結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月03日(土曜日)

「生団連」発足と「ふたりのビッグ・ショー」大久保恒夫・結城義晴競演

寒い日だった。

昨日12月2日は、
私にとってのことだが、
今年最後の「山となる日」だった。

その日を超えたことで、
高揚感と充実感、
安堵感と脱力感が、
入り混じった、
不思議な感覚が残った。

これを吉田拓郎は、
「祭りのあとの寂しさ」と歌った。

山となる日。

午前中は、必死の思いで、
来週の講演レジュメづくり。
昼食もとらずに仕上げて、
渋谷のゲートウェイ・スタジオへ。

ここで「ふたりのビッグ・ショー」の最後の音合わせ。
バンドのメンバーがそろって、
一通り練習をした。

それから夕方、私はホテル・ニューオータニへ。
「国民生活産業・消費者団体連合会」
その記念すべき設立総会と懇親会。
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朝日新聞は一面で取り上げてくれた。
「小売り・流通など『生団連』設立」。

清水信次さんが初代会長に就任して、
消費生活産業のネットワークは発足した。
清水さんは㈱ライフコーポレーション会長にして、
日本チェーンストア協会会長。

重厚長大の「経団連」、
軽薄短小の「生団連」。

私自身もうれしかったし、
これは全力を挙げて支援したい、
応援しなければと思った。
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「生団連」の報告は来週になる。

その後、タクシーで銀座並木通りの「SHARI」へ。
ここで「ふたりのビッグ・ショー」 商人舎忘年会が、
開催される。
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大久保恒夫さんと結城義晴との、
ふたりのビッグ・ショー。
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開会の辞は、松井康彦。
商人舎エグゼクティブ・プロデューサー。
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総合司会はなんと住吉美紀さん。
この3月までNHKの人気アナウンサー。

総勢70名くらいの商人舎ファミリーが参集した。
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立教大学大学院結城ゼミのゼミ生・OBも参加。
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食事は寿司バー「SHARI」のシェフ特製。
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6時半開場、7時開演。
そして7時半ビッグ・ショー第1部開始。
第1部は結城義晴&二宮護のデュエット。
そのセッティングと準備。
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二宮護は大学時代の後輩で、
奇しくも誕生日が9月2日と同じだった。
ふたりのコンビで歌っていた。
その35年ぶりの「復活」。
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感慨深かった。

「祈り」「だれかが君に」とメドレー。
これはイントロダクションの曲。
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いつでも君のそばに喜びが
いつでも君のそばに幸せが
あるように

それから童謡シリーズ。
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北原白秋の「砂山」から始まって、
山崎真幹の「坂道」。

未曽司(結城義晴)の「秋」。
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あんまり 日差しが まぶしくて
あんまり せなかが やわらかくて
ジジの目 ジジの目 黄色にとけた
ジジの目 ジジの目 黄色にとけた

みんな映像に見入ってる。
映像は鹿野恵子が担当、
これがとてもよかった。
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最後は「春はまだだよ」
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春よ来い 早く来い
春よ来い 早く来い

第2部の出番を待つ余裕の大久保恒夫。、
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ところが、第1部の最後に急きょ、リクエストで、
大久保恒夫、住吉美紀が加わる。
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ビートルズの「レット・イット・ビー」。
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バックバンドの演奏がとてもよくて、
さらに住吉さんのボーカルも素晴らしくて、
本当に気持ちの良い演奏だった。

「Let it be,let it be♪」
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第2部は大久保恒夫オン・ステージ。
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あ~あ、ゆめよ よきともよ
お前今ごろ どの空に下で
俺とおんなじあの星見つめて
何思う

「わがよき友よ」
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みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば またふりだしに もどるたびに
日が沈んでゆく♪
「落陽」
どちらも吉田拓郎。

あー だから今夜だけは
君を抱いていたい

「心の旅」
チューリップ。

懐かしい名曲を、
メインボーカル大久保恒夫、
ふたりでデュエット。
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その後、再び、住吉さんが加わって、
「いとしのエリー」
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最後に「夢の中へ」
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探し物はなんですか
見つけにくいものですか

私はサイドでギターを弾き、
デュエットした。
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バックバンドは、
塩崎浩二、
二宮護。
麻生勝利。
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塩崎君はプロのジャズ・ギタリスト。
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住吉さんもジャズ・ボーカリストとして、
プロ級。
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第2部の大久保恒夫オンステージが終わって、
最後に、参集メンバーとともに、
全員で合唱。
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「上を向いて歩こう」
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涙がこぼれないように
泣きながら 歩く
ひとりぽっちの夜

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一番最後は、
童謡「ふるさと」。
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うさぎおいし かのやま
こぶなつりし かのかわ

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会場の全員が歌った。
東日本大震災のことを思って、
高らかにうたった。
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ステージが終わってから、
花束を贈ってもらった。

サプライズ!

