結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年10月17日(水曜日)

店舗賃料↑とマンション価格↓逆減少、不動産分配率に敏感であれ!

秋の夕ぐれ。
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昨日の写真。

今日は台風21号来襲。
みなさん、気をつけて。

一雨ごとに、秋は深まり、
冬に近づく。

さて、褒める話、褒められる話。

和田誠に褒められた若いころの糸井重里。
和田誠さんは、イラストレーターでエッセイスト。

『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭言で、
糸井さんが述懐している。

「ぼくが、ほとんど知られていない若い人だった時代に、
あんまり目立たない場にひっそり書かせてもらった
原稿用紙一枚くらいの文章を、
『和田さんがほめてくれた』と
知ったことがあったのです」

一流の人に褒められるのは、
率直にうれしい。
特に若いころは。

「ほめられたぼくは、六十いくつになり、
ほめてくれた和田さんはそのひと回り上。
そんな歳になっていますが、和田さんは言いました。
『おれも、そんなふうにほめられたことがあった』」

そこで糸井さんはつぶやく。
「ほめる人」という産婆のような役割がある。
「ほめる人」は
ほめることにけちであってはいけない。
「ほめる人」は、
おもしろさや才能について、
うそやお世辞を言ってはいけない。

褒めることは難しいが、
産婆のように必須の存在だ。

褒めることにけちであってはいけないし、
褒めるときに嘘やお世辞を言ってはいけない。

まったくその通りだと思う。

日経新聞に「店舗賃料、全国的に上昇」の記事。
小売業やサービス業にとって、
不動産コストが上がるという死活問題。

米系不動産サービス会社シービーアールイーの調査。
7~9月のビル1階の店舗部分の平均募集賃料(共益費込み)。

まず東京・銀座が3.3平方メートルあたり4万7309円。
「4~6月比で3.75%上昇」

大阪・梅田3万0772円、
これは1.3%アップ。
名古屋・1万8545円で、
3.1%上昇。

賃貸料上昇の根本理由は、
「今年前半の小売業の景況感回復」

景況感が好転すると、
「各地区の大通りを中心にテナントの出店需要が堅調」になった。

賃貸料は需要と供給のバランスで決まる。
そこで賃貸料がアップした。

一方、今日の日経新聞には、
「分譲マンション弱含み」の記事も。
こちらは不動産経済研究所の調査。

9月の首都圏のマンション市場動向。
平均販売価格は1戸あたり4120万円、
前年同月比で3.4%下落

2012年度上半期は前年同期比1.9%のマイナス。
2012年1~9月は、4515万円で、2.0%のマイナス。

こちらは、「景気の低迷で消費者の購買力が落ちており、
各社が価格を抑えている」。

近畿圏の9月の平均販売価格は、
1戸3486万円。
6月が直近のピークだったが、
その平均価格は3598万円。
関西でも下落基調。

不思議な現象が起こっている。
商売をするための賃貸料は上がり、
居住するためのマンション価格は下がる。

私はこの面での専門家ではないから、
あくまでも素人発想だが、
商売の方は今年前半の景況「感」、
つまり感覚で決まり、
住居の方は一生モノの大型の買い物で、
今の景気低迷に対するリアリティで決定される。

この格差が大きいのかもしれない。

だとすると、商売に対するシビアさが、
大いに欠けていると考えねばならない。

故渥美俊一先生は、
分配率の概念を重視した。

粗利益に占める経費の割合。
そのなかで、粗利益に対する不動産費・設備費を、
「不動産分配率」という。

それは25%未満を目指すべきで、
理想は18%と指導した。
イオンの岡田卓也名誉会長は、
例えばヤオハンやマイカルの再建にあたって、
その企業特有のミッションを再確認したうえで、
経営的にはまず、
不動産費や賃貸料を下げる交渉から始めさせた。

ここには商売に対するひたむきさがある。

この美しい秋に、
商売は厳しさを増す。

不動産分配率に鈍感な商売があるとしたら、
これは厳重に戒めねばならない。

<結城義晴>

2012年10月16日(火曜日)

