結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年07月07日(土曜日)

ワンアジアコンベンション仁川の結論「アイデンティティとダイバーシティ」

7月7日、七夕。

日本、韓国、台湾、中国、ベトナムなどに、
七夕の風習がある。

昨日から韓国・インチョン。
こちらでは七夕を「チルソク」と発する。

ただし陰暦では7月7日だが、
現代の陽暦では8月25日。

チルソクの祝いは、だから、
今日7月7日ではない。

韓国にも、日本や中国と同じ「星伝説」がある。

しかし韓国人はロマンティック。
織姫と彦星の恋愛に重点を置いて、
「恋人たちの日」としている。
あくまでも8月25日のことだけれど。

キョヌビョル(牽牛星)とジッニョビョル(織女星)が、
オジャッキョ(烏鵲橋)で1年に1度だけ会える。
烏鵲橋とは、数万羽のカラスやカササギが、
連なってつくった橋のこと。

韓国の人々は、
これを「永遠の愛の象徴」ととらえる。

現代では恋人に限らず、家族同士でも、
花などのプレンゼントを贈る。

ちょっと違うことは、「七夕」の雨に対する考え方。
日本では雨は織姫と彦星の逢瀬の障害となるが、
韓国では「二人の再会のうれし涙」となる。
さらに翌日に降る雨は「別れを惜しむ涙」とまで解釈してしまう。

韓国のソルチクは、
なんてロマンティックで、
前向きなのだろう。

さてインチョンのワンアジア・コンベンション。
昨日は歓迎晩餐会。

司会はサニー・ムンさん。
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きれいなイングリッシュを使う。

歓迎の挨拶は、
ワンアジアクラブ仁川会長、
パク・ゼフンさん。

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仁川大学教授でもある。

そしてワンアジア財団理事長の佐藤洋治さん。
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㈱ダイナム・ジャパン・ホールディングス社長。
今夕の朝日新聞一面に、
香港株式市場への上場のニュースが、
流れた。

スタンディング・バフェ方式で、
2時間の懇親。

日系二世アメリカ人の国広ジョージ国士舘大学教授。
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建築学の先生。

湖南大学教授のシン・イイソブさんと、
ワンアジア財団評議員の谷口昌貴さん。
㈱ニラク会長。
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シンさんは、孫文とアン・ジュングンの研究者。

会場では管楽四重奏。
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ポピュラーなメロディーを奏で続けてくれた。

最後にワンアジアクラブ・ウランバートル代表から、
ワンアジアクラブ仁川へプレゼント。
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partyのあとは、バスを仕立てて、
45人の有志が集まって、懇親会へ。
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アジア共同体に向けたエネルギーを感じ取った。

カラリ、明けて、
今日、七夕の日。
いよいよ、コンベンションのスタート。
私も会場で、
ワンアジア財団理事・評議員の皆さんと一緒に、
いい席に陣取った。
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最初の挨拶は、ワンアジア財団理事長・佐藤洋治さん。
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佐藤さんは私財89億円を寄付して、
財団をつくった。

このワンアジアクラブ運動のリーダー。
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ワンアジア共同体構築のために、
乗り越えねばならない壁を、
三つあげた。

第1に、自己の壁。
第2に、企業や組織の壁。
そして第3に国家や民族の壁。

これは参集したすべての人々に共感された。

挨拶の二番目は、昨夜と同じ、
ワンアジアクラブ仁川会長のパク・ゼフンさん。

そして祝辞は二人。
最初は仁川広域市長のソン・ヨンギルさん。
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仁川をアジアの中心にしようとの意欲に満ちていた。

祝辞の二人目は、
韓国外国語大学総長、
パク・チョルさん。

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84の大学が参加しているが、
そのアカデミズムを代表しての祝辞だった。

その後、基調演説。
UNESCAP前事務総長、
キム・ハクスさん。

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素晴らしい基調演説だった。
UNESCAPは国連アジア太平洋経済社会委員会。
United Nations Economic and Social Commission
for Asia and the Pacific。
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この人の見識は、
アジア共同体には不可欠だ。

続いて基調講演。
早稲田大学教授のリム・ホァシン先生。
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シンガポール生まれの中国人だが、
マレーシアで育ち、
イギリスや日本で学んで、
現在、早稲田の教授。

「私自身の生い立ちがワンアジアみたいなもの」と、
挨拶してから、ヨーロッパ連合(EU)や、
NAFTA(北米自由貿易協定)などと、
ASEAN10+3+3などの数字をもとに、
現状を分析。