㈱プラネット井上美智雄副社長から。
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大久保さんには、
フランチャイズアドバンテージ代表の田嶋雅美さんから。
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ヴィノス・ヤマザキの種本祐子さん、
皆見敦子さんから。
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そして曽我香織さんから。
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㈱たいらやの村上篤三郎さんもご参加くださった。
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いわきの㈱マルト安島浩さん、
㈱ケノスの小林清泰さん。
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㈱寺岡精工の三木桂さんと松井康彦。
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左から中山POP研究所中山政夫先生、
総合商研㈱常務の菊池健司さん、
RMLCメンバーの和田光誉さん。
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㈱マルダ社長の渡辺太郎さんと、
学習院大学ビジネスデザインスクール事務局から、
磯部泰子さんと林純子さん。
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第10回USA研修会参加のメンバー。
小林さんと安島さん、
㈱スペースポイント代表の中込美津子さん、
㈱ランドロームジャパン取締役の石井光晴さんと、
副社長の村越淳司さん。
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村越さんの隣は、㈱高山の常務、高山時光さん。
そして㈱金吾堂製菓の碓田剛士さん(右)と、
碓田憲司さん(左)兄弟。
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カスタマーコミュニケーションズ取締役の㈱米倉裕之を、
みんなに紹介。
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USP研究所代表の當仲寛哲さんと田島さん。
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ユニバース㈱社長の清岡祥治さん。
その後ろは日経MJデスクの白鳥和生さん。
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『店ドラ』の編集者㈱イーストプレスの中西庸さんと
営業部長の藤井敏之さん。
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「2週間天気予報」ブログを担当する常盤勝美さん、
『月刊MD』編集長の宮崎文隆さん。
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ブルーチップ㈱常務の松浦克之さんと取締役の伊藤義明さん。
手前はニッケイ印刷の原田俊美さん。
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ケノスの小林ご夫妻。
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立教大学大学院結城ゼミメンバー。
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中締めはブルーチップ㈱社長の宮本洋一さん。
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今回のプロデューサー鹿野恵子と、
商人舎エディター・スタッフ鈴木綾子。
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名人会メンバーの浅香健一先生と鈴木國朗先生。
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住吉美紀さんには心から感謝。
住吉、大久保、結城でピース。
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バックバンドの面々と鹿野恵子。
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商人舎の縁の下の力持ち3人。
右から㈱エステック社長の須永清彦さん、
商人舎チーフ・コーディネーターの鈴木敏さん、
㈱日本名刺印刷社長の鈴木堅さん。
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全員を紹介できなかったが、
多くの人が参加してくれた。
ありがたい。

すべての人々に、心から感謝。
打ち上げの二次会で乾杯。
私はこの場で昨日のブログを書いた。
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三次会はカラオケ。
歌い足りない人がいた。
しかし一番歌ったのは、大久保恒夫だった。
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35年ぶりのギターと歌、コーラス。
恥のかき通しで私の自己評価はD。
大久保恒夫さんにはAを進呈。

しかし楽しかった。
やると決めたらなんにでも真剣勝負。
それが私の主義。

高揚感と充実感。
「上を向いて歩こう」と「ふるさと」の全員斉唱で、
それが極まった。

私は心から感謝した。
ありがとう。

<結城義晴>

2011年12月02日(金曜日)

上海でのインスピレーションは台湾人の経営力と日本の文化によるものだった

昨日、上海から帰国しました。

最後の夜は摂氏11度。
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もちろん最後のディナーも中華料理。
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鮑・アワビ。

最後といっても、
2泊3日の2泊目だけれど。
だから二夜とも中華。

上海の夜景とイルミネーションは素晴らしい。
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東京や横浜、大阪も、
夜景やイルミネーションは、
良いけれど、
上海にはエネルギーがある。
自己主張が強い。

そんな上海の夜。
コーディネートしてくれたシン・チエさんも、
すばらしい。
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みんな満足し、堪能して、
昨日、ホテルを後にした。
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左は㈱万代副社長の山下和孝さん、
右は常務の不破栄さん。

いい旅でした。
私はまた、小売り流通に対して、
新しい理論のインスピレーションを得た。

アメリカにはいつもいつも行って、
インスピレーションを理論化するのに役立つ。

上海や中国、そしてヨーロッパは、
インスピレーションそのものを私に与えてくれる。

もちろん日本の小売業や流通業からも、
多くのインスピレーションを与えられる。

しかし来年は上海や北京、成都、大連に、
インスピレーションを仕入れに行く機会が増える。

そんな予感がする。

土地バブルは崩壊しかけているけれど、
この人間のエネルギーは、
人々にインスピレーションを与えてくれる。
さて昨日は上海のウォルマート、カルフールの紹介をした。
それを上回るハイパーマーケットがある。
それはRTマート。
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フランスのオーシャンと提携していて、
台湾資本。

いま、上海を先導している小売業態は、
ハイパーマーケットたる総合スーパー。

そのハーパーマーケットで一番力があるのが、
台湾企業のRTマート。

今日はそのRTマートを分析報告しようと思っていたが、
残念ながら来週に持ち越し。

上海で一番強い小売業が台湾資本。
不思議な関係ではある。

このハイパーマーケット業態に、
日本の企業は見当たらない。

上海の日本企業では、
コンビニのファミリーマートとローソン。
そしてユニクロのファーストリテイリング。

さらにイタリアンレストランのサイゼリヤ。

総合スーパーやスーパーマーケット以外の業態では、
マーケットをリードする企業がある。

しかし上海にいると、
あらためて日本料理や日本文化が、
ひどく好まれているし、
尊敬さえされていることがわかる。

寿司、刺身、ラーメン、エトセトラエトセトラ、
それを支えるジャパン・テクノロジー。

しかしマーケットをリードする業態は、
どうだろう。
こんな感じをどこかで体験したことがある。
「デジャヴ(既視感)」
(㈱商業界刊『メッセージ』より)

「儲けよう」と思えば思うほど、儲からない。
「売ろう」 とあせればあせるほど、売れない。

逆に、お客が喜ぶことだけを考える。
夢中になって 「良い品を安く」と仕事をする。
こんなとき、驚くほど売れる。
不思議なくらいに、儲かる。

あなたには、そんな経験はなかっただろうか。
そして、そんなときには、以前に、どこかで、
同じ瞬間を味わったような気がしなかっただろうか。
デジャヴのめまいを感じなかっただろうか。