我儘個人消費と賢い全体消費、伊藤園大陳コンテスト1店の努力

日経新聞の経済コラム『大機小機』
今日はコラムニスト無垢氏。
タイトルは「日中はEU60年に学べ」

このコラムの発想の発端は、
欧州連合(EU)のノーベル平和賞受賞。

ノーベル賞委員会もすごいことを考える。
まことに時宜を得た選だ。

授賞理由は、
「その60年の歩みが欧州の平和と和解、
民主主義と人権の促進に貢献した」こと。

ユーロ危機は世界経済を揺るがしている。

しかしだからこそ、
「EUの進展が再評価された意味は大きい」

コラムニストはこのEUの在り様を、
東アジアに求める。

「いま日中に求められるのは、
東アジアの平和と繁栄に貢献する大構想である」

EUは2000年前に、
ローマのユリウス・カエサルが、
その大構想をつくった。

「日中は偏狭なナショナリズム(国家主義)を超えて和解し、
世界経済危機を防ぐ共同責任を担っている」

何でもかんでも欧米をお手本にする必要はない。
だがフランスとドイツは、
ひどく仲が悪いにもかかわらず、
その両国がEUを引っ張る。

共通する世界観と歴史観がそれをさせている。
それがヨーロッパ全体の教養であり、
知性だと、私は思う。

平和の前には、偏狭な国家主義は、
しっぽを巻いて去ってゆくに違いない。

日経新聞編集委員・田中陽さんのコラム。
「 自殺者とモヤシに見るニッポン」

私が尊敬する流通の専門家。
日本の経済現況を三つのデータから読み解く。

第1は、自殺者の数。
「1~9月の累計自殺者は2万1115人、
前年同期比で11.6%減」

不思議な現象。

「このままいけば今年の自殺者数は1997年以来、
15年ぶりに3万人を下回る」

社会全体でみれば、素晴らしいことが起こっている。
この現象は、雇用促進が大きな理由となっている。
それは経済環境が好ましい傾向であることを示している。

第2が、モヤシの消費量。
「景気悪化で節約志向が強まると、
支出額が増加するとされる」

それはモヤシが「安価で栄養価が高いため」

そのモヤシの家計調査支出額。
「8月まで3カ月連続で前年同月を下回った。
8月は75円で同11.8%も減少」
みなさんの店ではどうだろうか。

「この金額は景気拡大期だった2007年8月以来の低い水準」

モヤシだけ取ってみれば、
ここから考察する現象も、
好景気への転換をイメージさせる。

第3に、「海外旅行などによる出国者数」。
「1~8月の累計で1252万人で前年同期比15.1%増。
00年の過去最高(1781万人)突破も視野に入る」

小売業は売れないけれど、
顧客は、金を使っている。

これは決して、今に始まった賢い消費ではない。
顧客一人ひとりの消費は、
リアリティに基づいているからこそ、わがままである。

だから個人的な消費を、
一つひとつ見ると矛盾に満ちている。

しかし、全体でみると、
これまでも、これからも、
絶対的に賢い消費である。
合理性に基づいている。

馬鹿な消費をする者など、
ほんの一握りだ。

自分に照らし合わせてみると、
それは明白だ。

だから全体では極めて賢い消費となる。
英語で「smart」という。

今さらそれを、繰り返すまでもない。

その個別の消費と全体の消費を見定めるのが、
マーケッターの仕事となり、
マーケッターは個別のデータと全体のデータを、
見比べながら分析し、判断する。

優れたマーケッターたちは、だから、
感覚だけで、「私はこうだと思う」とは言わない。

根拠なしに、思いつきや、気づきだけで、
「こうだろう」と断言する文言は、
信用できない。

日経・田中さんのコラムは、
好ましい状況を示しておいて、
9月の景気ウオッチャー調査と持ち出す。

旅行者数の減少、
新車販売の減速、
消費税率引き上げ決定。
すなわち景気の先行き不透明感は、
厳然として存在する。

そして田中さんの結論。
「目先は内憂外患のニッポンだが、
長期で見ると明るい数字はある」

オチはこの一文。
「でもそんな『もやしっ子』はいらない」

座布団三枚。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

明日への希望は、
自らつくることができる。

田中さんのようなコラム。
自らつくる希望につながる。

私のブログも、
そうありたいと毎日書いている。

今日は朝から、西新宿の㈱伊藤園本社へ。

今夏の伊藤園大陳コンテストの審査会。

会場に着いてみると、
予備審査を通った選りすぐりの写真がズラリと並べられている。
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応募状況の説明を受けたあと、さっそく、
各賞ごとに厳正な審査が行われる。
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大賞を決める段階では、
ディスカッションが展開される。
その風景をカメラマンが撮影。
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今回、私の目をひいたのがこれ。
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「野菜飲料無人店舗販売」をコーナー化した作品。
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こちらの売場はその進化型。
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伊藤園の営業マンが仕掛けたのかもしれないが、
セルフの売場で「無人店舗販売」。
いま、受けている。

