結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年02月08日(土曜日)

新型コロナウィルスの「人災」とてっちゃん・柳井正さんの「情報」

ダイヤモンド・プリンセス号。
三菱重工業㈱長崎造船所で、
2004年2月に竣工。
main

横浜の大黒ふ頭に横付けされていたが、
今日は伊豆半島沖に向けて出港。

新型コロナウィルス感染者が3人増えて、
合計64人になってしまった。
original-567b88b16db74981da104e7dfa25c737c7ca9045

朝日新聞「天声人語」

東北大医学部ホームページから、
押谷仁教授のコメントを紹介。
「感染拡大が起こるという前提のもとで、
国内の医療体制の整備を、
各地で考えるべきだ――」

押谷教授はSARS対策の経験を持つ。

コラムニスト。
「水際の段階は過ぎ、
国内対策の段階に入ったのか」

この後、人災による拡大だけは、
避けなければならないと思う。

中国国家衛生健康委員会の発表。
新型肺炎の中国本土の死者は、
合計722人に達した。
累計の感染者は合計3万4546人。

天声人語コラムニストも指摘したが、
一方でアメリカ合衆国では、
インフルエンザが猛威を振るう。

米国インフルエンザのシーズンは例年、
10月に始まって2月にピークを迎える。
そして寒いエリアで5月ごろまで続く。

昨2019年秋にそのシーズンが始まって、
インフルエンザ患者数は、
累計1900万人に達し、
死者数は推計1万人を超えた。

今年1月25日までの1週間では、
400万人増えている。

天声人語。
「新型ウイルスばかりが注目されることへの
懸念も指摘される。
新しい病ゆえの過剰反応があるのか」

「一人ひとりにできることは限られるが、
まずは差別や偏見を戒め、
専門家の分析に耳を傾けることだろう」

「手洗いなどが大切なのは
インフルエンザと同じ」

私たち一人ひとりが、
よく食べ、よく眠り、
手洗いとうがいを励行したい。

コラムニスト。
「せっけんを常に持ち歩くのも
悪くないように思う」

人災による拡大は避けたい。

さて、私もチェックしている、
「てっちゃんの店長日記」
大越鉄夫さんの毎日更新ブログ。
サブタイトルは、
「楽しくなければスーパーじゃない」
profile
今日のテーマは、
「情報収集と情報提供」

とてもいいブログで、
公開されているから、
みなさん、読んでみてください。

店長に限らず、
社長も専務も部長も、
そしてチーフも、
情報によって行動が変わってくる。

てっちゃんは言い切る。
「しかし、情報を得ることが
仕事ではない」

その通り。

「情報収集能力は大切だが、
情報をため込んでいても
なんの役にも立たない」

商業界ゼミナールでも、
これはしつこく言われた。

勉強して、感動しても、
箱根の山を下りると、
すっかり忘れてしまう。

知ることとやることは、
同じではない。

知ったことで、
やったつもりになるのが、
一番いけない。

てっちゃん。
「しかし相変わらず、
情報を得ただけで満足している場合が
多いのではないだろうか」

その通り。

情報は使うものだ。
自分で考えて、
使わなければならない。

柳井正さんは言う。
ファーストリテイリング会長兼社長。
「使われない情報は邪魔ですらある」
photolib_portrait14l00
「これからは
情報産業とサービス業だけになる。
小売業もなくなる」

てっちゃんも述懐する。
「得た情報を必ずモノにする手法」

「私の場合は全てが、
売場に反映されると考えている」

この考え方が素晴らしい。

小売りの神は現場にあり。

「店長という職位においては、
情報の全ては
自分の売場に反映されて初めて
アウトプットしたという認識だ」

てっちゃん独自の手法。
「だから52週ごとに、
売場の写真を記録に残している」

「売場の写真だけではなく、
それを重要な部分だけ集めて
52週のまとめとして
エクセルで加工し保存」する。

「それによって、
得た情報からの売場が
52週ごとにそこに集約され、
積み上げられていく」

てっちゃんには、
その積み重ねがある。

だからちょっとやそっとでは、
他者が真似ることができない。

「情報収集と情報提供は
裏腹の関係であり、
それが毎週連動することによって、
その反省が掲示板で
パートさんに至るまで見える化され、
店舗として巻き込まれていく」

