結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年08月10日(金曜日)

商人舎8月号「Political Merchants」と安斎隆の「これはと思う人」

月刊商人舎8月号、本日発刊!!

[特集]
我ら、ポリティカル・マーチャンツ!
小売サービス業の協会・団体における「数の論理」の研究
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[Cover Message]

ゴドフリー・レブハー著『チェーンストア』、1964年商業界刊。世界最大の消費大国・アメリカ合衆国。その消費大国を支えるチェーンストアの成長の要因の一つが「彼らの仲間の団体活動が効果的であること」とレブハーは指摘した。すなわち、彼の国の小売業者がポリティカル・マーチャントであったことを記述している。商人は「政治と宗教」に手を出すな。誰が、いつ、どこで、なぜ、言い始めたのか。定かではない。しかし、ずっと言い伝えられてきたことだ。そして日本の商人は聞き分けのいい、物言わぬ羊の群れとなった。清水信次を例外として。だが、2018年の今、日本の商業の世界に、清水に次ぐポリティカル・マーチャンツが続々と登場している。10%への消費増税を控えているからか。働き方改革と人手不足、さらに超高齢社会という難問が立ちはだかっているからか。基幹産業としての自覚が公然化してきたからか。小濵裕正、川野幸夫、小川賢太郎、そして故・宗像守。我らがポリティカル・マーチャンツ。政商では断じてない。しかし政治という「数の論理」の世界に知見を有するリーダーたち。大いに語ってもらおう。

[Contents]
mokuji

[Message of August]
この指とまれ!

[特集のまえがき]――結城義晴
米国Poltical Merchantsの研究
チェーンストア排斥運動との闘争の歴史とNRF・FMIに学ぶ

[特別対談][日本チェーンストア協会会長]
小濵裕正+結城義晴
「ロマンとミッション」がポリティカル・マーチャントの原動力となる!!

[日本スーパーマーケット協会会長]
川野幸夫の「変容」――結城義晴
焦点を絞って実践躬行するヤオコー経営と同期してきた!!

[国民生活産業・消費者団体連合会会長]
小川賢太郎の「檄」
「財政の見える化」と「人的鎖国からの脱却」で斬り込む!

[日本チェーンドラッグストア協会初代事務総長]
ポリティカル・マーチャント宗像守論
ドラッグストア産業の基盤をつくり薬事法改正を成し遂げた男の軌跡

ずっと考えていた特集が実現しました。
まだまだ序の口ですが。

ポリティカル・マーチャントは、
もちろん政治家ではありません。
いわゆる「政商」であるはずもありません。

自分の仕事、自分の会社の実績は、
文句なくエクセレント。

そのうえで産業全体を俯瞰し、
顧客のために、社会のために、
人々をまとめていくことができる。

それがポリティカル・マーチャントです。

小濵裕正さん、川野幸夫さん、
小川賢太郎さん、そして宗像守さん。
インタビューや評伝を熟読してください。
ご愛読をお願いしておきます。

さて、今日は商人舎web会議。
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Web版月刊商人舎がリニューアルして、
その途中経過を検討した。

みなさん、ありがとう。

さて商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
第1Q営業収益1053億円4.5%・経常利益4.9%の増収増益

(株)ヤオコーの第1四半期決算は、
営業収益1053億円/前年同期比4.5%増、
営業利益52億2800万円/4.9%増、
経常利益51億4600万円/4.9%増。

営業利益率は4.96%、
経常利益率も4.89%。

昨日もこのブログで書いたけれど、
4月・5月は業界全体が、
深刻なほどの消費の冷え込みに包まれた。

その中でも増収増益。

ヤオコーは第9次中期経営計画の、
「ヤオコーウェイの確立」に邁進する。

マツキヨnews|
第1Q売上高1445億円2.5%・経常利益12.8%の増収増益

(株)マツモトキヨシの第1四半期決算は、
売上高1445億6400万円/前年同期比5.2%増、
営業利益93億1800万円/13.5%増、
経常利益99億7900万円/12.8%増。

