花
をみなへし 
また藤袴 
朝貌(あさがほ)の花
「秋の七草」を歌ったものだが、
最後の「朝貌」が「桔梗」。長らく論争が繰り広げられたが、
日本最初の漢和辞典で、
桔梗となった。
その漢和辞典は『新撰字鏡』
901年頃に昌住が著した。
ラテン語の学名は、

Platycodon grandiflorus。
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〈野草デジカメ日記より〉

キク目Asterales
キキョウ科Campanulaceae
キキョウ属Platycodon
キキョウ種P. grandiflorus

多年性草本植物。

「多年性」とは、
「個体として
複数年にわたって
生存すること」

反対語は「一年性」。
こちらは、
種子から発芽して、
1年以内に生長して、
開花・結実して、
種子を残して枯死すること。

一年性の植物は、
この博物誌で取り上げた、
アサガオ、ヒマワリなどがある。

しかしたいていの植物は、
多年生。

「草本」は、木にならない植物。
樹木のように大きくならず、
太く堅い幹を持たない植物。

反対語は「木本」
こちらは木になる植物。

山野の日当たりの良い所に育つ。
極東に分布する。

日本列島、朝鮮半島、
中国、そして東シベリア。

イメージは秋の花だが、
開花時期は6月中旬の梅雨時。
夏を通じて咲き、初秋の9月頃まで、
目を楽しませてくれる。

つぼみは、
花びらが風船のように、
ぴたりとつながっている。
そのため英語では、
“balloon flower” ともいう。
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〈ヤサシイエンゲイより〉

つぼみは緑色から、
徐々に青紫に変わる。
それが裂けて、
星型の花を咲かせる。

「雌雄同花」。
つまり雌花と雄花との区別がない。
同じ一つの花に、
雄しべと雌しべが備わっている。

しかし「雄性先熟」でもある。
つまり性転換すること。

開花時点では雄しべが成熟して、
花粉を放出する。
「雄性期」と呼ぶ。

やがて雌しべが成熟して、
花粉を受け取る。
「雌性期」という。

花冠は複数の花弁のことだが、
その花冠は広鐘形。
だから、学名のPlatycodonは、
「広い鐘」の意味もつ。

種小名のgrandiflorusは、
「大きな花の」の意味。

花は五つに割れている。
「五裂」という。
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雄しべ・雌しべ・花びらは、
それぞれ5本。

桔梗らしくて、キリがいい。

きりきりしやんとしてさく桔梗哉 
〈小林一茶〉

夏目漱石にもある。
むつとして口を開かぬ桔梗かな 

桔梗はよく、
人間にたとえられる。

桔硬咲く
襟つきにくき人のごと
女姿の少年のごと
〈与謝野晶子〉

ただし、絶滅危惧種。

万葉の時代から歌われ、詠まれ、
長らく人間にたとえられている桔梗。

それが絶滅寸前。

悲しいことですが、
それも自然というものです。
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(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)

2016年09月03日(土曜日)

立教・結城ゼミの「リベラルアーツ」と「功成って而も居らず」

今日は東京・池袋。
メトロポリタンホテルの隣の、
ブルーオーシャングリル。

立教大学大学大学院ビジネス研究科、
私は5年間、特任教授を務めたが、
その私のゼミを結城ゼミという。

5年間で30人の修士を育てた。
その結城ゼミのOB・OG会。
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結束の固いゼミで、
私が退任した後も、
定期的に集まって懇親を深め、
近況を報告し合ったり、
互いに協力し合ったりする。

昨日、私の誕生日だったので、
最後に花束を贈ってくれた。14199776_1070798286336708_1129743693699109167_n

結城ゼミ2期生の児玉桜代里さんから。
現在、明星大学経営学部准教授。14203304_1070798293003374_5931232981897953877_n

そして最後に、全員で写真。14199358_1070798353003368_8461138589853808102_n
ありがとう。

さて、昨日の日経新聞『大機小機』
テーマは、
「人材育成の指針」

「企業は人なり。
人材の発掘と育成は
企業の最重要課題である」

「企業活動がグローバル化し
急速に多様化するなか、
ハウツー的な人材育成は
多少は役に立つが、
ゴーイングコンサーンとして、
その大黒柱を背負って立つ人材を
育成するには物足りない」