てっちゃんという店長自身の機能は、
情報産業であるし、サービス業である。

一昨日も書いたが、
渋沢栄一翁の言葉。

「ただそれを知っただけでは
上手くいかない。
好きになればその道に向かって進む。
もしそれを心から楽しむことが出来れば、
いかなる困難にもくじけることなく
進むことができるのだ」
51WG71RHLlL._SX355_BO1,204,203,200_
柳井正さんもてっちゃんも、
自分の仕事が好きなんだと思う。

楽しんでいる。

だからてっちゃんのサブタイトルは、
「楽しくなければスーパーじゃない」

渋沢栄一。
「自分が信じないことは言わず、
知ったからには必ず行うという
思いが強くなれば、
自然に言葉は少なく、
行動は素早くなる」

以て自戒とすべし。

〈結城義晴〉

2020年02月07日(金曜日)

堂目卓生の「弱い人」と故春山満の「士農工商」

新型コロナウィルス騒ぎで、
すっかり忘れていた。
今月の商人舎標語。

2008年6月から、
この商人舎公式ホームページに掲載。

記念すべきその第1回目は、
「節約、倹約。もったいない」

2013年5月に月刊商人舎創刊。
それからは巻頭言[Message]を、
今月の標語とした。

今月で141回目。

[Message of February]
tobira
利益を追うな!

おなじ商品ならば、
1円でも5円でも、
できれば1割、2割、3割、
安く売りたい。

おなじ値段ならば、
わずかでも、すこしでも、
できれば圧倒的に、
美味しくしたい。より良くしたい。

そのためにBuying & Sourcing。
安く仕入れる、安く調達する。
大量に購入する。
利は「元」にあり。

そのためにSelling。
たくさん売る。
売上げを爆発させる。
利は「売り」にあり。

そのためにCost Control。
販売費・管理費を減らす。
あらゆる経費の無駄を省く。
利は「内」にあり。

そのためにProduct Development。
模倣困難な、この1品を開発する。
それがプライベートブランドになる。
利は「この品」にあり。

そのためにMargin Mix。
この品は安く売る。
しかし他の品で利益を確保する。
利は「他の品」にあり。

そのためのFive Theories。
利益を上げる5つの定石。
安売りをするにも、何をするにも、
この5つの定石を徹底する。

Human Resource Management。
実践に先行する理論はない。
それらを考え、行うのは人間である。
だから最後に、利は「人」にあり。

しかしKnowledge Merchantは、
おなじものなら安く売りたい。
おなじ値段ならより良くしたい。
利益を上げるためにだけ、
仕事するのではない。
〈結城義晴〉

「安く売る」とは、
初めから利益を追わないことです。

そして同じ商品ならより安く売り、
同じ値段ならより良いものを売れば、
お客は喜び、最後に利益が入ってくる。

利益を追わなければ、
利益がやって来る。

不思議なパラドックスです。

今日の朝日新聞一面「折々のことば」
第1722回。

経済を発展させるのは
「弱い人」、あるいは、
私たちの中にある
「弱さ」である。
〈経済学史家・堂目卓生(どうめたくお)〉

「今日の企業活動には、
熾烈(しれつ)な競争を勝ち抜くという
強壮なイメージがつきまとう。
しかしそれを根底で、
突き動かしているのは”弱さ”だ」

堂目さんは岐阜県生まれの61歳。
慶應義塾大学経済学部卒業後、
京都大学大学院経済学博士。
現在、大阪大学大学院経済学研究科教授。

この言葉は『アダム・スミス』から。
サントリー学芸賞を受賞。
416mosQpBiL._SX317_BO1,204,203,200_
アダム・スミスは、
「経済学の祖」といわれ、
有名な『国富論』を書いた。

政府による市場の規制を撤廃し、
競争を促進することによって、
経済成長率は高まり、
豊かで強い国ができると考えた。
いわゆる市場原理による「神の手」である。

しかし、スミスは、
無条件にそう考えたのか。

スミスにもうひとつ、
重要なの著作がある。
『道徳感情論』である。
ここに示された人間観と社会観を通して、
堂目さんは『国富論』を、
思想体系として再構築する。

編著者の鷲田清一さん。
「生活物資の欠乏から
虚栄心、嫉妬心まで。
そういう視点から見直すと
経済の別の顔が見えてくる?」

「そういえば英語で、
欲求(want)は同時に欠乏を、
虚栄心(vanity)は空しさを意味する」

なるほど。

ならば結城義晴著『Message』から。
51swq5I1liL._SX312_BO1,204,203,200_
「士農工商」

「士農工商」の序列は、
誰がつくったのか。
徳川封建政治を支える身分制度として、
当時のお上が考え出したものなのか。
私はそうは思わない。

「士農工商」は
もっともっと前から存在した。
農業や工業や商業が、
そして軍人としての武士が、
生まれてくる過程の中にこそ、
「士農工商」の階級分化の理由があった。

