結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月03日(水曜日)

みなとみらいの花火と「第45回日本の卸売業調査」

昨夜の横浜みなとみらい。
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第31回神奈川新聞花火大会開催。
午後7時から8時まで。
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私は実家に戻って、
90歳になる母と一緒に、
花火を楽しんだ。
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今日の8月3日現在の順位。
このみなとみらいの花火大会は、
人気花火大会ランキング関東第1位、
行ってみたいランキング関東第1位、
行ってよかったランキング関東第1位。
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打ち上げ数約1万5000発。
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実家からは、
横浜高島屋や横浜そごうの向こうに、
花火が上がるのが見えた。
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夏の夜の花火。
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よくぞ、日本に生まれけり。
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シンプルなものがいい。
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これも美しい。
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これも、またいい。
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日本煙火芸術協会会員の作品(尺玉)と、
音楽に合わせて打ち上げられる花火が、
横浜みなとみらいの目玉。

フィナーレは、
スカイシンフォニーinYOKOHAMA。
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7時35分から、8時まで。
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次々に打ち上げられる。
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この夜の空には雲がかかっていた。
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その巨大な雲をも花火色に染めて、
最後の輝き。
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堪能した。

ちょっとだけ、
親孝行もできた気がした。

さて、「第45回日本の卸売業調査」
日本経済新聞社が毎年、実施している。
958社を対象に実施し、
583社から回答を得た。

前年度との比較可能な
全業種の卸売業530社。
その総売上高は前年比4.6%増、
営業利益も28.2%増。

前年は減収減益だったが、
一転して2年ぶりの増収増益。

卸の増収増益は、うれしい現象だ。
製造業と小売業の板挟みにあって、
割を食うのが卸売業だからだ。

その卸が業績がいいというのは、
全体に調子がいいということ。

実情は、前年が消費増税直後だったから、
その反動増という理由。

それから食品を中心とした値上げが寄与。

医薬品卸は、
大型新薬の取り扱いで業績が伸びた。

業種別にみると、
食品卸が4.5%増。
医薬品卸は8.7%増。

卸売業は全13業種がある。
そのうち前年は9業種がダウンしたが、
今年はそのダウンが5業種に減った。

詳細は日経MJに掲載されているが、
その特集を見ていると、
感慨深い。

昨年12月の月刊商人舎の特集は、
「流通革命論の軛を断つ」
林周二著『流通革命』は1962年の発刊。
その「まえがき」は名文。

「流通機構には、近い将来
かならず大きな変革がくる。
いやこの変革はすでにはじまっている。
この変革が完成した暁には、
流通機構そのものの
国民経済的意義が変革され、
販売の社会的意義が
まるで変ったものになるであろう。
そしてこの変革の意義を自覚した者は栄え、
自覚しない者は滅び去るときが
近い将来にやってくるであろう」

この本の中で
「問屋滅亡論」が語られる。

「現在問屋を通過している
消費財中の相当部分は、
メーカーから巨大小売連合の倉庫などへの
直卸形態へ移行するようになるだろう」

「量産メーカーとスーパー・チェーンとの
直結が完成したとき、
この部分にあっては
問屋機構は大幅に排除され、
それに代って
運輸、倉庫、情報の三機能に徹した
合理的な中間機構が設置されるだろう」

「第45回卸売業調査」だから、
第1回は1971年。
『流通革命』発刊の9年後。

「ある種の商品領域に関しては、
『問屋を排除するどころか、
逆に能率のよい共同チャネラー的性格をもつ
共同集荷=倉庫=配給業者としての、
また強力な技術情報と宣伝センターとしての
超卸業者を作ること』が必要である」