一九三〇年のマイケル・カレン。
七〇年代のハリー・B・カニンガム。
八〇年代のサム・ウオルトン。
先人の足跡を追うと必ずそんな場面が登場する。

昭和三〇年代の大高善雄。
四〇年代の中内功
その後の多くの創業者たち。
名もない商人たち。

ひるがえって、現在。
会社は大きくなった。
人も多くなった。
金のかかった店やシステムをもてるようにもなった。

そのかわりに失ったものが、ある。
今あなたは、お客が喜ぶことだけを考えているのだろうか。
夢中で「良い品を安く」と仕事をしているだろうか。
「損得より善悪を」と胸を張れるだろうか。

「儲けよう」と思えば思うほど儲からないし、
「売ろう」とあせればあせるほど売れない。

デジャヴのめまいは、
先人と志を同じくするところにしか生まれないのである。

今回の上海では、
台湾企業の経営力と、
日本文化の優秀性を感じ取った。

これもインスピレーション。
どこかで得た「デジャブ」に近い感覚。
インスピレーションを得ることを、
「気づき」といたりするが、
それは違う。

インスピレーションはやがて理論化が待っている。
そうならねば単なるもうけ主義だ。
儲けるための気づきと、
理論化のためのインスピレーションは異なる。

そのことを私は今回、
短い上海旅行の既視感のような感覚の中から、
学んだ。

これは大きな収穫だった。

<結城義晴>

2011年12月01日(木曜日)

上海小売業視察[中編]外資カルフールとウォルマートのハイパーマーケットの出来栄え

今日から12月。

大変な年の大変な師走。

今年最後の商人舎標語。
「みたび、
ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

3月11日の東日本大震災。
そのあとの4月の標語は、
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

さらに5月の標語は、
「まだまだ、ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

そしてこの12月。
「みたび、ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

水前寺清子ではないが、
「3歩進んで2歩下がる」

瓦礫撤去問題や原発問題などだけ見ても、
まだまだ、まだまだ、
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

年末商戦に入る今日から、
そして大晦日の31日まで、
忘れてはならない。
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

その意味で、今年の12月商戦は、
例年とは大きく異なる。

なんというか、
一つひとつの仕事を丁寧にやりたい。

かといって、大震災にかこつけて、
やるべきことをネグってはいけない。

そんな卑怯なことは許されない。
被災して、復旧・復興に奮闘している人たちに失礼だ。

朝日新聞の『天声人語』は3月22日版で訴えた。
「救国の散財」

「節電で薄暗い店、歯抜けの商品棚。
これも有事かと思う」
あのころを思い出す。
「工場や発電所、物流網がやられ、
停電や放射能の風評被害もある。
空気ではなく実を伴う消沈だ」
「放射能の風評被害」と、ずいぶん軽く見ていた。
「日本全土が現場、全国民が当事者であろう。
だが、皆が沈み込んではお金が回らず、
再生はおぼつかない」

「国費を被災地に集め、
懐に余裕のある向きは
『救国の散財』をしてほしい」

「将来に備えた蓄えもあろうが、
国難を皆で乗り越えてこその将来、
ここは東北のために放出しよう。
世界の終わりではない・・・・・・」

いま、この12月、ふたたび、
消費者には『救国の散財』を提案し、
小売りサービス業には、
そのための奮闘努力を奨励しよう。

それも丁寧に、
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

Retail is Detail.
[神は細部に宿る]

それが今年の12月だ。

まず2011年12月の1カ月を概観しておこう。

第1週の金曜日12月4日から「人権週間」がスタートする。
1週間後の12月10日が「世界人権デー」。

1年の最後の月の初めの週に、
「人権の尊重」が謳われる。
今年は特に「人権週間」を大切にしたい。

第3週に入ると、12月14日水曜日は、
「赤穂浪士討ち入りの日」。

そして翌日の15日木曜日から、
今年も「年賀郵便特別扱い」開始。

いよいよ第4週。
木曜日22日は「冬至」。
昼が一番短い日。
「柚子湯」に入る。
冬至がゆもカボチャも、
提案したい。

冬至の翌日23日は天皇誕生日の祭日。
今年の天皇誕生日は金曜日。
そして24日土曜日がクリスマス・イブ、
25日日曜日がクリスマス当日。

今年のクリスマス関連はこの3連休。
だから23日・24日・25日には、
1年の総決算のつもりで、
売りまくる。

26日月曜日からは完全に和風の年末際商戦に入るが、
26・27・28までは通常日。
28日の水曜日が官公庁御用納めの日。
多くの一般会社も冬休みに入る。

しかしここでも、普通の休み。

結局、30日の晦日と、
31日の大晦日に、短期集中。
消費は高揚する。

後ろになるほど盛り上がる。
この時こそ『救国の散財』をお勧めしたい。

さて、昨日は上海小売業視察二日目。
今日はカルフールとウォルマート、
世界2強の上海の店舗を紹介しよう。

中国の小売業は、
総合スーパー=ハイパーマーケットが主役。
対抗はコンビニエンスストア。
もちろん百貨店も主役のひとつだが、
食品スーパーマーケットは脇役とならざるを得ない。

これは日本の高度成長期に似ている。

カルフールは2008年までハイパーマーケットの王者で、
売上高ナンバー1だった。
現在も、上海市民は総合スーパーと言えば、
カルフールを思い描く。
それだけ市民に浸透している。

私たちは昆山(クンザン)を訪れた。
百貨店とハイパーマーケットが両核となったショッピングモール。
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百貨店はパクソン。
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郊外の大衆的な百貨店。

モールを抜けて反対側に向かう。
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するとカルフールが登場。
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スロープで地下1階へ。
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ワンフロア7000㎡のハイパーマーケット。