1時間半ほどの審査を終えて、
入賞作品、大賞、企業賞が決定。

楽しみにしていてください。
ご連絡が届きます。

最後に、いつものように、
掲載誌『食品商業』の誌面のための記念撮影。

「商品の高さを合わせてください」
カメラマンからの指示。

全員が一番右の斎藤昭一専務の手元にあわせる。
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このブログでは、審査会スタッフ全員で記念撮影。
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前列の若手は、やや、緊張気味か。

最後に、小川安弘さんと二人。
広域CVS営業本部販売促進部部長。
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皆さん、お疲れさまでした。

そしていつものように、
江島祥仁副社長の部屋で懇談。
話題は、全国のスーパーマーケットの動向から、
アメリカ流通の話題まで。

この時間が、とても楽しい。

今回は、斎藤専務も同席いただいた。
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左は商人舎エグゼクティブプロデューサー松井康彦。
こうしたメーカーの大陳コンテストを通し、
小売業は売り込みに積極的になる。

陳列スキルの向上も大事だが、
その売りの姿勢が、何よりもよろしい。

環境や状況は厳しい。
しかし、長い目で見ると、
自殺者数、モヤシ消費数、海外渡航者数、
いい数値が出ている。

小売業、サービス業の消費活性化努力は、
現下の厳しい状況を打破する力を持つ。

1社ごとの、1店ごとの、一人ひとりの、
ひたむきな仕事ぶりが、
大きな全体の消費傾向を転換させる。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

小売りサービス業は、その先端に立って、
日本の国を引っ張っている。
東アジアを先導している。

私は、そう信じている。

1社ごとの、1店ごとの、
一人ひとりの、
ひたむきな仕事ぶり。

何より貴重なことだ。

私は、信じている。

<結城義晴>

2012年10月15日(月曜日)

「いい季節」「いいことばかりではない」「お客という名の友人をつくろう」

Everybody! Good Monday!
[2012 vol 42]

2012年第42週。
10月の第3週。

「いい季節です」

毎朝のように、つぶやく。
「いい季節です」

そうすると活力が湧いてくる。

このいい季節には、
独特の匂いがある。

時間が過ぎていくのが惜しいような、
もうすぐ寒くなってしまうのが悲しいような、
そんな気分が鼻につく、
そして胸に迫る。

1年のライフサイクルの中のとてもいい季節だけれど、
それがあとわずかでなくなってしまう。

そんな時を大事に大事に、生きていきたい。

きれいなものをみたり、
美味しいものを食べたり、
たのしいことをしたり、
そんなことがなくても、
いい季節というだけで、
この時がいとおしい。

商人舎ホームページの人気ブログ、
「常盤勝美の2週間天気予報」では、
「南西諸島には台風21号が停滞し続けている」と報じる。

「本来ならこの台風21号、
もっと早めに東に進み始める予定だったが、
東側に別の台風22号が発生し、
こちらが先に日本の南を東進するため、
一旦足止めとなっている」

台風を見ず眼をつむる農夫われ
〈日経俳壇より 石岡・植木緑愁〉

農業をやっている人は、
台風被害が恐ろしい。
だから台風は見ないまま、
目をつむる。

いい季節だけれど、
台風はやってくる。

いいことばかりではない。

それを秋真っ只中のいい季節と、
その反動のような台風が、
私たちに教えてくれる。

いいことばかりではない。

さて、商人舎ホームページの巻頭告知。
「第2回ミドルマネジメント研修会」
大好評・募集中。

5月の第1回ミドルマネジメント研修会には、
お陰様で、多くの賛辞をいただきました。

そして多くの参加企業から、
第2回もご参加・お申込みいただいています。

しかし第1回がちょっと観念的であったことを反省し、
もっともっと具体的・実践的な内容を充実させることにしました。

リーダーシップ、
コミュニケーション、
チームワーク。

この3ポイントについては、
小売りサービス業・消費産業のミドルマネジメントとして、
必須の内容を、より丁寧に講義することにしました。

また、11月中旬の開催ということもあって、
鈴木哲男先生に特にお願いして、
緊急特別講座。
「2012年末年始直前対策」
を、語っていただきます。

もちろん鈴木先生の52週マーチャンダイジング、
ストアコンパリゾンの方法、
高野保男先生の作業問題とレイバースケジューリング、
白部和孝先生の数値と計数で現場を改革する考え方など、
第1回の人気講座はパワーアップしてお届けします。