今回調査の卸ランキングでは、
1兆円の売上高を超える企業が7社ある。

第1位 メディパルホールディングス
3兆0282億円

第2位 アルフレッサホールディングス
2兆5764億円

どちらも医薬品卸売業。

第3位 三菱食品 2兆3830億円
第4位 スズケン 2兆2283億円

ここまでが2兆円超。

第5位 日本アクセス 1兆8994億円
第6位 国分グループ本社 1兆6382億円
第7位 東邦ホールディングス 1兆3085億円

1兆円に達しない卸売業も、
第8位 加藤産業 9261億円
伸び率20.0%

第9位 三井食品 7929億円
第10位 あらた 6767億円
三井食品とあらたも、
それぞれ5.2%、5.9%の伸び率。

54年前に書かれた『流通革命』のとおり、
「超卸業者」は成長を続けている。

もちろんノンコモディティ領域では、
専門卸売業が立派に役割を果たす。

小売業も卸売業も日本では、
オーバー・カンパニー状態である。
それは林周二の指摘通りだ。

その淘汰は進みつつ、
時代の要請を受けて機能充実を図る卸売業は、
ますます発展を遂げる。

1985年から始まった、
みなとみらいの花火を眺めつつ、
1962年からの54年間に、
思いを馳せた夜だった。

〈結城義晴〉

2016年08月02日(火曜日)

8月の商人舎標語は「良きウェザー・マーチャントたれ!」

8月2日の火曜日。
Weekly商人舎は日替わり連載。
火曜日は常盤勝美の2週間天気予報。

その常盤さんが指導するのが、
「ウェザーMDのポイント」

「週前半は変わりやすい天気のため、
突然の雨によって、
客足動向が急変することもありそう。
レーダー画像等で、
こまめに雨雲の動きをチェックし、
早めに値引きをする判断や、
店舗入り口にマットを敷く準備など
徹底していただきたい」

いいねえ。

昨日から今朝までに読んだ本。
第155回芥川賞の『コンビニ人間』
村田沙耶香著。
同じく第155回になる直木賞作品が、
『海の見える理髪店』、荻原浩著。
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どちらも小売りサービス業が舞台。
偶然だが、私はうれしい。

芥川賞は純文学、
直木賞は大衆文芸。

しかしその境目が、
だんだん、薄くなっていく。

とくに私は『コンビニ人間』に、
感慨深いものを感じる。

かつては「深夜スーパー」と言われた。
業界ではCVSと略語で示されたり、
アメリカの業界誌の用語を使って、
Cストアと言われたり。
「コンビニエンス」と略されたり、
もっと短く「コンビ」と称されたり。

CVSが一番、普及しそうだった。

私が編集長として年刊で出していたのが、
「コンビニエンスストアのすべて」
それを季刊にし、隔月刊にし、
そして2002年、月刊化した。

その季刊化の際に、
タイトルを『コンビニ』に決定した。
経営専門誌だが、
「季刊コンビニ」から「月刊コンビニ」へ。

それが今、『コンビニ人間』と題されて、
芥川賞作品となる。

うれしい限りだ。

『コンビニ人間』は、
そこで部品のようになって働くことに、
唯一のアイデンティティを見出した、
36歳で独身のアルバイト店員に起こった、
不思議な出来事。

『海の見える理髪店』は、
海辺の小さな町にある古い理髪店を、
若いグラフィックデザイナーの男が訪れる物語。
腕のいい老いた理髪師と、
髪を刈ってもらう若者。
最後に明かされる真相。

どちらの作品も、
商売と店の描写が秀逸。
ぜひ、読んでみてください。

今日は『明治マーケティングレビュー』も、
届けられた。
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株式会社明治の機関誌で、
1年に4回の発刊。
現在、vol22。
しかし私の連載は第34回を数える。

前身は『明治乳業マーケティングレビュー』
その時代から、私は書き続けている。
「小売業のスーパーマーケティング」

今回は、「イータリー化現象」を書いた。

「イータリー化現象」とは、
イタリア発の「イータリー」のようになる現象。
つまり「リテールとフードサービスの融合化」

それが、ニューヨークのような、
世界一ホットなエリアでは、
急速に他者に伝播していく。

「ル・ディストリクト」へ、
「ロブスター・プレイス」へ、
「ジョバンニ・ラナ」へ。

最後の一文。
「もう二度とウォルマートのごとき
怪物は生まれません。
その揺り戻しが、
第3フェーズの『イータリー化現象』の
内食と外食の融合なのだと思います」

これも手に入る方は、
読んでみてください。

さて8月の商人舎標語。
それは月刊商人舎8月号の、
[Message of August]

良きウェザー・マーチャントたれ!