カルフールの中国売上高は、
2010年に57億3200万ドル。
1ドル100円換算で5732億円。
645店で店数はハイパーマーケット企業最大。

必需品の12品目は地域で一番低価を出す。
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入り口を入ると、特売プロモーションスペース。
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カルフールは全体に黄色と赤を基調色にしている。
だからブルーを配置して、「安さ」を強調。

この店は実に管理状態がいい。

入り口側から家電売り場。
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そしてドライグロサリー。
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店舗中央を広いコンコースが走り、
両サイドに部門が順に配置されていく。

①家電
②バザー(非食品雑貨)
③テキスタイル(衣料品)
④加工食品
⑤生鮮食品・惣菜

一番奥に生鮮を配して、
顧客を全店回遊させる仕掛け。

衣料品はブランド物は扱わず、
大衆品に徹する。
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現在の上海の低所得層を狙っていることがよくわかる。

バザーと呼ぶ日用品雑貨売り場。
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そして化粧用品・コスメティックス。
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ソフトドリンクから始まるグロサリー。
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コメは、自由に欲しいだけすくい取る販売方式。
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乾物は平台でバラ陳列。
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生鮮部門のトップは左サイドの青果部門。
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ここでもばら売り中心。
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右手には鮮魚部門。
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水槽には生魚が泳いでいる。
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その奥がR型平台に陳列された惣菜。
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一番奥が精肉の対面コーナー。
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中華料理は肉を多く使う。
そのバラエティ豊かな精肉売り場が、
延々と奥壁面沿いを占める。
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漬物などもばら販売。
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この店は実によく管理されている。
ただしまだ赤字。

食品の売上高が全体の7割を占める。

店長の張さんとディスカッションした。
私の隣。
真ん中は㈱万代副社長の山下和孝さん、
常務の不破栄さん。
今回のコーディネーターのシン・チエさん。
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張さんはフランス人ばかりのカルフールの店長の中で、
中国人として頑張っている。

張さんが占う「中国の業態別の将来」。
「ハイパーマーケットとコンビニは成長する。
スーパーマーケットは淘汰される」。

張さんはアメリカ小売業にも明るい。
「スーパーマーケットで生き残るのは、
久光百貨店のフレッシュマートのようなハイクオリティの店」

私は、現在の上海は日本高度成長のときと似ていると考える。
あの時代、総合スーパー全盛だった。

しかし消費が成熟し、オーバーストアになってくると、
カテゴリーキラーとしてのスーパーマーケットが伸びてくる。
逆にハイパーマーケットは衰弱する。

張さんの意見と私の見方。
どちらが正解か。
歴史が証明することとなる。

議論に応じてくれた張さんに、
心から感謝。

さてカルフールを辞して、
ウォルマートに向かう。
五角場万達広場のウォルマート。
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ちょっと古い店だが、ウォルマートの実力がよくわかる。
現在、グロサリーリテイラーとして中国ナンバー1。
2010年度年商99億6900万ドル。
1ドル100円で1兆円の手前。

ウォルマートは322店を中国で展開中。
3フロアの変則的な店舗だが、
この店も圧倒的に食品が強い。
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入り口を入るとアイランド・プロモーション。
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手が込んだアクション・アレー。

通路は広く天井も高い。
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しかしアメリカの完成されたスーパーセンターとは、
全く違う店づくり、売場づくり。

ウォルマートは現地化を重視する。
だからハイパーマーケットの基本業態構成は、
アメリカと同じだが、
それが「分化した形」としてのフォーマットは、中国流。

だからアメリカと同じでなくとも、
一切、気にしない。

青果部門は平台展開中心のばら売り。
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ばら売りしておいて、
売場の真ん中にラッピング担当員を配置。
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まだまだ人件費が安いからできること。

しかし生鮮、特に青果は強い。
バナナ売り場。
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葉物の平台。
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こちらはパック野菜。
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コメはカルフールと同じ売り方。
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顧客が群がっている。

精肉部門も広い。
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鮮魚コーナーは氷を敷き詰めて、
その上に商品を並べる。
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精肉も対面方式の平台で、
奥で作業をする。
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しかし何とも不衛生な感じ。

卵売り場は島陳列。
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小玉のオーガニック卵が大量陳列されている。
ウォルマートが有機食品を扱うということは、
上海にもこれから、オーガニックブームがやってくる。
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壁面に加工肉のショップ。
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広いフロアの中央に惣菜対面売り場があって、
コンコースはそれを取り囲むようにU字型に設けられている。
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レジ前の最後のスペースに「地方特産」のコーナー。
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すべてばら売りで、自分で袋に入れて、
重量を測って、シールを張る。
それをレジに持っていく。

バルク売り場も広いし、品ぞろえが豊富。
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ぐるりと回ってレジに戻る。
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この2階の売り場が食品。
やはり7割がフードによって販売される。
総合スーパーのハイパーマーケットといっても、
強大な食品スーパーマーケット+非食品の構成。

それが上海の市民の生活を示している。

レジを出たところに焼き栗の出店がある。
もちろん外部業者だが、
ウォルマートの管理下の店。
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売り子が寝ていた。
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アメリカのウォルマートでは、
まず見られない光景。

つまりは、マネジメントが不在であることを物語っている。
ウォルマートの中国展開も、
まだまだ難関だらけだろう。

カルフールの張店長と、このウォルマートの売り子。
この落差をどう感じるか。

しかし上海のハイパーマーケットの現在のチャンピオンは、
実はカルフールでもウォルマートでもない。
明日、その主役が登場する。

<結城義晴>

2011年11月30日(水曜日)

