結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年08月05日(土曜日)

糸井重里の「近景・遠景」と岡田元也の「システムズアプローチ」

台風5号が九州に接近している。
すでにその影響によって、
九州南部と奄美地方は大荒れの天気。

この5号は「強い台風」

台風には大きさと強さがある。
「強い台風」は、10分間平均風速が、
秒速33m以上~44m未満のもの。

このブログの【猫の目博物誌】は、
昨年8月28日版で、
「台風」を解説した。

さて昨日の商人舎流通Supernews。
本年度第1四半期や上半期の決算を、
このところ次々と報告している。
昨日は各業態トップ企業や、
ビールメーカーの両雄など、
面白い決算発表だった。

まず、ビールメーカー2社は、
上半期で完全な明暗。

キリンnews|
上半期は売上高9617億円の4.6%減収・営業35.7%減益

アサヒグループnews|
上半期は酒・飲料堅調で売上2割/営業利益34%増

キリンが減収減益、
アサヒグループが増収増益。

営業利益に関しては、
キリンがマイナス35.7%、
アサヒがプラス34.0%。

キリンの海外事業が足を引っ張った。
国際企業となってくると、
海外は予想外の事件が起こりやすい。

三越伊勢丹news|
第1Qは2966億円の微増ながら営業・経常利益二桁増

大西洋社長が退任した後、
百貨店の収益性は少し戻って、
売上高は前年第1四半期比2.0%減ながら、
営業利益は38.8%増と少し回復。

何より重要な基幹店が、
それぞれの店の方向性を明確化して、
同時に徹底したコストコントロール。
百貨店は総合スーパー以上に、
STPマーケティングを綿密に。

支店、地域百貨店、海外店は、
三越千葉店、三越多摩センター店を、
3月をもって閉鎖。

もっともっとやっていい。

中小型店舗「イセタンミラー」は、
首都圏を中心に14店舗展開。
一定の収益モデルが確立されつつある。

編集型小型店「エムアイプラザ」は、
全国に29店舗を展開中だが、
新規案件は原則凍結、
不採算店舗のスクラップ&ビルド。

これもいいだろう。

何よりも優先すべきは、
ブランド価値を高めること。

それ以外は収益性中心で判断する。

家電チェーンの第1位と第4位。
ヤマダ電機news|
第1Q売上高3657億円も新事業経費増で26%経常減益

エディオンnews|
第1Qは売上高1500億円2.0%減・出店経費増で大幅減益

どちらも減益で、この業界は低迷期。

スーパーマーケット。
アクシアルnews|
第1Qは560億円1.4%増も既存店客数減/経常8.7%減

全国的に増収減益のトレンド。
新潟と北関東のアクシアルも、
その典型的なトレンドを示した。

しかしそれでもスーパーマーケットは、
安定した商売だということがよくわかる。

ホームセンター第7位企業の本決算。
ジョイフル本田news|
17年6月期は売上高減・経常利益10%減・経常率5.2%

減収減益ながら、
経常利益は5.2%を確保している。

そしてスポーツ用品小売業は、
比較的に順調。
ゼビオnews|
第1Qはスポーツ好調・衣料不調も経常利益27%増

アメリカではスポーツ用品チェーンも、
アパレルの売上げ動向によって、
収益性にバラつきが出る。

日本ではこの分野に、
UNIQLOが力を入れて、
だから他のスポーツアパレルは不調。

そのほかに昨日のSuperNewsは、
ユニーとイオンモール。

ユニーnews|
シニア向け「片づけ整理サービス」アピタ5店舗に導入

イオンモールnews|
幕張新都心で「Pepper」とAIによる接客実証実験開始

(株)商人舎の全力を挙げて、
日々のニュースを追いかける。

もちろん私も、
それらのディテールに目を通して、
そこから産業を見つめる。

Retail is Detail.

その重要性を痛感する。

しかし同時にもうひとつ。
重要な視点がある。

久しぶりに「ほぼ日」
糸井重里の巻頭エッセイ。

糸井なりの事業の展開方法。
「それは、
遠くに見える景色を

くっきりさせること」

「距離に合わせて、
近景、中景、遠景とあったとき、
いちばん遠い景色が見えるまでは、
なんとなく計画に
わくわくする感じが見えてこない」

近景、つまり近い視野の景色が、
まず見える。

それから中景が見えてくる。
中くらいの視野の景色だ。

そのあとで、やっと遠景が見えてくる。
この遠くの景色が見え始めてから、
わくわくが高まってくる。

糸井は述懐する。
「たぶん、その遠景を
『ビジョンと呼ぶのだろうと思う」

近景、中景、遠景。
DSCN7865.JPG7

しかしディテールは近景だ。
近景から始まる。

必死で見ていると、
そこから中景が浮き上がって来て、
さらに遠景まで見えるようになる。

今週のWeekly商人舎。
イオン(株)社長 岡田元也独白。
いま、イオンは将来計画をつくっている。

3年後、5年後、
そして10年後の計画をつくる。

この10年後の計画が、
糸井の言う「遠景」である。

そして遠景が見えたら今度は、
そこから現在を見定めて、
実行計画をつくる。
つまり中景、近景を描き出す。

岡田さんはこの遠景を描き、
中景、近景の計画づくりの際に、
「忍耐」が必要だと言った。

そして実行の段階で、
厳密さが求められるとも。

これまではその逆で、
計画段階で厳密さを求めたために、
実行段階で忍耐を要した。

今回はその反対の回路を志向する。
これを「システムズアプローチ」という。

ディテールは大事だ。
そしてビジョンも欠かせない。

私の言い方をすれば、
虫の目と鳥の目・魚の目。

ただし人間は、
どうしても目の前しか見ない。
「近景」しか見えない。

だから「遠景」を見る、
そんな習慣をつけることだ。
近景から中景を通して、
遠景を見る訓練をすることだ。

遠景を見ながら、
よい週末を。

〈結城義晴〉

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