春山満を知って、
私はハッと気づかされた。

「士農工商」が
人間の肉体的な強さの序列によって
機能分化してきたことに。

ずっとずっと昔、
「士農工商」は
フィジカルな能力の高い順に
位置づけられたのだ。

最も強い者が、
人間を打ち倒す軍人になった。
次に強い者が、
自然と闘い、農作物を生産する
農民となった。
三番目に強い者が、
道具を使ってモノをつくる
工の民となった。
そして一番体の弱い者が、
商人となった。

私たちの意識の底に残っている
肉体的序列としての「士農工商」は、
21世紀にはあとかたもなく消えうせ、
頭脳と言葉によって、
社会に変革がもたらされるに違いない。

すなわち、
考える能力と訴えかける情熱によって
ビジネスが再編成されるのだ。
私は、それが新しい商業の出発だと思う。

だから商業人は見つめなければならない。
商業人は、考えつづけなければならない。
商業人は、訴えかけつづけねばならない。
春山満のように――。

故春山満さん。
略歴は朝日新聞出版「知恵蔵」などから。
51MX9ZhsYtL._SX333_BO1,204,203,200_

実業家、啓蒙家。
1954年、兵庫県生まれ。
24歳で進行性筋ジストロフィーを発症、
数年後には首から下の運動機能を失う。
1988年、「ハンディ・コープ」創設。
全国初の福祉のデパートだった。
その後、1991年、自ら会社を設立。
㈱ハンディネットワーク インターナショナル。
介護・医療の独自商品を開発し、販売した。
2003年、米国「ビジネスウィーク」誌で、
アジアを代表する指導者として、
「アジアの星」25人に選出された。
2005年、高齢者住宅運営会社設立。
オリックス・リビング㈱。
国家基本問題研究所評議員、
ハワイシニアライフ協会名誉理事。
2014年2月23日、呼吸不全で死去。
享年60。

私が㈱商業界の取締役編集統括のころ。
商業界ゼミナールに、
春山満さんをお呼びして、
講演をしてもらった。

私は心から感動した。
凄い人だ。

そして「販売革新」誌の巻頭に、
この文章を書いた。

春山さんは自著通り、
「それでも生き抜いて」、
2014年の2月に永眠した。

堂目卓生さんは言う。
「経済を発展させるのは
“弱い人”である」

経済は商人によってつかさどられる。
その商人は最も体の弱い者であった。

不思議なパラドックスだ。

堂目さんは続ける。
「あるいは、
私たちの中にある”弱さ”である」

私たちの中にある「弱さ」が、
商売を成長させる。

これにも静かに賛同して、
合掌したい。

〈結城義晴〉

2020年02月06日(木曜日)