第1四半期で過去最高。

営業利益率6.4%、経常利益率6.9%。
ドラッグストアは全体に良好だったが、
マツモトキヨシは完全回復。

今日の流通スーパーニュースでもう1本。
ローソンnews|
セブン銀行・イオン銀行に次いでローソン銀行9月10日開業

(株)ローソンの子会社(株)ローソン銀行。
銀行業の営業免許を取得した。

セブン銀行、イオン銀行に次ぐ、
小売業三番目の銀行開設。

山下雅史社長は、
日本長期信用銀行、新生銀行出身。

セブン銀行の真似で終わるのか、
ローソン銀行独自のポジショニングを、
築くことができるのか。

そのセブン銀行の安斎隆さんが、
日経新聞「私の履歴書」に登場している。
実質的な創業者で最高顧問。

安斎さんは日本銀行出身。
その第10回。

1974年10月、香港駐在になる。
そして中国系銀行首脳とも親しくなる。

その発言。
「対中国人に限った話ではないが、
自らが誠実でない限り、
信頼関係は築けない」

「自分の考えをぐらつかせず、
嘘をつかずに堂々と行動する。
相手の要求がおかしいと思ったら、
きちんと指摘する」

これも昨日のブログで書いたが、
「諫言の士」の「五諫」に通じる。

ローソン銀行にも、
この安斎さんの考え方は必要だろう。

安斎隆さんは、最後に言う。
「これはと思う人には
何度も会うといい」

すばらしい。
全くの同感。

私は残念ながら、まだ、
安斎さんに会ってはいないけれど。

〈結城義晴〉

2018年08月09日(木曜日)

日本スーパーマーケット第1四半期決算の「三者三様」と「因果応報」

台風一過。横浜の空。IMG_6033.jpg8

みなとみらい。
ランドマークタワー。
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そして帆船日本丸。
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さて商業界流通スーパーニュース。
いなげやnews|
第1四半期営業損失4億円/営業収益621億円で2.4%減

(株)いなげやの第1四半期。
日本中のスーパーマーケットが、
4月・5月の深刻な客数減に悩まされた。

いなげやがその典型。

営業収益は前年同期比2.4%減で、
売上総利益は0.2%減、販管費は3.3%増。
結果、営業損失4億1200万円、
経常損失3億4000万円。

だがこの第1四半期に増収増益の企業もある。

関西スーパーnews|
第1Q営業収益304億円0.5%・経常利益2.4%の増収増益

(株)関西スーパーマーケットは、
前年同期比で営業収益0.5%増、
営業利益0.9%増、経常利益2.4%増。

苦しい状況のなか、よく頑張った。

ただし、営業利益率は0.9%、
経常利益率1.3%。
まだまだです。

バローnews|
営業収益1381億円2.6%増もSM既存店1.3%減響き減益

(株)バローホールディングスは、
同じく営業収益2.6%増、
営業利益2.3%減、経常利益2.2%増。

ただしスーパーマーケット業態は、
1.0%増収、2.8%減益。

ドラッグストア業態は、
7.8%増収、4.0%増益。

ホームセンター業態は、
0.3%減収、8.0%増益。

営業利益率2.9%、経常利益率3.2%。

一昨日のこのブログで書いたが、
アクシアルnews|
第1Q売上高571億円1.2%増/既存店客単価1.7%増

1.2%増収、2.3%営業減益、
1.4%経常減益。
つまりバローと同様に増収減益。

厳しい消費環境の中で、
客数増と販管費削減に努めた結果だ。

営業利益率3.6%、経常利益率3.7%と、
水準は堅持している。

4月・5月のひどく厳しい時期があったが、
上場スーパーマーケットの四半期決算は、
今日まで発表されている限り三者三様。

ただし非上場企業に関しては、
多くがいなげやレベルだったはず。
良くてもアクシアルやバローだった。

厳しい環境のときには、
自分の顧客に奉仕して、
客数増を最大の目標にする。
そして無駄な経費の削減に邁進する。

ピーター・ドラッカー先生が、
事業の定義をしている。
それは3つの要件からなる。
第一は、組織を取り巻く環境である。
第二は、組織の使命すなわち目的である。
第三は、使命を達成するために必要な、
強みについての前提である。

いつでもこの3要件を意識する。
苦しい時には特に、この3要件に戻る。

第1にわが社を取り巻く環境、
第2にわが社特有の使命、
第3にその使命を達成する強み。

いま、そのときだ。

最後に台風の中の妙蓮寺。
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その門前の言葉。
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打つ者は打たれる。
拝む者は拝まれる。
これが因果応報というものだ。