良き漁師は天候を予測する。
良き農夫も日々の気候の綾を知る。
良き水夫はその変化を事前に察知する。

そして良き商人は例外なく、
ウェザー・マーチャントである。
すなわち天候条件で顧客心理を読み取る。

しかし昨今の日本の商業は、
ああ、お天気産業よ。
いつもいつも、私を嘆かせる。

お天気次第の売上げ・利益。
天候に決定的な影響を受け、
それに従属したような産業。

そのくせ、天候不順を乗り越えられない。
企業や店の商品力が、天候の変化に勝てない。
オペレーションはその後追いしかできない。

だからウェザーMDの必要性が叫ばれる。
しかしそのお天気販促は表層的だ。
季節プロモーションは画一的だ。

平和産業、
人間産業、
地域産業。

そして、
ああ、
お天気産業よ。

顧客の生活は環境とともに変わる。
何が食べたいか、どう生きたいか。
暮らしは、時々刻々、天変地異の中にある。

天候変化が生活心理をつくり、
購買行動を変え、
新しい消費を生み出す。

良き商人は例外なく、
ウェザー・マーチャントである。
天候に応じて顧客心理の変化を読み取る。
〈結城義晴〉

地球は温暖化してきている。

日本も亜熱帯化しているのか。
今朝の横浜でも、
スコールのような激しい雨。
それは日本中を襲う。

だからいま、
顧客の立場に立って、
天候の変化に対応し、
同時に顧客の生活に敏感に反応できる商人が、
顧客の支持を受け、活躍できる。

それが良きウェザー・マーチャントです。

よろしく。

〈結城義晴〉

2016年08月01日(月曜日)

千代の富士「いま強くなる稽古と3年先に強くなるための稽古」

Everybody! Good Monday!
[2016vol31]

2016年第32週。
今日から8月。

梅雨が明けるともう、
夏の終わりへ、まっしぐら。
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この季節、大好きです。
夕方の空は美しい。
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Weekly商人舎の日替わり連載。
月曜朝一・2週間販促企画。
今月のイベントを整理してある。

「第31回オリンピック競技大会」
南米ブラジルのリオデジャネイロで、
8月5日(金)~8月21日(日)の17日間。
実施競技・種目は28競技306種目。

世界中の注目の中で、
4年に一度の夏の祭典が繰り広げられる。

しかしブラジル各地では、
ジルマ・ルセフ大統領に、
退陣を求めるデモが展開されている。

ジルマ大統領は、
政府会計の粉飾に関わったとして、
弾劾手続きの対象となり、
今年5月12日から、
最大180日間の職務停止処分中。

そのなかでのオリンピック開催。
同国初の女性大統領も風前の灯火。

日本では、8月7日(日)、
第98回全国高校野球選手権大会開幕。
夏の甲子園大会は15日間。

オリンピックに甲子園大会が、
すっぽり包まれて、
日本の盛夏が過ぎていく。

さらに8月11日(木曜)は、
山の日の祭日。

8月13日(土曜)が、
盆入りの迎え火の日、
8月16日(火曜)が、
盆明けの送り火の日。

地域差はあるし、
勤める会社の考え方次第だが、
お盆日程でいえば、
13日から16日の4日間。

山の日と12日(金)を連休にすれば、
6連休が2016年のお盆休暇となる。

あるいは11日から15日までの5日間か。

当然、お盆商戦は最長6連戦が想定される。
頑張りたい。

それにしても東京都知事選挙。
夜8時を過ぎたら、もうNHKから、
「小池百合子さん、当確!!」

ああ、つまらん。

だれが当選したという話ではなく、
選挙の後の開票のドキドキワクワクがない。

即日開票でも、
「その日の24時を過ぎるまで、
勝手に当確を打ってはいけない」てな法律、
つくれないものか。

現在のままでは選挙の楽しみが、
相当に喪失される。

しかし投票率は全体で59.73%。
前回都知事選の46.14%を、
13.59ポイントも上回った。
さらに衆参同一選だった、
平成12年の62.67%に次いで、
2番目に高かった。