似鳥昭雄さんの渋沢栄一賞受賞と「夢なかるべからず」

寒気団がやってきた横浜。
1月のニューヨーク並みの極寒。

それでも新田間川には、
春の気配がする。
IMG_52940
少しずつすこしずつ、
昼が長くなっている。

横浜駅周辺のビルのネオンも、
暖かい色合いを見せる。
IMG_52950
春はもうすぐ。

しかし新型コロナウィルス。

毎日新聞巻頭コラム。
「余禄」

俳人の日野草城(ひの・そうじょう)の句。
昭和初めに季語のない新興俳句を主導した。

月明や沖にかゝれるコレラ船(せん)
DSCN13640

船内で感染者が出て沖止めされた船――
しかしこの句は「コレラ船」が夏の季語。

コラムニスト。
「昔はコレラによる船舶の沖止めが
ひんぱんにあったようだ」

今、横浜港大黒ふ頭沖の豪華クルーズ船。
乗員乗客数3711人、感染者は10人。
今日また10人増えて20人。

残りの乗客も潜伏期間の14日程度は、
船内の個室にとどまることになった。

もうクルーズどころではなかろう。
エコノミック症候群の方が心配だ。

しかし昨日もこのブログで書いた。
毒性が強い病原体は患者を死に追い込み、
だからウイルスの感染が広がりにくい。

反対に毒性が弱いと患者が死なないから、
体内でウイルスが増えて感染が広がる。

重症急性呼吸器症候群のSARSが前者、
新型肺炎や新型インフルエンザが後者だ。

とは言っても死者の数も増えている。
2002年11月から2003年7月のSARSは、
中国広東省や香港を中心に8096人が感染、
37カ国で774人が死亡した。

今回の新型コロナウィルスは、
現時点で感染者2万2820人、
死者はほとんど中国で565人。

SARSを超える危険性も出てきた。

油断はできない。
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

[極端気象]に対しても、
同じ姿勢で臨むしかないから、
令和という時代は、
そんな時代なのかもしれない。

ああ。

さて商人舎流通スーパーニュース。
ニトリnews|
似鳥昭雄会長が第18回「渋沢栄一賞」を受賞

似鳥昭雄さん
第18回渋沢栄一賞を受賞。
7dd4c3f74f006b34bb1d70d7adebd54e-4-768x607
おめでとうございます。

もちろん似鳥さんは、
㈱ニトリホールディングス会長。

渋沢栄一は、
「日本資本主義の父」と称され、
近代日本の礎を築いた人物。
天保11年(1840年)~昭和6年(1931年)。
51WG71RHLlL._SX355_BO1,204,203,200_
現在の埼玉県深谷市生まれ。

生家は豪農だったが、
江戸末期の動乱のなかで、
尊王攘夷の志士となり、
やがて一橋慶喜の家臣に取り立てられる。

その間、パリ万国博覧会を訪れたりするが、
大政奉還のあと、大蔵官僚として、
井上馨らのもとで活躍。

しかし大久保利通や大隈重信と対立し、
退官し、実業の道へ。

第一国立銀行(現・みずほ銀行)頭取を初め、
理化学研究所、東京瓦斯、東京海上火災保険、
王子製紙、秩父セメント、帝国ホテル、
秩父鉄道、京阪電気鉄道、
麒麟麦酒、サッポロビール、
東洋紡績、大日本製糖、明治製糖、
それから東京証券取引所まで創設し、
その企業数は500以上。

二松學舍第3代舎長のほか、
商法講習所(現・一橋大学)、
大倉商業学校(現・東京経済大学)を設立。

「論語」をもとにした経営哲学にも精通した。
512p3frdrWL._SX305_BO1,204,203,200_

2024年からは、
福澤諭吉に代わって、
新紙幣1万円札の顔になるし、
来年の2021年には、
NHK大河ドラマ「青天を衝け」の、
主人公となる。

渋沢栄一賞は、
埼玉県が表彰する経営者賞だが、
冠(かんむり)が渋沢栄一でもあって、
極めて高い意義と権威をもつ。

渋沢栄一の生き方や功績を、
埼玉県から全国に発信するとともに、
今日の企業家のあるべき姿を示すため、
渋沢栄一の精神を今に受け継ぐ、
全国の企業経営者に贈られる賞である。

似鳥さんの受賞の理由は、
日本を代表する小売業企業ニトリを創業し、
2019年2月期売上高6081憶円、
経常利益1030憶円。
32期連続の増収増益を達成。

さらに似鳥国際奨学財団の設立、
北海道応援基金や似鳥文化財団の設立など、
社会貢献の実施が評価された。

似鳥さんの波乱万丈の生き方も、
渋沢栄一賞にふさわしいと思う。

なお、同賞は、
2008年度の第7回には、
(株)ヤオコーの川野幸夫会長が受賞。
川野さんは埼玉県の出身だけに、
ことさら目出度いし、ご自身、
喜ばれたと思う。

2018年度の第17回には、
田代正美さんも受賞。
(株)バローホールディングス会長兼社長。

渋沢栄一の言葉。
「商売をする上で重要なのは、
競争しながらでも、
道徳を守るということだ」

これは倉本長治と同じだ。
損得より先に善悪を考えよう。

それからこの言葉も好きだ。
夢なき者は理想なし。
理想なき者は信念なし。
信念なき者は計画なし。
計画なき者は実行なし。
実行なき者は成果なし。
成果なき者は幸福なし。
ゆえに幸福を求むる者は、
夢なかるべからず。

夢があれば、
新型コロナウィルスも、
乗り超えることができる。

〈結城義晴〉

2020年02月05日(水曜日)