1902年、アメリカで、
JCペニーが創業した。

その店の看板には、
「ゴールデンルール」と書かれていた。
新約聖書マタイ福音書7章12節。

「さらば、すべて
人にせられんと
思うことは、

人にもまた
そのごとくせよ」

JCペニーはその後、
勢いよく成長を続けて、
シアーズ・ローバックに次ぐ、
非食品小売業第2位の企業となった。

打つ者は打たれる。
拝む者は拝まれる。

厳しい時にはこれだ。

〈結城義晴〉

2018年08月08日(水曜日)

トップの行き過ぎに必須の「諫言の士」と孔子の「五諫」

台風13号は、今度は超のろのろ。
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明日9日の昼頃、
東北地方沿岸に抜けそうだ。

今年は台風まで当たり年。

台風14号がすでに、
フィリピンの東に発生している。

しかし台風も大揺れだが、
日本のスポーツ界は、
さらに揺れに揺れている。

日経新聞巻頭コラム「春秋」
日本のスポーツ熱の高まりを、
時系列に明らかにする。

「巨人の星」「アタックNo.1」、
さらに「柔道一直線」などなど。

「昭和の子どもたちを夢中にさせた
“スポ根”の名作の多くは
1960年代後半に世に出ている」

東京五輪は1964年。

金メダルを獲得した「東洋の魔女」。
大松博文監督のスパルタ式猛特訓など、
大いにもてはやされた。

「精神主義や勝利至上主義、
ワンマン指導者への信奉を
社会も受け入れていく」

「勝つためには根性だ。気迫だ。
東京五輪のあの成功体験は
日本人のスポーツ観を決定づけ、
スポーツを科学や合理性から
遠ざけたのである」

私は小学校6年生だったが、
その後のスポーツはやはり、
精神主義と勝利至上主義、
ワンマン指導者などが、
大いに幅を利かせたし、
私も幾分か体験した。

「そんな伝統を受け継いで半世紀。
あちこちの競技団体やチームが
“王国”を築き上げ、
トップの専横を許してきた」

日大アメフト部の悪質タックル、
日本レスリング協会のパワハラ、
そして日本ボクシング連盟会長の疑惑。

私は早稲田大学1年のとき、
体育の授業でボクシングを履修した。
五木寛之の小説『青春の門』に、
モデルとなった教授から教わった。

その後、不正入試問題が発覚して、
週刊誌で叩かれたりしたが、
精神主義ではなかった。

そのアマチュアボクシング界のドン。
「コワモテ」の山根明終身会長が辞任した。山根3無題

「質問は受けず」の記者会見。まね2屋
コラムは指摘する。
「ほかの王様たちも、
安閑としてはいられまい」

日経新聞電子版「経営者ブログ」
丹羽宇一郎さん。
伊藤忠商事元会長、元中国大使。
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「最近のスポーツに関する報道は、
チームを優勝に導いた監督を
“英雄”ともてはやす一方、
ひとたび不祥事が起こると
その人の一から十まで
批判する傾向があります」

マスコミこそポピュリズムの権化だ。
以って自戒とせねばならない。

「人は神様でも
地獄の大王でもありません。
誰にもプラス面とマイナス面があります。
手のひらを返して、すべてを
否定する報道には違和感を覚えます」

「もちろん行き過ぎた
罵倒や暴力は問題外」

「悪い慣行や常識的に見て
おかしいことは正すべきです」

丹羽さんは問題解決の道筋を考える。

「トップの行き過ぎを注意する
“諫言(かんげん)の士”が必要」

トップに対して、
部下の中の信頼の厚い幹部が、
正さなければならない。

「問題だと思うのは、
全てを第三者委員会に頼ること」

スポーツ界に限らない。
政治や経済、政党や会社も同じ。

しかし――。
「トップが暴走してもほとんどの人は
自分に被害が及ぶのを避けるために
黙ってしまいます」

「結果として忖度(そんたく)する部下が、
悪いトップを育て上げるものです」

日大アメフト部も、
レスリング界やボクシング界も、
どうも「諫言の士」がいない印象だ。

「トップはいつも自分はまだ未熟者だと、
反省・自戒する気持ちを持つべきです。
そして、傲岸不遜に陥ることなく、
謙虚に選手や部下に接することが、
この問題の唯一、最大の本道と
言えるでしょう」