上海小売業視察[前編]久光百貨店(そごう)フレッシュマートからカルフールまで市内駆け巡り

中国は日本に対して時差1時間。
つまりは日本時間23時は中国の22時。

いまそのギリギリの時間。

ブログのリミットまで1時間を切った。

今日も一日、上海郊外を駆けずり回って、
夕食を済ませて、
全員が完全に打ち解けて、
部屋に帰って、時差を実感する。

アメリカは東西に広い国土で、
4つのタイムゾーンに分かれ、
東海岸と西海岸では3時間の時差がある。

中国も広い国土だが、
どっこい時差はない。

全中国が日本と1時間の時差。

「統一」が中国の安定のために唯一最大のテーゼだからだ。

昨日から中国・上海。
2泊3日で駆け巡り。
とは言っても、3日目には朝の便で帰国するから、
実質1日半の旅程。

私は羽田から上海空港に飛んで、
ホテルにチェックインした後、
すぐに市内の商業施設を訪問。

今日は上海初日の行動日記。

まず最初は、久光百貨店。
日本のそごう系列の百貨店。
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静安寺の隣にある繁盛百貨店。
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店頭で全員で写真。

㈱万代副社長の山下和孝さん(中央)、
常務の不破栄さん(右)、
そして今回のコーディネーターのシン・チエさん(左)。
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後列は㈱エクゼの前田仁さん(真ん中)、
㈱JTB西日本の小阪裕介さん(右)。

久光の地下1階のフレッシュマートはスーパーマーケット形式。
日本で言えばクイーンズ伊勢丹かシェルガーデン。
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この店が上海のクオリティ・スーパーマーケットの水準を決めている。

オーガニック果物の品ぞろえがトップにある。
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鮮魚丸モノも、鮮度がいい。
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刺身五点盛り。
日本人顧客を主たるターゲットにしているから品揃えしているが、
中国人には寿司だけでなく刺身も人気が高い。
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肉売り場の対面販売には日本ハムのコーナーがある。
日本のメーカーが惜しみなく協力している。
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レジ横のケーキ売り場の充実。
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現在の上海人は、よくケーキを食べる。
コーディネーターのシンさんが解説してくれた。

フレッシュマートの反対側のテナント・ゾーンでは、
アイスクリームショップに長い行列。
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菓子売り場は、
日本のアニメキャラクターのイラストが使われて、
にぎやか。
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もちろんチョコレート売り場には、
ゴディバなどがあって、百貨店の品ぞろえ。
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そして山崎製パンのインストアベーカリーが、
すごい品揃えとすごい人気。
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製造販売の焼き立てパンを提供しているが、
顧客だけでなく店員も多い。
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ショップの入り口には、
食パンがワゴンで大量販売されている。
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いずれにしても久光フレッシュマートが、
上海では「ハイ・クオリティ・スーパーマーケット」の標準を形成。
それをまず視察。

次に向かったのは伊勢丹。
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ショッピングモールに二核の百貨店が向き合う形。
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伊勢丹の食品売り場には、
シティ・マートというスーパーマーケットが入っているものの、
その姿は見るも無残。
本来の伊勢丹のイメージとは程遠い。
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久光から地下鉄一駅隣で、
食品は完全に打ちのめされている。

さらに都心に向かって、
GLジャパン・プラザ。
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㈱グローカルジャパンの経営。

しかし、この店も閑散としている。
日本人の経営だが、
残念ながら上手くはいっていない。

さらに都心部に入って、
観光地「新天地」へ。
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1842年に南京条約が結ばれ、
上海には列強が居留地を設けた。
これを「租界」と呼んだ。

そのフランスの租界が姿を改め、
「新天地」となった。
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だからヨーロッパ風、フランス風の建物が並ぶ街並み。
広場に噴水があったりする。
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カフェもあって、一種独特の異国情緒を醸し出している。
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この雰囲気が、現在、
アメリカ各地に登場している「ライフスタイルセンター」に酷似している。

面白い現象だ。

その新天地そばの太平洋百貨店。
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台湾資本の百貨店で、人気が高い。
地下2階の食品売り場を目指してきたら、
ユニクロに変わっていた。
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そのユニクロに顧客が群がる。
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地下2階とはいえ、直接、地下鉄につながる好立地。
オープンはなんと11月26日。
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ユニクロはここ上海でも大人気。
食品の頻度にとって代わる集客力を、
ユニクロの商品とサービスが持ち合わせていることを、
図らずも証明した形になった。

さらに都心のインディペンデント・スーパーマーケット「Zクラブ」。
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個人経営の小型スーパーマーケット。
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黒板に手書きのPOPが、
個人経営らしくて、いい。

巨大マンションの1階に出店しているが、
大都会の真ん中で狭小商圏型の店舗を目指す。

プライベートブランドも開発している。
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宅配なども合わせて展開して、
食品買い物難民に利便性を供している。

最後に都心から30分ほど車で外に出たカルフール。
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郊外ショッピングセンター「クリスタル・ホール」の核店舗として出店。
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モール内のインストアベーカリ―が大人気。
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店名は「Ichido」。
太平洋百貨店同様に台湾資本。

上海市内の百貨店やショッピングモールで、
山崎製パンのインストアベーカリーと、
人気を二分している。

上海には台湾資本の小売業が多数進出して、
いずれも成功を収めている。

考えてみると、台湾には、
毛沢東の共産党に追われた資本家や商売人が移住してきた。
もともと商才にたけた人々だった。

だから今、逆に上海に戻って、
その才能を発揮させている。

上海での競争の中で、
台湾勢を見過ごしてはならない。

さて、2008年までは中国第1の小売業だったカルフール。
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ハイパーマーケットは今の上海で中核的な業態。
日本の歴史でたとえると、
昭和40年代から50年代の高度成長のときに似ている。
人々が生活の向上にどん欲で、
フルライン型の総合スーパーがとにかく便利で、
生活拡大のニーズを満たした。