「不易的、普遍的、
原理主義的な
コンセプトを
実践、習得させる
エリート教育が
なくてはならない」

大学院教育は、
このエリート教育である。

企業内大学も、
趣旨は全く同じだ。

やや原理的になるが、
リーダーに要求される基本は
「知力」「体力」「胆力」。

コラムニストは、
必要な考え方を並べる。
「平常心」「自然体」
「正々堂々」
「誠心誠意」

さらに難しいことだが
「無私の心」を持つこと。

次に徳目を身につける、
「徳・仁・礼・信・義・智」

並行して、
「進取の気性、
旺盛なる冒険心、
革新的思考、
目標達成意欲、
国際性、社会性」

これらは実践の場で習得させる。

「一巡するとスパイラル的に
質を高めながらサイクルを回す」

最後に、
「意識してリベラルアーツ
向上を課していくことで、
さらに魅力ある、
世界に通用する
人材を育成できる」

このリベラルアーツこそ、
立教大学が1874年の創立以来、
教育の理念に掲げる考え方である。

「リベラル・アーツ教育は、
知性、感性、そして身体のバランスを
配慮した全人格的な教育であり、
一人一人のさまざまな可能性を
育もうとするもの」

結城ゼミのみんなも、
それは忘れないでほしい。

今日も最後は『老子』
その第二章。
小川環樹訳注。

天下、皆(みな)
美の美
(た)ることを知る、

(これ)、悪なる己(のみ)

天下すべての人がみな、
美を美として認めること、
そこから悪さ(みにくさ)
(の観念)が出てくる。

皆、善の善
為ることを知る、

斯、不善なる己。

(同様に)
善を善として
認めること、

そこから不善(の観念)
出てくるのだ。

美から醜さが出てくるし、
善から不善がでてくる。

(まこと)
有無相生(うむあいしょう)じ、

難易相成(なんいあいな)し、
長短相形(あら)わし、
高下(こうげ)相傾け、
音声相和し、
前後相随(したが)う。

有と無はたがいに
(その対立者から)生まれ、

難しさと易しさは
たがいに補いあい、

長と短は明らかにしあい、
高いものと下(ひく)いものは
たがいに限定しあい、

音と声はたがいに調和を保ち、
前と後ろはたがいに順序をもつ。

これはヘーゲルの考え方と同じ。

(ここ)を以て聖人は、
無為(むい)の事に処(お)り、
不言(ふげん)の教えを行なう。

それゆえに、聖人は
行動しないことにたより、
ことばのない教えをつづける。

これがわかりにくいし、
なかなかできない。

万物は作(つか)われて
(しか)辞せず、

生じて有せず、
為して而も恃(たの)まず、
功成って而も居(お)らず。

万物はかれによって
はたらかされても、

(その苦労を)いとわないし、
かれは物を育てても、
それに対する権利を
要求せず、

何か行動しても、
それによりかからないし
仕事をしとげても、
そのことについての
敬意を受けようとはしない。

ここが大事なところ。
私もこうありたいと思っている。

(そ)れ唯(ただ)居らず、
(ここ)を以て去らしめられず。

自分のしたことに
敬意を受けようとしないからこそ、
かれは(到達したところから)
追いはらわれないのである。

ありがとう、こころから。

〈結城義晴〉

2016年09月02日(金曜日)

9月の商人舎標語「小さな兆し・大きな変化」を実体験せよ!

9月2日。
結城義晴、
64回目の誕生日。

自分ではさして感慨もない。

しかしソーシャルネットワークの時代、
多くの人々に祝っていただいた。

心から感謝したい。

「何のために」人間は
生きるかという問い

……を拒否することが
〈生きる〉ということの
現実性だというだけです。
(吉本隆明『どこに思想の根拠をおくか』)

今日の朝日新聞『折々のことば』
不思議だ、こんな日にこんな言葉。

鷲田清一さん編著。

「『何のために』と問う前に、
人はすでに現実の内に
どっぷり浸かっている。
全体を見通せず、またたやすくは
足を抜けない場所に立っている」

同感。

「人には泣く泣くせざるをえないこと、
『なしくずしにずるずると』
生きざるをえないこともあり、
なぜそうなるのかを問うほうが先だ」

然り。

しかし、それはもう、私、
解決した。

そして今日は、
月刊商人舎9月号の最終責了日。
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午前3時に目を覚まし、
深夜の3時になっても終わらない。

にもかかわらず、
束の間、『老子』を読んでいる。
中公文庫の小川環樹訳注。
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その第一章。