丹羽さんは2015年4月8日のブログでも、
「不在だった諫言の士」を書いている。

唐の時代に魏徴(ぎちょう)という人物がいた。
第2代皇帝・太宗(たいそう)に仕えた政治家。

絶対的な主君である太宗に対して、
魏徴は、直言で何度もいさめた。

唐は太宗の時代に国家の基盤を築き、
中国の歴史上、最も栄えた王朝だった。

「諫言の士」が組織には必須だが、
魏徴が仕えた太宗の度量の広さも不可欠。
魏徴を信頼し、重用した。

太宗は「中国の歴史上の名君」と呼ばれる。

日本では徳川家康。
「主人への諫言は1番槍よりも難しい」

岩波文庫の『名将言行録』
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「主人の悪事を見て、
諫言をする家老は、
戦場にて一番鎗を突たるよりも、
遥に増したる心緒(こころね)なるべし」

この「諫言」に関して、
孔子は「諫に五あり云々」と、
述べたと伝えられる。

「五諫」(ごかん)と言われる。

前漢の学者・劉向(りゅうきょう)が、
その著『説苑(ぜいえん)』に書いている。
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第一の「正諫」(せいかん)は、
正面からいさめる。

第二の「降諫」(こうかん)は、
いったん君主の言に従ったうえで、
いさめる。

第三の「忠諫」(ちゅうかん)は、
真心を表していさめる。

第四は「戇諫」(とうかん)。
愚直をもっていさめる。

そして第五は「諷諫」(ふうかん)。
遠まわしにいさめる。

さすが孔子だ。

自分に合った方法でいいと思うし、
相手に合った方法を使うべきだ。

それを見極める英知が求められる。

〈結城義晴〉

2018年08月07日(火曜日)

紀文食品の「正月フォーラム」打ち合わせと「シアーズの三原則」

迷走台風12号が去ったと思ったら、
次は13号が日本列島に接近。
小笠原諸島から関東に向かっている。

それでも立秋。
秋が立つ日。

今日は雨模様の中、
東京・浜松町へ。
㈱紀文食品本社。
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毎年9月初めに開催されるのが、
「紀文お正月フォーラム」
もう、食品業界の風物詩となった観あり。

その打ち合わせ。
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堤裕代表取締役社長。
慶應義塾大学村田昭治ゼミご出身。
そのマーケティング力に期待がかかる。
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そして現場の責任者は、
弓削渉取締役副社長。
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後ろの壁に紀文の「ものづくりの哲学」。

「品質」は
企業にとっての生命線
疑わしきは仕入れせず
疑わしきは製造せず
疑わしきは出荷せず
疑わしきは販売せず

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フォーラムチーム全員で写真。
前列左から飯嶋雄次さん、
弓削さん、國松浩さん、浅香茂さん。
後列は左から林直人さん、堀内慎也さん、
そして野崎理悦さん。 IMG_6013.JPG8
國松さんが常務執行役員営業本部本部長、
飯嶋さんは執行役員副本部長で、
営業企画部部長を兼務する。
浅香さんがその営業企画を担当、
野崎さんが執行役員商品・技術開発室長、
林さんがマーケティング企画課長、
そして堀内さんが商品企画部企画三課長。

今年は9月4日(火)、5日(水)開催。

今年末と来年始の商戦は、
明らかに変わります。

マーケティングの視点で見れば、
激変と言っていいかもしれない。

それを捉えて、提案します。

昨年の正月フォーラムには、
出講できなかった。
そこで昨年はビデオ出演した。

今年は出ます。

おいでください。

帰りに公園のモニュメント。IMG_6014.JPG8
さて、商人舎流通スーパーニュース。
アクシアルnews|
第1Q売上高571億円1.2%増/既存店客単価1.7%増

(株)原信、(株)ナルス、(株)フレッセイ、
3社の持ち株会社。

この3社の連携はとてもいい。
ローカルチェーンが経営統合して、
リージョナルチェーンとなる。

その第1四半期の売上高は、
前年同期比1.2%増の570億7900万円。
4月・5月は深刻なほどの客数減だった。

だからよく頑張った。

その分、利益にはちょっと影響が出た。
あの状況の中、それは構わない。

既存店の実績は、
買上げ点数が前年同期比0.5%増、
1品単価は1.2%増で、客単価も1.7%増。

売上総利益率は25.8%と0.4ポイント増。

これはロジスティックス全体に、
レベルアップを図った。

品切れ削減、店舗在庫の適正化、
そして値下げ廃棄の削減が進んだ。

結果として営業利益は、
20億3700万円(2.3%減)、
経常利益は20億9100万円(1.4%減)。
営業利益率3.6%、経常利益率3.7%。
スーパーマーケットとしては水準をクリア。