ドラッカーの分身・上田惇生先生は、
満を持して、講義をしてくださいます。

そして結城義晴はますます元気を提供します。

ミドルマネジメントに仕事の作法を教授し、
その背中を押してあげる研修会。

それが商人舎第2回ミドルマネジメント研修会です。
11月13日〈火〉14日〈水〉15日〈木〉、
静岡県湯河原で完全合宿制。

ふるって、ご参加ください。

さて今月の商人舎標語は、
「お客という名の友人をつくろう」
今週は、その絶好機。

毎日、朝から晩まで、
お客という名の友人をつくろう。

商品を提供し、
サービスを施す。
その過程のなかで、
顧客と友人になる。

毎日はそのくりかえし、繰り返し。

一番いい季節には、
お客さまは気分がいい。

私たちも気分がいい。

そんな時には、
友だちをつくりたくなる。

最初は一人ひとりの名前を、
覚えるなんてことはしなくてもいい。
しかし、何だかあの店は感じがいい。
そう思っていただけるだけで、
「顧客友人化」の仕事は、
半分は成功している。

あとは友だち宣言をし合うだけ。
そこまで持っていこう。

それが今週の、私たちの仕事の目標。

「お客という名の友人をつくろう」
それが月末10月31日のハロウィンに活きる。
2012年の年末年始商戦で爆発する。

さて今週の私は、
今日夕方から立教大学大学院で、
サービスマーケティングの講義。

明日火曜日は午前中、
東京清水橋の伊藤園本社。
「伊藤園大陳コンテスト審査委員会」。

明後日水曜日は、お台場で、
全日食躍進チェーン大会。

木曜日は大阪で、
日清オイリオ政策発表会で記念講演。

金曜日は立教大学ビジネス研究科委員会のあと、
夕方から、特別公開講座
「中小企業のビジネスデザイン~中小企業とブランド戦略」
第3回目の講座に出講。

これはビジネスデザイン研究科主催、
大同生命株式会社寄附講座。

18:30~20:45まで、
池袋キャンパス 8号館2階 8202教室
対象者は、中小企業の経営者、
中小企業の支援に関わる団体の方、
中小企業のブランド戦略に関心のある方、
本学学生、教職員、校友など。

まず18:30~19:30は高岡美佳経営学部教授で、
「中小企業のCSRブランディング」

19:45~20:45は結城義晴で、
「中小小売流通業のサービス戦略」

コーディネーターは亀川雅人教授。

もう締め切りは終っていて、
満席状態。

そして土曜日は立教・結城ゼミ。

来週月曜日からの米国出張を控えて、
ちょっと余裕のある週のはずだが、
けっこう重要案件が入っている。

がんばるぞ! と心を引き締める。

さて、丸谷才一さんが亡くなった。
87歳だった。
作家・評論家、文化勲章受章者。
代表作のひとつ『たった一人の反乱』。
戦後日本文学に対する自分の立ち位置を示した。

私は「たった一人の朝礼」というタイトルを、
丸谷さんからいただいた。

『裏声で歌へ君が代』も鋭くて勇気ある本だった。

日本語と日本語の文章について、
啓蒙的な文章を書いて、
それは私たちが忘れてはならないことを示唆していた。

「文学で大切なのは
個人の才能とか時代精神とかではなく、
むしろ伝統である」

(「日本文学史早わかり」文 庫あとがき)

こう言い切れるところが、いい。

これまでに人を殺したことはない
知らずにゐるのかもしれないが

〈日経歌壇より 仙台・岩間啓二〉

これも、いい。

一番いい季節の1週間が始まった。

「お客という名の友人をつくろう」

みなさん、
Good Monday!