ASEANの10カ国と、
+3はJapan、South Korea、China、
+3はAustralia、New Zealand、India。

リム先生の講義も素晴らしかった。
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ここで午前中が終わり。
私は財団理事評議員の皆さんや、
バングラディッシュのお二人と並んで、
お弁当を食べた。
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左はアブドラ・アワル・ミントウさん。
ワンアジアクラブ・ダッカ会長。

それからインドネシア教育大学のディアンニ・リスダさん。
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リスダさんはあとで報告者として活躍。
日本語がとても上手。

1時間半の昼食休憩の後、
午後は分科会。
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メインのボールルームを三つに割って、
歴史・教育のセッション。
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ここでリスダさんを入れて、
6人の大学教授陣が報告。
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キルギス・ロシアスラブ大学、国立曁南大学、湖南大学、
復旦大学、カザフスタン国立大学の教授たち。

第二は政治経済セッション。
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ここでも漢陽大学、河南大学、キルギス国立大学、
北京大学、中山大学の教授陣、
そして早稲田大学のリム・ホァシン教授が講義。
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第3は、文化および芸術のセッション。
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こちらも盛り上がった。
国士舘大学の国広ジョージ教授から始まって、
祥明大学、同済大学、延邊大学、シティメディア大学の教授陣。
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各セッションごとに、
英語と日本語、ロシア語の韓国語への同時通訳が付く。
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全ての報告が終わると、
セッションごとに、
討論者の教授が2人ずつ出て、
総括しつつ議論を投げかける。
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ここでは日本の先生方も活躍。
歴史・教育セッションでは、
東京大学の谷垣真理子教授。

政治経済セッションでは、
嘉悦大学の黒瀬直宏教授。
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黒瀬先生はPTB有識者懇談会で、
毎回、ご一緒している。

そして文化芸術セッションでは、
日本大学の原一平教授。

討論者に対して、
報告者の先生方が一言ずつ回答して、
終わる。

分科会のあとはコーヒーブレイクをとって、
夕方5時半から総括報告。
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三つの分科会の座長が三人並んで、
順番に総括。

左から日本大学・木村政司教授。
仁川大学・パク・ゼフン教授。
ご存知、ワンアジアクラブ仁川会長。
そして仁荷大学・崔元植教授。

木村さんは、
「共同体とはスイートホームのようなもの。
文化の価値による共同体づくりが重要。
コンティネンタル・シンキングも大切」

崔さんは、訴えた。
「歴史とアジアの多様性を犠牲にしないワンアジア、
一人の英雄ではなく、みんなが一緒になれるワンアジア」

そして今回出ずっぱりのパクさんは、
「政治経済もバリュー体系と認識の問題、
そして歴史問題抜きには前に進まない。
アイデンティティこそ重要だ」

多様性をダイバーシティという。
アジアの多様性は、ヨーロッパやアメリカとは異なる。
それはまさに21世紀的なものだと思う。

日本の「商業現代化」に似ている。

ダイバーシティを重視するからこそ、
アイデンティティは欠かせない。

私にはこれが結論のように感じられた。

そして、ヨーロッパ共同体に関する、
さらなる研究が不可欠であることも。

EUを研究して、EUに対して、
創意を尊びつつ良いことは真似よ。

すぐさま閉会式と晩餐。
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ワンアジアクラブ仁川会長のパクさん。
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「アジア共同体は一つの分野で議論してもダメ。
いろいろな分野で同時進行するべき。
トップダウンでなく、ボトムダウン。
ワンアジアクラブは、
産学でボトムアップを推進する」。

そしてこちらも出ずっぱりの佐藤洋治さん。
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ひとこと「ネバーギブアップ!」

みなさん、お疲れ様でした。
実に有意義なコンベンションだった。

食事をしながら韓国打楽器音楽を楽しむ。
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そして恒例の国別歌合戦があって、
最後に記念写真。
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晩餐会に出ていた聴講生の学生たちは遠慮したが、
ワンアジアクラブ会員、
事務局、大学教授陣内揃って、
全員が元気になった。

2年後にまた、
ワンアジアクラブ・コンベンションが開催される。

5年のうちに、アジア300の大学で助成事業が展開され、
やがてコンベンションには4000人級の参加者が集う時が来る。

アジア共同体をつくるさきがけを、
アカデミズムが務める。

これは大いに意義のある仕事だ。

現在、評議員の私も、
その一助となることができれば本望だ。

みなさん、良い週末を。
明日、帰ります。

<結城義晴>

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