よく頑張った。

第2四半期は状況がよくなった。
そこで取り戻したい。

全国のスーパーマーケットにも、
それは言っておきたい。

品切れ削減、
在庫適正化、
値下げ廃棄の削減。

企業の生命線は、
疑わしきは仕入れせず、
疑わしきは製造せず、
疑わしきは出荷せず、
疑わしきは販売せず。

月刊商人舎8月号の私の原稿。
同じようなことを書いた。

アメリカ小売業の歴史。
1886年、あのシアーズの発足。
リチャード・ウォーレン・シアーズが創業。
そこに1887年、
アルバー・ローバックが参加。
1896年、シアーズ・ローバック社開設。

ジュリアス・ローゼンワルドは、
そのシアーズ・ローバック中興の祖。
有名な「小売業の三つの原則」を、
提唱した。

第一に、
仕入価格を下げることにより、
販売価格を下げること。
仕入価格を下げるには、
大量仕入れと現金仕入れをもってすること。
しかし品質は落としてはならない。

第二に、
販売経費を下げることにより、
販売価格を下げること。
商品を生産者から消費者へ
移動させる経費を
絶対的に実現しうる限りの
最小限にまで節減させること。
しかし品質は落としてはならない。

第三は、
一つ一つの品目に関する
利益は少なくして、

しかも販売品目の増加により、
総体の利益を増大させること
しかし品質は落としてはならない。

翻訳は故倉本初夫商業界二代目主幹。
直訳でちょっと読みにくいが、
「原文ママ」。

3つの重要な命題だ。

私はローゼンワールドの第一原則を、
「利は元にあり」と、
言い換えている。

第二原則は「利は内にあり」

第三原則は品揃えと販売の原則だが、
「利は売りにあり」

これに付け加える。
第四原則。
「利はこの品にあり」
商品開発説。

そして第五原則は、
「利は他の品にあり」
マージン・ミックス説。

重要なことは、
5つの原則ごとに、
品質は落としてはならない」
これを繰り返す。

さらに最近は、
第六原則を強調している。
「利は人にあり」

ローゼンワルドの原則は変わらない。
けれどシアーズは現在、惨憺たる状態で、
もう潰れることは間違いない。

やはり「利は人にあり」なのである。

〈結城義晴〉

2018年08月06日(月曜日)

栗原貞子「ヒロシマというとき」とユニクロ柳井vsゾゾ前澤

Everybody! Good Monday!
[2018vol32]

2018年第32週。
8月の第2週に入って、
今日は73回目の広島原爆の日。

昨日、告別式をした私の母が、
広島県西条市の生まれだった。

広島県の中央部だから、
被災はしなかったと思うけれど、
それでも広島に投下された原爆には、
ずっと深い思いを抱いていた。

毎日新聞巻頭コラム「余録」が、
原爆詩人・栗原貞子の作品を取り上げた。
「ヒロシマというとき」

〈ヒロシマ〉というとき
〈ああ ヒロシマ〉と
やさしくこたえてくれるだろうか
〈ヒロシマ〉といえば
〈パール・ハーバー〉
〈ヒロシマ〉といえば
〈南京虐殺〉……

〈ヒロシマ〉といえば
血と炎のこだまが
返って来るのだ

〈ヒロシマ〉といえば
〈ああヒロシマ〉と
やさしくかえってくるためには
捨てた筈の武器を ほんとうに
捨てねばならない……

〈ヒロシマ〉といえば
〈ああヒロシマ〉と
やさしいこたえが
かえって来るためには
わたしたちは
わたしたちの汚れた手を
きよめねばならない――

栗原貞子は32歳のときに、
爆心地の4キロ北の自宅で被爆した。

2005年、92歳で亡くなった。
老衰だった。
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今週は今日6日が広島原爆の日で、
木曜日の9日が長崎原爆の日。
そして来週水曜日の15日が終戦の日。

その間、11日土曜日が盆の入り。
「山の日」の祝日に重なって残念。

盆の明けは、16日。

したがって、
今年一番の帰省日は11日、
今年のUターンピークは、
15日の水曜日となる。

この間、ずっと、
第100回高校野球選手権大会。

一昨日も書いたけれど、
眩しいほどの青春と誰にもやってくる死。
甲子園の熱い地面とそれに落ちる黒い影。
それがこの2週間ほどの季節です。

リニューアルした、
Web版月刊商人舎。
月曜朝一の2週間販促企画。
さて今週の私のスケジュール。
今日は月刊商人舎8月号の最終責了。
明日の7日は、朝一番で、
㈱紀文食品本社へ。