(みち)の道(い)う可(べ)きは、
の道に非(あら)ず。
名の名づく可きは、
常の名に非ず。

「道」が語りうるものであれば、
それは不変の「道」ではない。
「名」が名づけうるものであれば
それは不変の「名」ではない。

「道」とは究極の存在。
すべての根源、本体のこと。
「名」は「名称」のこと。

「道」は語れるものではない。
それを語りすぎる。
「名」はそうやすやすと、
名づけられるものではない。

不変の「道」や不変の「名」で、
なければならない。

名無きは、
天地の始めにして、

名有るは、
万物の母なり。

天と地が出現したのは
「無名」(名づけえないもの)からであった。
「有名」(名づけうるもの)は、
万物の(それぞれを育てる)母にすぎない。

(まこと)
「常に欲無きもの、
以て其(そ)の妙(みょう)を観(み)
常に欲有るもの、
以て其の徼(きょう)を観る。」

まことに「永久に欲望から
解放されているもののみが
『妙』(かくされた本質)をみることができ、
決して欲望から解放されないものは、
『徼(きょう)』(その結果)だけしか
みることができない」のだ。

まったくの同感。
以て自戒とすべし。

此の両(ふた)つの者は、
同じきより出でたるも
(しか)も名を異(こと)にす。

この二つ(つまり無名と有名)は
同じものから出てくるが、
それにもかかわらず名を異にする。

同じきものは之(これ)を玄と謂(い)う、
玄の又(また)玄、衆妙の門なり。

この同じものを「玄」(神秘)とよぶ。
(いやむしろ)「玄」よりも
いっそう見えにくいもの
(というべきであろう。
それは)
あらゆる「妙」(本質)が出てくる門である。

欲望から解放された者だけが、
本質を知ることができる。
欲望から解放されない者は、
結果しか見ることができない。

ああ、私は64歳にして、
欲望から解放されたのか。

最後に自問する。

では、今月の商人舎標語。
[Message of September]

「小さな兆し・大きな変化」を実体験せよ!

何かが大きく変わるとき、
どこかに変化の兆しが現れる。
その兆しは小さなものかもしれない。
しかし必ず兆しは現れる。

さらに何か大きな変化が起こるとき、
兆しはいくつも現れる。
あっちこっちに兆しが現れ、
それらが呼応し合って大きな変化を促す。

小さな兆し、
大きな変化。

それは突然変異のように
生まれるわけではない。
何らかのプロセスをたどりながら、
原因が結果を生み出す。

小さな予兆は
因果の
最初の
ランプの点滅である。

小さな現象の先に、
大きな変化が待ち受けている。
小さな兆しの先に、
コペルニクス的転換が控えている。

小さな兆し、
大きな変化。

2016年のアメリカ小売産業に、
その兆しが表れている。
Walmart has stopped!
Amazon is growing!

365 by Whole Foods Marketが登場し、
Trader Joe’sにInnovationは見られない。
Nebraska Furniture Martは大繁盛し、
Berkeley Bowlはパワーアップする。

巨大化した企業がさらに統合を重ねる。
一方で業態概念は衰退しつづける。
チェーンストアコンセプトは限界を見せ、
地域対応、個店対応、個人対応を迫る。

それでも米国小売業には、
不思議なエネルギーが満ち溢れている。
最先端の変化の魅力が沸き立っている。
だから私たちは引き寄せられる。

自分の目で見よう。
自分の耳で聞こう。
自分の五感で感じよう。
現場で実体験しよう。

小さな兆しを、
大きな変化を。

自分の目で見よう。
自分の耳で聞こう。
自分の五感で感じよう。
現場で体験しよう。

〈結城義晴〉

2016年09月01日(木曜日)