<結城義晴>

2012年10月14日(日曜日)

ジジと秋の花[日曜版2012vol42]

こんにちは。
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ジジです。
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秋です。

色づく秋です。
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おうちのなかにも、
秋がやってきました。
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うま。
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ガラスのうま。
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ものおもいに、ふける。
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ベランダをながめる。
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秋です。
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お花がさいています。
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ケイトウでしょうか。
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赤い花。
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ボクお花、
すきです。
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夏からさいてるセンニチコウ。
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アメリカン・ブルー。
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赤や青の花々。
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きのうやってきたビオラ。
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そしてあわいピンクの花。
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ペンタス。
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ボクもだんだん、
そとにでたくなった。
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はなやか。
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にぎやか。
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ボクはきめました。
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そとをサンポしようと。
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たとえば犬のように。

そうしなければ、
秋の花をたのしめない。

「うごきなはれ」
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元コクレンのニシミズさんも、
いいました。

「うごきなはれ」

みなさんも、どうぞ。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2012年10月13日(土曜日)

2014年までの「景気変調」と価格比較アプリの「価格透明化現象」

日経新聞コラム『大機小機』のコラムニスト隅田川氏。
「景気の変調」を語る。

ESPフォーキャスト調査は、
約40人の第一線エコノミストの今後の経済見通しを、
平均値(コンセンサス)化する。

第1は、来年再来年の景気変動。
来年の2013年度の後半からは成長率が高まり、
再来年2014年1~3月期には4.3%。
そして2014年度前半に、「その反動減が表れる」。

2014年4月には消費税率の引き上げが予定されている。
その前の駆け込み需要が、節目となる。

この2年後までの推移、
頭に入れておくべきことだ。

第2は、「景気が転換点を過ぎた」こと。
つまり「日本の景気は、既に後退局面入り」していて、
現在の足踏み状況は一時的で、
13年度後半に一時的に盛り返した後、
14年度に入ってから失速する。

私が信じるコラムニストのこの推移予想。
こうなる「可能性が高い」とする。

消費税導入以前、以後、
全体の基本の流れ。
頭に刻み込んでおきたい。

今日も、基本的にさわやかな秋の日。
朝から東京・池袋の立教大学。
結城ゼミは修士論文執筆の佳境に入っている。

一人ひとり、研究の進捗状況の報告をしてもらって、
調査の内容と実施に関して、
具体的な問題点をディスカッションする。

その後、今年のイヤーブックの写真撮影。

立教のキャンパスは、ほんとうに気分がいい。
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空を見上げると、
景気の変動など、
どうでもいい気になる。
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立教の象徴・本館前では、
クラスやゼミ、サークルの写真撮影が行われている。
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そして第4期結城ゼミの面々。
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右から、香川浩一郎、武藤麻代、
松井亮一、大塚英里、内田憲一郎。

これから1カ月が大事なとき。

私は再来週からアメリカにいっているが、
その私が不在のときの研究の進捗が、
各々の成果を決める。

頑張ってほしい。
心からそう願う。

さて昨日の日経新聞の大事な記事の解説、第2弾。

『消費』欄に掲載された短いヨドバシカメラの記事。
「店で堂々、ネットと価格比較」

ヨドバシカメラが全店でこの10月9日に、
全店導入した新サービス。

「商品と併せて表示したバーコードに
専用アプリをダウンロードしたスマートフォンをかざすと、
ライバル企業のネット通販や価格比較サイトで、
同一商品の売価を確認できる」。

これを「価格透明化現象」と呼ぶ。

ヨドバシカメラは、
価格比較の専用アプリを開発。
「バーコードを表示したカードで通販サイトへの接続を勧め、
ネット上の価格が店頭より低い場合は、
『今すぐ店員までお知らせ下さい』と呼びかけている」

これで店頭において、
他店や他のネット販売との価格比較が可能となる。

これまで顧客は、
事前にチラシやインターネットで、
価格比較をしてから買い物に出かけた。

しかし現在のアメリカでは、
スマートフォンでバーコード・スキャンし、
店頭で価格比較アプリを使用しながら、
買い物する頻度が高まる。

アメリカでは、スマートフォンのGPS機能と連動、
10キロ圏内の低価格販売店舗を調べることができる。

例えば価格比較アプリ「Shop Savvy」は、
まず第1に、アプリを起動し、
第2に店頭の商品バーコードをスキャンすると、
第3に最寄りの最安値と店舗が表示される。