明後日の8日は新名人会の予定だったが、
台風13号が発生していて、
急遽、中止。
そのほうがいいでしょう。

9日の水曜日は、
久しぶりに何もない日。

10日が商人舎web会議。

そして13日から17日まで、
商人舎の夏季休業は1週間。
よろしくお願いします。

この期間は、
ご好評の流通SuperNewsも、
掲載を休みます。

もちろん結城義晴のブログは、
8月宣言はしているものの毎日更新。

さて日経新聞夕刊一面トップ記事。
「ゾゾ前沢氏、ユニクロに挑む」

面白い。

衣料品通販サイト「ゾゾタウン」が躍進中。
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運営するのは㈱スタートトゥデイ社長。
前澤友作。
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アパレル業界の常識を次々に覆してきた。

今年1月からプライベートブランドを発売。
ブランド名は「ZOZO」(ゾゾ)。
そのジーンズ。

コンセプトは、
「ジャストサイズの洋服を提供し、
自らも在庫負担を減らす
新たなビジネスモデルを目指す」

体形をトレースする採寸服が、
「ゾゾスーツ」
黒地に無数の白いドットがついている。
この全身を採寸するスーツを無料配布する。
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このゾゾスーツを着て、
スマートフォンで360度撮影をすれば、
胸囲やウエスト、ヒップ、
袖丈、股下などのサイズがわかる。

そのデータをもとに、
個人にピッタリのサイズのスーツをつくる。

消費者個々のサイズに応じて、
製造し、出荷するから、
カジュアル品も受注生産となり、
オーダー品に近い。

つくった時点で行き先が決まっている。
だから、在庫の負担が少ない。

アパレル業界の慣習は、
あらかじめつくっておいた在庫を、
最後はセールで売り切る。
だから利幅は下がる。

このアパレル業界の慣習と一線を画す。

カギを握るのがゾゾスーツだが、
7月末時点で112万枚を無料配布済み。

7月3日にフルオーダーのビジネススーツ、
価格3万9900円を発売。
こちらもゾゾスーツによる実寸が売り。

交流サイト(SNS)の話題をさらった。
しかし注文しても、
手元に届くまで3カ月かかる。
実際に製造する受託工場が追いつかない。

この前澤ゾゾタウン。

評価は二つに分かれる。

ソフトバンクグループ社長の孫正義は、
子どもっぽいと評される前澤の性格を、
気に入って、意気投合したらしい。

ゾゾスーツを無料で配る方法は、
かつての孫のビジネスに似ている。

孫は「ヤフーBB」を始めたとき、
家に置くモデムを無料配布した。

まず利用者を増やし、
後に加入者として取り込む方法だ。

だが、前澤に手厳しい人物がいる。
柳井正。
ファーストリテイリング会長兼社長。
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スタートトゥデイを、
「生産背景がない」と指摘。

柳井は150カ所以上の工場と提携し、
安価で、しかも高い品質と機能を誇る。
これが「製造小売業」のSPA。

しかし1品ずつ、安定した品質で、
きちんと製造するという経験が、
スタートトゥデイにはない。

柳井はゾゾスーツについても辛口。
「あれはおもちゃ」

「店舗で店員に測ってもらったほうがいい」

さらに前澤を「ショーマン」とけん制。

果たして孫が正しいか、
柳井が見抜いているのか。

スタートトゥデイは2007年に上場した。
そしてこの10年間で、
時価総額1兆円を突破した。
ただし売上高はいまだ984億円。

ファーストリテイリングは、
時価総額5兆円超。
連結売上高も1兆8619億円(17年8月期)。
今年8月期には2兆円を超えて、
日本第3位の小売業にして、
世界第3位のアパレルチェーン。

ゾゾはファーストリテイリングの、
およそ20分の1にすぎない。

数字は比べるべくもない。

「若い人が寸暇を惜しんで働く。
柳井はそれを是とする」と日経。

前澤は正反対。
「出社は週3日でいい」と公言。

前澤は最近、
「メディアへの露出を増やす。
SNS上でも自らの意見を表明」

「仕事を楽しむ労働者を増やし、
労働生産性の高い国にしたい」
「仕事を楽しむ、ということと、
生産性が高まる、ということは、
実はセットです」

さて、どっちが当たっているか。

私はもちろん柳井乗りだ。
前澤には会ったことがないから、
わからないけれど。

では、みなさん、今週も、
Good Monday!