地下2階の売り場は非食品と家電。
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だから生活必需品を中心に、
衣食住、それに家電までそろえた便利な総合店が、
絶大なる人気を誇る。
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ディスカウントのニーズとコンビニエンスのニーズ。
ただしこのころのコンビニエンスは総合品揃えの便利性。
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その代りスペシャルティのニーズは捨てる。
それが現在の上海のカルフール。
広大な2フロア店舗によって、
この二つのニーズを満たしている。

スロープをあがって地下1階に上がる。
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自動スロープの両サイドにも商品陳列。
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メーカーやベンダーは場所代を払って、
この売り場に商品を並べる。
いわばコンコースのエンド陳列のようなもの。

上に上がると、加工食品の重点販売方式。
これがカルフールの特徴。
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単品量販で、必需品の安売りを展開。
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しかし生鮮食品には力を入れる。
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特に青果部門は、カルフールの強み。

この店の葉物の凄さを見てほしい。
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青果は平台の島陳列を多用して、
これまたばら売りの単品大量。
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鮮魚部門には水槽が設けられ、鮮度を強調する。
シーズン真っただ中の上海蟹も人がついて販売。
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コーディネーターのシンさんによると、
「安いけど、おいしくない」

精肉は平ケースの対面販売。
人件費が安いからだろうが、
セルフパックを並べて売る場合にも、
対面方式を採用する。
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冷凍食品ももちろん、
平ケースで単品大量販売。
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惣菜は当然ながら、対面販売方式。
ディスカウント・ニーズとコンビニエンス・ニーズに、
さらにスペシャルティ・ニーズを付け加え始めた。
ハイパーマーケットの競争がピークを過ぎて、
新しい段階に入ったことを意味している。
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バルク売り場とバラ売り場。
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上海には、1980年代と現在の2010年代が同居している。
それがカルフールのデリカテッセンによく表れている。
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レジ前には、
フランスで展開されている新コンセプト「プラネット」のエコバッグが、
これまた大量にハンガー陳列されている。
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カルフールは中国国内店舗を一部売却して、
収益性の確保に舵を切り始めた。

なるほどと思わせる。

なぜか。

それは明日の店長インタビューで明らかになる。

カルフールを後に都心に戻ると、
もう、とっぷりと日は暮れて、
身も心も心地よい疲労感でいっぱい。

そこで、上海王宝和大酒店へ。
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上海蟹では現在、最も評判の高いレストランとホテル。

南京路歩行街の世紀広場に隣接する四つ星ホテル。
ロビーの壁にも見事な装飾。
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天井からぶら下がったシャンデリアも、
蟹に劣らず、すばらしい。
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再び全員で、期待に胸ふくらませながら写真。
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出てきた上海蟹。
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この11月末の時期は最適。
雌の大ぶりの上海蟹、
しかも調理前に確認したが、
ぴちぴちと生きていて、
鮮度が抜群。

調理された蟹を目の前に、
顔もほころぶ。
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これまで食した上海蟹の中で、
最高の味だった。

これは間違いない。

蟹さんに、心から感謝しつつ、
旅はつづく。

<結城義晴>

2011年11月29日(火曜日)

「2012年は復活の年」その根拠と、原発後遺症風評被害に凛として立つ小売業

私は今日から、中国・上海。

三日間の短い旅だが、
2011年の最後に上海の流通業を、
この目で見ておきたいと考えた。

上海の変化は、
日本以上に激しい。

その変化のスピードを実感しておくことに、
大きな意義があると思う。

今年はアメリカ、ヨーロッパ、
そして中国を訪れた。
ほんのわずかな期間に、
ほんのわずかなところにしか行けないが。
それでも「自分の目で見、自分の耳で聞く」。
ピーター・ドラッカー先生の言うことを実践する。

朝、一番で羽田空港国際線ターミナル。
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新装なったターミナルは気持ちいい。
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JAL081便に乗り込む。
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3時間で、上海・虹橋空港。
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タクシーで25分。
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1日駆け巡って、
夜は上海蟹を堪能。
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英気を養った。

明日からその上海報告。
ご期待いただきたい。

さて、今朝は、日経新聞のコラム『大機小機』に元気づけられた。
コラムニスト富民氏が、
「来年は日本復活の年に」と題して書く。

「今年は日本経済にとって大変厳しい年だった」
日本経済だけでなく、日本国民にとって、
本当に大変な年だった。

言わずと知れた東日本大震災。
その後遺症は津波よりもひどい原発事故、
さらに国際商品価格高騰と「超円高」、
そして金融にとって「最大のリスクはユーロ危機」。

これは、「世界景気のブレーキ」となった。

しかし、富民氏は言う。
「ユーロ圏の輸入に占める日本のシェアは2%、
南欧など重債務国の借り入れに対する比率も3%以下で、
影響は相対的に小さい」

そのうえ、「ドル安からユーロ安に流れが変わり、
円の対ドル上昇に歯止めがかかることになる」
ユーロ危機も日本にとってはデメリットばかりとは言えない。

「原発ショックの影響」こそ甚大で、
「不安心理で経済が萎縮し、先が読めない」

しかし、しかし。
「過去3回の世界の原発事故の先例を見ると、
事故直後にゼロ成長となったが、
1年後には成長路線に復帰した」

富民氏の指摘は、
「事故処理と安全対策が進めば、
やがて日本も立ち直り、
来春には明るさを取り戻すのではないか」

地震・津波への対応も、
「遅れていた大震災の復旧・復興も、
第3次補正予算の成立で本格化し、
来年度の景気を1%押し上げる計算だ」

富民氏、日本にとって明るい事象を続ける。
「再生可能エネルギー開発も急ピッチだ。
ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟もプラスに働く」

その結果、
「日本経済が元気を取り戻す環境が
次第に整ってくる」

一方、世界のリーダー国の現状。
ヨーロッパ。
「ユーロ危機で当分身動きが取れそうにない」

アメリカ。
「議会に財政を人質として取られ、
景気の二番底が懸念される」
いま、アメリカン航空の、
連邦破産法11条適用申請のニュース
が、
飛び込んできた。

さらに中国。
「対欧輸出の減少に加え、
地方財政の赤字拡大と不動産価格の下落で、
成長エンジンに黄信号が点滅している」
ここ、上海でも不動産バブル崩壊の兆し。
インド。
「貿易赤字の拡大とインフレで通貨ルピーが下落し、
失速気味だ」

では、世界のけん引役はどの国になるのか。
「欧州の信用収縮が広がれば
外資依存度の高いアジア新興国は一時的にせよ
機関車役を降りざるを得ないだろう」

そして結論。
「来年はけん引車がいなくなる中で
日本経済が久々に存在感を高め、
復活への足掛かりをつかむ年になりそうだ」

これは我々日本が世界の経済や消費の中で、
お役立ちするときがやってくることを示す。

こんなに元気がでることはない。

自分たちの役割がある。
それが増してくる。

こういったことをエネルギーに変えて、
私たちは2012年に向かう。

いい年にしたい。
痛切にそう思う。

さて福島県産の食品や農産物の販売運動が、
小売業の中で広がっていて、嬉しい。

朝日新聞も日経新聞も、
こういったニュースは積極的に報道してくれる。

イオンは29、30日に東京都内の11店で、
福島県産の新米とリンゴを販売する

自主検査で、放射性物質が機器で検出できる値よりも低いことを確認。
それを店頭でもはっきりと表示する。

イオンは他の産地の商品でも、
「放射線が検出されたら売らない」という方針だ。

イオンリテール食品商品企画本部の岡田俊美副本部長は、
朝日新聞に語る。
「福島産だから危ないとか安全とかではなく、
ほかと同じように安全な商品をお客様に買ってもらえるようにしたい」

イトーヨーカ堂も
「東北かけはしプロジェクト」を始めた。
来月7日から東北産品を応援販売する。
福島産のコメや牛肉も販売。

コメには、「郡山産」と表示している。
福島県郡山市でつくられたことがわかるような仕組み。

福島市の大波地区産のコメから
国の暫定基準値を超えるセシウムが検出された後も、
「売れ行きに特に影響はない」

通販大手のカタログハウスは8月末から、
東京・新橋の直営店で福島産野菜を売っている。
検査した放射線量の数値を店頭で紹介。
いまはリンゴやキュウリ、カブが好評だ。

担当者は「複数回訪れて購入する人もいて、
爆発的ではないにせよ安定的な売り上げになっている」
12月からはコメも売り始める。

高島屋は、「稲作名人」を歳暮で扱う。
郡山市の農家がつくったコメだが、
これまでに1袋5キロ(5565円)の高級米が235袋売れた。

「あえて、お歳暮で贈ることで、
相手も福島産を食べても大丈夫と思ってくれるのでは」
これはなんと顧客の声。

「きちんと説明すれば、
消費者は冷静に対応してくれる」

イトーヨーカ堂広報室の発言。

私たちは意志をもって、
風評被害にも立ち向かわねばならない。

凛として立つ。

世界経済に対しても、
顧客に対しても、
得体のしれない風評に対しても。

それが私たちの2012年である。

<結城義晴>

2011年11月28日(月曜日)

「大阪府市合せ」の橋下徹市長流ポピュリズムは12月商戦には凄く役立つ!

Everybody! Good Monday!
[vol48]

2011年11月の最終週、
そして今週木曜日から12月に突入。

東日本大震災が起こった年も、
あと1カ月となりました。

今年はなぜか自由律俳句を取り上げたり、
最後の最後にギターを取り出して歌ったり、
感情的な面で何かをやったり、
何かを訴えたりしがっています。

私自身が。

荒草を分け入るわが家戻れざることを予感す一時帰宅に

[原発に近い富岡町に家がある 半杭蛍子さん<朝日歌壇より>]

それらしき気温に目覚め今朝の冬
[東京都 田治 紫<朝日俳壇より>]

『AERA』12月5日号。
ブータン幸せ、大阪府市合わせ

創刊以来いまだにしつこく、ダジャレ・タイトル。
でも、今回は新聞各紙が「大阪府市合わせ」の言い回しを使った。

法政大学大学院政策創造研究科・坂本光司教授とゼミ生の研究、
「47都道府県幸福度ランキング」で、
最下位の大阪府。

その大阪府知事選挙と大阪市長選挙の同日ダブル選挙。
大阪維新の会の圧勝。
橋下徹市長と松井一郎知事が誕生し、
「大阪都構想」の実現に踏み出す。

「大阪府市合わせ」で「不幸せ」脱出。

「談志が死んだ」よりも、
頻繁に使われた。

朝日新聞『天声人語』は、釘をさす。
「小泉元首相への熱狂的な支持は、
どうやら『不毛な興奮』だったと、
後になって多くが気づいた。
似ているとされる橋下流の行方はいかに。
全国の目がそこに集まる」