小池百合子さんの政党遍歴。
1992年の第16回参議院議員選挙で、
細川護熙の日本新党から立候補し、当選。

1994年、日本新党解党で、
新進党結党に参加。
新進党では小沢一郎の側近。

1997年の新進党解党後は、
自由党の結党に参加。

2000年、自由党分裂で、
小沢と決別し、保守党結党に参加。

2002年、保守党を離党し、
保守クラブを経て、
自由民主党入党。

自民党では小泉純一郎に近づき、
麻生太郎内閣、安倍晋三内閣でも、
環境大臣、防衛大臣などを要領よく歴任。

自民党総務会長と党務を担っていたが、
今回は自ら東京都知事選に立候補するも、
その自民党の推薦を得られなかった。

それでも強引に、単独で立候補。
それが逆に奏功して、当選。

閃光に鳴物入の白雨かな  
〈朝日俳壇より 木更津市・本郷政信〉
稲畑汀子選評。
「夕立に遭った。
閃光に鳴り物入りと
恐怖心をとらえて妙」増田寛也さんは、
自民・公明・日本のこころの推薦。
鳥越俊太郎さんは、
民進、共産、社民、生活推薦。
ともに惨敗。

結局、既成政党は、
揃いも揃って討ち死に。

政党遍歴の末、
政党に頼れなくなった小池さん。

時代は変わった。
既存政党はそれを、
身に染みて感じ取らねばならない。

小池新知事は、リオ五輪の閉会式に、
「知事の公務として出席する。
ビジネスクラスでとんぼ返りになる」

都知事選には投票権を持たないが、
大韓民国以上の予算を有する東京都。
東京のため、日本のために、
頑張ってほしい。
少なくとも任期満了までは。

アメリカでは、
ヒラリー・クリントン女史が、
民主党から史上初の大統領候補指名を受け、
「ガラスの天井」の打破に挑戦する。

アメリカのヒラリー・クリントン、
ブラジルのジルマ・ルセフ、
東京の小池百合子。

そしてイギリスのテリーザ・メイ。

山あり、谷あり。
活躍を期待しよう。

峰雲の如きうねりの月日かな
〈朝日俳壇より 船橋市・斉木直哉〉
大串章選評。
「人生には山あり谷あり、
強く生きてゆかねばならぬ」

さて第38代横綱・千代の富士貢。
膵臓がんで逝去。61歳。

まことに、もったいない。
これから人間として円熟し、
相撲界の発展に寄与したはず。

幕内優勝回数は、
白鵬37回、大鵬32回、
千代の富士31回。

182センチ、120キロ。
小さな大横綱。
角界初の国民栄誉賞受賞。

その千代の富士の言葉。
「いま強くなる稽古と、
3年先に強くなるための稽古を
両方しなくてはいけません」

昨年11月に逝った北の湖敏満理事長も、
昭和28年生まれで、62歳の早世だった。

力士の寿命は、
日本人平均に比べて短い。

しかし彼らは土俵の上で、
濃密な人生を送ったのだろう。
ご冥福を祈りたい。

私自身の8月は、
1年で一番、余裕のある31日間。

海外出張はない。
㈱商人舎夏季休業は、
11日から16日まで。
つまり最大の6連休。

それでも毎日更新宣言ブログと、
月刊商人舎9月号は休まない。

「いま強くなる稽古と、
3年先に強くなるための稽古を
両方しなくてはいけません」
商売も商人も、一流は同じ。

では、みなさん、
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年07月31日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その12】ひまわり

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。

その正反対の世界。
明るい明るい夏の花が、
ひまわり。20110807124814向日葵、日輪草、日車、日回り。
日本語では多様な表現をする。

太陽の動きを追うように花が回る。
だから日まわり。

英語でsunflower。
太陽の花。

学名はHelianthus annuus。
キク科の一年草。

「一年草」は、
種子が発芽して、
1年以内に生長して開花・結実、
種子を残して枯死する。

一方、「越年草」は、
秋に発芽して、越冬し、
翌年に枯れる。
「二年草」ともいう。

さらに「多年草」は、
数年に渡って枯れず、
毎年花を咲かせる。

ひまわりは一年草。

キク科の花は、
小さい花が多数、集まって、
1つの大きな花となっている。
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その小さい花を「小花(しょうか)」と呼ぶ。