〈今日は文中敬称略の結城義晴〉

2018年08月05日(日曜日)

斎藤茂吉の連作「死にたまふ母」と日曜日の母の葬儀

みちのくの母のいのちを
一目見む
一目見むとぞ
いそぐなりけれ

大正2年(1913年)5月、
歌人・斎藤茂吉の生母いく、逝去。

東京帝国大学医科大学助手だった茂吉は、
母危篤の報を受けとり、
山形県南村山郡堀田の生家へ急ぐ。

母に寄り添う斎藤茂吉、31歳。

寄り添へる吾を
目守(まも)りて言ひたまふ

何かいひ給ふわれは子なれば

「何か言い給う」
それだけでいい。

はるばると藥をもちて來しわれを
目守(まも)たまへりわれは子なれば

現在でいえば東大医学部助手だった茂吉は、
薬を持参した。

その茂吉を母いくは、逆に見守った。

いのちある人あつまりて我が母の
いのち死行(しゆ)
を見たり死ゆくを

生きている人が集まって、
母の命が尽きていくのを見ている。

我が母よ死にたまひゆく我が母よ
(わ)を生(う)まし乳足(ちた)らひし母よ

死んでゆく母に呼びかける。
生んでくれた母に呼びかける。
呼びかけるだけの歌だが、
その必死な呼びかけが胸を打つ。

のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて
足乳ねの母は死にたまふなり

亡くなる瞬間をとらえた、
最も有名な歌。

「玄鳥」は「つばくらめ」と読み、
ツバメのこと。
「屋梁」は「はり」。
「足乳ね」は「たらちね」で、
母にかかる枕詞(まくらことば)。
枕詞は、和歌において、
一定の言葉の前におく一定の修飾語。

通夜と告別式を終えて、
母いくの火葬。

わが母を燒かねばならぬ火を持てり
(あま)つ空には見るものもなし

この時代の田舎では、
遺族が自ら点火して火葬した。

夜空には見るものはない。

星のゐる夜ぞらのもとに赤赤と
ははそはの母は燃えゆきにけり

「ははそはの」は母の枕詞。

斎藤茂吉の連作「死にたまふ母」。
1913年5月、母の死の直後に発表、
10月、処女歌集『赤光』を刊行して収蔵。

今日は私の母の告別式。
DSCN7418.JPGui

7月31日午後4時30分。
行年92で逝った。

内臓に悪いところはなく、
耳もよく聞こえた。
認知症の症状はまったくなかったが、
80歳を超えて腰を痛めて、
ずっと床に伏していた。

今年の正月までは食事のときにも、
軽くカクテルなどを飲んだ。

1カ月ほど前に歯を痛めて、
水分しかとることができなくなり、
衰弱していった。

妹がずっと面倒を見てくれたが、
かかりつけの医者や看護師さん、
ヘルパーさん、ケアマネージャーさんに
自宅で世話をやいてもらって、
自宅で暮らした。

横浜の商人舎オフィスは、
歩いて10分ほどのところにあって、
ときどき顔を見に行った。

もちろん海外に行ったり、
国内を飛び回ったり、
忙しく動き回って、
ご無沙汰ばかりだった。

母の死の瞬間も、
宗像守さんのお別れの会から、
横浜のオフィスに戻ったところだった。
「心肺停止」の連絡を受けて、
慌てて、駆け付けたが、
間に合わなかった。

それでも92年間、生きて、
人のために尽くした母自身、
悔いはなかっただろうと思った。

今日は、家族だけで葬った。

導師は成願寺の若い釈和幸和尚。
IMG_5994.jpg8

告別式が終わって、
お別れの儀。
棺に別れ花をいれる。
IMG_5974.jpg8

そして久保山の火葬場へ。
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横浜の街を見下ろす久保山。
IMG_5985.jpg8

再び斎藤茂吉。

遠天を流らふ雲にたまきはる
命は無しと云へばかなしき

「遠天」は「おんてん」、遠い空。
遠い空を流れる雲に命はない。
雲に母の命が宿っていない、
と言ってしまえば、それは悲しい。

連作「死にたまふ母」の最後の歌。

山ゆゑに笹竹の子を食ひにけり
ははそはの母よははそはの母よ 

母の葬儀の後、茂吉は山奥の温泉に行く。
そこで湯につかり、
笹タケノコを食べて、母を思う。

浄土真宗は「即成仏」を説く。
亡くなるとすぐに仏様になる。

私の母は若い時からずっと、
看護師として奉仕の仕事を続け、
晩年にはそういった人たちから、
丁寧な世話を受けた。

母は命が尽きるとすぐに、
仏になったのだと思った。

心から感謝して、合掌。

〈結城義晴〉

2018年08月04日(土曜日)