この仕組みに似たサービスが、
ヨドバシカメラで始まった。

このスマホとアプリによる店頭価格比較は、
衝撃的なスピードで広がるに違いない。

それに応じた新たな価格j戦術やサービスアイデアも、
次々に考案されるはずだ。

その結果、これも私の今年の予想だが、
「価格意識は格段に高まる」。
2011年末段階で、
スマートフォンの世界出荷台数は、
4億9140万台。

2012年4月現在、
日本国内のスマートフォン普及率は23.6%。

内訳は、男性が61.1%で女性が38.9%だが、
女性に広がるにしたがって、
食料品・日用品などの購買への活用度が増える。

アメリカでは、小売業界の携帯用アプリ開発が活発だ。

マイヤー(Meijer)のハイパーマーケットは、
店内マップ検索アプリで10万点以上の商品を探すことができる。

ウォルマートはロールバック・アイテムの検索が可能だ。
ターゲットは、バーコードスキャナー機能を開発、
ホールフーズはレシピ検索ができるようにしている。

日経『消費欄』の短い記事は、
これからの日本の買い物の変化を予見させるし、
価格透明化現象の前のアプリ開発の必要性を認識させる。

そして「価格コンシャス」が高まった時の、
価格戦略の重要性を私たちに教えてくれる。

景気変動の推移と、
国民の価格意識の高まり、
そしてソーシャルネットワークの普及は、
小手先や物真似の売価操作テクニックを
無力にする。

もちろん、価格がすべてではない。

ノンコモディティ商品の開発が、
その時のサバイバル戦略であることは、
変わらないから、ご安心を。

ただしコモディティ商品は、
このトレンドから逃れることはできない。

良い週末を。

<結城義晴>

2012年10月12日(金曜日)

イオンの競争的ブランド「トップバリュベストプライス」倍増の意味

日本の秋は、いいなあ。

心底からそう思う日だ。

横浜の商人舎オフィスへの川沿いの遊歩道。
新田間川の川面も、横浜駅西口のビルも上空も、
いいなあ。
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午前中は機関誌の原稿書き。

「応援団長の辛口時評」
今回は、ほんとうに辛口だった。

午後は、来客。
末次賢一(kenichi Suenami)さん。
そして、江藤悦子さん。
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末次さんは、イオン㈱アセアン事業最高経営責任者付。
江藤さんは、同じく、
グループ人材育成部人材開発グループマネージャーから、
アセアン事業部へ転任したばかり。

これまた本当に偶然なことに、
私と末次さんは、ピンクのシャツに紺ブレのお揃い。

中年の漫才コンビと、
その辣腕マネージャーのような写真となった。

末次さんとはイオンの広報担当として、
長い長いお付き合い。

その末次さんはいま、
マレーシア事業の中核となって仕事している。
そのご報告といろいろな情報交換。

私はもう、8年になるが、
イオン環境財団の植樹で、
マレーシアを訪れた。

その後、ずいぶん変わったが、
イオンは30カ所の店舗やショッピングセンターを展開していて、
マーケット・シェア第3位をカルフールと争っている。

第1位はデイリーファーム社のジャイアント。
ハイパーマーケット業態。

第2位は、テスコ。
こちらも主にハイパーマーケット。

さらにハイパーマーケットのカルフールと、
イオンは激戦を繰り広げている。

末次さんたちのイオン・マレーシア社は、
そんな中で黒字会社として、
イオンのアセアン事業を牽引している。

私も今年末から来年初、
マレーシアに行きたくなった。

さて今日の日経新聞には、
衝撃的な記事が2本。

第1は一面のイオンの記事。
「イオン、格安PB倍増
食品など600品目、既存品も値下げ」

対象は「トップバリュベストプライス」。

これを「コンペティティブブランド」
あるいは「ファイターブランド」という。

「競争的ブランド・闘争的ブランド」とでも訳すか。
まあ最安値のプライベートブランド。

同等のナショナルブランド(NB)商品より、
なんと4~6割安い。

記事では「標準的なPB」の『トップバリュ』よりも3割安い」とある。
標準的なブランドは「エコノミックブランド」と呼ぶ。

2014年春までに、このコンペティティブブランドを、
現在の300品目から600品目に拡大。

第1弾は100品目。
例えば、1個58円のカップ麺、
4個パック98円のキッチンペーパーなど。

現在販売中のこのブランドは、
11月にさらに約10品目を1~2割の値下げ。
ウォルマートの「ロールバック」と同じ考え方。

食パンは1割安い78円、
4個パックのヨーグルトは2割安い78円。

13年度には600億円規模の売上げ予定で、
これは2011年度の2倍。

私は昨年末から、
今年のトレンド予測のなかに、
「低価格激化」を挙げた。

消費税増税の影響だ。

大和総研の試算。
「消費増税や子ども手当の削減などにより、
2016年の1世帯平均の実質可処分所得は
11年比で5.1%以上減る」。

まあ、今年の明らかな現象だが、
消費増税関連法案が衆院本会議で可決された6月以降、
イオンや西友、マルエツ、ユニー、バローな各社が、
NBの1000品目からのディスカウントを実行。

