結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年06月05日(金曜日)

商人舎6月号の責了とパオロ・ジョルダーノの「僕は忘れたくない」

梅雨入り前の初夏の爽やかさ。IMG_70670
横浜商人舎オフィスに出社。

裏の遊歩道は気持ちがいい。
COVID-19なんて、
全然気にならない。IMG_70720

月刊商人舎の最後の編集業務。
原稿はすべて書き終わって、
ゲラを読んで「責了」する。

「責了」は、「責任校了」の略語。
校正を確認して、
あとは印刷所にお任せする。
印刷所の責任において、
校了してもらう。
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いい雑誌が出来上がりました。
ご期待ください。

今回はこの本にお世話になった。
パオロ・ジョルダーノ著。
飯田亮介訳。
『コロナの時代の僕ら』
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ジョルダーノは、
1982年、イタリア・トリノ生まれ。
私よりも30歳若い。

トリノ大学大学院博士課程で、
素粒子物理学を専攻した。

しかし作家となって、
デビュー長編小説は、
『素数たちの孤独』

イタリアで200万部超の異例のセールス。
最高峰の文学賞ストレーガ賞を獲得。

そのジョルダーノが、
コロナの非常事態の下で書いたエッセイ。
27カ国で緊急刊行された。
日本では4月25日刊。

「感染症とは、
僕らのさまざまな関係を、
侵す病だ」

「このところ、
“戦争”という言葉が
ますます頻繁に
用いられるようになってきた」

「これは戦争だ」
「戦時のようなものだ」
「戦いに備えよう」

私もちょっとジョークっぽく、
「コロナ軍」といった言葉を使う。
糸井重里さんの受け売りだけど。

ジョルダーノ。
「だがそれは違う。
僕らは戦争をしているわけではない」

「僕らは、
公衆衛生上の緊急事態の
まっただなかにいる」

「今度の緊急事態は、
戦争と同じくらい劇的だが、
戦争とは本質的に異なっており、
あくまで別物として対処すべき危機だ」

よく考えてみると、
その通りだ。

お店は日々、
公衆衛生上の緊急事態対策を、
こまかく、きびしく、しつこく、
やり続けているだけだ。

「今、戦争を語るのは、
言ってみれば、
恣意的な言葉選びを利用した
詐欺だ」

「少なくとも僕らにとっては、
完全に新しい事態を、
そう言われれば、
こちらもよく知っているような
気になってしまう、
ほかのもののせいにして
誤魔化そうとする詐欺の、
新たな手口なのだ」

「コロナとの戦争」という言葉選び。
コロナへの公衆衛生も、
大きな戦争も、
緊急事態だという点、
多くの人が亡くなるという意味では
似ているが、本質はまったく違う。

ジョルダーノ。
「感染症流行時は、
もっと慎重で、
きびしいくらいの言葉選びが、
必要不可欠だ」

「なぜなら言葉は、
人々の行動を条件付け、
不確実な言葉は
行動をゆがめてしまう危険が
あるからだ」

小池百合子東京都知事の言葉選びも、
正確に伝わらない危険がある。

だから彼女が「ロックダウン」と、
口にしたとたん、
政府や行政が過剰に反応して、
逆に緊急事態宣言が遅れてしまった。

「それはなぜか。
どんな言葉であれ、
それぞれの亡霊を背負っているためだ」

日本語ではこれを、
「言霊(ことだま)」という。

しかしこの言葉も、
頻繁に、詐欺的に使われる。
だから、私は使わない。

ジョルダーノ。
「たとえば”戦争”は、
独裁政治を連想させ、
基本的人権の停止や暴力を思わせる」

「どれも――
とりわけ今のようなときには
――手を触れずにおきたい
魔物ばかりだ」

今、言葉に気をつけねばならない。

言葉を使うときも、
言葉を受け取るときも。

そしてジョルダーノは、
「僕」を主語にして、
「忘れたくない」ことを列挙する。

「僕は忘れたくない。
この自己中心的で愚鈍な自分を」

「僕は忘れたくない。
頼りなくて、支離滅裂で、
センセーショナルで、
感情的で、いい加減な情報が、
今回の流行の初期に
やたらと伝播されていたことを」

「僕は忘れたくない。
政治家たちのおしゃべりが突如、
静まり返ったときのことを」

「僕は忘れたくない。
今回の緊急事態があっという間に、
自分たちが、望みも、
抱えている問題も、
それぞれ異なる
個人の混成集団であることを
僕らに忘れさせたことを」

「僕は忘れたくない。
ヨーロッパが出遅れたことを。
遅刻もいいところだった」

日本も出遅れた。
春節を軽く見過ぎた。

「僕は忘れたくない。
今回のパンデミックのそもそもの原因が
秘密の軍事実験などではなく、
自然と環境に対する
人間の危うい接し方、
森林破壊、
僕らの軽率な消費行動にこそ、
あることを」
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ジョルダーノは、
「忘れたくない」もののリストを、
自ら示しつつ、
「元どおりに戻ってほしくないもの」の
リストを、今のうちに、
作っておこうと呼びかける。

言葉に気をつける。
よく考える。

私たちにも、
それは必要だ。

そんなことを考えながら、
月刊商人舎6月号を執筆し、
編集し、責了した。

ありがとう。

〈結城義晴〉

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