ひまわりは、
外輪に黄色い花びらがあり、
内輪には花びらがない花がある。
外輪が「舌状花」、
内輪は「筒状花」

原産地は北アメリカ大陸の西部。img_category_Sunflower

だからだろうか、
西海岸のナゲットマーケットは、
ファサードにひまわりのデザインを使う。

もともとは、
ネイティブアメリカンの食用作物だった。

現在も、地球規模でみると、
大豆につぐ寒冷地油料作物である。

1492年にクリストファー・コロンブスが、
アメリカ大陸を発見。

その後、ヨーロッパ人が大挙して、
新世界に押し寄せた。

押し寄せた欧州人のうちのスペイン人が、
1510年にヒマワリの種を、
母国に持ち帰って、
マドリード植物園で栽培開始。

その100年後、
ヒマワリの種子はフランスへ、
さらにロシアに伝わって、
食用植物としての価値を得た。

日本には17世紀に伝来。

種子は絞って、搾油される。
それがヒマワリ油。
不飽和脂肪酸を多く含む。

現在のひまわりの生産ランキングは、
第1位 ウクライナ、
第2位 ロシア。
旧ソビエト連邦の両国が、
1000万トンを超える生産量で、
圧倒的なトップ。

第3位アルゼンチン、第4位・中国、
第5位ルーマニア、
合計しても、
ウクライナやロシアにかなわない。

そのウクライナのひまわりの群生が、
忘れられない映画。
1970年の『ひまわり』
イタリア・アメリカ・フランスの合作。

主演はソフィア・ローレン、
そしてマルチェロ・マストロヤンニ。
監督はヴィットリオ・デ・シーカ。

第二次世界大戦の戦前戦後を挟んだ、
イタリア人男女の行き違いの物語。

ヘンリー・マンシーニの音楽が、
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見渡す限り一面のひまわり。
その一本一本の一年草の下に、
雪の中で死んでいった兵士たち、
一人ひとりが眠っている。

別の丘には、見渡す限りの十字架。

ソフィア・ローレンのたくましい美しさ。
ひまわりそのもののような存在感。
戦争に引き裂かれた女と男。

明るい太陽の花。
その群生。
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明るいなかの悲しさ。
大群生のなかの孤独。
ひまわりと十字架。

夜が見える猫の目と、
太陽の花。
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コントラストはいつも、
たしかな芸術の方法なのです。

〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

2016年07月30日(土曜日)

金子みすゞ「名は芝草というけれどその名をよんだことはない」

昨日から軽井沢。

そして今日は、
浅間山を拝みながらゴルフ。IMG_8729-6

浅間根のけぶるそばまで畑かな
〈小林一茶〉
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今日はくっきりと、
浅間の姿が見えた。IMG_8733-6

しかし煙は見えない。
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真夏の空と真夏の雲。
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こうして夏が過ぎてゆく。
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その夏の真ん中で、
胸いっぱい、息を吸い込む。
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心から、感謝したくなる。

