結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年02月11日(火曜日)

建国記念の日の訃報/野村克也、逝く。

建国記念の日。

古事記や日本書紀の神話の世界で、
初代天皇の神武天皇が即位した日が、
紀元前660年の旧暦1月1日とされる。
それを新暦に直すと2月11日。

あくまでも神話の世界だ。
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しかし明治6年の1873年、
明治政府によって、
この日は「紀元節」と定められた。

さらにその大日本帝国が敗戦したあと、
1948年、「祝日法」が施行されたが、
「建国の日」は制定されなかった。

米国のゼネラルヘッドクォーターが、
「紀元節」の継続に懸念を示して、
それは廃止された。

その後、9回の議案提出と廃案を経て、
1966年に「建国記念の日」として、
国民の祝日となった。

昨年、「日本国の象徴」として、
今上天皇が即位した。
平成天皇は上皇に就位した。

「建国記念の日」は、
極めて日本らしくあいまいなままだが、
「故郷」を思うように、
漠然と自分の国のことを思う。

私はとてもロマンチックで、
いい建国の日だと思っている。

この2020年の建国の日に、訃報。
野村克也、逝く。
84歳。

虚血性心不全。
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京都峰山高校から契約金0のテスト生で、
南海ホークスに入団。

キャッチャーだったが、
バッティングもスローイングも、
三流以下のプロ選手だった。

それをひたすら努力し、
先輩捕手の退団や故障という幸運を得て、
3年目にレギュラーの座をつかんだ。
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おそらくプロ野球で初めて、
筋トレを取り入れたのは野村だ。

バットは短く持って、
ミートに徹した。
ミートしておいて、
パワーでホームランを打つ。

初めは直球に強く、
変化球に弱かった。

しかしある本に触発される。
テッド・ウィリアムズの著作。
メジャーリーグのスラッガーで、
2度の三冠王を獲得。

その著作は『バッティングの科学』
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この本の中のひとこと。
「投手は球種によって、
モーションに癖を見せる」

野村は徹底的にこの癖を研究して、
王・長嶋と並ぶ打者となった。

野村の「ID野球」は、
テッド・ウィリアムズの影響だ。

その後、現役時代は、
ホームラン王9回、
打点王7回、首位打者1回。
そしてその首位打者の1965年に、
戦後プロ野球初の三冠王になっている。

三冠王は王貞治2回、落合博満3回、
ランディ・バース2回。
ブーマーと松中信彦が1回ずつ。

野村はベストナイン19回、
最優秀選手5回を獲得。

ベストナインはプロ野球記録。
王貞治が18回の獲得、
長嶋茂雄が17回の受賞だから、
野村の力量は王・長嶋と並ぶものだった。

選手としても生涯現役を標榜して、
45歳まで26シーズン、現役捕手を続けた。

その選手時代には、
南海ホークスの監督兼任で8シーズン、

監督時代は、
ヤクルトスワローズで3度、日本一。
その後、阪神タイガース、
楽天イーグルスでも監督に就任して、
チームの組織文化と体質を改善した。

初めはテッド・ウィリアムズの本が、
野村を大きく変えた。

だから野村自身、多作家だった。
もちろん口述筆記だが、
昨年は4冊、一昨年は8冊、
一昨昨年は7冊も、
本を世に出した。

最新刊にして最後の本がこれ。
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野村が嫌いな野球ファンは多いが、
私は好きだ。

野村の言葉を、
何度も引用して文章を書いた。

「野村克也の言葉として有名なのが、
勝ちに不思議の勝ちあり、
負けに不思議の負けなし。
実は野村の創作ではなく、
江戸時代の肥前平戸藩主・松浦静山の言葉。
静山は大名ながら心形刀流剣術の達人で、
剣術書『剣談』を書いた」

拙著『Message』にも使った。
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「正規軍とゲリラ」

正規軍は、勝たなければ
すなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、
それで勝ちになる。

〈中略〉

減収減益が相次ぐ今。
そして、消費マインドが
停滞しきった観のある現在。
「勝たねば負け組」には、
つらい逆風が吹く。
「負けねば勝ち組」には、
意外にも順風が潜んでいる。

「勝ちに不思議の勝ちあり。
負けに不思議の負けなし」
この野村克也の言葉の、
勝ちの不思議は「神風」である。

「勝った負けたとさわぐじゃないよ」
と歌う水前寺清子は、
「あとの態度」を大事にする。
これは「負けに不思議なし」を言っている。

あなたはゲリラか、
はたまた正規軍か。
逆風を選ぶか、
順風を好むか――。

もうひとつ、野村の言葉。
「無視と称賛と批難」

三流は無視し、
二流は称賛し、
一流は批難する。
こうして人を育てる。

人を育てるには、
人を褒めろという。
しかし基本的には、
人によって対応が違わねばならない。

プロの世界だから、競争は厳しい。
だから三流選手がプロとして残るならば、
死に物狂いで努力するしかない。
もしくは、早いところ転職した方がいい。
その選手に、褒め言葉は、
むしろマイナスになる。
だから「無視」する。

野村自身がそうだった。

二流の選手は、褒めて褒めて、
気分良くして、使う。
褒められることが一番、
選手を伸ばす。

人を褒めて伸ばせと言うのは、
二流の選手が圧倒的に多いからだ。

しかし一流選手は、
褒めてはいけない。
一流は子供のころから、
褒められることに慣れている。
褒めると図に乗る。
だから批判して、発奮させる。
そのために、的確に非難する。
一流選手は、その非難に耐え、
乗り越えて、超一流となる。

ヤクルトの選手時代の古田敦也捕手。
野村の愛弟子は、言う。
「野村監督から褒められたことがない」

野村はマー君こと田中将大投手を、
入団当初の幼いころは褒めていたが、
成長すると時に鋭く非難して、
もう一段、レベルを上げさせようとした。

ピーター・ドラッカーは真理を言った。
「マネジメントは人の強みを活かすこと」
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人それぞれの強みは異なる。
それを活かす。

野村はわかりやすく3つに分けて、
三流、二流、一流と表現したが、
選手それぞれに、
異なる対応をしたに違いない。

野村克也は結局、
自分の得意な野球を通して、
人を育てる名人だったし、
それが好きだったのだ。

建国記念の日に、
心からご冥福を祈りたい。

〈結城義晴〉

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