新型コロナウィルスの「損得より先に善悪を考えよう」

今日は㈱万代から、
人事部マネジャーのお二人。
津田睦さん(中)と海野正敏さん(左)。IMG_52900

万代知識商人大学。
DSCN0206-1

スーパーマーケットの万代が、
2016年にスタートさせた企業内大学。

2019年度は1月に第4期を終えた。
DSCN0212-1
お二人はその担当。

今、第5期の準備期間。
3月から第5期が始まるが、
もう32名の候補者は決まっている。

今日は第4期の反省と、
第5期の改革の相談。

大幅にリニューアルする。
もちろん基本的なカリキュラムの方針は、
変えることはない。

しかし教育は、
その対象のレベルによって、
変わってこなければならない。
私はそう考えている。

ピーター・ドラッカー教授。
「マネジメントとは、
人の強みを発揮させることである」
Drucker57899999

したがって企業内教育も、
一人ひとりの強みを発揮させるよう、
年度に応じて、受講生に応じて、
変わってくるのは当然だ。

期待してください。
いい方向で決まりました。

さて、新型コロナウイルス。
中国の湖北省武漢市で発生し、
肺炎の感染者数は約2万5000人。

致死率は2%とそう高くはない。
しかし感染拡大のスピードは速い。

「ダイヤモンド・プリンセス」号。
main
この大型クルーズ船は今、
横浜港の沖に停泊している。
検疫を受けた乗客ら10人から、
感染が見つかったからだ。

乗客や船員は船内に缶詰状態。
感染の広がりを水際で抑える。

さてどこまで抑え込むことができるか。
日本国内の感染者は午後9時時点で35人。

ただしSARSの致死率は、
中国国内で7.0%、
世界全体では9.6%だった。

SARSは重症急性呼吸器症候群。

思い返せば、2002年11月に、
中国広東省で最初の患者が見つかった。
そしてWHOは8カ月後に終息宣言した。

面白いと言っては申し訳ないが、
毒性が強い病原体は患者を死に追い込む。
だからウイルスの感染が広がりにくい。

反対に毒性が弱いと患者が死なないから、
体内でウイルスが増えて感染が広がる。
新型インフルエンザがそれだ。

新型コロナウィルスも、
毒性が弱い病原体で、
これは慢性的に広がり、
長期化する。

感染者数のピークは、
4月ごろだと予測されている。

まだまだ、予断を許さない。

この件でも、
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

そんな案件が多すぎるが。

しかしこの新型コロナウイルスは、
マスクの超品薄状態を生んだ。

1月中旬からたった2週間で、
10億枚が出荷された。

平時の国内の在庫相当量。

小売業、特にドラッグストアなど、
マスクが異常値を示す。
集荷・調達して並べれば、
在庫は飛ぶように売れる。

しかしネット通販や、
オークションサイトでは、
1ケースが10倍近い値で売られる。

ちなみに、
㈱True Dataの無料サイトがある。

このサイトで「マスク」を調べると、
マスクの売れ筋ランキングなどがわかる。
masuku

1位 超快適マスク

プリーツタイプ ふつうサイズ 7枚
(ユニ・チャーム)
71u64Pz1moL._SL1000_

2位 フィッティ 7DAYSマスクEX
ふつう ホワイト 30枚
(玉川衛材)

3位 のどぬ~る ぬれマスク
就寝用 無香料 3セット
(小林製薬)

4位 三次元マスク
ふつう M ホワイト 7枚
(興和)

5位 フィッティ 7DAYSマスクEX
やや小さめ ホワイト 30枚
(玉川衛材)

マスクの販売に関しても、
この新型は4月がピークという長丁場だ。
ここで顧客の弱みに付け込んで、
暴利を貪(むさぼ)ったりしてはならない。

こんなときこそ、
損得より先に善悪を考えよう。

そう、倉本長治先生です。
BK-4785502800_3L

わかってはいると思うが、
よろしく頼みます。

こんなときにこそ、
永遠の信用を獲得したい。

〈結城義晴〉

2020年02月04日(火曜日)

日本電産/永守重信「集団体制は創業以来最大の間違いだった」

立春の一日。

それは それは
空を越えて
やがて やがて
迎えに来る

春よ 遠き春よ
瞼閉じればそこに
愛をくれし君の
なつかしき声がする

松任谷由美。
「春よ、来い」
61TM2fpAqPL._SS500_PIPJStripe-Robin-Large-V2,TopLeft,0,0_

しかし横浜商人舎オフィスで、
朝から晩まで原稿執筆。
さらに校正と責了の業務。
IMG_52850
疲れ切った顔つき。

1977年に大学を出て、
㈱商業界に入社して、
編集者の道に入った。
以来、流通ジャーナリストの看板は、
一瞬たりとも下ろしていない。
編集者、執筆者のスタンスも崩さない。

会社の経営者の立場は続けているし、
大学院の教員になったり、
産業内大学や企業内大学を興したり、
海外視察のコーディネーターをやったり、
コンサルティングをしたりと、
自分でもよくわからない仕事をしてきた。