これまで、生きてきたことに、
いま、生きていることに、
これからも、生きていくことに。

毎日新聞巻頭コラム『余禄』
金子みすゞ「花のたましい」を引用した。

散ったお花のたましいは、
み仏さまの花ぞのに、
ひとつ残らずうまれるの。

だって、お花はやさしくて、
おてんとさまが呼ぶときに、
ぱっとひらいて、ほほえんで、
蝶々にあまい蜜をやり、
人にゃ匂いをみなくれて、

風がおいでとよぶときに、
やはりすなおについてゆき、

なきがらさえも、ままごとの、
御飯になってくれるから。

コラムのテーマは、
相模原市の障害者殺傷事件。

「侵してはならぬ聖なるものを
この世から奪い去られたような
胸苦しさが去らない」

「力の弱い者、虐げられた者が
神仏に慈しまれるという信仰は、
富や力では及ばない魂の救いを
人が求めるからだろう」

金子みすゞの詩には、
その救いがあふれている。

金子みすゞは、
明治36年生まれ、昭和5年没。
26年間の短い一生だった。

しかし大正末期から昭和初期に、
童謡詩人として512編の作品を書いた。

岩波書店「日本童謡集」に掲載され、
教科書にも採用された作品「大漁」

朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮の
大漁だ。

浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬の
鰮のとむらい
するだろう。

(注)鰮は「いわし」、萬は「まん」

私が好きな詩が「繭と墓」

蚕は繭に
はいります、
きゅうくつそうな
あの繭に。

けれど蚕は
うれしかろ、
蝶々になって
飛べるのよ。

人はお墓へ
はいります、
暗いさみしい
あの墓へ。

そしていい子は
翅が生え、
天使になって
飛べるのよ。

(注)蚕は「かいこ」、繭は「まゆ」、翅は「はね」

コラム『余禄』のまとめ。
「富と力が支配する世界しか
感じられなくなる魂の貧血は
容疑者だけのものか」

「富」はピーター・ドラッカーに言わせれば、
「幸せ」のようなもの。
だからコラムニストが言う「富」は、
「金」であり、「利」だろう。

みすゞはそんなことは考えない。
「ひろいお空」

私はいつか出てみたい、
ひろいひろいお空の下へ。

町でみるのは長い空、
天の川さえ屋根から屋根へ。

いつか一度は出てみたい、
その川下の川下の、
海へ出てゆくところまで、
みんな一目にみえる所(とこ)へ。
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最後に「芝草」

名は芝草というけれど、
その名をよんだことはない。

それはほんとにつまらない、
みじかいくせに、そこら中、
みちの上まではみ出して、
力いっぱいりきんでも、
とても抜けない、つよい草。

げんげは紅い花が咲く、
すみれは葉までやさしいよ。
かんざし草はかんざしに、
京びななんかは笛になる。

けれどももしか原っぱが、
そんな草たちばかしなら、
あそびつかれたわたし等は、
どこへ腰かけ、どこへ寝よう。

青い、丈夫な、やわらかな、
たのしいねどこよ、芝草よ。

ほんものの商人は、
みすゞの「芝草」である。

〈結城義晴〉

2016年07月29日(金曜日)

梅雨明けの「土用丑のウナギ」とC・テイラーの「専制と断片化」

梅雨明けのあとの陽光。DSCN7661-6

ああ、夏だ。

そんな気分がむくむくとわいてくる。

私は自分の人生を、
もう一度やりたいとは思わない。

こんなにしんどい一生、
ふたたび繰り返したくはない。

それでも、
この夏の日差しを浴びるときには、
あの10代に戻りたい。

それだけはつくづくと感じる。

夏という季節には、
そんなパワーがある。

朝日新聞一面『折々のことば』
鷲田清一さんの編著。

「危険なのは
実際に専制において行なわれる
コントロールではなく……
断片化なのです」
(チャールズ・テイラー)

テイラーは1931年、
モントリオール生まれの84歳。
ちょっと変わった政治哲学者。

カナダ・マギル大学、
英国オックスフォード大学などで学び、
新左翼運動に加わったり、
国政選挙に立候補したり。

大学教授になってからは、
ヘーゲルの研究者として名を成す一方、
トクヴィル主義、多文化主義の提唱者でもある。

ちなみにアレクシ・ド・トクヴィルは、
19世紀のフランスの思想家。
「アメリカの民主主義」研究は、
現在でも教科書となるくらいの不朽の名作。

「民主政治は
大衆の教養水準や生活水準に
大きく左右される」
至言。

多文化主義は、
単一文化主義を乗り越えるために考案された。
1970年代にカナダやオーストラリアで、
実際に政策に取り入れられた。

カナダ人のテイvラーは、
この考え方を主導していて、
1991年にハーバード大学から、
「The Ethics of Authenticity」を刊行。
日本ではそれが2004年に翻訳された。
『〈ほんもの〉という倫理――近代とその不安』

『折々のことば』も、
この本からの引用。

鷲田さんはテイラーを、
「成熟した知性」と呼ぶ。

「一つの意思、一つの原理で
社会を管理運営しようという動きより、
人がたがいに義務を負いあう
同じ社会の一員であるという実感が
崩れてゆく過程のほうが
さらに危うい」