糸井重里の「夏の会話」と8月の商人舎標語「この指とまれ!」

「毎年、暑い夏になると、
同じようなことを思います。
特に、カレンダーが
8月になると思います。
亡くなった人たちのことや、
死ぬということについて」

糸井重里さんの「ほぼ日」
巻頭言は「今日のダーリン」
ほぼ日

ほんとに文章、
うまいなあ。

いい文章を読んでいないと、
書くこと、話すことが、
蝕まれていく。

汚い文章は、眺めているだけで、
書くこと、話すことが、
どんどん下品になっていく。

「これには、
歴史が教えてくれることや、
伝統や風習が生きていることが
大きく関係しています」

「8月には、この世にいない
知らない人のことを祈ります。
もちろん、知っている人のことは、
よく思い出します」

私もそう思う。

8月は死と隣り合った、
不思議な季節です。

「高校野球の放送が
聞こえてきたりすると、
条件反射のように、
亡くなった人や死ぬことを思う」

明日の8月5日から始まるのが、
第100回全国高校野球選手権大会。

「眩い青春や情熱の象徴で
あるかのようなあの大会が、
熱い地面に落とす黒い影は、
死であるようにも思います」

「戦争と、お盆と、
高校野球と、夏休みは、
毎年、同じように
強い日差しのなかに
描かれています」

「明るく熱いものと、そうでないものが、
いっしょに感じられる季節というのは、
とてもいいことなのではないでしょうか」

「じぶんの年齢が増して、
上手になったことに、
“亡くなった人と話せる”があります」

糸井さんは、霊媒師のよう。

「話せるようになるんです、その、別に、
超常現象というようなことじゃなくね」

「この世のことばを話す人じゃないのに、
ちゃんと話し相手になってくれるのです」

「うれしいしたのしい時間です、
そして緊張感もあります」

「死んだ人は死んだあとも
静かに生きてますよ」

私たちの心の中に。
これは、私にもできる。

「ほんとはお墓や仏壇でなくても、
デスクでもソファでも、
話そうと願えば、
かならずやってきてくれます」

父も、母も、ジジも。

「報告をしたりね、
むだなことだとかも話したりね、
日記をつけることなんかにも
似てるかもしれない」

ブログを書くことも、
静かに生きている人たちと、
話し合うことです。

今夜は、7月31日に逝った母の通夜。
IMG_5969.JPG8
若いころの母の写真を見て、
母と話した。
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夜濯ぎの母へ山吹流れつけよ
〈寺山修司〉

「夜濯ぎ」は「よすすぎ」と読む。
衣類をその夜のうちに
洗ってしまうこと。

(渡辺ゆき子評)
作者は夜濯ぎに出た母恋しく、
闇にも紛れず咲く山吹の辺に
佇(た)ちました。
その一花を摘もうとすれば
ほろほろと流れに散り浮ぶ花びら。
作者の投じた山吹も共に
夜の清流に乗りました。
作者の願望と愛情を托された山吹は、
作者と母との距離を沈むこともなく
流れてゆくことでしょう。

マルトの安島浩さん、
伊藤園の江島祥仁さん。
わざわざおいでくださって、
ありがとうございました。

2018年8月の商人舎標語。
そして[Message of August]

この指とまれ!

右も左も、この指とまれ。
前も後ろも、この指とまれ。
下から上から、この指とまれ。

そして、前向きに、
そして、上向きに、
そして、外向きに。

ポジティブに、
アクティブに、
ダイナミズムをつくれ。

小売りも、卸も、メーカーも、
顧客も消費者もNPOも、
政府も、役所も、県も市も。

売り手良し、
買い手良し、
世間良し。

あなた良し、
わたし良し、
天も良し。

いい国、つくろう。
いい街、つくろう。
いい店、つくろう。

だから右も左も、この指とまれ。
前も後ろも、この指とまれ。
下から上から、この指とまれ。
〈結城義晴〉

この暑い夏には、
亡くなった人たちとも、
「この指とまれ!」でつながりたい。

〈結城義晴〉

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結城義晴の著書の紹介

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