対応が遅れたダイエーは上半期営業赤字。
慌てて9月下旬、約1700品目のNBを値下げ。

イオンのコンペティティブブランド増強で、
さらに価格競争は激化する。

プライベートブランドには、4種類ある。
第1が標準的なエコノミックブランド。
第2が高品質を狙うクォリティブランド。
第3が、健康・環境コンセプトのライフスタイルブランド。
そして第4が、コンペティティブブランド。

エコノミックブランドは、
NBと同等の品質ながら、
徹底したトレードオフで、
低価格を実現
させる。

コンペティティブブランドは、
NBよりもちょっとだけ、
品質や価値を下げる。

これが意外に、
真空マーケットの場合がある。

すると原材料調達などの面で、
グンと安くなる。

それがコンペティティブブランド。

アメリカのクローガーの「バリュー・ブランド」、
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さらにテスコの「バリュー・ブランド」、
HEBの「ヒルカントリーフェア」などなど、
例は多い。

アルディはすべてを、
このコンペティティブブランドだけで、
品揃えしたフォーマット。

今日の日経一面記事は、
「コンペティティブ・ブランド時代」の到来を、
宣言したものだ。

<結城義晴>

[追伸]
日経のもう一つの衝撃的記事は、
明日、紹介・分析の予定。

2012年10月11日(木曜日)

元世界銀行副総裁西水美恵子「動きなはれ」と上半期決算の教訓

元世界銀行副総裁の西水美恵子さん。
ある人にメールで書いたひと言。

「動きなはれ」

『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭言で、
糸井重里さんがつぶやく。

標準語で言う命令形の「動け」では強すぎる。
だから、関西弁になる。

「このひと言の、
なんとも軽快で深みのあることよ」

糸井さんは言う。
「状況とか、誰に宛ててとか問わずに、
『動きなはれ』だけ、
耳や目から受けとめてみてください」

糸井さん自身、
「じぶんに『動きなはれ』だけ
言ってあげます」

「大きな意味にとらえて
世界に向けて羽ばたいたっていい。
からだがなまってるな、
と散歩に出かけてもいい。
とにもかくにも、世も、人も、
動いているものだ‥‥。
じっとして考えこんでいても、
見えてくるものは少ない」

その通り。

「動きなはれ」

さて昨日、帰国の途中、
シカゴ・オヘア空港で、
4時間ほどウェイティング・タイムがあった。

いつものことだが、
書籍と雑誌のコーナーに寄った。
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ちょうど『フォーブス400』が発行されていた。
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『The Forbes 400』
サブタイトルは、
The Richest People In America
いわば「アメリカの長者番付」

それから『Harvard Business Review』の
「Big Data」
これはレジ脇にも陳列されていた。
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そして『Rolling Stone』誌の「ジョン・レノン」特集号。
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4時間もあったので、
アメリカン航空のアドミラルズ・クラブへ。
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コーヒーをもって、ソファを確保。
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そして『フォーブス400』と「ジョン・レノン」の、
ページを開く。
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ジョン・レノンは、懐かしい写真のオンパレード。

一方、『フォーブス』のアメリカ・リッチェストは、今年も、
マイクロソフトのビル・ゲイツ(56歳)。
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自己資産660億ドル。

第2位は、投資家のウォーレン・バフェット(82歳)。
460億ドル。

第3位は、オラクルのラリー・エリソン(68歳)。
マイクロソフト、IBMに次ぐ第3位のIT企業の創設者でCEO。
自己資産410億ドル。

第4位と第5位はコーク・インダストリ-の兄弟二人。

そして第6位から第9位までに、
ウォルトン・ファミリーが並ぶ。
20121011181029.jpg
6位はクリスティ・ウォルトン&ファミリー、
7位、ジム・ウォルトン、
8位、アリス・ウォルトン、
そして第9位に、ロブソン・ウォルトン。