高校1年のころ、
「蘖(ひこばえ)」という文学同人誌に参加して、
稚拙な文章など書いていた。

藤圭子ではないが、
「15、16、17と、
私の人生暗かった」
31sY7XnBhgL

大学に入ったら、
北原白秋や野口雨情の世界に染まって、
詩を書いたり、創作童謡をつくったり。
作詞作曲もずいぶんやった。

バンドをつくって、
ベースを担当した。
これも稚拙なミュージシャンだった。

社会人となって、
これまた最初は稚拙な「編集記者」。

以来、43年、モノを考え、モノを書く、
それをずっと続けてきた。

2002年に㈱商業界の専務取締役になり、
翌2003年には代表取締役社長に就任した。
そして2007年に退任した。

この間は編集業務から離れて、
企業経営に邁進した。

直接、編集にタッチはしなかったけれど、
それでも販売革新誌に、
Publisher’s Voiceなど書いていた。

代表取締役社長を辞してから、
自分の会社をつくって、
2013年から再び、
月刊商人舎を始めた。
20130508225950

その82冊目の2020年2月号を責了した。

1冊ずつが1特集。
まるで毎月、単行本を1冊、
書いたり編集したりする気分。

82冊目は、いいですよ。

さて、日本電産㈱。
永守重信さんは、
心から尊敬する経営者だ。
現在、同社会長兼最高経営責任者(CEO)。nagamori
京都に本拠を置く会社として、
実にユニークな経営をしている。

その永守信条は、
すぐやる、
必ずやる、
できるまでやる。

今日、京都で記者会見。

日産自動車の関潤元副最高執行責任者を、
4月1日付で日本電産の社長兼COOにする。

現在の吉本浩之社長は副社長に就く。
pic_yoshimoto_01

その理由が振るっている。
「異動の理由」
「2030年売上高10兆円の達成に向けて、
経営体制の一層の強化充実を図ります」

日本電産は2018年度連結決算で、
売上高1兆4754億円、営業利益1305億円。
営業利益率8.8%の優良企業だ。

しかし10年後には10兆円を目指す。

関さんは19年12月1日に、
日産自動車の副COOに就任。

内田誠社長兼CEO、
アシュワニ・グプタCOOに次ぐ、
ナンバー3だったが、
昨年12月に退任して、
日本電産の特別顧問に就任していた。

記者会見の発言が日経新聞に掲載された。

永守さんが会長になったあと、
日本電産は「集団指導体制」を志向した。
これに対して、
永守さんのコメントがストレートだ。

「(集団指導体制は)呼び名はいいが、
強いリーダーがいないとだめ。
5、6人で決めていたのではだめだ」

実に教訓的だ。

イオンの岡田元也さんにも、
ファーストリテイリングの柳井正さんにも、
セブン&アイの井阪隆一さんにも、
響く言葉だろう。

「中国との戦いがあり、
時間がかかってはいけない。
集団体制に移行しようとしたが、
それは創業以来の最大の間違いだった」

集団指導体制への移行は、
創業以来最大の間違いだった!

オウ!!

「吉本社長は非常に頑張り屋。
まさに日本電産の
ハードワークに適している。
ただ、ものづくりに弱かった。
吉本氏も能力はあるから
4、5年してトップに再
チャレンジしてほしい」

「敗者復活」の可能性を宣言した。

関さんに関しては、
「しつこくほしい人材を探していた。
おそらく関さんが(日産の)社長になる
と見ていたが、違う人になった。
そこで猛攻撃をかけた」

「10兆円企業を作りたいと、強く言った。
絶好のチャンスだった」

対して関さん。
「だまされたつもりで来いといわれ、
だまされて、きた」

「企業の持続性は成長だ。
その信条だった私に
“10兆円を一緒にやろう”
と言ってくれた。
これにクラクラときた。
やれると思っている」

持続するには、
成長しなければならない。

これらの発言。
産業界、流通業界に、
影響を与えると思う。

43年間、
ジャーナリストをやってきた、
結城義晴の「勘と予測」です。

〈結城義晴〉

2020年02月03日(月曜日)

坂口安吾「桜の花の満開の下」とAmazon決算の2割増

Everybody! Good Monday!
[2020vol⑤]