日経新聞『春秋』は、もっと確信に満ちた駄目押しコメント。
「『作家だから東京へ住まなきゃならないということになるなら、作家をやめます]と言い、
『これは本音です』と駄目を押したのは司馬遼太郎である。
東京への対抗心を隠さぬこと、本音をさらけ出すことも大阪流」

「ならば小欄も、
人の心を何とも強引につかむ橋下さんへの不安を、
本音で指摘しておこう」

大阪府民、大阪市民が選んだ選択は重い。
ただしこれがポピュリズムであることは間違いない。
私もこれは指摘しておこう。

「社会不安とポピュリズムの悪循環」
それが現在の世界の「共通の病理」。
日経新聞『大機小機』のコラムニスト夢風氏に賛成する。

「経済がよくない、だから社会不安が高まる。
そこで政治はポピュリズムに走る」

「ポピュリズム」とは、
「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法、
あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」

<『知恵蔵』より>

もちろん既存政党にもこれまでの現職市長にも、
大阪府市民だけでなく、国民が覚めている。

そんな時にこそ、ポピュリズムは台頭する。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験にしか学ばない」
鉄血宰相オットー・ビスマルクの言葉。

とはいっても私自身、
今年は自分にも他者にも、
感情に訴えたがっている。

そんな空気が蔓延していて、
大阪維新の会圧勝。

「全国の目がそこに集まる」

「大阪都」をまねて「中京都構想」のもとに、
愛知・大村秀章知事、名古屋・河村たかし市長も群がる。

大阪人は「不幸せ? ちゃうちゃう」と元気。
それが大いに救いであり、確かなエネルギーとなっている。

さて今週は、もう、
12月商戦に向かって、
まっしぐら。

商売やビジネスに関しては、
橋下流ポピュリズムは大いに参考にした
い。

「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、
その支持を求める手法」
それがポピュリズム。

情緒や感情によって「購買」態度を決める顧客。
その顧客を重視し、その支持を求める手法。
これは商売そのもの。

ただしここでも、
ポピュリズム商法が蔓延してくると、
すべての基本にあるテーゼ、
例えば「損得より先に善悪を考えよう」こそ、
重大な考え方になる。

12月商戦では、
そんなことが頻繁に起こる。

さて今週の私のスケジュール。
今日は、夕方から立教大学大学院サービス・マーケティングの講義。
明日の火曜日は一番で、羽田から中国・上海へ。
水曜、木曜と上海滞在。
今回は4人+添乗員の小さなグループ視察。

金曜日は、「国民生活産業消費団体連合会」の設立総会。
略称「生団連」は重厚長大の「経団連」の対極にポジションする団体連合会。
夕方5時からその設立懇親会。

その後夕方7時から銀座で、
「大久保恒夫&結城義晴ふたりのビッグ・ショー」
今年春までNHKアナウンサーだった住吉美紀さんが総合司会
住吉さんはデュエットで歌声まで披露してくれる。

乞う、ご期待。

日経MJトップ特集は「GMS再生『聖域なし』」
ヨーカ堂、第2の業務改革。

「業務改革」に聖域はない。
あるのは「外部環境の変化に合わせて業務を見直す」こと。
まずは大久保さんが提唱している「挨拶」から。

そのうえで発注や品揃え、在庫管理を徹底して見直す。

そのために「衣料品の移動集約」の仕組みを取り入れ、
百貨店事業部からは「複販率」の指標を取り入れて改革を進める。
衣料品はバーゲンに入ると2~3割引きで販売し、
それでも売れなければ販売力のある店に移動させる、
あるいは冬物衣料ならば北の店に移動させる。

そうして売り切り、
移動させて空いたところには次の商品を早めに導入する。

「複販率」は『来店客一人あたりの平均買い上げ点数の指標」。
これらが本格的な業務改革に結びつくかどうかはわからない。

大型店はニトリや洋服の青山など、
強力なテナントを入れる。
渥美俊一先生が言い続けていた「場所貸し」の発想。

亀井淳イトーヨーカ堂社長は、
「専門店導入はケースバイケース」。
ドラッカー先生のようなことを言う。

業態&フォーマット論者の私は、
総合スーパーはまさに「ケースバイケース」でしか、
成績を確保できないと考えている。

それが本格的な業務改革なのかどうか。
12月のイトーヨーカ堂の売場にその答えが出ている。

楽しみなことばかりの12月商戦。
まずは上海視察とふたりのビッグ・ショー。

頑張ります。

みなさんも、Good Monday!

<結城義晴>

2011年11月27日(日曜日)

ジジの感謝[2011日曜版vol48]

こんにちは。
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ジジです。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
いっちゃいました。
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トランクもって、ガイコクへ?
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ちがいます。
今週、
シャンハイにはいくらしいけど、

きょうは、たのしいゴルフ。
きのうは、大学とスタジオ。

だからボクは、
ジブンのことは、
ジブンでします。
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それができないと、
生きていけない。
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そう、ジブンで、
ごはん、たべる。
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「ウェッジ」という雑誌で、
「売れ残りペットはどこへ行く?」という特集。
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ボクたちのなかまにとっては、
おそろしいお話。
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1年に70万頭のペットが、
どこかにほうむられているそうなんです。
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ボクはしあわせです。
うまれたときは、
かあさんといっしょ。
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それからユウキ家にもらわれてきた。
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そして、とてもたいせつにしてもらった。
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歌までつくってもらった。

あんまり ひざしが まぶしくて
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あんまり せなかが やわらかくて
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ジジの目 ジジの目 黄色にとけた♪
ジジの目 ジジの目 黄色にとけた♪

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こんどのふたりのビッグ・ショーで、
うたってもらえる。

ありがとう、おとうさん。
いまは、いないけど。
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こころから、かんしゃします。
ボク、しあわせです。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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