ヒトラーのナチス然り、
スターリンのソビエト連邦然り。

ドナルド・トランプ旋風など、
ほんの小さな出来事かもしれないが、
それも然り。

鷲田さんの使う「社会」を、
「会社」と置き換えたときにも、
ぴたり、当てはまる。

「信頼と共感を寄せられる範囲が
知らぬまに縮まって、
人びとの意識が
自分の属する特定小集団の利益を
図るほうに向かうから」

専制的経営者や独裁創業者が去った後の組織。
たとえば現在のセブン&アイにも、
もしかしたら当てはまるかもしれない。

最も危ういのは、
「断片化」である。

月の終わりにいつも届く。
「AJSネットワーク」
オール日本スーパーマーケット協会機関誌。
DSCN7656-6

巻頭は田尻一会長の「会員企業訪問記」
今回は「マルマンストア」「片浜屋」「マルニ」DSCN7658-6
この行動力は、いい。

そして私の連載・第104回。

連載タイトルは、
「応援団長の辛口時評」
応援するから辛口となる。DSCN7659-6
今回のテーマは、
「中国オムニチャネル経済圏の
後進の先進性」

もうちょっと書きたいところだが、
3000字だからねぇ。

長いのは月刊商人舎に書きましょう。

でも、3000字だから、
100回以上も続いているのかもしれない。

今回の最後のフレーズ。
「日本のスーパーマーケット産業が
井の中の蛙状態で留まっていると、
それはガラパゴス産業となってしまう
という危惧を抱いたものです」

井蛙、我田引水なり。

気をつけねばならない。

さて、7月の終わりと、
今週末が近づいた。

明日の土曜日30日が、
今年の土用丑の日。

今日、明日、明後日は、
鰻(ウナギ)一色。

もちろんイオンのように、
鰻が高いからと鯰(ナマズ)を開発するもよし。

ただし鯰は鰻の代用品にあらず。
代替の品のようでいて、
鯰の価値、すなわちその〈ほんもの性〉が、
きちんと主張されて、
売り込まれねばならない。

多様性を実現するために、
差異を追究するもよし。

ただしテイラーが指摘している。
「多様性や差異の強調は、
目的の選択ではなく、
選択それ自体の肯定へと
すべり落ちてゆく」

つまり多様性や差異性が
強調されること自体が、
目的化してきてしまうことの危うさ。

テイラーの視点。
「個人、コミュニティ、市場、国家、
それぞれの存在を、
単一の原理でではなく、
民主的なイニシアティヴの下で、
どう編んでゆくのか。
すべてはそこにかかっている」
(鷲田清一の書評より引用)

ウナギの販売に、
こんな七面倒な議論は必要ないが、
それでも〈ほんもの〉を売るには、
その現代思想のイズムを、
知っておくのも悪くはないだろう。

〈結城義晴〉

2016年07月28日(木曜日)

イオン・メディア懇談会と上野光平の「最高で無比の仕事」

関東甲信地方、梅雨明け。

ただし気象庁の発表は、
「梅雨明けしたとみられる」
相変わらず、歯切れは悪い。

昨年より18日遅いし、
平年からは7日遅れ。

北海道は梅雨がないから、
残るは東北のみ。

梅雨入りしたのが6月5日、
梅雨明けが7月27日。
だから今年の関東甲信地方は、
53日間の梅雨期間だった。

この間の総降水量は、
東京で256ミリ、平年の86%。
千葉・銚子では204ミリで同77%、
宇都宮では192ミリで同55%。

梅雨明け後の夏の季節、
水不足が心配になる。

水欲しと大地口開く旱(ひでり)かな  
〈朝日俳壇より 津山市・ 池田純子〉

選評談。
「ぱっくりと大地に開いた大きな口。
暗く赤い口である」

今日は朝から東京・御成門。DSCN7644-6

東京タワーも芝公園の緑も、
曇り空に、やや元気がないか。DSCN7645-6

それでも夏らしいムッとする空気。
DSCN7646-6

昼を過ぎると、ちょっとだけ、
日が射してきた。
DSCN7647-6

木々も元気を取り戻す。
DSCN7648-6

大本山増上寺は、
明日の7月29日(金)と30日(土)に、
それぞれ18:00から21:30まで、
恒例の盆踊り大会を開催する。
DSCN7649-6
なんだか、滑稽な気がするが。

今日は恒例の取締役会。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。

全国パネルのビッグデータを生かして、
ドルフィン・アイの進化バージョンを開発。
取締役会では、それが披露された。

スーパーマーケット500カテゴリー、
ドラッグストア250カテゴリー。
その購入点数や購入額のトレンドが、
メーカー別、商品別、カテゴリー別にわかる。
前年トレンドとの比較ができるし、
平均価格のトレンドもつかめる。
もちろんカテゴリーごとの、
売行きランキングも知ることができる。
分析結果はスピーディにファイル出力される。

スピードと使いやすさ。

私もこれを使えば、
すぐに商品カテゴリー別に、
トレンド分析原稿が書ける。

さて昨日は夕方7時から、
イオンメディア懇談会。
パレスホテル東京4F山吹。
毎年この時期に、マスコミを集めて、
イオングループ企業のトップほぼ全員と、
立食の懇談会が開催される。