2020年2月第2週。

今日は節分。
明日は立春。

かつては立春が、
1年のはじめだった。
だから節分は大晦日。
20100128_tokiwa_01-600x400

北海道新聞の巻頭コラム「卓上四季」。

そのかつてのこと。
「鬼やらい」と称して、
「豆をまき、邪気を払う行事が
宮中でも行われた」

そこで歌人の馬場あき子さんの名著。
ちくま文庫『鬼の研究』
51n7pTB7cbL._SX349_BO1,204,203,200_

この本の宣伝文句。
「かつて都大路を百鬼夜行し、
一つ目、天狗、こぶ取りの鬼族が
世間狭しと跳梁し、
また鬼とならざるを得なかった
女たちがいた」

「鬼は滅んだのだろうか。
いまも、この複雑怪奇な
社会機構と人間関係の中から、
鬼哭の声が聞こえはしないか」

「日本の歴史の暗部に生滅した
“オニ”の情念とエネルギーを、
芸能、文学、歴史を捗猟しつつ、
独自の視点からとらえなおし、
あらためてその哲学を問う名篇」

コラムニスト。
「近世の封建的社会体制確立の中で
“古代的・宗教的権威に依拠する者の
衰亡する運命”を見た」

「本当に鬼は滅びきったのだろうか」
馬場さんは疑問を呈する。

呑気に「オニは~そと!」なんて、
言っていてはいけない気になってくる。

無頼派・坂口安吾の小説にある。
『桜の花の満開の下』
517Li5pwp7L._SX352_BO1,204,203,200_

この作品の中でも、
主人公の「女」が満開の桜の下で、
鬼に変化して山賊の首を締める。

安吾の最高傑作だという評論家もいる。

私は大学のころ、
安吾作品を読破している。

『桜の花の満開の下』は傑作だと思うし、
『不連続殺人事件』も気に入っている。
518GPrtIfBL._SX351_BO1,204,203,200_
短編の『私は海をだきしめてゐたい』も、
とても好きな小説だ。

とりとめもないことを書いたが、
今日は鬼がついているのかもしれない。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
アマゾンnews|
通期売上高2805億ドル・21%増/純利益15%増

アマゾン・コムの2019年12月期決算。
売上高が20.5%増の2805億ドル、
1ドル100円換算で28兆522億円。
営業利益は17.1%増の145億ドル、
純利益は15.0%増の116億ドル。
どちらも1兆円を超えた。

北米部門が20.8%増の1708億ドル、
国際事業が13.4%増の747億ドル、
AWSが36.5%増の350億ドル。
AWSはAmazon Web Services。

このAWSが営業利益の67%を占めている。

18Amazon-1-master768.jpgジェフベゾス
プライム会員は年々増えて、
世界中で1億5000万人に達した。

CEOのジェフ・ベゾスは語っている。
「アマゾン・フレッシュと
ホールフーズ・マーケットからの
食料品の2時間配達は
2000以上の市や町で提供されており、
プライム会員には無料になりました」

私も書いておいた。
「このまま2割ずつ伸びていくと、
4年で超巨人のウォルマートに
追いつくことになる」

かくてアメリカの小売業は、
メリーゴーランドがふたつ、
ぐるぐると回っていることになる。

その回転のスピードに押し潰されて、
かつて言われた「カテゴリーキラー」が、
次々に消滅していく。

ため息しか出ない。

しかしこのスピード感は、
同時代人として体感しておきたい。

ずっとウォルマートには、
何かが憑いていると思っていたが、
Amazonにこそ、
鬼が憑いているに違いない。

それは怖いもの見たさであっても、
体感しておきたいものだ。

では、みなさん、
今週も、好奇心と行動力が、
明日を拓く。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年02月02日(日曜日)

2222年2月2日までの「凡事徹底・有事活躍」

今日は2020年2月2日。

2が並ぶ日だが、
2222年2月2日の完全2並びまでは、
202年もある。

そのころ、地球は、
どうなっているのだろう。
人類はどのように生存しているのか。

木本秀昌東京大学教授の説く[極端気象]。
ゼロエミッションに挑戦しなければ、
おそらく202年後には、
甚大な被害がもたらされる。

月刊商人舎1月号特集は、
[極端気象]
2020年代最大の「リスクマネジメント」
202001_cover

[Cover Message]を再び。

「CO2中毒症になった人間は、
その幻想と中毒症を
止めるようになるとは思えない」。
㈱IIJ会長の鈴木幸一さんはつぶやく。

「しかも、個人の中毒症を支えるように、
あらゆる国家の戦略は
“経済成長”という御旗を
掲げ続けているのだ」。

一方、木本昌秀東京大学教授は、
「頻発する極端気象」に警告を発する。
「ゼロエミッション」しかない、と。

他人任せではいけない。
先送りも許されない。
いま、すぐ、自ら、動き出すべきだ。
そして「リスクマネジメント」の体制を
用意するべきだ。

それが2020年代最大の経営課題である。

もちろんその前提として、
経営の生産性は
最高レベルまで高めねばならない。
しかし高効率経営だけではいけない。
大きな企業も小さな企業も、
中央の企業も地方の企業も、
例外はない。