全員がサム・ウォルトンの相続人。
息子の嫁、息子、娘。

ウォルマートの凄さが、
ここに出ている。

そしてこの4人の自己資産を足し算すると、
1071億ドルとなって、
ビル・ゲイツを抜いてしまう。

小売業では、この後の50位に、
チャールズ・バットが出てくる。
テキサスのスーパーマーケットHEBのCEO。
自己資産69億ドル。

インディペンデント・スーパーマーケットのトップが、
小売業ではウォルトン・ファミリーに次ぐ。

ちなみに42位にピエール・オミダイア(45歳)が入る。
オンライン・リテールeBayの創業者で会長。
フランス生まれのイラン人。
82億ドル。

私はこういったアメリカンドリームを、
おおいに讃えたい。

サム・ウォルトンは、
亡くなる直前の1992年に、
大統領自由勲章を授けられた。

ジョージ・ブッシュ大統領から、
「まさにアメリカン・ドリーム」と賛辞を贈られたが、
それを目指す若い経営者が、
次々に登場してくるのが、
アメリカ社会だ。

小売業、サービス業に従事する若い人たちが、
例えばサム・ウォルトンを目指すのは、
社会に貢献することとイコールだと考えている。
そんな人たちがもっともっと、出てきていい。

さて、世知辛い話だが、
日経新聞の「小売り上期決算」の記事。
タイトルは、「快走コンビニに陰り」
それから「消費の変調にじむ」と続く。
「スーパー、値下げも効果薄く」
長いけれどこれがタイトル。

タイトルで全部、言い切る。
しかし、個別の数値こそ、
真実を表わしている。

まず3~8月期のコンビニ。
セブン-イレブン・ジャパンは1000億円で、
プラス3%の営業利益過去最高。
しかし、第2四半期の6~8月は、
「既存店売上高が前年同期比ほぼ横ばい」。

ローソンもプラス5%の342億円で、
経常利益過去最高。
ただ6月以降の既存店売上高は、
前年同月比マイナス。

新浪剛史社長のコメント。
「消費増税などが消費者心理に影響を与えており、
足元の売り上げは厳しい」。

今期末決算までの既存店売上高の予想を、
「前期比1.0%増から0.5%増に下方修正」。

百貨店の連結経常利益は、
Jフロントリテイリングが43%増の110億円。
髙島屋は9%アップの117億円。
ただし直近の営業トレンドに関して、
高島屋鈴木弘治社長のコメント。
「客単価は横ばいだが購入頻度が減っている」

セブン&アイ・ホールディングスは、
1471億円のマイナス2%。

この中にセブン-イレブンの1000億円が包含されているから、
他の業態で471億円。

特にイトーヨーカ堂の営業利益は9割減。
セブン&アイ村田紀敏社長のコメントが注目される。
「期初は販促イベントを打つと、
反応が良かったのだが……」

記事は「消費が弱含んできた」と総括する。

このセブン&アイの営業トレンドがおそらく、
日本全体の小売サービス業の潮流とみてよいだろう。

あなたの会社は、これに比べていかが?

ユニーは経常利益201億円の、
マイナス11%。

ダイエーは、経常赤字20億円。
ダイエー桑原道夫社長、
「価格競争が激しくなっている」

マルエツは、マイナス62%の14億円。
既存店売上高は5%減。
客単価下落幅は第1四半期0.9%減、
第2四半期2.1%減。

マルエツは6月から、
売れ筋商品1400品目を値下げ。
しかし効果は薄く、
利益を食っただけだった。

一方、しまむらと良品計画は好調。
しまむらは経常利益225億円で、
プラス13%。

良品計画は97億円で33%増。

前者は「吸水速乾の機能性肌着など夏物衣料の販売が好調」。
後者は「素材にこだわった衣料品が人気」。

総括すると、
単なる特売や値引き、普通の販促は、
むしろ利益に対して、
明らかなマイナス効果しかない。

消費はシビアになっていて、
だからストレートな反応が見られる。

仕組みで創り出す商品や、
仕組みで生み出すアソートメント、
仕組みで継続する低価格。

それは取引先と一体となった活動からしか生まれない。

いかにメーカー、問屋と、
Win-Winの関係を、
構築できるかにかかっている。

その意味で、
西水さんの「動きなはれ」は、
ベーシックな取引関係づくりへと、
「動け」ということになる。

<結城義晴>

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