ユニー・ファミリーマートと吉野家・安部修仁の「商人の誇り」

9月1日。

通常の年は、
今日が二百十日。

しかし閏年には昨日の8月31日が、
立春から数えた210日目。

したがって今年の今日は、
二百十一日。

2016年が3分の2を終了。
あと4カ月で今年が終わる。

初めにお知らせ。
9月1日の今日、
商人舎公式ホームページのスマホ版が、
ちょっとだけ見やすくなりました。

さて、AJSネットワークが届いた。
DSCN8565-6
私の連載はもう105回目。
今回のテーマは、
「模倣・創造」と「希少性・模倣困難性」

「模倣」ばかりしていると、
感覚が麻痺して「盗用」に陥りやすい。
恐ろしいことです。

ジェイ・B・バーニーの理論からして、
「模倣」だけの組織には、
「模倣困難性」が存在するはずもない。

そのことを書いた。

ご愛読、お願いします。

なお、今号で、
荒井伸也名誉会長の連載、
「知行合一」は、
14回の幕を閉じた。

ちょっと唐突感は残ったが
ほんとうにご苦労様でした。

最後の言葉は、
「生まれ変わっても、私は、
またスーパーマーケットを
自分の仕事として選びたいと、
本気でおもっている」

お見事です。
感服、感謝。

さて、今日、
新会社が誕生した。

ユニー・ファミリーマート・ホールディングス。
MARK
Daily商人舎で取り上げた。
第三極ユニー・ファミリーマートHD、
9月1日の今日発足

現在の日本小売業界は、
第1位がイオン、年商8兆1767億円。
第2位がセブン&アイ・ホールディングス、
6兆0457億円。

ユニーグループが1兆0387億円で、
ファミリーマートは4277億円。
単純足し算で1兆4664億円。
ただし、ファミリーマートの、
加盟店を含む全年商は、
2兆0056億円だから、
こちらを足し算すると3兆0443億円。

明らかに日本小売業界の第三極の誕生だ。

もしかしたら、
これからの売上高ランキングは、
フランチャイズ加盟店も含めた試算で、
行わねばならないかもしれない。

この計算でいけば、
セブン&アイのほうも、
セブン-イレブンの売上高を足して、
年商9兆5430億円となる。

イオングループのほうも、
ミニストップや持ち分法適用会社など、
全部含めなければならず、
こちらは10兆円を超える。

いずれにしても、
ユニー・ファミリーマートの皆さんは、第三番手の自覚と誇りをもって、仕事に励んでほしいと思う。

それが西川俊男さんら、
創業者や先輩に対する礼儀だし、
顧客に対する責任だ。

さて、悲しいニュースは、
ベラ・チャスラフスカさんの逝去。
74歳だった。

1964年東京五輪で、個人総合優勝。
平均台、跳馬でも金メダル。
次のメキシコ五輪では、
個人総合連覇、種目別の3種目で金メダル。
通算7つの金メダルを獲得。

現在のサーカスもどきの演技ではなく、
美しさ、優雅さを持った女子体操だった。

私は本当にあこがれた。

このブログでも書いたが、
68年夏の「プラハの春」で、
民主化アピール「二千語宣言」に署名。

そのため、
チェコスロバキアの社会主義政権下で、
圧力を受け、職を失い、
体操界から追放された。
「名前を偽って掃除婦の仕事をしていた
……スカーフをかぶって変装」など、
来日して語った。

しかし1989年の「ビロード革命」で、
社会的地位を復権させて、
大統領補佐官や、
チェコ・オリンピック委員会会長、
さらに国際オリンピック委員会委員など、
歴任。

ご冥福を祈りたい。

あこがれの人が、
また一人逝った。

日経新聞『私の履歴書』には今月、
安部修仁さん登場。
吉野家ホールディングス会長。

すごく楽しみだ。

第1回は「逆境越えて」

吉野家は申(さる)年が節目だという。

まず1980(昭和55)年7月15日。
この朝、東京地裁に、
会社更生法の適用を申請。
「そんな重大な日に私は
会社に無断で欠勤し、
昼ごろ同僚からの電話で倒産を知る」

「『嫌気がさしてバックレた』と話したが、
本当は過労でぶっ倒れて
床に伏せっていた」

すごい出だしだ。

このとき30歳。

吉野家の創業は1968年、申年。

安部さんも福岡生まれの九州男児だが、
バンド活動をしながら、
吉野家で働き始める。
18歳だった。

12年後の80年に倒産。
その12年後の92年には、
再建に協力したセゾングループが、
経営不振に陥って、
吉野家の経営体制が急変し、
安部さんは42歳で社長就任。

その12年後の2004年は、
米国で発生したBSE問題が発生し、
売上高の9割を牛丼で稼いでいた吉野家は、
絶体絶命。

全面再開まで約4年、
安部さんは悪戦苦闘。

さらにその12年後の今、
「社員として初配属された築地店は
築地市場移転とともに閉め、
豊洲新市場店を11月に開店するはず」

それが小池百合子都知事誕生とともに、
微妙なことになった。

安部修仁の申年人生。

この1カ月が楽しみだ。

「今、吉野家には世界中で一日に約90万人が来店してくださっている」
安部修仁の誇らしげな一言。

商人は誇りをもって、
生きなければいけない。

〈結城義晴〉

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