社長も店長もパートタイマーも、
意志を共有すべきである。

「ひとつひろえば、
ひとつだけ美しくなる」
この信念で仕事に向かい、
日々、生活する。
その心構えのなかから必ず、
明日への展望が見えてくる。
それが2020年代である――。

この考え方は、
鍵山秀三郎さんから、
いただいた。

カー用品「イエローハット」創業者。
「日本を美しくする会」相談役。
その精神的な支柱である。
519oyRXCrrL

(株)商業界時代のゼミナールに、
何度もご出講いただいた。

その言葉は心に響く。

「一つや二つ拾ったって
しょうがないじゃないか。
という考えではなく、
一つでも二つでも拾えば、
それだけ世の中がきれいになる。
そういう考えです」

ひとつゴミを拾えば、
ひとつだけ街が美しくなる。

1本、木を植えれば、
1本分だけCO2が減る。
202001_message

1人1人のエネルギーの節約が、
少しずつ地球温暖化に歯止めをかける。
W
鍵山秀三郎さん。
「微差、僅差の積み重ねが、
大差となる」

そしてここからならば、
いま、すぐにでも、
私たちが取り組めるし、
取り組むべきだと思う。

鍵山さんの言葉。
「いままで、
誰にでもできる平凡なことを、
誰にもできないくらい
徹底して続けました。

そのおかげで、
平凡の中から生まれる、
大きな非凡を知ることができました」

これこそ「凡事徹底」だ。

古い話になるが、
(株)商業界代表取締役社長の時代、
私は販売革新誌に巻頭連載を書いていた。
「Publisher’s Voice」

その2005年10月号のタイトルは、
「凡事徹底・有事活躍」

私のパソコンには、
その時の2969字の文章が残っている。

書かれているのは、
第40回商業界九州ゼミナールのことだ。
2005年9月13日・14日。

その講座の講師とタイトル。

⑴[基調講演]佐賀県知事・古川康
「新地方の時代の改革」
⑵商業界主幹・倉本初夫
「21世紀商業への出発」
⑶アシックス会長・鬼塚喜八郎
「転んだら起きればいい」
⑷パネルディスカッション
・商業界社長・結城義晴
・イズミ執行役員・脇坂徳男
・イオン九州SC事業部長・宅島祥夫
「激変する流通業界とイズミ、イオンの九州戦略」

⑸イエローハット相談役・鍵山秀三郎
「心あるところに宝あり」
⑹熊本県公立菊池養生園名誉園長・竹熊宣孝
「もう! そろそろ命一番」
⑺CASジャパンCEO・小林敬
「集客の虎 勝ち残りの秘訣」
⑻南蔵院第二十三世住職・林覚乗
「心ゆたかに生きる」
⑼ニチイ創業者夫人・西端春枝
「縁により縁に生きる」
⑽熊本県立第一高校校長・大畑誠也
「21世紀の人づくり」
⑾長崎県立国見高校校長・小嶺忠敏
「指導力」

⑿日本旅行西日本営業部課長・平田進也
「なにわのカリスマ添乗員/サービスの極意」
⒀志ネットワーク代表・上甲晃
「人間松下幸之助翁に学ぶ」

⒁[総括講演]結城義晴
「第3の場所になろう」

14講座15人の講師全員が、
強調したテーマがある。
それは、「現場の重要さ」と、
「当たり前のことの徹底」である。

総括講義の私のまとめの言葉。

「小さな店も、大きな企業も、
皆が、この時こそと、
日ごろの仕事の腕を発揮した。
いつもよりも素早く、力強く、黙々と。

店は客のために、
是が非にも開けておかねばならない。
有事の時にこそ、頭を柔らかくし、
冷静に活躍せねばならない。
人びとが立ちあがる
礎にならねばならない。

商業人はどんな時にも、
明日を見つめていなければならない」

2020年のいまも、
2222年までも、
これは貫かれねばならない。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人
海外研修会
2026年USA研修会
ミドルマネジメント研修会
第18回 ミドルマネジメント研修会

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.