冒頭で、岡田元也イオン㈱社長がスピーチ。
毎回、この話がとてもいい。

「イオンには三つのコンセプトがあります。
平和産業、人間産業、地域産業。
もしわれわれが本当に、
この三つを実現できているとしたら、
いま、われわれには、
すごい追い風が吹いています」

「とりわけ地域産業という面では、
地方のミスマッチ・アンマッチに対応すれば、
相当大きなビジネスになる」

東北での行政トップなどとの交流を語って、
岡田さんは自信ありげだった。

「この方針は決まった!!」
つまり、地域産業としてのイオンの戦略は、
もう変更なしで突っ走るということだ。

それからイオンリテールとダイエーに関して、
「地に足の着いた動きが見えてきた」

ここでも、岡田さんは、
ずいぶんと自信を持っているようだ。

イオンは4つのシフトを設定している。
①アジアシフト
②都市シフト
③シニアシフト
④デジタルシフト
この4つのシフトにも、
「横ぐしを刺していく」

セブン&アイ・ホールディングスは、
鈴木敏文さんの退任によって、
展望を喪失した観がある。

うがった見方をすれば、
岡田さんはあえて「意思」を鮮明にして、
その対比を浮かび上がらせたのかもしれない。

その後、イオンのPBビールで乾杯。

さらに「トップバリュ de フルコース」を堪能。

イオンリテール㈱社長の岡崎双一さん、
副社長の久木邦彦さんとは、
突っ込んだ議論をした。

カスミ会長の小濵裕正さんとも、
西友の上野光平先生の話で盛り上がった。

それからイオン東北代表の村上教行さんとは、
東日本大震災の話などで意気投合した。

イオンディライト㈱社長の中山一平さん、
㈱ツヴァイ社長の縣厚伸さん、
ビオセボン・ジャパン社長の土谷美津子さん、
そして㈱ジーフット社長の堀江泰文さん。
時間が足りなかった。

最後の最後は、
岡田さんとふたり、
アメリカチェーンストア談義。

ホールフーズ365やトレーダー・ジョー、
クローガーとウェグマンズ。

私は上海のアリババのことも話した。

互いにそれぞれに見ていながら、
認識が一致していることに驚いた。

そして固い握手。

世界チェーンストアウォッチャーとしての、
同志のような握手だった。
20150117033310.jpg
(写真は昨2015年1月16日撮影)

帰りのお土産は、
いつもトップバリュ。
DSCN7653-6

そしてWAONの資料など。
DSCN7654
これもずっと変わらない。

マスコミにも、地域コミュニティにも、
プライベートブランドを提供して、
理解を深める。

そう、プライベートブランドは、
ポジショニング戦略の上で、
必須の存在価値を示す武器なのである。

最後に今日も、
西友ストアー時代の社内報から、
1967年6月の「今月のことば」
支配人・上野光平書き下ろし。

「私たちに課せられた課題の大きさに比べて、
私たちの仕事の質の低さに
いらだたざるを得ないのも事実であります」

「私たちの課題は、
『最高で比べるものもない』
ということであります。
私たちの規模と社会的責任とは、
私たちに最高かつ無比の仕事のレベルを
要求しております。
私たちはこの要求に
こたえなければなりません」

「商品部の諸君、あなた方は
戦略商品群について、
『最高で無比の』戦略体制を
実現しているのでしょうか。

管理部の諸君、あなた方は、
経営管理の精度と合理化と
管理コストにおいて、
『最高で無比の』業績を
達成しているのでしょうか。

店舗の皆さん、あなた方は
高い労働生産性と
低い店舗コストによる運営によって、
『最高で無比の』店舗運営を
しているでしょうか」

そして最後のきめの言葉。
上野光平の真骨頂。

「課題への挑戦には、
自己満足のひとかけらも
許されないのです」

イオンの諸君にも、
セブン&アイの諸君にも。
もちろん現在の西友にも、
平和堂やイズミにも。
さらにライフにもヤオコーにも、
ヨークベニマルにも万代にも、
サミットにも関西スーパーにも。
それ以外のすべての知識商人たちにも、
この上野光平の言葉を贈ろう。

「最高で無比の仕事をしよう」

〈結城義晴〉

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